前回からの変化
変わったこと(変化・新規)
- 上海総合指数は前回値3,934.40pt→3,888.11pt(46.29pt安、1.18%安)と続落し、節目の3,900ポイントを割り込んだ。米8月卸売物価指数(PPI)が市場予想を上回り、米10年債利回りが2023年10月以来の高水準を付けたことが新たな下押し材料として加わった(財経新聞、智通財経)。
- 香港ハンセン指数は前回値24,954.47pt→24,805.63pt(148.84pt安、0.60%安)と5営業日連続の下落となり、約2カ月ぶりの安値を付けた。中国企業指数(H株指数)も8,246.33pt(28.45pt安、0.34%安)で続落した(財経新聞)。
- WTI原油先物が8営業日続伸となったことが新たに確認された。中東情勢の緊迫化に加え、原油高そのものの勢いがインフレ・金利観への懸念を強めている(新規、智通財経)。
- 上海市場のセクター構図が入れ替わった。前回は電力・金融が上昇、自動車・農林水産が下落するねじれだったが、本日は非鉄金属(工業金属▲5.04%、鉛亜鉛▲4.83%)・不動産・化学が下落を主導する一方、覆銅板・MLCC・通信設備などAIハードウェア関連(+1.7〜4.3%)と軍工セクター(地面兵装+4.44%)が逆行高となった(新規、智通財経)。
- 香港市場でも物色対象が入れ替わった。保険株が最大20.9%高、食品関連が7〜10%高となる一方、新鴻基地産が決算を受けて7.28%安、江西銅業が9.19%安、五鉱資源が8.20%安となった。テンセント(+0.66%)、アリババ(+0.56%)、シャオミ(+1.70%)は堅調だった(新規、智通財経)。
- 上海総合指数・香港ハンセン指数とも、移動平均線・RSIで「強力売り」シグナルが確認できた(前回は取得できなかった新規情報)。詳細は「8. テクニカル分析」参照。
昨日と同じこと(継続)
- 人民銀行は9/11、7日物リバースレポ40億元を金利1.40%で実施しており、9/10の30億元から金額はやや増えたものの、通常運転の公開市場操作の範囲にとどまる(継続、中国新聞網)。LPR(1年3.0%・5年超3.5%)の据え置きは継続しており、次回改定は9月22日を予定。
- 習近平国家主席の訪米日程(9月23日夜ワシントン入り、24日会談、25日出国、国連総会は欠席)は前回報告済みの内容から更新なし(継続)。
- 米国が検討する対中追加関税7.5%は依然として観測段階のまま、9月24日の米中首脳会談前の発表を目指しているとされる(継続、Bloomberg)。
- CSRCによる不動産大手の強制転換社債(MCB)登録拒否問題、恒大地産集団の破産清算プロセス(8/21受理、債権届出は11/21期限)は、本日時点で新たな進捗の確認材料はなかった(継続)。
- 中東情勢の緊迫化による地政学リスクプレミアムは前回に続き高止まりしている。
要因の連続性
- 継続要因: 中東情勢の緊迫化(原油高の根本要因)、人民銀行の通常運転の流動性供給姿勢、対中追加関税7.5%の観測段階での高止まり、習近平主席訪米への地政学的な注目。
- 新規要因: (1) 米8月PPIの上振れと米10年債利回り上昇という、原油高とは別系統の金利上昇要因が加わった、(2) WTI原油の8営業日続伸という値動きの勢い自体が新たな懸念材料になった、(3) 上海・香港とも物色対象がAIハードウェア・軍工・保険・食品など個別テーマに入れ替わった。
- 解消した要因: 前回みられた上海市場内での電力・金融(上昇)対自動車・農林水産(下落)というセクター間のねじれは、本日は別の組み合わせ(非鉄金属・不動産の下落、AIハードウェア・軍工の上昇)に置き換わり、ディフェンシブ物色による下値支えという構図自体は後退した。
1. 市況サマリー
| 指数 | 市場・通貨 | 終値 | 前日比 | 銘柄区分 |
|---|---|---|---|---|
| 上海総合指数 | 本土・人民元建て | 3,888.11pt | ▲1.18% | A株 |
| CSI300(滬深300) | 本土・人民元建て | 4,510.16pt | ▲0.84% | A株 |
| 香港ハンセン指数 | 香港・香港ドル建て | 24,805.63pt | ▲0.60% | H株中心 |
| ハンセンテック指数 | 香港・香港ドル建て | 4,320.57pt | ▲0.23% | グロース株中心 |
