前回からの変化
変わったこと(変化・新規)
- 変化: 前回(9/10付、9/9の取引を報告)は126.55円安の続落だったが、本日(9/10の取引)は反発に転じ、128.17円高の65,270.95円で終えた。ただし内実は「朝方950円超安→大引けにかけて反発」という荒い値動きであり、単純な地合い改善とは言い切れない(日本経済新聞)。
- 新規: 朝方の急落は、米・イラン軍事衝突の激化による原油高・中東情勢悪化への懸念が主因。前回までの「円高進行」に代わり、「原油高・地政学リスク」が本日の下落圧力の主因として新たに浮上した(財経新聞)。
- 新規: 大引け間際に海外短期筋による先物買いが入ったほか、台湾積体電路製造(TSMC)の8月売上高が前年同月比53.3%増と好調だったことを手がかりに、半導体関連株への買いが波及し相場を押し上げた。韓国総合株価指数(KOSPI)の底堅さも支えとなった(日本経済新聞)。前回の相場の支え役だった光ファイバー・半導体供給提携という材料から、TSMC決算という新たな手がかりに移った。
- 新規: エアトリが2026年9月期〜2028年9月期の3期間で総額100億円超の株主還元方針を発表。2026年9月期の年間配当金は160円(前期10円から大幅増配)を計画し、前日終値ベースの配当利回りは20%超に達する。あわせて業績予想を上方修正し、減損等控除後の営業利益を従来予想の15億円から30億円に倍増させた。この発表を受けてストップ高となった(THE GOLD ONLINE、ダイヤモンド・ザイ)(新規)。
- 新規: ANYCOLORが第1四半期決算を発表し、営業利益は63.9億円(前年同期比8.8%減)ながら通期予想(中間値190億円)に対して順調な進捗と受け止められた。あわせて発行済み株式数の4.67%(280万株、上限70億円)の自己株式取得を発表し、株価は急伸した(ダイヤモンド・ザイ)(新規)。
- 変化: アルビス株は、前日のライフコーポレーションによるTOB発表(1株3,780円、51%プレミアム)を受けたストップ高(3,000円)からさらに買いが続き、本日は23.33%高の3,700円まで上昇し、TOB価格に接近した(日本経済新聞)。
昨日と同じこと(継続)
- 日銀の9月17・18日会合待ちのムードは変わらず市場の中心的な関心事であり続けている。増一行審議委員が9/10、追加利上げについて「為替や原油価格などを全部細かく点検、検証した上で、しっかりと次の会合で議論する」と述べ、前回(6月)からの間隔を踏まえ「加速といえば加速だ」との認識を示した(時事ドットコム)。
- ドル円は東京時間中153円台でのもみ合いに終始し、前回からの大きな方向感の変化はなかった(みんかぶFX/為替)。
- 米長期金利の上昇、トランプ政権の関税政策、中国の景気減速懸念は、前回に続き弱気材料として意識されている(財経新聞)。
- 自社株買いの活発化と東証による企業価値向上要請は、前回に続き相場の下支え材料として機能している。
要因の連続性
- 継続要因: 日銀9月会合を控えた利上げ観測、米長期金利上昇・関税政策・中国減速懸念という弱気材料、自社株買いの活発化という下支え材料。
- 新規要因: (1) 米・イラン軍事衝突激化による原油高が本日の主な下落材料として浮上、(2) TSMC8月売上高の好調による半導体株の押し目買い、(3) エアトリの大幅増配・上方修正、ANYCOLORの自社株買いという個別材料。
- 解消した要因: 前回懸念されていた急激な円高進行(152円台への急伸)による株安圧力は、本日はドル円が153円台でのもみ合いにとどまったことで後退した。
1. 市況サマリー
| 指数 | 終値(9/10) | 前日比 | 騰落率 |
|---|---|---|---|
| 日経平均株価 | 65,270.95円 | +128.17円 | +0.20% |
| TOPIX | 4,054.58pt | +7.94pt | +0.20% |
| 東証グロース市場250指数(先物) | 783pt前後 | -2pt | -0.3%程度 |
日経平均は3営業日ぶりに反発したが、朝方は950円超下落する場面があるなど値動きは荒かった(日本経済新聞、財経新聞)。
2. 指数別動向
日経225
朝方は米・イラン軍事衝突の激化による原油高・中東情勢悪化への懸念から売りが優勢となり、下げ幅は950円あまりに達する場面があった。しかし大引けにかけて海外短期筋による先物買いが入ったほか、TSMCの8月売上高(前年同月比53.3%増)を手がかりに半導体関連株への買いが波及し、下げ幅を縮小して反発に転じた。終値は128.17円高の65,270.95円。東証プライムでは値上がり723銘柄、値下がり783銘柄、変わらず48銘柄と、銘柄数ベースではなお値下がりが優勢だった(日本経済新聞)。
グロース市場250指数
