前回からの変化
前回(2026-08-26)との比較
変わったこと(変化・新規)
- 熊本地震への政府の体制が転換した。前回時点(8/25)では応急対応を担う「非常災害対策本部」による支援だったが、今回(9/1)は「非常災害復旧復興本部」に切り替わり、中長期的な生活再建・なりわい再建のフォローアップ体制へ移行した。
- 千葉豪雨は前回「対応継続」段階だったが、今回は8月27日に「激甚災害(本激)」指定の方針が表明され、農地等復旧事業の国庫補助率引き上げなど具体的な支援強化が決まった。
- 新たな対外危機対応が発生した。ネパールで土石流・洪水被害が起き、邦人5人と連絡が取れない事態を受け、高市首相がシャハ首相と電話会談し救援協力を要請、緊急援助物資の供与を決めた(前回にはなかった新規の外交・危機対応)。
- 茂木外相が中央アジア・欧州へ歴訪(8/29〜9/4)し、「V4+日本」外相会合を5年ぶりに開催する予定であることが判明した(前回は外相の外交日程に言及なし)。
昨日と同じこと(継続)
- 内閣改造・党役員人事を9月中下旬に行うとの観測は前回から変わらず続いている。政府としての正式決定は本レポート時点(9/2)でも確認できない(出典: 時事通信 - 内閣改造、9月中下旬で調整 木原官房長官の続投有力)。
要因の連続性
- 継続要因: 熊本地震(7月28日発生)・千葉豪雨(8月13〜14日発生)への被災地支援ニーズは、前回に続き今週も政府対応の中心的な要因であり続けている。
- 新規要因: ネパールの土石流・洪水災害による邦人安否不明という新たな危機対応要因が加わった。
- 解消した要因: 熊本地震における「応急対応」段階の要因(避難所運営・緊急復旧など)は、非常災害対策本部が復旧復興本部に切り替わったことで一区切りとなり、中長期の生活再建支援要因に移行した。
今週の概観
高市内閣は今週(8/26〜9/2)、熊本地震(7月28日発生)への対応を、応急対応を担う非常災害対策本部から、中長期の生活再建・復興を担う「非常災害復旧復興本部」へ切り替えた。8月27日には千葉豪雨(8月13〜14日発生)を激甚災害(本激)に指定する方針を表明するとともに、被災者向けに予備費約1478億円規模の生活・なりわい再建パッケージを決定した。外交面では、9月1日にネパールで発生した土石流・洪水災害を受け、高市首相がシャハ首相と電話会談し、連絡が取れない邦人5人の救援への協力を要請、緊急援助物資の供与を決めた。このほか、8月26日にはエネルギー安全保障強化に向けた「パワーGX」推進を確認するGX実行会議が開かれ、9月1日の「防災の日」には総合防災訓練が実施された。内閣改造・党役員人事は9月中下旬実施との観測が続くが、政府としての正式決定は9月2日時点で確認できない。
閣議決定・閣議了解
熊本地震「非常災害復旧復興本部」の設置(9月1日)
政府は1日の閣議で、7月28日発生の熊本地震について、高市首相を本部長とする「令和8年熊本地震非常災害復旧復興本部」を設置することを決定した。地震発生直後に設置した非常災害対策本部(応急対応中心)から体制を切り替えるもので、発災から1か月あまりが経過したことを踏まえ、被災者の生活・なりわい再建の進捗をフォローアップする中長期的な支援体制に移行する狙い。木原官房長官は会見で「被災地の復旧・復興のため、中長期的な観点から支援体制を構築する」と説明した。(出典: 首相官邸 - 令和8年9月1日(火)定例閣議案件)(出典: 共同通信/Yahoo!ニュース - 政府「復旧復興本部」を設置 熊本地震、中長期で支援)
熊本地震対応・エネルギー対策の予備費使用(8月28日)
28日の閣議で「令和8年度一般会計予備費使用(40件)」および「令和8年度エネルギー対策特別会計エネルギー需給勘定予備費使用」が決定された。前日27日の関係閣僚会議で高市首相が指示した、熊本地震の被災者向け「生活となりわい支援のためのパッケージ」(総額約1478億円、生活再建・なりわい再建・災害復旧の3本柱)の財源に充てられたとみられるが、個別事業への内訳までは一次情報の項目一覧からは確認できなかった。(出典: 首相官邸 - 令和8年8月28日(金)定例閣議案件)
中東情勢等対応予備費の使用(9月1日)
1日の閣議で「令和8年度一般会計中東情勢等対応予備費使用」2件が決定された。中東情勢の影響を受ける物資・エネルギー価格対策などに充てられるとみられるが、具体的な使途は一次情報の項目一覧からは確認できなかった。(出典: 首相官邸 - 令和8年9月1日(火)定例閣議案件)
在日米軍施設・区域の共同使用及び追加提供(8月28日)
28日の閣議で「日米間の相互協力及び安全保障条約第6条に基づく施設及び区域の共同使用及び追加提供」が決定された。対象となる個別の施設名や提供条件など具体的な内容は、一次情報の項目一覧からは確認できなかった。(出典: 首相官邸 - 令和8年8月28日(金)定例閣議案件)
政令改正(9月1日)
1日の閣議では、年金制度の機能強化に関する経過措置政令、医療法の施行期日を定める政令、地域公共交通活性化再生法の施行期日を定める政令、租税特別措置法等の一部を改正する政令が決定された。いずれも既存法令の運用に関わる技術的な改正で、改正の具体的な内容までは一次情報の項目一覧からは確認できなかった。(出典: 首相官邸 - 令和8年9月1日(火)定例閣議案件)
人事(8月28日・9月1日)
