前回からの変化

変わったこと(変化・新規)

  • 新規: ベッセント米財務長官が8月30日のG20財務相・中央銀行総裁会議(米ノースカロライナ州アッシュビル)で植田日銀総裁と会談し、「円の大幅な過小評価に対処するための日本による決然とした市場・金融面での措置を強く支持する」意向を伝えていたことが明らかになった。前回レポートでは触れられていなかった新情報である(日本経済新聞)。
  • 新規: 日銀の次の要人発言の予定として、政策委員会の井上審議委員が9月10日に講演することが判明した。次回9月17・18日会合前の最後の公の場と位置づけられており、前回時点(高田創審議委員の9月2日発言のみ言及)からの追加情報である(日本経済新聞)。
  • 新規: 来週(9月11日)発表の米8月消費者物価指数(CPI)について、コア指数で前年比2.4%上昇という市場予想の具体値が判明した。前回レポートでは「CPI待ち」とのみ記載され、予想値には触れていなかった(財経新聞)。
  • 新規: ドル円の来週(9月7日11日)の予想レンジが、前回引用時点(9月5日付記事、158円を上値抵抗として意識)から、9月6日付の最新記事では153円台後半159円台前半とやや広めのレンジに修正された。9月8日の日本のGDP改定値・毎月勤労統計、9月10日の米PPI、9月11日の米CPIが方向性を左右する焦点として整理された(外為どっとコム)。
  • 新規: 東京市場は本日(9月7日・月)、9月5日・6日の2日連続休場を経て取引を再開する。ただし同日は米国もレイバー・デーで休場となる巡り合わせのため、海外勢の参加が薄く先物主導で振れやすい特殊な初日になる見通しが改めて示された(日本経済新聞)。

昨日と同じこと(継続)

  • 日銀の9月17・18日会合が焦点である点、高田創審議委員の「機動的な利上げ」路線が相場のテーマであり続けている点は前回から変わらない。
  • レポート作成時点(取引開始前)では東京市場はまだ売買が成立しておらず、日経平均(6万5020円94銭)・TOPIX(4,103.23pt)・グロース市場250指数(796.82pt)の終値は、9月4日(金)から3日連続で同じ水準が最新値となっている。
  • 中東(イラン)情勢を巡る地政学リスクへの警戒感、原油価格の高値圏推移は前回に続き市場の一部で意識されている。

要因の連続性

  • 継続要因: 日銀9月利上げ観測というタカ派材料、米長期金利の高止まり、中東情勢を巡る地政学リスク、米CPI発表待ちの様子見ムード。
  • 新規要因: (1) ベッセント米財務長官・植田総裁のG20会談における円安是正圧力の詳細が判明したこと、(2) 日銀・井上審議委員の9月10日講演という次回会合前最後の材料が加わったこと、(3) 米CPIの市場予想(コア前年比2.4%)が判明したこと。
  • 解消した要因: 東京市場の休場という状態そのものは本日の取引再開により解消に向かうが、米国のレイバー・デー休場と重なるため「海外勢の手掛かり難」という要因は実質的に継続しており、明確に解消した要因はなし。

1. 市況サマリー

指数 終値(9/4時点) 前日比 騰落率
日経平均株価 65,020.94円 +806.46円 +1.26%(5営業日ぶり反発)
TOPIX 4,103.23pt +1.19pt +0.03%(小幅続伸)
東証グロース市場250指数 796.82pt +20.73pt +2.67%(5営業日ぶり反発)

東京市場は本日(9月7日・月)取引を再開するが、レポート作成時点は取引開始前のため、上表は直近営業日(9月4日)の終値を据え置いて掲載している(日本経済新聞)。

2. 指数別動向

日経225

取引再開初日となる本日は、米国もレイバー・デーで休場のため海外勢の参加が薄く、先物主導で振れやすい展開が見込まれている。日本経済新聞の週間展望では「上値が重い展開」が予想されており、背景として8月米雇用統計が市場予想を大きく上回ったことによる利上げ観測の高まりと、中東情勢の緊迫化が弱気材料として挙げられている。一方で、日本の長期金利が「30年ぶり高水準からの下げ余地をさぐる可能性」がある点は株の割高感を和らげる支援材料になりうるとされている(日本経済新聞)。

