前回からの変化
前回(2026-09-12)との比較。
変わったこと(変化・新規)
- インフォマートの保有割合: 前回17.97%(9月11日提出)→ 今回20.13%(9月18日提出、期間中に2回の変更報告書)。9月15日提出分(報告義務発生日9月8日)で19.0%(+1.03ポイント)、9月18日提出分(同9月11日)で20.13%(+1.13ポイント)と、引き続きほぼ毎週1〜2ポイントのペースで買い増しが続いている
- ニチレイについて、野村證券株式会社による変更報告書を新たに確認した。9月14日提出分(報告義務発生日9月7日)で10.4%、9月15日提出分(同9月8日)で9.41%(-0.99ポイント)となっており、オアシスとは別主体による保有調整とみられる。証券会社が業務上保有する株式(トレーディング勘定等)の変更報告である可能性があり、経営への関与を意図した動きかどうかは今回確認できなかった
- 米国でEngine CapitalがEPAMシステムズ(ITサービス大手)に対し、既存の現金7.5億ドルを原資とした加速度的自社株買いプログラムの即時実行を要求し、応じない場合は独立取締役主導・外部フィナンシャルアドバイザー起用による正式な戦略レビュー(売却の検討を含む)を求めていることが新たに詳しく判明した。Engineは同社の年初来4割超の株価下落を「資本配分で株価を支える機会」と位置づけ、2028年末までに発行済株式の6〜8割を買い戻せると試算している。開示を受けてEPAM株は月曜(収集期間直前)に3.5%上昇した(新規・詳細判明、Hedgeweek)。
- イーサン・アレン・インテリアズについて、DGB Investment(ダグラス・バーガロン氏)が9月4日・9月10日付でDFAN14A(委任状関連の追加情報開示)を提出していたことを新たに確認した。バーガロン氏は過去にキャンタループ社で委任状争奪戦を通じて取締役会を刷新し、2026年に8億4800万ドルでの売却を実現した実績を根拠に、イーサン・アレンの2026会計年度(通期)決算が減収・受注減・営業利益率低下・EPS減少という「深刻な内容」だったことを問題視している(新規・詳細判明、Yahoo Finance)。
- カカクコムのTOBについて、EQT(Kamgras1)の買付価格は8月27日付で1円引き上げられ3571円が最終価格となり、買付期間は9月10日に満了したことを一次情報に近い解説記事で確認した。前回レポートでは「9月10日にEQTが3680円へ引き上げた」と伝えていたが、複数の独立した情報源(日本経済新聞、CODE、法律実務系の解説記事)を確認した限り、確認できる最終価格は3571円であり、前回の3680円という記載は誤りだった可能性が高い。ここで訂正する(訂正、CODE、日本経済新聞)。
- 大株主オアシス・マネジメント(保有割合19.5%)は、買付価格が3640円を下回る場合はEQT側のTOBに応募しない意向を表明していたことが新たに判明した。LINEヤフー・ベインキャピタル連合は、第3位株主のKDDIの協力を得られれば価格を3520円から3640円へ引き上げるとしていたが、追加提案を見送り「静観」する方針を示した。EQTの最終価格(3571円)はオアシスの要求水準(3640円超)に届いておらず、TOBが不成立となった可能性があるが、応募株式数など最終結果を示す一次情報は本レポート作成時点で確認できなかった(新規・一部不確定、日本経済新聞)。
昨日と同じこと(継続)
- J.フロントリテイリングについて、3Dインベストメント・パートナーズの保有割合(9月10日提出分、11.63%)から、期間内(9月13日〜19日)の新規提出は確認できなかった。前回報告した積み増しペースはいったん止まっているとみられる
- ダイキン工業をめぐるエリオット・マネジメントの要求(総額1兆円規模の自社株買い等)は膠着が継続し、期間内の新規動きは確認できなかった
- 米セルシアス・ホールディングスでのラス・サベージ氏(ロックスター・エナジー創業者、保有割合4.7%)によるCEO交代要求も、8月のCOO退任以降、期間内の新たな進展は確認できなかった
- アインホールディングスについて、オアシス名義の期間内の新規提出は確認できなかった(前回同様22.24%と推定)
要因の連続性
- 継続要因: オアシス・マネジメントが複数の投資先(インフォマートなど)へ並行して買い増しを続ける戦略が、前回に続き主因として働いている
- 新規要因: Engine CapitalによるEPAMシステムズへの自社株買い・売却検討要求の詳細判明、DGB Investmentによるイーサン・アレンへの委任状争奪戦の材料(通期決算の悪化)の具体化、カカクコムTOBの応募期限(9月10日)到来とオアシスの不応募方針
