前回からの変化
変わったこと(変化・新規)
- 3指数がそろって4営業日連続の下落となった。NYダウは前回値52,380.66ドル→52,064.10ドル(316.56ドル安、0.60%安)、S&P500は7,636.36ドル→7,591.70ドル(44.66ドル安、0.58%安)、ナスダック100は29,421.55ドル→29,103.51ドル(318.04ドル安、1.08%安)となり、下げ幅・下落率はいずれも前回よりやや拡大した(Yahoo Finance、Investing.com)。
- 原油価格が一段と上昇し、WTIは100ドルを突破する場面があり、ブレントも105ドル台まで上昇した。米・イラン間の軍事衝突が収束せず、供給不安の高まりが続いていることが背景(Yahoo Finance)。前回は「ホルムズ海峡でのタンカー撃沈・ヨルダン基地攻撃」という段階だったが、本日は原油価格そのものが100ドルの節目を上回る段階に進んだ(新規・具体化)。
- 米長期金利がさらに上昇し、10年債利回りは取引時間中に一時4.91%まで達し、2023年以来の高水準を更新した。30年債も一時5.35%まで上昇した。トゥルーイスト・ウェルスのチーフ・マーケット・ストラテジスト、キース・ラーナー氏は「金利上昇が実際に効き始めている兆候が表面下で見えてきている。金利、原油高、FRBの利上げ観測が重なり、市場を一段と神経質にさせている」と指摘した(Yahoo Finance)(新規・具体化)。
- オラクルが9月10日引け後に2027年度第1四半期決算を発表し、非GAAP EPSは1.92ドル(会社が事前に示していた1.72〜1.76ドルのレンジ、市場コンセンサスのおよそ1.73ドルをいずれも上回った)。クラウドインフラ(IaaS)売上高は前年比121%増の73億8,800万ドルと、前四半期の93%増からさらに加速し、クラウド全体の売上高は同62%増の116億700万ドルとなった。残存履行義務(受注残)は6,640億ドルとコンセンサス(6,306億ドル)を上回った。2027年度の調整後EPS見通しを8.10ドル(コンセンサス8.07ドル)、売上高を900億ドル以上に据え置いた。決算発表後の時間外取引で株価は7%上昇した(CNBC)(新規)。
- アドビも同日引け後に2026年度第3四半期決算を発表し、売上高は前年比11%増の66億2,000万〜67億6,000万ドル(情報源により幅があるが、いずれも市場予想の66億9,000万ドル前後を上回る)、非GAAP EPSは5.96〜6.13ドルで予想(5.82〜6.09ドル)を上回った。月間アクティブユーザーは10億人を突破し、年換算経常収益(ARR)は275億ドルに達した。通期売上高・EPSガイダンスをいずれも引き上げた。もっとも株価は決算内容の好調さにもかかわらず、時間外取引でほぼ横ばい(0.13%安)にとどまった(cryptobriefing)(新規)。
- アップルは、前日発表した新CEOジョン・ターナス氏の下での折りたたみ型iPhone「Duo」を含む新製品発表を好感され、株価は3%上昇した。アルファベットも0.6%上昇した一方、マグニフィセント・セブンの大半は金利上昇を嫌気して下落した(Yahoo Finance)(新規)。
昨日と同じこと(継続)
- FRBの沈黙期間(9月5日〜9月17日)は継続。9月15〜16日のFOMCへの注目度も変わらず高い。
- 9月11日のCPI(消費者物価指数)発表を控えた様子見ムードは前回から続いている。
- AIハードウェア株とクラウド大手(ハイパースケーラー)の値動きの乖離、および強気派(AI投資が実際の収益に転化)と弱気派(バリュエーションの偏り・季節性)の綱引きは前回から引き続き市場のテーマであり続けている。
- ドル安・円高基調そのものは継続しているとみられる(詳細は
ratesカテゴリ参照)。
要因の連続性
- 継続要因: FRBの沈黙期間、AI関連の資金集中・値動き乖離という構造的懸念、米・イラン軍事衝突とそれに伴う原油高・金利上昇はいずれも継続し、むしろ強まった。