グロース市場250指数

日経225と同様、本日は取引再開初日かつ米国休場と重なる薄商いが見込まれる。ザイ・オンラインの藤井英敏氏は、日本の長期金利上昇を背景にAI・半導体関連株の急落への警戒を促しており、金利敏感な新興株にとって来週にかけての日米長期金利の動向が引き続き焦点になるとみられる(ザイ・オンライン)。

3. 強気派 vs 弱気派

強気派

  • 日本経済新聞の週間展望では、日本の長期金利が30年ぶり高水準からの下げ余地をさぐる可能性があるとの見方が示され、金利低下が株の割高感を和らげる支援材料になりうるとされた(日本経済新聞)。
  • ザイ・オンラインの来週(9月7日~11日)相場展望では、キオクシアなどAI・半導体株の底堅さを強気材料として挙げ、一目均衡表の雲下限を突破すれば雲上限を試す展開も意識されるとした(ザイ・オンライン)。
  • 財経新聞(フィスコ)の国内株式市場見通しでは、来週の大型イベント(米CPI・メジャーSQ)を通過すればハイテク株中心に買い安心感が強まる可能性が指摘されている(財経新聞)。
  • ザイ・オンラインの藤井英敏氏は、9月後半までの月末権利取りにより高配当の内需系バリュー株、資源株・石油関連株・海運株に投資妙味があるとの見方を前回に続き示している(ザイ・オンライン)。

弱気派

  • 日本経済新聞の週間展望では、8月米雇用統計が市場予想を大きく上回り利上げ観測がやや高まったこと、中東情勢の緊迫化が続いていることが弱気材料として挙げられた(日本経済新聞)。
  • 財経新聞(フィスコ)の見通しでは、米CPIが市場予想(コア前年比2.4%)を下回らない限り9月利上げ実施の可能性が高いこと、9月は米国株のパフォーマンスが悪化しやすい季節性があることが弱気材料として指摘されている(財経新聞、財経新聞)。
  • ザイ・オンラインの藤井英敏氏は、日本の長期債利回りが約30年ぶりの高水準(2.950%)に達しており、割高なAI・半導体関連株の急落に警戒が必要と前回に続き指摘した(ザイ・オンライン)。

4. 経済ニュース

経済指標・政策

  • ベッセント米財務長官は8月30日のG20財務相・中央銀行総裁会議で植田日銀総裁と会談し、「円の大幅な過小評価に対処するための日本による決然とした市場・金融面での措置」を支持する意向を伝え、円安が日本国内のインフレ圧力の一因になっている点にも言及した。日銀の利上げを通じた円安是正を求める内容と受け止められている(日本経済新聞)。
  • 本日(9月7日)14時に7月分の景気動向指数が発表される予定(外為どっとコム)。
  • 来週(9月7日~11日)の日本の経済指標発表予定は、8日に4-6月期GDP改定値・7月毎月勤労統計調査、9日に8月マネーストック、10日に米8月PPI、11日に米8月CPI(コア前年比2.4%予想)・8月国内企業物価指数となっている(財経新聞、外為どっとコム)。

注目された個別銘柄

  • 東京市場が取引開始前のため、本日時点で新たに材料が出た個別銘柄はない。直近(9月4日)はソフトバンクグループ・アドバンテスト・キオクシアホールディングスが半導体・AI関連の買いを集めて上昇し、原油安を受けて三菱商事・三井物産が下落した(詳細は9月4日付レポート参照)。
  • ザイ・オンラインの藤井英敏氏は、来週にかけて資源株・石油関連株・海運株への投資妙味を前回に続き指摘している(ザイ・オンライン)。

5. 日銀・金利・為替

日銀

前回に続き、9月17・18日の金融政策決定会合が焦点である点に変わりはない。9月2日に高田創審議委員が示した「一定のペースにとらわれず機動的に利上げを行う新たな局面」との発言が直近の日銀メッセージとして最も新しい。加えて、次回会合前最後の要人発言の機会として、政策委員会の井上審議委員が9月10日に講演を行う予定であることが判明した(日本経済新聞)。ベッセント米財務長官が8月30日のG20会談で植田総裁に円安是正への断固たる対応を求めていたことも明らかになっており、対外的にも日銀の利上げ加速を後押しする圧力として意識される(日本経済新聞)。