- 解消した要因: なし(前回記載のカカクコムTOB価格について、独立した複数情報源との突き合わせにより訂正が生じた)
今週の概観
日米とも、上場会社の株式等を5%を超えて保有すると開示義務が生じるという共通の枠組み(5%ルール)を持つ。市場の透明性を確保し、支配権の異動を株主に事前に知らせるための制度で、米国のSchedule 13D・日本の一般報告はいずれも提出期限が5営業日以内とほぼ同じである(金融庁)。今週(9月13日〜9月19日)は、日本側でオアシス・マネジメントがインフォマート株を2回の変更報告書提出により19.0%から20.13%まで引き上げ、買い増しの継続が確認できた(M&A Online)。ニチレイでは野村證券による変更報告書(オアシスとは別主体)を新たに確認したが、経営への関与を示す情報は今回得られなかった。米国側では、インサイダーモンキーの最新一覧(9月18日付、19件)で中小型株・SPAC関連の13D・13Gを確認したが、目立った大型株への新規提出はなかった一方、EPAMシステムズ(Engine Capital)とイーサン・アレン・インテリアズ(DGB Investment)の既存キャンペーンについて、要求内容の詳細が新たに判明した。カカクコムのTOBはEQTの最終価格3571円で9月10日に応募期限を迎え、大株主オアシスが表明していた「3640円未満は不応募」の基準に届かなかったとみられるが、最終結果は確認できていない。
米国:Schedule 13D・13G
今週のインサイダーモンキー掲載分(9月18日、19件)
調査先に指定されているインサイダーモンキーの最新一覧で、日付が特定できたのは9月18日提出分の計19件だった。いずれも小型株中心で、目立った大型株への新規13D提出は確認できなかった。主な提出は以下の通り(Insider Monkey)。
| 提出者 | 対象銘柄 | 書式 | 提出日 |
|---|---|---|---|
| Melco International Development Limited | Melco Resorts & Entertainment Ltd(MLCO) | 13D | 2026-09-18 |
| Turlov Timur R | Freedom Holding Corp(FRHC) | 13D | 2026-09-18 |
| Undavia Nilesh | Graftech International Ltd(EAF) | 13D | 2026-09-18 |
| Lane Bess | Blaize Holdings Inc(BZAI) | 13D | 2026-09-18 |
| Trust Under Article 2 of The Zinterhofer 2008 Descendants Trust Agreement | Estee Lauder Companies Inc(EL) | 13D | 2026-09-18 |
Melco International Development(親会社)によるMelco Resorts & Entertainment向けの13Dは支配株主による既存の保有関係の更新、Turlov Timur R.氏(Freedom Holding CorpのCEO)による同社向けの13Dはインサイダー(経営陣)による保有報告とみられ、いずれも新規のアクティビスト介入を示すものではないと考えられる。Estee Lauder向けの13Dは創業家系のツィンターホファー家族信託によるもので、経営への関与を示す情報は確認できなかった。SEC本体(sec.gov)への直接アクセスは本環境では制限されているため、各提出のItem 4「保有目的」欄の具体的な記載内容までは確認できていない点に留意する必要がある。
日本:大量保有報告書・変更報告書
インフォマート(証券コード: 2492)― オアシスが20.13%に、買い増し継続
オアシス・マネジメントは、インフォマートの株券等保有割合について、前回(9月11日提出、保有割合17.97%)以降、期間中に2回の変更報告書を提出した。9月15日提出分(報告義務発生日9月8日)で19.0%(+1.03ポイント)、9月18日提出分(同9月11日)で20.13%(+1.13ポイント)と、前回に続きほぼ週1〜2ポイントのペースで買い増しが続いている(M&A Online)。オアシスは重要提案行為等(経営陣への提案活動)を保有目的として掲げており、一般報告に区分される。20%超えは会社法上の「特別支配株主」や関連当事者取引規制などの一部の閾値には届かないものの、発行済株式の5分の1超という水準は経営への影響力がさらに強まっていることを示している(推測)。
ニチレイ(証券コード: 2871)― 野村證券の変更報告書を新たに確認
