前回からの変化

前回(2026-10-01)との比較。前回は1週間前で、このカテゴリは毎週木曜の新規トピック中心のため、顔ぶれの入れ替わりと共通点を確認する。

変わったこと(変化・新規)

  • 前回は米国の成果連動型資金調達(Skalar)と英国の加速器によるアイソトープ量産(StandardX)という金融・素材の基盤が中心だった。今回は日本の建設現場の残土流通(ツチオク)と、インドの冷房の月額利用(Circolife)、通販運営の代行(Nuvr)という、実物の取引や運営を作り替える業態が中心になった。
  • 国・地域も米英から日本とインドへ移り、資金調達の仕組みから、現場の業務を受け持つサービスへと話題の焦点が移った。

前回と同じこと(継続)

  • 前回の潮流欄にあった「成果や利用に連動して対価を受け取る」考え方は今回も続いている。Nuvrは売上に連動して報酬を得ており、Circolifeは機器を売らず利用に応じた月額で収益を得る。

要因の連続性

  • 継続要因: 固定の対価や買い切りではなく、利用や成果に連動した課金へ移る動きは前回から引き続き働いている。
  • 新規要因: 2023年から建設発生土の搬出先確認と記録保存が法的に義務化されたこと(ツチオク)、設備投資を抑えたい事業者の需要(Circolife)が新たに話題の背景に加わった。
  • 解消した要因: 前回の中心だったスタートアップ向け資金調達の新型モデルは、今回は取り上げておらず後退した。

今週の概観

今週は、実物の取引や運営を「使った分・成果に応じた支払い」に作り替える新業態を3件取り上げる。日本のツチオクは、電話で一社ずつ探していた残土の処分先を、案件の一括登録と入札で探せるようにした。インドのCircolifeはエアコンを売らずに月額で貸し、保守まで引き受ける。同じくインドのNuvrは、ブランドの通販やクイックコマースの運営そのものを請け負い、報酬の一部を売上に連動させる。

新ビジネス特集

1. ツチオク(日本)— 残土の処分先を入札形式で探す

何をするビジネスか ツチオクは、建設工事で出る残土(建設発生土)を出す側と、受け入れる側をつなぐ仲介サービスである。運営はプレテリス・ホールディングス合同会社(名古屋市、2026年5月設立)で、2026年10月1日に提供を始めた。

何が新しいのか 残土の処分先探しは電話が中心で、近くに受け入れ先がなければ遠方まで運ぶ必要があった。ツチオクは、出す側が案件を一度登録すれば近隣の受け入れ先に通知が届き、受け入れ先が単価・運搬費・受け入れ時期を付けて応募する仕組みにした。出す側は距離や評価、価格を比べて1社を選べる点が従来と異なる。

ビジネスモデル 会員登録・案件登録・応募は無料で、取引が成立したときだけ手数料を受け取る。PR TIMESによれば、手数料は流通量1立方メートルあたり200円(税別)で、最低1万円。リリース記念として初回取引は最大3万円の割引がある。

状況 提供開始直後で、利用実績は公表されていない。国土交通省の数字として年間約1億3,263万立方メートルの建設発生土が搬出されると同社は説明しており、2023年からは搬出先の確認と記録の保存も義務化されている。ただし事業の成否は、受け入れ先をどれだけ集められるかにかかるとみられる。 (公式: ツチオク / 出典: PR TIMES: 残土の処分先を現場の近くで探せる「ツチオク」、10月1日提供開始)

2. Circolife(インド)— エアコンを売らずに月額で貸す

何をするビジネスか Circolifeは、法人向けに高効率のエアコンを月額の定額で提供する「クーリング・アズ・ア・サービス」の事業者である。機器の所有と設置、保守は同社が受け持つ。

何が新しいのか 従来、事業者はエアコンを自前で購入して保守する必要があり、初期の設備投資が重かった。Circolifeは購入を不要にして月額の利用料に置き換え、Inc42によれば、センサーによる遠隔監視で故障を予測する保守も組み合わせている。日本で言えば、リース契約に保守まで含めた形に近いが、冷房という機能そのものを売る点を打ち出している。

ビジネスモデル 利用者から月額の定額料金を受け取る継続課金である。料金水準は公表資料では確認できなかった。

状況 Entrepreneur Indiaによれば、2026年9月8日に450万ドル(約40.5億ルピー相当)のプレシリーズAを発表した。現在は5都市で約1万件の契約があり、今後は全国規模の展開に資金を充てるとしている。公式サイトは確認できなかったため、紹介記事のみを示す。 (出典: Entrepreneur India: Circolife Bags USD 4.5 Mn in pre-Series A Round)

3. Nuvr(インド)— ブランドの通販運営を売上連動で請け負う

何をするビジネスか Nuvrはベンガルールの新興企業で、消費財ブランドの通販サイトやクイックコマースでの価格設定、広告、在庫計画、商品情報の管理、プラットフォームとの交渉までを代行する。

何が新しいのか もとはソフトウェアを売る会社だったが、運営そのものを引き受ける形へ転換した。単なる代行料ではなく、報酬の一部を売上の成果に連動させる点が新しい。YourStoryによれば、運営を任された売上を、運用資産残高になぞらえて「RUM」と呼んでいる。

ビジネスモデル ソフトウェア利用料と、売上に連動する成果報酬の組み合わせである。

状況 同社の発表によれば、運営を任された売上は約1,200億ルピー、2026年3月期の売上は100万ドルを超え、2027年3月期はおよそ倍増の見込みで、外部資金に頼らず黒字だという。ブランドの売上を預かる以上、成果が出なければ報酬も伸びない点は、事業者側の課題でもある。公式サイトは確認できなかったため、紹介記事のみを示す。 (出典: Inc42: 30 Startups To Watch / YourStory: Meet Nuvr)

新ビジネスの潮流

今週の3件はいずれも、買い切りや固定の手数料ではなく、「使った分」「出た成果」に応じて対価を受け取る形を採っている。Circolifeは機器の購入を月額に、Nuvrは代行料を売上連動に、ツチオクは成立時のみの手数料にしている。前回のSkalarの成果連動型資金調達と合わせると、2週続けて同じ方向の事業が出てきたことになるが、これは2週分の観察にもとづく見方であり、世界的な増加傾向と断定できる材料はまだない。 (出典: Inc42: 30 Startups To Watch)