前回からの変化

前回(2026-09-05)との比較。

変わったこと(変化・新規)

  • インフォマートの保有割合: 前回14.42%(9月2日提出)→ 今回17.97%(9月11日提出、期間中に3回連続の変更報告書)
  • ニチレイの保有割合: 前回7.27%(8月19日提出)→ 今回8.38%(9月10日提出)
  • J.フロントリテイリングに3Dインベストメント・パートナーズが保有割合を9.23%から11.63%へ積み増し(前回レポート未掲載の新規案件)
  • カカクコムのTOB争奪戦: 前回はデジタルガレージの保有割合に変化のない変更報告書のみだったが、今回はEQTが提示価格を3680円に引き上げ、LINEヤフー・ベインキャピタル連合の価格を上回った
  • デジタルガレージ自身が、別のアクティビストであるOld Peak Groupから大量保有されている事実を新たに確認した(前回はカカクコムの大株主としてのみ登場)
  • 米国でEPAMシステムズ(Engine Capital)、イーサン・アレン・インテリアズ(DGB Investment)の新規アクティビスト案件を確認した(いずれも収集期間の直前の提出)

昨日と同じこと(継続)

  • アインホールディングスはオアシスの保有割合22.24%のまま期間内の新規提出なし(前回から変化なし。今回はスプルースグローブ・インベストメント・マネジメントが別途保有割合を4.85%に引き下げる変更報告書を提出)
  • ダイキン工業をめぐるエリオット・マネジメントの要求は膠着が継続し、期間内の新規動きは確認できなかった
  • 米セルシアス・ホールディングスでのサベージ氏によるCEO交代要求も膠着が継続している

要因の連続性

  • 継続要因: オアシス・マネジメントが複数の投資先(インフォマート・ニチレイなど)へ並行して買い増しを続ける戦略が、前回に続き主因として働いている
  • 新規要因: カカクコムTOBでEQTが価格を再引き上げしたことで争奪戦が激化し、3Dインベストメント・パートナーズによるJ.フロントリテイリングへの新規の積極的な買い増しも加わった
  • 解消した要因: なし

今週の概観

日米とも、上場会社の株式等を5%を超えて保有すると開示義務が生じるという共通の枠組み(5%ルール)を持つ。市場の透明性を確保し、支配権の異動を株主に事前に知らせるための制度で、米国のSchedule 13D・日本の一般報告はいずれも提出期限が5営業日以内とほぼ同じである(金融庁)。今週(9月6日〜9月12日)は、日本側でオアシス・マネジメントがインフォマート株を期間中に3回連続で買い増す変更報告書を提出し、14.42%から17.97%まで保有割合を高めた(M&A Online)。ニチレイでも保有割合を8.38%に引き上げている。同時に、3Dインベストメント・パートナーズがJ.フロントリテイリング株を9.23%から11.63%まで買い増す動きも確認できた(M&A Online)。カカクコムのTOB争奪戦では、EQTが提示価格を1株3680円に引き上げ、LINEヤフー・ベインキャピタル連合の価格を上回る展開となった(日本経済新聞)。米国側は、調査先のインサイダーモンキーで確認できたのが9月10日・11日提出分の中小型株中心の13D・13G合計20件で、大型株への新規13D提出は確認できなかったが、収集期間の直前にEPAMシステムズとイーサン・アレン・インテリアズで注目すべきアクティビスト案件が判明している。

米国:Schedule 13D・13G

今週のインサイダーモンキー掲載分(9月10日・11日、20件)

調査先に指定されているインサイダーモンキーの最新一覧で、期間内(9月6日〜9月12日)の日付が特定できたのは9月10日・11日提出分の計20件だった。いずれも小型株・SPAC(特別買収目的会社)関連が中心で、目立った大型株への新規13D提出は確認できなかった。主な13D提出は以下の通り(Insider Monkey)。

提出者 対象銘柄 書式 提出日
スクアドロン・キャピタル(Squadron Capital LLC) オーソペディアトリクス(OrthoPediatrics Corp、KIDS) 13D 2026-09-11
ガムコ・インベスターズ(GAMCO Investors) ガベリ・マルチメディア・トラスト(Gabelli Multimedia Trust、GGT) 13D 2026-09-10
エル・アイ・エー・ピュア・キャピタル(L.I.A. Pure Capital Ltd.) エボジーン(Evogene Ltd.、EVGN) 13D 2026-09-11
レオン・レカナティ氏(Recanati Leon) エボジーン(Evogene Ltd.、EVGN) 13D 2026-09-11
チャールズ・ギルマン氏(Charles M. Gillman) トランザクト・テクノロジーズ(Transact Technologies Inc、TACT) 13D 2026-09-11

エボジーンには異なる2名の提出者(L.I.A.ピュア・キャピタルとレオン・レカナティ氏)がそれぞれ同日に13Dを提出しており、両者が共同保有者に該当するかは今回の一覧からは確認できなかった。SEC本体(sec.gov)への直接アクセスは本環境では制限されているため、Item 4「保有目的」欄の具体的な記載内容までは確認できていない点に留意する必要がある。

