前回からの変化
変わったこと(変化・新規)
- 3指数がそろって反発し、4営業日連続の下落に終止符を打った。NYダウは前回52,064.10ドル→52,572.81ドル(508.71ドル高、0.98%高)、S&P500は7,591.70ドル→7,656.85ドル(65.15ドル高、0.86%高)、ナスダック100は29,103.51ドル→29,368.44ドル(264.93ドル高、0.91%高)となり、前回とは一転しての上昇となった(TheStreet)。
- 8月CPI(消費者物価指数)が発表され、前月比+0.4%(予想通り)・前年比+3.4%(横ばい)、コアは前月比+0.3%(予想+0.2%を上回る)・前年比+2.4%(7月の2.5%から鈍化)となった。前回予告されていた「9月11日発表」が結果として出た形で、コアの上振れにもかかわらず株価は上昇した(Investing.com(Reuters))(新規、予告→結果)。
- FOMC(9月15〜16日)での0.25%利上げ確率が、CPI発表前のおよそ68〜72%から86〜90%まで急上昇した。ゴールドマン・サックス・アセット・マネジメントのアレクサンドラ・ウィルソン=エリゾンド氏(グローバル・ヘッド兼マルチアセット部門共同CIO)は「FRBが望んでいたような結果ではなかったはずだ」と述べた(Investing.com(Reuters))(新規・具体化)。
- 原油相場が一転して急落した。WTIは2.4%安の100.05ドル、ブレントは2.8%安の104.61ドルで引け、週間では大幅高だったものの週末にかけて反落した。イラン政府がオマーンで湾岸諸国とホルムズ海峡を巡る協議を行うとの報道と利益確定売りが背景(CNBC)(新規)。
- クローガーが第2四半期決算を発表し、調整後EPS1.09ドル(予想1.06ドルを上回る)、売上高は予想近辺の346億2,100万ドルとなった。決算直後は株価が3%近く上昇する場面があったが、通期の既存店売上高見通しを0.2〜0.8%に引き下げたことで上値が限られた(Benzinga)(新規、前回予告の決算が結果として出た)。
- オラクルの好決算を受けたAIデータセンター関連の物色が続き、メモリー半導体やヒューレット・パッカード・エンタープライズ、アリスタネットワークスが上昇した一方、エヌビディアは2.2%安と逆行した。アップルは新製品発表への好感が続き3.4%高となった(Yahoo Finance)(新規)。
- エド・ヤルデニ氏(ヤルデニ・リサーチ)がS&P500の2026年末目標を8,250ドルから8,400ドルへ引き上げ、「世界的な強気相場」との見方を示した(The Globe and Mail)(新規)。
昨日と同じこと(継続)
- FRBの沈黙期間(9月17日まで)は変わらず継続している。
- 米・イラン間の軍事衝突とホルムズ海峡を巡る緊張そのものは解消しておらず、供給不安の根は残ったままである。
- AIハードウェア株とクラウド大手の値動き格差、および強気派・弱気派の綱引きというテーマは引き続き市場の中心的な論点であり続けている。
要因の連続性
- 継続要因: 米・イラン軍事衝突とホルムズ海峡の供給不安、FRBの沈黙期間中という状況は本日も継続した。
- 新規要因: (1)8月CPIの発表とそれに伴うFRB利上げ観測の急上昇、(2)原油相場の反落(ホルムズ海峡を巡る協議報道と利益確定売り)、(3)クローガー決算とガイダンス引き下げ、(4)AIデータセンター関連銘柄への物色継続とエヌビディアの逆行。
- 解消した要因: 3指数の4営業日続落という値動きの流れは本日いったん解消した。ただし背景にあった原油高・金利上昇という材料自体は解消しておらず、原油はこの日限りの反落であることに留意が必要。
1. 市況サマリー
| 指数 | 終値 | 前日比 | 騰落率 |
|---|---|---|---|
| S&P500 | 7,656.85ドル | +65.15ドル | +0.86% |
| ナスダック100 | 29,368.44ドル | +264.93ドル | +0.91% |
| NYダウ | 52,572.81ドル | +508.71ドル | +0.98% |
(取得時点: 2026-09-11(金)米国市場引け値。8月CPIのコア上振れにもかかわらず原油急落が相殺し、4営業日ぶりの反発となった。出典: TheStreet、ナスダック100はInvesting.com)
2. 指数別動向
S&P500
7,656.85ドルで前日比65.15ドル(0.86%)高と4営業日ぶりに反発した。8月CPIのコア指数が市場予想を上回ったにもかかわらず、原油相場の急落がインフレ懸念を和らげ、買いを呼び込んだ。セクター別ではテクノロジー・通信サービス・資本財がいずれも1%超上昇して相場をけん引した一方、ヘルスケアと公益株は相対的に軟調だった(Yahoo Finance)。
ナスダック100
29,368.44ドルで前日比264.93ドル(0.91%)高。オラクルの好決算を受けたAIデータセンター関連銘柄への物色継続が指数を下支えし、アップルも新製品発表への好感で3.4%上昇した。一方でエヌビディアは2.2%安となり、大型ハイテク株の中でも明暗が分かれた(Yahoo Finance)。
NYダウ
52,572.81ドルで前日比508.71ドル(0.98%)高。原油急落による物流・製造コスト懸念の後退と、クローガーの決算好感が消費関連株を支え、ダウ構成30銘柄のうち27銘柄が上昇した(The Motley Fool)。
3. 強気派 vs 弱気派
8月CPIのコア上振れでFRBの利上げがほぼ確実視される中でも、企業業績とAI投資の収益転化を根拠にした強気派と、インフレの根強さや金融政策の不透明感を懸念する弱気派の綱引きが続いている。
強気派(ブル)
