前回からの変化

変わったこと(変化・新規)

  • オラクルの決算が本日新たに判明した。CNBCによれば、2027年度第1四半期(2026年6〜8月)の非GAAP EPSは1.92ドルで、会社が事前に示していた1.72〜1.76ドルのレンジ、市場コンセンサスのおよそ1.73ドルをいずれも上回った。クラウドインフラ(IaaS)売上高は前年比121%増の73億8,800万ドルと、前四半期の93%増からさらに加速し、クラウドアプリケーション(SaaS)は同10%増の42億1,900万ドルで、クラウド全体の売上高は同62%増の116億700万ドルとなった。残存履行義務(受注残、RPO)は6,640億ドルとコンセンサス(6,306億ドル)を上回った。前回レポートでは「発表予定」の段階だったが、本日実績が判明し、決算発表後の時間外取引で株価は7%上昇した。 出典: CNBC
  • アドビの決算も本日新たに判明した。StockTitan・cryptobriefingによれば、2026年度第3四半期の売上高は66億2,000万〜67億6,000万ドル(情報源により幅があるが、いずれも市場予想の66億9,000万ドル前後を上回る)、非GAAP EPSは5.96〜6.13ドルで予想(5.82〜6.09ドル)を上回った。月間アクティブユーザーは10億人を突破し、AI関連事業の年換算経常収益(AI-first ARR)は前年比150%超の伸びとなり、前四半期から加速した。通期売上高・EPSガイダンスをいずれも引き上げた。前回レポートでは「発表予定」段階だったが、好決算にもかかわらず株価は時間外取引でほぼ横ばい(0.13%安)にとどまった。 出典: StockTitan、cryptobriefing
  • メイシーズの決算が本日新たに判明した。MarketBeatによれば、第2四半期の売上高は48億7,000万ドル(市場予想48億3,000万ドルを上回る)、調整後EPSは0.40ドル(予想0.37ドルを上回る)、既存店売上高(自社・ライセンス・マーケットプレイス合算)は前年同期比2.7%増となった。会社は通期(2026年度)ガイダンスを、EPS2.15〜2.35ドル(従来2.00〜2.20ドル)、売上高216億7,500万〜218億2,500万ドル(従来215億〜217億5,000万ドル)へ引き上げた。一方で第3四半期のEPS見通しをマイナス0.19〜マイナス0.23ドルの調整後損失と発表し、市場予想(マイナス0.12ドル)より悪化する内容だった。前回レポートでは「発表予定」段階で8四半期連続の予想上振れを続けられるかが焦点だったが、第2四半期自体は9四半期目の上振れを達成した一方、弱い第3四半期見通しが嫌気され株価は5%下落した(24/7 Wall St、RTTNews)。

昨日と同じこと(継続)

  • クローガー(9月11日寄り前)の決算発表日程は、前回レポートから変更がないことを本日改めて確認した。市場予想は調整後EPS1.05ドル、売上高346億7,500万ドル(Investing.com)。
  • 「好決算でも株価が反応しない、あるいは下落する」というねじれ現象は、前回のチューイー・ゲームストップに続き、本日はアドビ・メイシーズで再現された。市場が見出しの数字だけでなく先行きの質を厳しく評価する地合いは変わっていない。

要因の連続性

  • 継続要因: 決算シーズンが後半戦へ移行していく日程感、好決算・株価反応のねじれという構図はいずれも継続。
  • 新規要因: オラクルのクラウド事業加速による明確な好感反応(ねじれの解消・逆転パターン)、アドビのAI関連ARR急拡大、メイシーズの弱い第3四半期ガイダンスという新たな懸念材料。
  • 解消した要因: 特になし。

1. 本日のハイライト

銘柄 発表 売上高(前年比) EPS(調整後・予想比) 株価反応
オラクル(ORCL) 9/10引け後 クラウド全体+62%(内IaaS+121%) 非GAAP1.92ドル(予想1.73ドルを上回る) 時間外+7%
アドビ(ADBE) 9/10引け後 66億2,000万〜67億6,000万ドル(+11〜13%) 非GAAP5.96〜6.13ドル(予想を上回る) 時間外ほぼ横ばい(-0.13%)
メイシーズ(M) 9/10寄り前 48億7,000万ドル(予想上回る) 調整後0.40ドル(予想0.37ドルを上回る) 通常取引-5%

出典: CNBC、StockTitan、MarketBeat

本日は米国主要3社が決算を発表し、AI・クラウド関連の勢いと小売業の先行き懸念という対照的な結果が並んだ。

2. 個別決算

オラクル(ORCL)

2027年度第1四半期(2026年6〜8月)の非GAAP EPSは1.92ドルで、会社が事前に示していた1.72〜1.76ドルのレンジ、市場コンセンサスのおよそ1.73ドルをいずれも上回った。クラウドインフラ(IaaS)売上高は前年比121%増の73億8,800万ドルと、前四半期の93%増からさらに加速し、クラウドアプリケーション(SaaS)は同10%増の42億1,900万ドル、クラウド全体では同62%増の116億700万ドルとなった。残存履行義務(受注残、RPO)は6,640億ドルとコンセンサス(6,306億ドル)を上回り、AI関連の旺盛な需要が受注残という形で裏付けられた。2027年度通期の調整後EPS見通しは8.10ドル(コンセンサス8.07ドル)、売上高は900億ドル以上に据え置いた。決算発表後の時間外取引で株価は7%上昇した。

