前回からの変化

変わったこと(変化・新規)

  • 3指数がそろって3営業日続落した。NYダウは前回値52,786.07ドル→52,380.66ドル(405.41ドル安、0.77%安)、S&P500は7,673.52ドル→7,636.36ドル(37.16ドル安、0.48%安)、ナスダック100は29,507.70ドル→29,421.55ドル(86.15ドル安、0.29%安)となり、下げ幅・下落率はいずれも前回より縮小したものの、続落そのものは継続した(Yahoo Finance)。
  • ホルムズ海峡を巡る米・イランの軍事衝突がさらに激化した。米軍がイランのタンカー5隻を無力化・撃沈したと発表し、イランはヨルダンの米軍基地への攻撃を含む計10隻への反撃を行ったと主張しており、前回の「威嚇の応酬」段階から実際の破壊行為の応酬という新たな局面に入った(Al Jazeera)。
  • 原油価格が心理的な節目を突破した。ブレント原油は約2カ月ぶりに1バレル100ドルを上回り101ドル前後、WTIも96ドル前後まで上昇し、前回の「接近」段階から実際の大台突破という新たな段階に進んだ(Yahoo Finance)。
  • アップルが「サプライズ・アンド・シャイン」イベントを開催し、ティム・クック氏の後任として就任したジョン・ターナス新CEOが初めて壇上に立ち、同社初となる折りたたみ型端末「iPhone Duo」(1,999ドルから)、iPhone18 Pro/Pro Max、アップルウォッチシリーズ12・ウルトラ4などを発表した。前回レポート時点では「予告」段階だった内容が、CEO交代という新情報とともに実際の発表として明らかになった(CNN Business)(新規・具体化)。
  • メタが新しい個人向けAIエージェント「Muse」(月額20ドル・100ドルの有料プランあり)を発表し、株価は前日比6.5%超上昇した。ミズホ証券(目標株価750ドル)やキーバンク・キャピタル・マーケッツ(同780ドル)が強気姿勢を示す一方、競合と目されたアルファベットは2%下落しており、前回レポートには無かった新規材料としてAI関連の明暗が加わった(Yahoo Finance)(新規)。
  • コンビニエンスストア大手ケイシーズ・ジェネラル・ストアーズが増収増益決算を発表したにもかかわらず、既存店(インサイド)売上高の伸びが前年同期の4.3%から3.2%に鈍化したことを嫌気され株価が15%近く急落した(Yahoo Finance)(新規)。
  • 米長期金利(10年債利回り)は4.83%前後まで上昇し、一部報道では2023年10月以来の高水準と伝えられた。フェデラルファンド先物が織り込む9月FOMCでの利上げ確率はおよそ60%となり、前回のおよそ58%からやや上昇した(Yahoo Finance)(新規・具体化)。

昨日と同じこと(継続)

  • FRBの沈黙期間(9月6日〜9月17日)は継続。9月16〜17日のFOMCへの注目度も変わらず高い。
  • 9月10日のPPI(卸売物価指数)・オラクル/アドビ決算、9月11日のCPI(消費者物価指数)という経済カレンダーは前回から変わらず確認された(Investing.com)。
  • AIハードウェア株とクラウド大手(ハイパースケーラー)の値動きの乖離、および強気派(AI投資が実際の収益に転化)と弱気派(バリュエーションの偏り・季節性)の綱引きは前回から引き続き市場のテーマであり続けている。
  • ドル安・円高基調そのものは継続しており、ドル指数(DXY)は前回の98.8台からさらにやや軟化し98.77近辺で推移した(財経新聞)。

要因の連続性

  • 継続要因: 強い雇用統計を発端とする利上げ観測(58%→60%に微増)、FRBの沈黙期間、AI関連の資金集中・値動き乖離という構造的懸念、ドル安・円高基調はいずれも継続。
  • 新規要因: (1)米・イラン軍事衝突の「タンカー5隻撃沈・ヨルダン基地攻撃」という新段階への激化と原油の心理的節目(100ドル)突破、(2)アップルのCEO交代(ジョン・ターナス氏就任)と初の折りたたみ型iPhone発表、(3)メタの新AIエージェント「Muse」発表による株価急伸とアルファベット株安という明暗、(4)ケイシーズ・ジェネラル・ストアーズの既存店売上高鈍化による急落。
  • 解消した要因: カナダの対米関税発効という材料は本日の報道の中心からは後退し、代わって米・イラン軍事衝突の激化と原油高が主要な下落材料の座を占めた(関税問題自体が解消したわけではない)。