日本:大量保有報告書・変更報告書

インフォマート(証券コード: 2492)― オアシスが1週間に3回連続買い増し、17.97%に

オアシス・マネジメントは、インフォマートの株券等保有割合について、前回(9月2日提出、保有割合14.42%)以降、期間中だけで3回連続の変更報告書を提出した。9月8日提出分(報告義務発生日9月1日)で15.82%(+1.40ポイント)、9月9日提出分(同9月2日)で16.95%(+1.13ポイント)、9月11日提出分(同9月4日)で17.97%(+1.02ポイント)と、ほぼ毎日のペースで買い増しが続いている(M&A Online)。オアシスは重要提案行為等(経営陣への提案活動)を保有目的として掲げており、日本の特例報告(重要提案行為等を保有目的としないことが要件)を使えない類型であるため、この開示は一般報告に区分される。1週間で3.55ポイントという買い増しペースは、8月単月での増加ペースを上回っており、アクティビスト的な意図の強まりがうかがえる(推測)。

J.フロントリテイリング(証券コード: 3086)― 3Dインベストメント・パートナーズが11.63%に

シンガポール拠点の3Dインベストメント・パートナーズは、百貨店大手J.フロントリテイリング(大丸松坂屋百貨店などを運営)の株券等保有割合について、9月7日提出分(報告義務発生日8月31日)で10.32%(+1.09ポイント)、9月10日提出分(同9月3日)で11.63%(+1.31ポイント)とする変更報告書を連続して提出した(M&A Online、TDnet)。同社株は2026年6月に3Dインベストメント・パートナーズの5%超保有が判明して以降、段階的に買い増しが続いている案件で、今回のレポートで初めて取り上げる。保有目的欄の詳細な記載内容は今回確認できておらず、経営への具体的な要求内容は不明である。

ニチレイ(証券コード: 2871)― オアシスが8.38%に

オアシス・マネジメントは、ニチレイの株券等保有割合について、9月10日提出分(報告義務発生日9月3日)で8.38%(前回8月19日提出の7.27%から+1.11ポイント)とする変更報告書を提出した(M&A Online)。経営陣への圧力強化が続いているとみられる状況(推測)に変わりはない。

アインホールディングス(証券コード: 9627)― オアシス自体は動きなし、別投資家が保有引き下げ

アインホールディングスについては、オアシス・マネジメント名義の期間内の新規提出は確認できず、保有割合は前回同様22.24%のままである。一方、スプルースグローブ・インベストメント・マネジメントが9月11日提出分(報告義務発生日9月8日)で保有割合を4.85%(前回比-1.01ポイント)に引き下げる変更報告書を提出しており、こちらはオアシスとは別主体によるパッシブ性の高い保有調整とみられる(M&A Online)。

継続中のキャンペーンの進捗

カカクコム(証券コード: 2371)― TOB争奪戦、EQTが3680円に引き上げ

カカクコムをめぐるEQTとLINEヤフー・ベインキャピタル連合の公開買付け(TOB。株式を市場外で買い集める手法)争奪戦は、9月10日にEQTが提示価格を1株3680円に引き上げ、LINEヤフー連合の価格を上回った(日本経済新聞)。大株主のオアシス・マネジメントは、EQTの提示価格がLINEヤフー連合の価格を上回るよう要請していたとされ、今回の引き上げはその要請に沿う展開といえる。前回レポート時点(8月31日提出の変更報告書)ではデジタルガレージの保有割合に変化がなかっただけだったが、今週は価格争奪戦そのものが大きく動いた点が前回からの変化である。

ダイキン工業(証券コード: 6367)― エリオットの要求、膠着継続

米エリオット・マネジメントは2026年4月、ダイキン工業株を取得し、大規模な自社株買いと事業ポートフォリオの見直しを求める提案を公表したとされる。期間内(9月6日〜9月12日)の新規の届出・声明は確認できず、前回に続き状況は膠着とみられる。

デジタルガレージ(証券コード: 4819)― カカクコムの大株主自身がOld Peak Groupの大量保有対象に

カカクコムの筆頭株主として本コーナーで継続的に登場してきたデジタルガレージ自身が、別のアクティビストであるOld Peak Groupから大量保有報告書を提出されていたことを今回新たに確認した。Old Peak Groupの保有割合は2026年7月14日提出分で5.00%、8月12日提出分で6.17%と報じられており、「株主価値の向上・維持」を目的の一つに掲げているとされる。いずれも収集期間より前の提出であり、期間内の新規提出は確認できなかったが、大株主自身がアクティビストの標的になるという構図として参考記録にとどめる。

米国:EPAMシステムズ ― Engine Capitalが自社株買いを要求

Engine Capitalは、ITサービス大手EPAMシステムズの株式を1.5%取得し、Schedule 13Dを通じて7億5000万ドル規模の自社株買いプログラムの即時実行、または戦略的な売却プロセスの検討を求めていると報じられた(Hedgeweek)。報道によれば提出時期は8月末頃とみられ、収集期間(9月6日〜9月12日)の直前にあたるが、株価が年初来4割超下落した後の展開として今後の動向を追う。

米国:イーサン・アレン・インテリアズ ― DGB Investmentが取締役会全員の交代を要求

家具大手イーサン・アレン・インテリアズについて、DGB Investmentが5.1%の保有割合を背景に委任状争奪戦(プロキシーファイト。経営陣に対抗して株主に自らへの委任状提出を呼びかける手法)に関するプロキシー資料(PREC14A)を9月4日に提出し、取締役会5名全員の交代を求めているとされる。収集期間の直前の提出だが、今後の株主総会での帰趨を継続してフォローする。

米国:セルシアス・ホールディングス ― サベージ氏のCEO交代要求、膠着継続

清涼飲料大手セルシアス・ホールディングスでは、エナジードリンク「ロックスター」創業者のラス・サベージ氏が最高経営責任者の交代を求める活動を続けている。8月10日に最高執行責任者(COO)が退任したことが直近の動きだが、期間内(9月6日〜9月12日)の新たな進展は確認できず、膠着が続いているとみられる。