ニチレイについて、野村證券株式会社による変更報告書を今回新たに確認した。9月14日提出分(報告義務発生日9月7日)で保有割合10.4%、9月15日提出分(同9月8日)で9.41%(-0.99ポイント)となっている。オアシス・マネジメント名義の期間内の新規提出は確認できず、前回既報の8.38%(9月10日提出)から変化はない。野村證券の変更報告書は証券会社の通常の業務(トレーディング勘定・信用取引等)に伴う保有変動である可能性があり、アクティビスト的な意図を示すものかどうかは今回のデータからは判断できない(M&A Online)。
J.フロントリテイリング(証券コード: 3086)― 期間内の新規提出なし
3Dインベストメント・パートナーズによるJ.フロントリテイリング株の保有割合は、前回既報の11.63%(9月10日提出)から、期間内(9月13日〜19日)の新規提出は確認できなかった。野村證券による8.71%(9月4日提出)の変更報告書も期間より前のものである。前回まで続いていた積み増しペースはいったん止まっているとみられる(M&A Online)。
継続中のキャンペーンの進捗
カカクコム(証券コード: 2371)― EQTのTOBが3571円で期限到来、結果は未確認
カカクコムをめぐるEQT(Kamgras1)とLINEヤフー・ベインキャピタル連合のTOB争奪戦は、EQTが8月27日付で買付価格を1円引き上げて3571円を最終価格とし、買付期間は9月10日に満了した。大株主オアシス・マネジメント(保有割合19.5%)は「3640円未満は不応募」の方針を表明しており、LINEヤフー・ベインキャピタル連合はKDDIの協力を得られれば3640円まで引き上げる用意があるとしていたが、追加提案を見送り「静観」する方針を示した。EQTの最終価格(3571円)はオアシスの要求水準に届いておらず、TOBが不成立となった可能性が高いとみられるが、応募株式数など公式な最終結果は本レポート作成時点で一次情報により確認できなかった。なお前回レポートでは、EQTが9月10日に価格を3680円へ引き上げたと記載していたが、今回複数の独立した情報源を確認した結果、確認できる最終価格は3571円であり、前回の記載は誤りだったことをここで訂正する(日本経済新聞、CODE)。
米国:EPAMシステムズ ― Engine Capitalの要求内容が詳細判明
Engine Capital(保有割合1.5%)は、EPAMシステムズに対しScheme13Dを通じて、既存の現金7.5億ドルを原資とした加速度的自社株買いプログラムの即時実行と、第3・第4四半期のフリーキャッシュフローを使った買い戻しの継続を要求している。要求に応じない場合、または買い戻しが株価回復につながらない場合は、独立取締役主導・外部フィナンシャルアドバイザー起用による正式な戦略レビュー(売却の検討を含む)を求めている。Engineは、2028年末までに発行済株式の6〜8割を買い戻せると試算しており、同社の株価が年初来4割超下落したことを「資本配分の機会」と位置づけている。開示を受けEPAM株は3.5%上昇した(Hedgeweek)。
米国:イーサン・アレン・インテリアズ ― DGB Investmentが委任状資料を追加提出
家具大手イーサン・アレン・インテリアズについて、DGB Investment(ダグラス・バーガロン氏)が9月4日・9月10日付で委任状関連の追加情報開示(DFAN14A)をSECに提出していたことを新たに確認した。バーガロン氏は、2026会計年度の減収・受注減・営業利益率の圧縮・EPS減少という「深刻な」決算内容を問題視し、取締役会5名全員の交代を改めて求めている。同氏は過去にキャンタループ社で委任状争奪戦を通じて取締役会を刷新し、2026年に8億4800万ドルでの売却を実現した実績(株主総利回り89%超)をアピール材料としている(Yahoo Finance)。
米国:セルシアス・ホールディングス ― サベージ氏のCEO交代要求、膠着継続
清涼飲料大手セルシアス・ホールディングスでは、エナジードリンク「ロックスター」創業者のラス・サベージ氏(保有割合4.7%)が最高経営責任者の交代を求める活動を続けている。8月に最高執行責任者(COO)が退任したことが直近の動きだが、期間内(9月13日〜19日)の新たな進展は確認できず、膠着が続いているとみられる(CNBC)。
ダイキン工業(証券コード: 6367)― エリオットの要求、膠着継続
米エリオット・マネジメントは2026年4月、ダイキン工業株を取得し、総額1兆円規模の自社株買いと利益率改善・事業ポートフォリオの見直しを求める提案を公表したとされる。期間内(9月13日〜19日)の新規の届出・声明は確認できず、前回に続き状況は膠着とみられる。