1. 市況サマリー

指数 終値 前日比 騰落率
S&P500 7,636.36ドル -37.16ドル -0.48%
ナスダック100 29,421.55ドル -86.15ドル -0.29%
NYダウ 52,380.66ドル -405.41ドル -0.77%

(取得時点: 2026-09-09(水)米国市場引け値。3営業日連続の下落となり、米・イラン軍事衝突の激化を受けた原油高と米長期金利の上昇が重荷となった。出典: Yahoo Finance、ナスダック100終値はInvesting.com)

2. 指数別動向

S&P500

7,636.36ドルで前日比37.16ドル(0.48%)安と3営業日続落。エネルギー・公益株が数少ない上昇セクターとなった一方、資本財・一般消費財(景気敏感)株が原油高を嫌気して下げを主導した(Yahoo Finance)。

ナスダック100

29,421.55ドルで前日比86.15ドル(0.29%)安と、3指数の中では下げ幅が最も小さかった。メタが新AIエージェント「Muse」の発表を受け6.5%超上昇して指数を下支えした一方、競合と目されたアルファベットは2%下落し、ハイテク大手内でも明暗が分かれた(Yahoo Finance)。

NYダウ

52,380.66ドルで前日比405.41ドル(0.77%)安と3指数の中で下げ幅・下落率とも最大。原油高を受けたエネルギーコスト増懸念に加え、コンビニ大手ケイシーズ・ジェネラル・ストアーズが既存店売上高の伸び鈍化を嫌気されて15%近く急落するなど、個別の失望材料も重なった(Yahoo Finance)。

3. 強気派 vs 弱気派

原油高・地政学リスクという逆風が強まる中でも、AI関連の設備投資と実際の収益転化を根拠にした強気派と、バリュエーションの偏りやAIバブルへの警戒を強める弱気派の綱引きが続いている。

強気派(ブル)

  • エバコアISI(ジュリアン・エマニュエル氏): 基本シナリオは7,750ドルとしつつ、S&P500が9,000ドルに達する強気シナリオを提示。「相場の強気局面を終わらせる典型的な要素(景気後退、長期金利の急騰、行き過ぎたFOMO)がいずれも見当たらない」とし、投資家のポジションが分散されている点や企業のレバレッジが低い点を根拠に挙げた(Yahoo Finance)。
  • シティグループ: 2026年末のS&P500目標を8,100ドルとし、AI関連投資が2026年にEPS350ドル、2027年に400ドルへの増益をもたらすとの見方を根拠にした(Yahoo Finance)。

弱気派(ベア)

  • レイ・ダリオ氏(ブリッジウォーター・アソシエイツ): AI関連株の相場が1929年の株価大暴落や2000年のドットコムバブル崩壊と似た構造にあると警告。「(投資家は)価格そのものに注意を払っていない」とし、紙の上の含み資産の増加が実際の資金の動きを上回るいびつな構造や、高いレバレッジが下落局面を増幅させるリスクを根拠に挙げた(Yahoo Finance)。
  • バンク・オブ・アメリカ: S&P500目標を7,100ドルとし、同社が独自に定める弱気相場入りの判断指標10項目のうち7項目が既に点灯しているほか、ハイテク大手への資金集中が行き過ぎているとの見方を示した(Yahoo Finance)。

4. 経済ニュース

経済指標

前日(9/9)に主要な経済指標の発表はなかった。市場は9月4日発表の8月雇用統計を引き続き消化しつつ、9月10日のPPI(卸売物価指数、市場予想は前月比0.4%上昇)と9月11日のCPI(消費者物価指数)の結果が9月16〜17日のFOMCでの利上げ判断を左右するとみて注視している(Investing.com)。

政策

ホルムズ海峡周辺での米・イランの軍事衝突がさらに激化した。米軍がイランの原油タンカー5隻を無力化・撃沈したと発表し、イランは報復として計10隻への攻撃とヨルダンの米軍基地への攻撃を行ったと伝えられている。原油の供給リスクプレミアムが一段と意識される事態となった(Al Jazeera)。カナダの対米報復関税を巡る摩擦は継続しているものの、本日の市場材料としては中東情勢と原油高の陰に隠れた形となった。FRBの沈黙期間(9月17日まで)は変わらず継続している。