出典: 財経新聞(本土)、財経新聞(香港)、智通財経(A株)、智通財経(香港)。中国企業指数(旧H株指数)は8,246.33pt(0.34%安)、深セン成分指数は13,471.26pt(1.08%安)、創業板指数は3,322.04pt(0.49%安)だった。
2. 指数別動向
本土(上海・CSI300)
上海総合指数は3,888.11pt(前日比46.29pt安、1.18%安)と続落し、節目の3,900ポイントを割り込んだ。出来高は前日比約3,247億元増と膨らみ、全銘柄の約88%にあたる4,870銘柄が下落する「放量下挫」の展開となった。CSI300も4,510.16pt(0.84%安)と下落した(智通財経)。セクター別では非鉄金属(工業金属▲5.04%、鉛亜鉛概念▲4.83%)・不動産(浙江東日▲8.0%など)・化学工業(海南天然ゴム▲7.6%など)が下落を主導した一方、覆銅板(+4.31%)・MLCC(+1.76%)・通信設備(+1.66%)などAIハードウェア関連銘柄と、地面兵装を中心とした軍工セクター(+4.44%)が逆行高となった。電子デバイスの一角(銅峰電子・安彩高科)も+10.0%の値幅を付けた(財経新聞、智通財経)。
香港(ハンセン・中国企業指数)
香港ハンセン指数は24,805.63pt(前日比148.84pt安、0.60%安)と5営業日続落し、約2カ月ぶりの安値を付けた。米8月PPIの上振れによる米10年債利回りの上昇(2023年10月以来の高水準)と、中東情勢の緊迫化・WTI原油の8営業日続伸が圧迫材料となった(財経新聞)。中国企業指数は8,246.33pt(0.34%安)、ハンセンテック指数は4,320.57pt(0.23%安)といずれも本土より下落幅は小さかった。個別では新鴻基地産が決算発表を受けて7.28%安、江西銅業が9.19%安、五鉱資源が8.20%安となった一方、保険株が最大20.9%高、食品関連が7〜10%高、テンセント(+0.66%)・アリババ(+0.56%)・シャオミ(+1.70%)も堅調だった(智通財経)。
本土・香港の方向乖離について: 前回(9/10)に続き、本日も本土・香港がそろって下落し、指数間の方向乖離はない。もっとも下落率は上海(1.18%安)が香港(0.60%安)を上回り、下落を主導した業種(本土は非鉄金属・不動産、香港は素材・バイオ)と逆行高した業種(本土はAIハードウェア・軍工、香港は保険・食品)の組み合わせが本土・香港で異なっており、テーマ選好の面では引き続き「ねじれ」がみられる。
3. 当局・政策の動き
- 人民銀行(PBOC): 9/11、7日物リバースレポ40億元を金利1.40%で実施(9/10は30億元)。金額はやや増えたが、市場の資金需要を満たす通常運転の公開市場操作の範囲にとどまる(中国新聞網)。LPR(1年3.0%・5年超3.5%)は据え置きが継続しており、次回改定は9月22日を予定(継続)。国家隊(中央匯金など)による新たなETF買い入れの観測は、本日時点で確認できなかった。
- CSRC: IPO審査ペースの周期的な引き締めについて、証監会は「市場の安定運営を維持するための調整であり、審査・登録業務は停止していない」との立場を従来どおり示している。9/11時点で新たな制度変更の発表はなかった(継続)。
- 不動産・地方債務: 中国恒大集団の破産清算は8/21に広州市中級人民法院が申請を受理し、債権者は11/21までに管財人へ債権を届け出る必要がある局面が続いている。CSRCによる不動産大手の強制転換社債(MCB)登録拒否問題についても、本日時点で新たな進展は確認できなかった(東洋経済/Yahoo)。
- 米中関係: 習近平国家主席は9月23日夜にワシントン入りし、24日にトランプ大統領と会談、25日に出国する日程が引き続き報じられている(国連総会は欠席)。米国が検討する対中追加関税7.5%は、9月24日の首脳会談前の発表を目指しているとされるが、税率・対象品目は未確定のまま(継続、Bloomberg)。
4. 経済指標
8月の社会融資総量・新規人民元貸出は、本日時点でまだ公表されていない(通常は月半ばに発表される)。8月の物価統計(CPI前年比0.8%上昇、PPI前年比3.8%上昇)と貿易統計(輸出入とも前年同期比2桁増、貿易黒字1,190.9億ドル)は既に発表済みで、9/11に新たな指標発表はなかった(継続)。製造業PMIは国家統計局が49.8(収縮圏)、財新(民間)が50.4(拡大圏)と乖離した状態が続いており、大企業・国有企業中心の公式統計と中小・輸出企業中心の民間統計の受け止め方の差が引き続き材料となっている。
