前回からの変化

変わったこと(変化・新規)

  • 上海総合指数は3日続伸から一転し4営業日ぶりに反落した。前回値3,951.51pt→3,934.40pt(17.10pt安、0.43%安)。中東情勢の緊迫化による原油高が経済活動への懸念につながり、投資家の慎重姿勢が広がって幅広い銘柄に売りが出た(財経新聞)。
  • 香港ハンセン指数は前回値25,274.96pt→24,954.47pt(320.49pt安、1.27%安)と4営業日連続の下落となった。前回の主因だった原油高・インフレ懸念がさらに強まる形で継続し、米株安の波及も加わった。中国企業指数(H株指数)も8,274.78pt(94.27pt安、1.13%安)で続落した(財経新聞)。
  • 上海市場ではセクター間の明暗がより鮮明になった。自動車関連が3〜6%安、農林水産が4〜9%安と大きく売られた一方、電力が5〜10%高、金融が1〜3%高と対照的な値動きとなり、前回の「本土・香港の方向乖離」から「本土内でのセクター間の方向乖離」へと構図が変化した(財経新聞)。
  • 香港市場では、半導体関連の宏光半導体が12.1%安、小売の金源発展国際実業が8.8%安となった一方、建築セクターの朝威控股が41.2%高、銀行株の民生銀行が3.0%高となるなど、個別材料による物色が目立った(新規、財経新聞)。
  • 習近平国家主席の訪米日程がより具体化した。米メディアの報道によれば、習氏は9月23日夜に空路でワシントン入りし、24日にホワイトハウスでトランプ大統領と会談、25日に出発する見通し。今回は国連総会には立ち寄らない日程とされ、通常訪問時に派遣される先遣隊もニューヨークには送られていないという。前回レポートでは「中国側は公式に確認していない」段階だったが、日程の細部が新たに報じられた(新規・具体化、共同通信)。

昨日と同じこと(継続)

  • 人民銀行は9/10、7日物リバースレポ30億元を金利1.40%で実施しており、通常運転の公開市場操作の範囲にとどまる(継続、中国新聞網)。LPR(1年3.0%・5年超3.5%)の据え置きは継続しており、次回改定は9月22日を予定。
  • CSRCによる不動産大手の強制転換社債(MCB)登録拒否に関する続報、恒大地産集団の破産清算プロセスの進捗は、本日時点で新たな確認材料はなかった(継続)。
  • 米国が検討する対中追加関税7.5%は依然として観測段階のまま変化はない(継続)。
  • 中東情勢の緊迫化による原油高・地政学リスクプレミアムは前回に続き高止まりしている。

要因の連続性

  • 継続要因: 米・イラン軍事衝突の長期化による原油高、人民銀行の通常運転の流動性供給姿勢、対中追加関税7.5%の観測段階での高止まり。
  • 新規要因: (1) 中東緊迫化による原油高が本土・香港双方の主要な下落要因として強まった、(2) 上海市場内でのセクター間の方向乖離(電力・金融の上昇、自動車・農林水産の下落)、(3) 習近平主席の訪米日程の具体化。
  • 解消した要因: 前回みられた本土(上昇)・香港(下落)の指数間の方向乖離は、本日は本土・香港がそろって下落したことで一旦解消した。ただし今度は上海市場内でのセクター間の方向乖離という形で「相場のねじれ」自体は残っている。

1. 市況サマリー

指数 市場・通貨 終値 前日比 銘柄区分
上海総合指数 本土・人民元建て 3,934.40pt ▲0.43% A株
CSI300(滬深300) 本土・人民元建て 確度の高い最新値は確認できず - A株
香港ハンセン指数 香港・香港ドル建て 24,954.47pt ▲1.27% H株中心
中国企業指数(H株指数) 香港・香港ドル建て 8,274.78pt ▲1.13% H株

出典: 財経新聞(本土)、財経新聞(香港)。ハンセンテック指数の9/10終値は、今回のリサーチでは確度の高い一次情報を確認できなかった(報道では「主力テック株中心に売りが優勢」とのみ言及)。

2. 指数別動向

本土(上海・CSI300)

上海総合指数は3,934.40pt(前日比17.10pt安、0.43%安)と4営業日ぶりに反落した。中東情勢の緊迫化による原油高が経済活動への影響懸念につながり、投資家の慎重姿勢から幅広い銘柄に売りが出た。セクター別では自動車関連が3〜6%安、農林水産が4〜9%安と大きく売られた一方、政策への期待を背景に電力(5〜10%高)・金融(1〜3%高)には買いが入り、指数の下値を支えた(財経新聞)。CSI300の終値は今回確度の高い一次情報を確認できなかったが、金融株の底堅さから上海総合指数ほどの下落率にはならなかった可能性がある(推測の域を出ないため参考情報)。

香港(ハンセン・中国企業指数)