28日の閣議では茂木敏充外相ほか2名の海外出張が了解されたほか、安田喜憲氏ら137名の叙位・叙勲が決定された。1日の閣議では経済産業大臣らの海外出張了解、カンボジア駐箚特命全権大使の信任状認証・前任大使の解任状認証、元小林市長ら97名の叙位・叙勲が決定された。(出典: 首相官邸 - 令和8年8月28日(金)定例閣議案件)(出典: 首相官邸 - 令和8年9月1日(火)定例閣議案件)
外交の動き
日・ネパール首脳電話会談、邦人救援への協力要請(9月1日)
高市首相は1日、大規模な土石流・洪水被害が発生したネパールのシャハ首相と電話会談を行った(今年3月に就任したシャハ首相との会談は今回が初めて)。会談で高市首相は、現地で被災し連絡が取れなくなっている日本人5人の捜索・救助に向けた「最大限の協力」を要請するとともに、テントや毛布などの緊急援助物資の供与を決めたことを伝え、国際緊急援助隊の派遣準備を進めていることも説明した。シャハ首相は謝意を示した。(出典: 首相官邸 - 日・ネパール首脳電話会談)(出典: テレビ朝日系(ANN)/Yahoo!ニュース - 高市総理がネパール首相と電話会談 日本人5人の救援に協力要請)
茂木外相の中央アジア・欧州歴訪、V4+日本外相会合(8月29日〜9月4日)
茂木敏充外相は29日から9月4日まで、トルクメニスタン・スロバキア・オーストリア・モンゴルの4か国を歴訪する日程を発表した(28日公表)。スロバキアでは、チェコ・ハンガリー・ポーランドを加えた「ヴィシェグラード・グループ(V4)」の外相との「V4+日本」外相会合を5年ぶりに開催する予定で、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序の維持・強化に向けた連携確認を狙う。国際情勢が厳しさを増す中、日本と中欧・中央アジア諸国との戦略的な連携強化を図る。(出典: 時事通信 - 茂木外相、29日から4カ国歴訪 スロバキア、モンゴルなど)
首相の決断・判断
熊本地震・千葉豪雨への追加支援指示、千葉豪雨「本激」指定表明(8月27日)
高市首相は27日、官邸で熊本地震非常災害対策本部会議・千葉豪雨に関する関係閣僚会議に出席した。熊本地震(7月28日発生)の被災地が「四重苦」(地震・暑さ・断水・避難生活の負担)に見舞われているとの認識を示し、「被災者の生活となりわい支援のためのパッケージ」(予備費総額約1478億円)を取りまとめるよう指示した。パッケージは(1)生活再建(拠点避難所の環境整備、家屋解体支援、見守り相談)、(2)なりわい再建(事業者向け補助率引き上げ、農業施設支援、観光需要喚起策)、(3)災害復旧(公共土木施設の補助率かさ上げ、上下水道の早期復旧、井戸復旧支援)の3本柱。あわせて、8月13〜14日の千葉豪雨について激甚災害(本激)に指定する方針を表明し、農地等の復旧事業の国庫補助率を引き上げる考えを示した。さらに、来年の出水期に向けて「防災庁」設置を視野に入れた検討会の立ち上げを指示し、学校体育館への空調設置の目標年度を令和17年度から令和13年度に前倒しする方針も明らかにした。(出典: 首相官邸 - 令和8年熊本地震非常災害対策本部会議・令和8年8月千葉豪雨に関する関係閣僚会議)(出典: 日本経済新聞 - 千葉豪雨、激甚災害に指定へ 高市首相が表明)
「防災の日」総合防災訓練への参加(9月1日)
高市首相は「防災の日」の1日、首都直下地震と日本海溝・千島海溝地震を想定した令和8年度総合防災訓練に参加した。徒歩で官邸に参集する訓練から始め、緊急災害対策本部会議・臨時閣議の開催訓練、地震の概要と政府対応を説明する記者会見の訓練を行ったほか、神奈川県厚木市で行われた九都県市合同防災訓練の会場で、ワンタッチテントの設営やドローンによる物資輸送、救助救出訓練などを視察した。閉会式では「自らの命は自らで守らなければならない。しかし本当に大変な時には、手を携えて、力を合わせて守っていかなければならない」と述べ、検討を進める「防災庁」発足に触れつつ、日本の防災力を世界に発信していく重要性を強調した。(出典: 首相官邸 - 令和8年度総合防災訓練)
その他の政府の動き
GX実行会議、「パワーGX」推進を表明(8月26日)
首相官邸で開かれた第17回GX(グリーントランスフォーメーション。脱炭素と産業競争力強化を両立させる政府方針)実行会議で、高市首相は中東情勢の影響を受けやすい重要物資の供給体制や、AI時代の電力需要拡大を見据えたエネルギー需給構造の強靱化に向け、「パワーGX」を強力に推進する方針を示した。具体的には、原油・ナフサなど化石燃料の調達先多角化、原子力の最大限活用やペロブスカイト太陽電池・次世代地熱発電の開発促進による脱炭素電源の拡大、発電タービンの供給力強化やデータセンター開発などAI時代への対応、同志国との「パワー・アジア」を通じたアジア域内連携を進めるとした。関連法案は次期国会に提出予定で、年末までに「パワーGX戦略」として取りまとめる。(出典: 首相官邸 - GX実行会議(第17回))
月例経済報告、景気判断を維持(8月27日)
政府は27日の月例経済報告等に関する関係閣僚会議で、8月の景気判断を「緩やかに回復しているが、中東情勢や自然災害の影響を注視する必要がある」に据え置いた。先行きについても「雇用・所得環境の改善や各種政策の効果が緩やかな回復を支えることが期待されるものの、中東情勢や自然災害の影響、金融資本市場の変動に注意する必要がある」とした。(出典: 首相官邸 - 月例経済報告等に関する関係閣僚会議)