5. 不動産・地方債務
CSRCによる強制転換社債(MCB)の新規登録拒否、恒大地産集団の破産清算プロセス(債権届出は11/21期限)、地方政府の隠れ債務(融資平台)、銀行・信託の理財商品に関する新たな進捗は、本日時点でいずれも確認できなかった(継続)。不動産大手上位100社の1〜8月累計販売額は2兆175.9億元で、前年同期比の減少幅が1〜7月よりも拡大しており、業界全体の販売不振は継続している(163.com)。
6. 米中関係と注目銘柄
習近平国家主席の訪米日程(詳細は「3. 当局・政策の動き」参照)をめぐり、米国の対中追加関税7.5%の扱いが焦点になっている。個別銘柄では、テンセント(+0.66%)・アリババ(+0.56%)・シャオミ(+1.70%)が香港市場の下落局面でも底堅く推移した(智通財経)。貴州茅台・BYD・CATL・SMICについては、本日時点で確度の高い個別の値動き情報を確認できなかった。AHプレミアム(AH溢価。A株とH株の価格差)では、寧徳時代(CATL)のH株がA株に対し27.25%の折価(H株が割安)となっており、A株・H株のバリュエーション格差が引き続き大きい銘柄として目立った(智通財経)。
7. 強気派 vs 弱気派
バリュエーションの面では、JPモルガンがCSI300指数について「反内巻政策・AI関連の進展・世界的なマクロ環境の改善」を根拠に2026年末目標5,200ポイントとする強気姿勢を維持しているとされる。ゴールドマン・サックスも「強気相場は続くが、ペースは鈍化する」との見方を示している。一方、中国第2位の投資信託会社である中国資産管理(China AMC)は、本土上場企業の1〜6月期の2桁増益を根拠にした強気材料を認めつつ、米連邦準備制度理事会(FRB)のタカ派姿勢による金利上昇観測、原油高、第3四半期のIPOペース加速による市場流動性の逼迫という3つの弱気材料を挙げ、9月は「横ばい相場」になるとの見方を示し、「戻り待ち買い」を推奨している(9/9時点、SCMP)。政策リスクの面では、CSRCのIPO審査ペース調整や対中関税7.5%の帰趨が、バリュエーション再評価とは別軸の懸念材料として意識されている。
8. テクニカル分析
上海総合指数は、50日移動平均線(3,937.70pt)・200日移動平均線(3,911.56pt)をいずれも下回っており、両線とも「売り」シグナルを示している。RSI(14日)は36.365で、売られすぎの水準に近づいているとされる水準にある。移動平均線とオシレーター系指標を総合すると「強力売り」の判定となっている(智通財経/investing.com)。香港ハンセン指数も同様に、テクニカル指標の総合判定は「強力売り」とされており、ハンセンテック指数についても200日移動平均線(5,289.05pt)を現在値が下回る「売り」シグナルが出ている。もっとも、これらの「売りシグナル」は下落局面でRSIなどが連動して悪化した結果であり、断定的な売り推奨を意味するものではなく、あくまで「短期的に売られすぎとされる水準に近づいている」との参考情報として捉える必要がある。サポートラインは3,886〜3,906ポイント、レジスタンスラインは3,956〜3,982ポイント程度とされる。南向き資金の集計期間データは今回のリサーチでは確度の高い数値を確認できなかったが、AHプレミアム(AH溢価)では寧徳時代(CATL)が-27.25%の折価で最大、東北電気が+1029.71%の溢価で最大となるなど、個別銘柄間のばらつきが大きい状態が続いている(智通財経)。
9. 本日の注目点
- 8月の社会融資総量・新規人民元貸出の発表時期(例年月半ば、前年は9月12日発表)。
- 習近平主席の訪米(9月23〜25日、24日会談)に向け、対中追加関税7.5%の発表タイミングや対象品目の確定情報が出てくるか。
- 上海総合指数が節目の3,900ポイント割れから切り返せるか、テクニカル指標の「強力売り」判定が変化するか。
- 中東情勢の緊迫化とWTI原油の続伸が続いた場合、米金利・インフレ観を通じて香港・本土市場への重荷がどこまで強まるか。
- CSRCによる不動産大手の強制転換社債(MCB)登録拒否が、碧桂園など既存の債務再編計画にどこまで波及するか(継続フォロー)。