会社側は、クラウドインフラの旺盛な需要が今後の大型データセンター投資の原資となる受注残の積み上がりに直結していると説明しており、AI関連の設備投資が実際の受注・売上として表れ始めている点が好感された形である。 出典: CNBC

アドビ(ADBE)

2026年度第3四半期の売上高は66億2,000万〜67億6,000万ドル(情報源により幅があるが、いずれも市場予想の66億9,000万ドル前後を上回る)、非GAAP EPSは5.96〜6.13ドルで予想(5.82〜6.09ドル)を上回った。GAAP EPSは4.62ドル、営業キャッシュフローは25億2,000万ドル、サブスクリプション収益は65億6,000万ドルだった。月間アクティブユーザー(創作・生産性ツール合算)は10億人を突破し、AI関連事業の年換算経常収益(AI-first ARR)は前年比150%超の伸びとなり、前四半期から加速した。会社は通期売上高ガイダンスを265億7,600万〜266億2,600万ドルへ引き上げ、EPSガイダンスも引き上げた。

CEOのシャンタヌ・ナラヤン氏は「アドビは、創造性・生産性・顧客体験にわたるAIイノベーションと顧客基盤の拡大、業界をリードする地位を反映した、記録的な第3四半期の実績を上げた」と説明した。もっとも、好決算・AI事業の加速にもかかわらず、株価は決算発表後の時間外取引でほぼ横ばい(0.13%安)にとどまった。 出典: StockTitan、cryptobriefing

メイシーズ(M)

第2四半期の売上高は48億7,000万ドルで市場予想(48億3,000万ドル)を上回り、調整後EPSは0.40ドルで予想(0.37ドル)を上回った。既存店売上高(自社・ライセンス・マーケットプレイス合算)は前年同期比2.7%増、メイシーズ本体ブランドの既存店売上高は同1.1%増だった。会社は通期(2026年度)ガイダンスを、EPS2.15〜2.35ドル(従来2.00〜2.20ドル)、売上高216億7,500万〜218億2,500万ドル(従来215億〜217億5,000万ドル)へ引き上げ、この引き上げには関税還付によるおよそ5セント分の押し上げが含まれる。

一方で第3四半期のEPS見通しをマイナス0.19〜マイナス0.23ドルの調整後損失として提示し、市場予想(マイナス0.12ドル)より悪化する内容だった。第2四半期自体は好調で、複数四半期連続の既存店売上高プラスという傾向は維持されたが、季節性の強い第3四半期に対する会社側の慎重な見通しが嫌気され、株価は通常取引で5%下落した。好調な第2四半期実績よりも、先行きに対する会社の慎重姿勢が重視された事例といえる。 出典: MarketBeat、24/7 Wall St、RTTNews

3. 経営陣が語ったこと

アドビのシャンタヌ・ナラヤンCEOは、AIイノベーションと顧客基盤拡大が記録的な四半期実績につながったと説明し、AI-first ARRの150%超の伸びを事業の中心的な成長ドライバーとして位置づけた(StockTitan)。オラクルの経営陣は、クラウドインフラの旺盛な需要が積み上がった受注残(RPO)という形で今後の成長を裏付けていると説明した(CNBC)。メイシーズの経営陣による第3四半期の慎重な見通しの具体的な説明内容(需要環境の実感や価格転嫁方針など)については、今回のリサーチでは決算説明会の詳細な書き起こしを確認できなかった。

4. 業界トレンド

  • オラクルとアドビの対照的な株価反応は、AI・クラウド関連企業への市場の評価軸が「成長率の高さ」から「その成長が受注残・キャッシュフローという形で裏付けられているか」へシフトしつつあることを示唆する。オラクルは受注残の大幅な積み上がりで好感された一方、アドビは好決算でも新規性に乏しいと受け止められた可能性がある。
  • 小売業では、メイシーズの事例が示すように、第2四半期の好決算よりも季節性の強い第3四半期・年末商戦に向けた会社側の慎重な見通しが重視される傾向が続いている。関税還付という一時的な押し上げ要因を除いた実力ベースの収益力が今後も焦点になるとみられる。
  • 決算シーズンは、オラクル・アドビ・メイシーズの発表を経て、9/11のクローガーへと続き、小売・ソフトウェア大手の決算が一巡する局面に入る。

5. 決算シーズンの進捗

本日時点で、S&P500企業の決算集計進捗率・サプライズ率に関する確度の高い最新の一次情報は確認できなかった。決算発表は端境期からオラクル・アドビ・メイシーズなど個別の話題株中心の局面が続いている。

6. 次の注目決算

  • クローガー(Kroger): 米国時間9月11日(金)寄り前に決算発表予定。Investing.comによれば、市場予想は調整後EPS1.05ドル(前年同期比約1%増)、売上高346億7,500万ドル(同2.2%増)。オプション市場は5.5%程度の株価変動を織り込んでおり、直近8四半期中4四半期でオプション織り込み以上の値動きとなった実績がある。既存の通期ガイダンス(調整後EPS5.10〜5.30ドル、フリーキャッシュフロー27億〜29億ドル)の修正有無、価格戦略に関するコメントが焦点。