先物(9月限)は前日比2pt安の783pt(高値786pt、安値774pt)で取引を終えた。米国株安・原油高を受けて780ptまで下押しする場面があったが、直近の調整で過熱感が和らいだとの見方が広がり押し目買いが入ったことで下げ幅を縮小した(財経新聞)。
3. 強気派 vs 弱気派
強気派
- 半導体関連ではSOX指数が上昇(11,931.32、+43.45)し、東京市場のAI・半導体株の押し目買いを後押しした。活発な自社株買いと、東京証券取引所による企業価値向上要請も引き続き下支え材料である(財経新聞)。
- 株探ニュースのテクニカルアナリスト・伊藤智洋氏は、9月3日安値(63,772円)を維持できれば来週以降の戻りを試す base(基盤)になりうるとのシナリオを示している(株探ニュース)。
弱気派
- 前日のNYダウ(52,380.66、-405.41)・ナスダック総合(26,253.34、-168.07)の下落、米長期金利の上昇、トランプ政権の関税政策、中国の景気減速懸念が弱気材料として挙げられている(財経新聞)。
- 伊藤智洋氏は同時に、9月3日安値(63,772円)を割り込めば7月29日安値(60,448円)を試す展開もありうると警告している(株探ニュース)。
4. 経済ニュース
経済指標・政策
- 本日時点で、日銀による8月分企業物価指数(国内企業物価指数)の正式な公表は確認できなかった(前回レポートで9/10公表予定としていたが、本レポート作成時点では未確認)。
- 米国では8月分PPIが発表され前年比5.4%へ加速した(詳細は
ratesカテゴリ参照)。9/11には米CPIの発表も控えている。
注目された個別銘柄
- エアトリ: ストップ高。2026〜2028年9月期の3期間で総額100億円超の株主還元方針、年間配当160円(前期比大幅増配、配当利回り20%超)への増配、業績予想の上方修正(営業利益15億円→30億円)を発表した(THE GOLD ONLINE)。
- ANYCOLOR: 第1四半期営業利益は前年同期比8.8%減の63.9億円ながら通期進捗は順調と評価され、発行済み株式数4.67%(上限70億円)の自己株式取得発表も好感され急伸した(ダイヤモンド・ザイ)。
- アルビス: 前日のTOB発表(1株3,780円)を受けたストップ高からさらに買いが続き、23.33%高の3,700円まで上昇しTOB価格に接近した(日本経済新聞)。
- 半導体関連株: TSMCの8月売上高好調を手がかりに東京エレクトロン・アドバンテストなど関連銘柄に押し目買いが入り、相場の反発を主導した(日本経済新聞)。
5. 日銀・金利・為替
日銀
増一行審議委員が9/10、福井市での記者会見で追加利上げについて発言した(詳細はratesカテゴリ参照)。前回(6月)からの間隔を踏まえ「9月ということでも、加速といえば加速だ」と述べ、従来の半年に1回程度のペースから加速する可能性を認めた。9月17・18日の金融政策決定会合が引き続き最大の焦点である(時事ドットコム)。
金利
新発10年国債利回りは2.90%前後(9/10)で、前日の2.880%からやや上昇した。日銀の早期利上げ観測の高まりが長期金利の下支え要因となっている(詳細はratesカテゴリ参照)。
為替
ドル円は、みんかぶFX/為替によれば9/10の東京時間は153円台でのもみ合いに終始した。増一行審議委員のタカ派的な発言があったものの、前回までの急激な円高進行のような大きな方向感は出なかった。NY時間に入ってからは米8月PPIの上振れを受けたドル買いで154円67銭まで上昇する場面もあったが、153円85銭まで反落して引けている(詳細はratesカテゴリ参照)。
6. テクニカル分析
日経225
終値ベースでは反発したものの、下向きに推移する10日移動平均線(65,543円)を終値でなお下回っており、上値の重い状態が続いている。50日移動平均線(66,346円)、75日移動平均線(66,823円)、一目均衡表の雲の上限(66,640円)もいずれも上抜けできていない。RSI(9日)は41.6%で前日から横ばいとなり、中立圏にとどまっている。8月14日高値(69,608円)を起点とする上値抵抗線と、8月19日安値(65,133円)を起点とする下値支持線が収れんする三角保ち合いのパターンが引き続き意識されており、この水準を切り下げるもち合いは上抜け方向への転換につながることもあるとされる。上値のメドは68,000円・69,000円・71,000円、下値のメドは65,000円・64,000円・63,000円台とされている(外為どっとコム)。
グロース市場250指数
先物は783pt前後で、前日からわずかに水準を切り下げたものの、780pt割れでは押し目買いが入り下げ渋った。直近の調整で過熱感が和らいだとの見方が広がっており、金利敏感な新興株にも短期的な反発余地が意識され始めている(財経新聞)。