金利

日本国債(新発10年物)の利回りは、市場休場のため9月4日終値の2.890%から変わっていない。一方、米長期金利は9月4日の雇用統計を受けて10年債利回りが4.81%まで上昇しており、日米金利差の観点からは円安圧力がやや強まった状態が続いている(日本経済新聞)。

為替

ドル円は9月4日(金)のNY市場で強い雇用統計直後に一時156円75銭まで円安が進んだが、東京市場発の円買い注文が入り155円36銭まで反落し、最終的に156円1525銭(前日比40銭の円安・ドル高)で取引を終えた(日本経済新聞)。週間では一時155円30銭近辺(8月3日安値の155円23銭に接近)まで円高が進む場面もあった。来週(9月7日11日)の予想レンジは153円台後半~159円台前半とされ、「米インフレがFRBの利上げ観測を再び高めるか」と「日本の経済指標が日銀の追加利上げを後押しするか」の2点が方向性を左右する焦点になるとの見方が示されている(外為どっとコム)。円安方向の巻き戻しが進めば輸出関連株に追い風、円高が進めば内需株が相対的に選好されやすい構図は前回から変わらない。

6. テクニカル分析

日経225

市場休場のため9月4日終値6万5020円94銭からテクニカル状況に変化はない。5日移動平均線(6万5217円)にわずかに届かず、25日移動平均線(6万6067円)・50日移動平均線(6万6634円)は依然として現在値を上回っており、一目均衡表の雲下限に迫る位置での推移が続いている。雲上限と雲下限がクロスする「ねじれ」が発生しており、雲下限を突破できれば雲上限を試す展開も意識されるとされる。RSI(9日)は43.8%で中立圏に近い水準にとどまる。上値メドは6万7000円・6万8000円、下値メドは6万3772円・6万3000円・6万2000円とされ、8月の戻り高値(6万9608円)からの調整局面という評価に変わりはない。日経平均VIは27前後で、金利低下・株高を受けて過度な警戒感はやや緩和した水準にとどまっている。本日は取引再開初日かつ米国休場と重なる薄商いが見込まれ、これらの水準を維持できるかが実質的な最初の判断材料になる(ザイ・オンライン)。

グロース市場250指数

市場休場のため9月4日終値796.82pt(+2.67%)からテクニカル状況に変化はない。先物は5日移動平均線と日足一目均衡表の転換線を上抜けて高値圏(798pt近辺)で終えており、値上がり銘柄が全体の6割超を占める全面高となった状態を維持している。金利敏感な新興株であるため、来週にかけての日米長期金利の動向次第でこの戻り基調が続くかが試されるとみられる(ザイ・オンライン、ザイ・オンライン)。

7. 本日の注目点

  • 東京市場は本日(9月7日・月)、9月5日・6日の2日連続休場を経て取引を再開する。ただし同日は米国もレイバー・デーで休場となるため、海外勢の参加が薄く先物主導で振れやすい展開になりやすい(日本経済新聞)。
  • 本日14時に7月分の景気動向指数が発表される予定(外為どっとコム)。
  • 来週にかけては8日のGDP改定値・毎月勤労統計、10日の米PPI、11日の米CPI(コア前年比2.4%予想)・メジャーSQと、重要イベントが集中する(財経新聞)。
  • 日銀は9月17・18日の金融政策決定会合を控え、9月10日に予定される井上審議委員の講演が会合前最後の要人発言の機会として注目される(日本経済新聞)。
  • ベッセント米財務長官が植田総裁に円安是正への断固たる対応を求めていたことが判明しており、対外圧力の観点からも日銀の利上げ加速観測を後押しするかが注目される(日本経済新聞)。
  • ドル円は153円台後半159円台前半の予想レンジの中で、155円台での下値の堅さと158159円台への戻りの可能性の両方が意識される展開になるか注目される(外為どっとコム)。