- 新規要因: (1)原油の100ドル超えという心理的節目の突破、(2)米長期金利の一段の急伸(10年債一時4.91%)、(3)オラクルのクラウド事業加速による決算好感、(4)アドビの好決算にもかかわらず株価が反応薄という新たなねじれ。
- 解消した要因: 特になし。前回の下落材料(原油高・地政学リスク・金利上昇)はいずれも今回さらに強まる形で継続した。
1. 市況サマリー
| 指数 | 終値 | 前日比 | 騰落率 |
|---|---|---|---|
| S&P500 | 7,591.70ドル | -44.66ドル | -0.58% |
| ナスダック100 | 29,103.51ドル | -318.04ドル | -1.08% |
| NYダウ | 52,064.10ドル | -316.56ドル | -0.60% |
(取得時点: 2026-09-10(木)米国市場引け値。4営業日連続の下落となり、原油の100ドル超えと米長期金利の急伸が重荷となった。出典: Yahoo Finance、ナスダック100はInvesting.com)
2. 指数別動向
S&P500
7,591.70ドルで前日比44.66ドル(0.58%)安と4営業日続落。原油高を受けたインフレ懸念と長期金利の急伸(一時4.91%)が相場全体の重荷となった。エネルギー株は原油高の恩恵で相対的に堅調だった一方、グロース株・景気敏感株が下げを主導した(Yahoo Finance)。
ナスダック100
29,103.51ドルで前日比318.04ドル(1.08%)安と、3指数の中で下落率が最も大きかった。オラクル・アドビの決算発表を控えた持ち高調整の売りに加え、金利上昇が高PER・グロース株の重しとなった。アップルは新製品発表を好感され3%上昇し、指数の下支えとなった(Yahoo Finance)。
NYダウ
52,064.10ドルで前日比316.56ドル(0.60%)安。原油高によるエネルギーコスト増懸念が景気敏感株の重しとなった(Yahoo Finance)。
3. 強気派 vs 弱気派
原油高・金利上昇という逆風が強まる中でも、企業業績の底堅さとAI投資の収益転化を根拠にした強気派と、バリュエーションの高さや金利上昇の影響拡大を懸念する弱気派の綱引きが続いている。
強気派(ブル)
- モルガン・スタンレー(グローバル・インベストメント・コミッティー): S&P500が年間で10%上昇し、7,500ドル前後に達するとの見方を維持。企業業績の底堅さ、低い失業率、AIによる生産性向上が企業業績に表れ始めている点を根拠に挙げた(Yahoo Finance)。
- バークレイズ: 2026年通期のEPS予想を1株当たり321ドルへ引き上げた。FactSetの集計でも前年同期比13.2%の増益が見込まれており、企業業績の伸びが相場の下支えになるとの見方を示した(Yahoo Finance)。
弱気派(ベア)
- バンク・オブ・アメリカ: S&P500の年末目標を7,100ドルに据え置き、現水準からおよそ7%の下落余地があるとの見方を示した。市場が既に多くの好材料を織り込んでおり、上値余地は限定的との見方(Yahoo Finance)。
- トゥルーイスト・ウェルス(キース・ラーナー氏、チーフ・マーケット・ストラテジスト): 「金利上昇が実際に効き始めている兆候が表面下で見えてきている。金利、原油高、FRBの利上げ観測の重なりが市場を一段と神経質にさせている」と指摘し、株価収益率が高水準にある中での金利上昇リスクに警戒感を示した(Yahoo Finance)。
4. 経済ニュース
経済指標
米国では8月分PPI(生産者物価指数)が発表され、前年比5.4%まで加速し市場予想をやや上回った(詳細はratesカテゴリ参照)。市場は9月11日のCPI(消費者物価指数)の結果が9月16〜17日のFOMCでの利上げ判断を左右するとみて注視している。
政策