- エド・ヤルデニ氏(ヤルデニ・リサーチ): S&P500の2026年末目標を8,250ドルから8,400ドルへ、年内3回目の上方修正を行った。「ロアリング・トゥエンティーズ(好況の2020年代)」が続く確率を60%から80%に引き上げ、2026年のEPS予想も1株375ドル(従来330ドル)へ引き上げた。「これは世界的な強気相場だ」と述べた(The Globe and Mail)。
弱気派(ベア)
- アレクサンドラ・ウィルソン=エリゾンド氏(ゴールドマン・サックス・アセット・マネジメント、グローバル・ヘッド兼マルチアセット部門共同CIO): 「FRBが望んでいたような結果ではなかったはずだ」と指摘し、来週の利上げ判断は五分五分の情勢になったとした上で、直近のインフレ圧力の一部は今回のデータに十分反映されていないとの見方を示した(Investing.com(Reuters))。
- シーマ・シャー氏(プリンシパル・アセット・マネジメント): 数年にわたり目標を上回るインフレが続いた後、今回の1回の利上げだけで十分かを問い、「十分ではない」との見方を示した(The Motley Fool)。
4. 経済ニュース
経済指標
8月CPI(消費者物価指数)は前月比+0.4%(市場予想通り)、前年比+3.4%(横ばい)。コア指数は前月比+0.3%(予想+0.2%を上回る)、前年比+2.4%(7月の2.5%から鈍化)となった。ガソリン価格の上昇が総合指数の押し上げ要因の3分の1超を占めた。CME FedWatchによると、9月15〜16日のFOMCでの0.25%利上げ確率は発表前のおよそ68〜72%から86〜90%まで急上昇した(Investing.com(Reuters)、The Motley Fool)。
政策
米・イラン間の軍事衝突とホルムズ海峡を巡る緊張は解消していないものの、イラン政府がオマーンで湾岸諸国と協議に応じるとの報道が原油相場の反落につながった。FRBの沈黙期間(9月17日まで)は変わらず継続している(CNBC)。
注目された個別銘柄・決算
- クローガー: 第2四半期の調整後EPSは1.09ドル(予想1.06ドルを上回る)、売上高は346億2,100万ドルとほぼ予想通りだった。決算直後は株価が3%近く上昇したが、通期の既存店売上高見通しを0.2〜0.8%に引き下げたことで上値が限られた(Benzinga)。
- オラクル: 前日発表のクラウド事業加速を受けた買いが継続し、AIデータセンター関連銘柄への物色を誘発した(Yahoo Finance)。
- アップル: 新製品ラインアップへの好感が続き、株価は3.4%上昇した(Yahoo Finance)。
- エヌビディア: 大型ハイテク株の中で唯一逆行安となり、2.2%下落した(Yahoo Finance)。
5. 金利・為替が株に効いた分
米10年債利回りはCPI発表後に一時4.97%前後まで上昇し、2023年以来の高水準を更新して5%の大台に近づいた。2年債利回りも4.65%前後と2年ぶりの高水準となった。金利上昇はグロース株の重しとなり得る局面だったが、原油急落によるインフレ懸念の後退が相殺し、株式市場全体は上昇した(TheStreet)。為替ではドル円が154円17銭前後まで小幅に円高が進み、ドル指数(DXY)は99.11前後とほぼ横ばいで推移し、為替そのものが株式相場の主要な材料になった様子は本日は確認できなかった(詳細はratesカテゴリ参照)。
6. テクニカル分析
S&P500
50日移動平均線(7,673ドル前後)・200日移動平均線(7,704ドル前後)をいずれも下回る配置は続いているものの、水準的には50日線にかなり接近してきた。RSI(14日)は前回の31.5(売られすぎ圏)から51.2まで回復し、中立圏に戻った(断定的な売買判断ではなく、あくまで目安)。目先の攻防ラインはおよそ7,657ドル(支持)、7,670ドル(レジスタンス)近辺とされる(Investing.com)。
ナスダック100
50日線(29,370ドル前後)にほぼ並び、200日線(29,473ドル前後)にも接近してきた。RSI(14日)は前回の35.7から50.3へ回復し、中立圏に戻った。目先の上値のめどはおよそ29,393〜29,457ドル(レジスタンス)近辺とされる(Investing.com)。
NYダウ
50日線(52,846ドル前後)・200日線(53,341ドル前後)をいずれも下回る配置は継続しているが、RSI(14日)は前回の28.8(売られすぎ圏)から51.5まで回復し、中立圏に戻った。目先の攻防ラインはおよそ52,551ドル(支持)、52,641ドル(レジスタンス)近辺とされる(Investing.com)。
センチメント指標(補助)
- VIX(恐怖指数): 前回の16.46から17.84前後へ上昇し、直近28営業日で初めて17を上回る場面があった。株価上昇にもかかわらずFOMCを控えた警戒感の高まりを映した動きとみられる(TheStreet)。
- Fear & Greed Index: 30台半ばの「恐怖」ゾーンで推移し、前回のおよそ35〜36前後からほぼ横ばいとみられる。
7. 今夜の注目イベント
- 9月12日(土)は米国市場は休場で、日本時間今夜に予定されている米国市場発の重要イベントはない。
- 米・イラン間の軍事衝突とホルムズ海峡を巡る緊張は継続中で、イラン政府とオマーンでの湾岸諸国との協議の行方が週明け以降の原油相場を左右する可能性がある(CNBC)。
- 週明け以降は、米東部時間9月15〜16日にFOMC(日本時間では9月16日深夜〜17日未明に結果公表)が予定されており、0.25%利上げの確率は86〜90%まで織り込まれている。9月16日には8月小売売上高の発表も予定される(Investing.com(Reuters))。
- FRBは9月17日まで沈黙期間中で、高官発言は予定されていない。