注目された個別銘柄・決算

  • アップル: 米東部時間9月9日、就任後初となる新CEOジョン・ターナス氏(前最高執行責任者、ティム・クック氏の後任)の下で製品発表イベントを開催。同社初の折りたたみ型端末「iPhone Duo」(開くと7.6インチ画面、1,999ドルから)、iPhone18 Pro/Pro Max、アップルウォッチシリーズ12・ウルトラ4、エアポッズ5を発表した(CNN Business)。
  • メタ: 新しい個人向けAIエージェント「Muse」(送金・旅行予約・買い物代行が可能、月額20〜100ドルの有料プランあり)を発表し、株価は6.5%超上昇した。ミズホ証券は目標株価750ドルで「アウトパフォーム」、キーバンクは同780ドルで「オーバーウエイト」を継続した(Yahoo Finance)。
  • アルファベット: メタの新AIエージェントが競合サービスと目され、株価は2%下落した(Yahoo Finance)。
  • ケイシーズ・ジェネラル・ストアーズ: 売上高・EPS・EBITDAいずれも市場予想を上回る増収増益決算だったが、既存店(インサイド)売上高の伸びが前年同期の4.3%から3.2%に鈍化したことが嫌気され、株価は15%近く急落した(Yahoo Finance)。
  • オラクル・アドビ: 9月10日引け後にそろって決算発表を予定。オラクルは前年比28.1%の増収予想でクラウドインフラ(OCI)の伸びが焦点、アドビは同11.7%の増収予想で、AI投資が実際の収益拡大に結びついているかの証明が焦点となる(Investing.com)。

5. 金利・為替が株に効いた分

米10年債利回りは4.83%前後まで上昇し、一部報道では2023年10月以来の高水準に達したと伝えられた。利回りの高止まりは資本財・一般消費財などグロース・景気敏感株にとって逆風となる一方、エネルギー・公益株には相対的な追い風となる構図が続いている(Yahoo Finance)。為替では、ドル円は9日早朝に一時1ドル=153円09銭まで売られたものの、米長期金利の上昇を支えに153円80銭まで買い戻されて取引を終えた。前回(153円台後半)からは概ね同水準で推移した形だが、日銀の利上げ観測を背景とした円高圧力そのものは残っている(財経新聞)。ドル指数(DXY)は98.77近辺まで0.41%下落し、前回の98.8台からさらにやや軟化しており、ドル安基調が多国籍企業の海外収益の円換算額を下支えする方向に働いている。

6. テクニカル分析

S&P500

50日移動平均線(7,682ドル前後)・200日移動平均線(7,693ドル前後)をいずれも下回る配置となり、前回に続き弱含みの状態が続いている。RSI(14日)は32.7まで低下し、売られすぎの水準に近づいている(断定的な売買判断ではなく、あくまで目安)。目先の攻防ラインはおよそ7,638ドル(支持)、7,649ドル(レジスタンス)近辺とされる(Investing.com)。

ナスダック100

50日線(29,367ドル前後)・200日線(29,402ドル前後)をいずれも上回る配置を維持しており、3指数の中では引き続き最も底堅い。RSI(14日)は47.2で中立圏にあり、過熱感・売られすぎ感のいずれも見られない。目先の攻防ラインはおよそ29,407ドル(支持)、29,442ドル(レジスタンス)近辺とされる(Investing.com)。

NYダウ

50日線(53,053ドル前後)・200日線(53,498ドル前後)をいずれも下回っており、3指数の中でテクニカル面の弱さが最も目立つ状態が続いている。RSI(14日)は28.9まで低下し、売られすぎの水準に入りつつある(Investing.com)。

センチメント指標(補助)

  • VIX(恐怖指数): 16.53(前日比+5.15%)まで上昇し、前回の15.72からさらに切り上がった(Investing.com)。
  • Fear & Greed Index: 39前後の「恐怖」ゾーンで推移しており、前回のおよそ42前後からやや悪化した。

7. 今夜の注目イベント

  • 米東部時間9月10日午前8時30分(日本時間10日夜)、8月分のPPI(卸売物価指数)が発表予定。市場予想は前月比0.4%上昇で、エネルギー価格の上昇が押し上げ要因とみられている(Investing.com)。
  • 9月10日引け後、オラクルとアドビが決算を発表予定。オラクルはクラウドインフラ需要のキャッシュフローへの転化、アドビはAI投資の収益貢献の証明が焦点となる(Investing.com)。
  • ホルムズ海峡を巡る米・イランの軍事衝突は収束の兆しがなく、原油価格や株式センチメントへの影響が続く可能性がある(Al Jazeera)。
  • 9月11日のCPI(消費者物価指数)が次の焦点。FRBは9月17日まで沈黙期間中で、高官発言は予定されていない。