米・イランの軍事衝突は収束の兆しがなく、原油の供給リスクプレミアムが一段と意識される事態が続いている。FRBの沈黙期間(9月17日まで)は変わらず継続している。
注目された個別銘柄・決算
- オラクル: 2027年度第1四半期決算でクラウドインフラ売上高が前年比121%増と加速し、非GAAP EPS・受注残とも市場予想を上回った。決算発表後の時間外取引で株価は7%上昇した(CNBC)。
- アドビ: 2026年度第3四半期は増収増益で市場予想を上回り、月間アクティブユーザーが10億人を突破したと発表したが、株価は時間外取引でほぼ横ばいにとどまった(cryptobriefing)。
- アップル: 前日発表の折りたたみ型iPhone「Duo」を含む新製品ラインアップが好感され、株価は3%上昇した(Yahoo Finance)。
- クローガー: 9月11日寄り前に決算発表を予定。市場予想は調整後EPS1.05ドル(前年同期比約1%増)、売上高346億7,500万ドル(同2.2%増)。オプション市場は5.5%程度の株価変動を織り込んでいる(Investing.com)。
5. 金利・為替が株に効いた分
米10年債利回りは取引時間中に一時4.91%まで上昇し、2023年以来の高水準を更新した。30年債も一時5.35%まで上昇し、金利上昇が高PER・グロース株の重しとなる一方、原油高の恩恵を受けるエネルギー株には追い風となった。為替では、ドル円は9/10のNY市場で154円67銭まで売られたのち153円85銭まで買い戻され、前回とほぼ同水準で引けた(詳細はratesカテゴリ参照)。ドル指数(DXY)は98.75前後とほぼ横ばいで推移しており、為替の変動そのものが株式市場の主要な材料になった様子は本日は確認できなかった。
6. テクニカル分析
S&P500
50日移動平均線(7,670ドル前後)・200日移動平均線(7,699ドル前後)をいずれも下回る配置が続き、前回に続き弱含みの状態が続いている。RSI(14日)は31.5まで低下し、売られすぎの水準に近づいている(断定的な売買判断ではなく、あくまで目安)。目先の攻防ラインはおよそ7,585ドル(支持)、7,598ドル(レジスタンス)近辺とされる(Investing.com)。
ナスダック100
50日線(29,336ドル前後)・200日線(29,439ドル前後)をいずれも下回る配置に転じ、前回まで維持していた底堅さが崩れた。RSI(14日)は35.7まで低下し、弱含みのシグナルが強まっている。目先の攻防ラインはおよそ29,098〜29,123ドル(支持)、29,174〜29,199ドル(レジスタンス)近辺とされる(Investing.com)。
NYダウ
50日線(52,912ドル前後)・200日線(53,403ドル前後)をいずれも下回っており、3指数の中でテクニカル面の弱さが最も目立つ状態が続いている。RSI(14日)は28.8まで低下し、売られすぎの水準に入りつつある(Investing.com)。
センチメント指標(補助)
- VIX(恐怖指数): 16.46(前回の16.53からほぼ横ばい)で、引き続き警戒感がやや高い水準にある。
- Fear & Greed Index: 35〜36前後の「恐怖」ゾーンで推移しており、前回のおよそ39前後からさらにやや悪化した。
7. 今夜の注目イベント
- 米東部時間9月11日午前8時30分(日本時間今夜)、8月分のCPI(消費者物価指数)が発表予定。市場予想は前月比+0.4%、前年比+3.4%(コア指数は前月比+0.4%、前年比+2.4%)で、9月16〜17日のFOMCを控えた最後の主要インフレ指標として最大の注目を集めている。
- 9月11日寄り前、クローガーが決算を発表予定。市場予想は調整後EPS1.05ドル、売上高346億7,500万ドル(Investing.com)。
- ホルムズ海峡を巡る米・イランの軍事衝突は収束の兆しがなく、原油価格や株式センチメントへの影響が続く可能性がある。
- FRBは9月17日まで沈黙期間中で、高官発言は予定されていない。