香港ハンセン指数は24,954.47pt(前日比320.49pt安、1.27%安)と4営業日続落した。米株安の波及と中東情勢の緊迫化が主な圧迫要因とされる。個別では宏光半導体が12.1%安、金源発展国際実業が8.8%安となる一方、建築セクターの朝威控股が41.2%高、銀行株の民生銀行が3.0%高となるなど、個別材料による物色も目立った(財経新聞)。

本土・香港の方向乖離について: 前回まで続いていた本土・香港間の方向乖離は、本日は両市場がそろって下落したことで解消した。もっとも上海市場内では電力・金融が上昇する一方で自動車・農林水産が下落するなど、セクター間の方向乖離という形で「ねじれ」自体は残っている。

3. 当局・政策の動き

  • 人民銀行(PBOC): 9/10、7日物リバースレポ30億元を金利1.40%で実施し、市場の資金需要を満たす通常運転の公開市場操作にとどまった(中国新聞網)。LPR(1年3.0%・5年超3.5%)は据え置きが継続しており、次回改定は9月22日を予定(継続)。
  • CSRC・国務院: 国務院新聞弁公室は9/10、「第15次5カ年計画の好調な滑り出し」をテーマにした記者会見シリーズの一環として、金融分野の進捗を紹介する会見を開催した。あわせて創業板(ChiNext)で新規上場が1件あった。いずれも制度変更を伴う決定的な措置ではなく、既定路線の広報・実務対応の範囲にとどまる。
  • 不動産・地方債務: CSRCによる不動産大手の強制転換社債(MCB)登録拒否問題、恒大地産集団の破産清算プロセスについて、本日時点で新たな進展は確認できなかった(継続)。
  • 米中関係: 習近平国家主席は9月23日夜にワシントン入りし、24日にトランプ大統領と会談、25日に出発する日程が報じられた。今回は国連総会への出席を見送る日程とされる(共同通信)。米国が検討する対中追加関税7.5%は引き続き観測段階のまま(継続)。

4. 経済指標

8月の社会融資総量・新規人民元貸出、製造業・非製造業PMI(国家統計局・RatingDog)について、本日時点で新たな発表・進展は確認できなかった(継続)。8月CPI・PPIの加速確定(前回報告済み)以降、金利観・インフレ観に影響する新規の経済指標発表はなかった。

5. 不動産・地方債務

CSRCによる強制転換社債(MCB)の新規登録拒否、恒大地産集団の破産清算プロセス、地方政府の隠れ債務(融資平台)、銀行・信託の理財商品に関する新たな進捗は、本日時点でいずれも確認できなかった(継続)。

6. 米中関係と注目銘柄

習近平国家主席の訪米日程がより具体的に報じられた(詳細は「3. 当局・政策の動き」参照)。個別銘柄では、CATL(寧徳時代)・BYD(比亜迪)・テンセント・アリババ・貴州茅台・SMICについて、本日時点で確度の高い新規の値動き情報を確認できなかった。香港市場全体では半導体関連(宏光半導体)が軟調だった一方、建築・銀行セクターの一部銘柄には個別の買い材料が観測された(詳細は「2. 指数別動向」参照)。

7. 強気派 vs 弱気派

本日のリサーチでは、モルガン・スタンレー、ゴールドマン・サックスなど主要行による新規の中国株見通し更新は確認できなかった。前回報告した強気派(ゴールドマン・サックス: バリュエーション再評価・地政学リスク後退・家計貯蓄シフトを根拠に強気維持)と弱気派(モルガン・スタンレー: デフレ継続を根拠にやや慎重な水準を維持、ユーラシア・グループ: 住宅価格下落による家計資産毀損を懸念)の構図は、本日新たな材料が出ていないため継続しているとみられる(継続)。

8. テクニカル分析

本日のリサーチでは、上海総合指数・ハンセン指数の移動平均線・RSIなど確度の高いテクニカル指標の最新値を確認できなかった。前回(9/9時点)は上海総合指数が「strong buy」、ハンセン指数が「strong sell」とされていたが、本日の反落・続落を受けてシグナルが変化している可能性があり、次回改めて確認する。南向き資金・AHプレミアム指数についても、本日時点で確度の高い最新値は確認できなかった。

9. 本日の注目点

  • 上海市場のセクター間の方向乖離(電力・金融の上昇、自動車・農林水産の下落)が明日以降も続くか。
  • 習近平主席の訪米(9月23〜25日、24日会談)に向け、事前協議や関税を巡る新たな動きが出てくるか。
  • 中東情勢の緊迫化と原油高が続いた場合、香港市場・本土市場への重荷がどこまで強まるか。
  • CSRCによる不動産大手の強制転換社債(MCB)登録拒否が、碧桂園など既存の債務再編計画にどこまで波及するか(継続フォロー)。
  • 8月の社会融資総量・新規人民元貸出の発表時期。