前回からの変化

変わったこと(変化・新規)

  • 人民銀行の3か月物(89日)買い切り型リバースレポ5000億元は、前回レポート(9/6)では「9月7日に実施予定」という予告段階だったが、本日実施される段階に入った。直近2か月は同オペを2000億元ずつ上乗せする「加量続作」だったのに対し、今回は満期分と同額の借り換えにとどまる「等量続作」であり、資金供給スタンスがやや慎重に振れた点は前回にはなかった新規の情報である(中新社、北京日報客戶端)。
  • 前回レポートでは触れていなかった中国側の公式反応として、商務部が8月27日、米国の対中301条調査(過剰生産能力を理由とする追加関税7.5%の検討)を「典型的な一国主義・保護主義」だと批判し、反対の意思を明確に表明していたことが今回新たに確認された。これは市場観測ではなく中国政府による公表済みの発言である(新浪新聞)。
  • 追加関税7.5%の検討状況について、前回は「半導体は合算で最大70%」という着地点のみを伝えていたが、今回新たに、米通商代表部(USTR)がアルミニウム・自動車・電池・鉄鋼・セメント・電子製品・工作機械・半導体・太陽光パネルなど広範な品目を審査対象としていること、また名目上より高い税率を発表したうえで一部を執行停止し実質7.5%に着地させる案が検討されていることが判明した(Investing.com中文)。
  • 習近平国家主席の9月24日訪米・トランプ大統領との会談について、前回は報道ベースの情報だったが、今回はホワイトハウスが公式に訪問を確認したことが新たに判明した(VOA中文)。

昨日と同じこと(継続)

  • 本土(上海総合・CSI300)・香港(ハンセン・ハンセンテック)とも、直近確定終値は9月4日(金)時点のままで変わらない。9月5日・6日の週末休場を経て9月7日(月)は取引日だが、本レポート作成時点(取引開始前後)では確定した本日終値を確度の高い出典で確認できず、次回レポートで反映する(Investing.com中文(上証)、Investing.com中文(恒生))。
  • 人民銀行のローンプライムレート(LPR)は8月20日公表分(1年3.0%・5年超3.5%)から変更なく、次回改定は9月22日予定のまま継続。
  • 恒大地産の破産清算手続き(債権届出は11月21日締切)は進行中だが、本日時点で新たな進捗の発表は確認できず、前回から変化はない(東洋経済オンライン)。
  • 米国の対中輸出規制(半導体・AI関連)の現行措置に、本日時点で新たな決定は確認できず継続している。

要因の連続性

  • 継続要因: 9月24日の米中首脳会談を控えた追加関税7.5%の観測、および対中輸出規制の現行措置は、前回に続き地政学リスクとして働き続けている。
  • 新規要因: 中国商務部による公式な反対表明と、USTRの関税対象品目の広がり(アルミニウム・自動車・電池・鉄鋼・セメント・電子製品・工作機械・半導体・太陽光)が、地政学リスクの具体性を増す新規要因として加わった。また人民銀行が資金供給を「加量」から「等量」に切り替えたことは、金融緩和スタンスがやや慎重化した新規のニュアンスとして加わった。
  • 解消した要因: なし(取引再開前で、値動きに基づく要因の解消・後退を判断する材料に乏しい)。

1. 市況サマリー

本土市場(上海・深セン)・香港市場ともに9月7日(月)は通常どおりの取引日だが、本レポート作成時点では確定した本日終値を確度の高い出典で確認できなかったため、直近の確定値である9月4日(金)終値を記載する。

指数 直近確定終値(9/4) 前日比
上海総合指数 3,930.12pt -0.30%
CSI300(滬深300) 4,548.05pt -0.10%
香港ハンセン指数 25,650.87pt +1.74%
ハンセンテック指数 4,569.80pt +2.27%

出典: Investing.com中文(上証指数)、Investing.com中文(香港恒生指数)

2. 指数別動向

本土(上海・CSI300)

9月4日終値(上海総合3,930.12・CSI300は4,548.05)から新規の取引はない。9月7日は取引日のため、週明けの寄り付き以降にどう反応するかが焦点となる。とくに、人民銀行が資金供給オペを「等量続作」に切り替えたこと、および米国の対中関税審査の品目が広がったことの両方が、週明けの地合いに影響しうる材料として持ち越されている(中新社、Investing.com中文)。

香港(ハンセン・ハンセンテック)

9月4日終値(ハンセン25,650.87・ハンセンテック4,569.80)から新規の取引はない。前回報告した米利上げ観測後退を受けたテック株中心の反発地合いが週明けまで持ち越される一方、対中関税の審査対象拡大の観測は、香港上場テック株・中国ADRの地合いに新たな不確実性を持ち込む材料になり得る(Investing.com中文(恒生))。

3. 当局・政策の動き

  • 人民銀行(PBOC): 9月7日、3か月物(89日)買い切り型リバースレポ5000億元を、固定数量・利率入札・複数落札方式で実施した(決定済み・実施済み)。同日満期を迎える同額の3か月物買い切り型リバースレポの借り換えにあたり、流動性の純供給量は据え置き。直近2か月は加量続作(2000億元ずつの上乗せ)だったのに対し、今回は等量続作にとどまった点は、資金繰り運営のスタンスがやや慎重に振れたことを示唆する(中新社、北京日報客戶端)。ローンプライムレート(LPR)は8月20日公表分(1年3.0%・5年超3.5%)から変更なく、次回改定は9月22日を予定。
  • 証監会(CSRC)・国務院: 本日時点で、市場の需給に直接影響する新規の資本市場改革措置や景気対策の発表は確認できなかった。
  • 米国側の通商措置(観測)と中国側の公式反応(決定済み): 米国政府は、中国の「構造的な過剰生産能力」を理由とした通商法301条調査に基づき、9月24日の米中首脳会談前の発表を念頭に追加関税7.5%を検討しているとされ、対象品目にはアルミニウム・自動車・電池・鉄鋼・セメント・電子製品・工作機械・半導体・太陽光パネルなどが挙がっている。税率は最終決定前の段階であり、あくまで検討中の観測にとどまる。これに対し中国商務部は8月27日、301条調査を「単一主義・保護主義」だとして反対する立場を公式に表明した。こちらは観測ではなく、政府が公表した発言である(Investing.com中文、新浪新聞)。

4. 経済指標

直近の指標としては、9月3日発表の中国8月RatingDog(旧財新)サービス業PMIが51.4(7月の50.4から改善、市場予想50.6を上回る)となり、新規受注の増加と4か月連続の雇用増加が確認された。一方、国家統計局の公式統計では非製造業PMIが49.3(横ばい圏)にとどまり、民間調査(財新)と公式統計の間で評価が食い違っている点は、どちらか一方を「正しい」と断定せず両論併記とする(Investing.com)。8月31日発表の国家統計局・製造業PMIは49.8%(前月から0.6ポイント上昇)で、既に織り込み済みの材料である。

本日時点で、中国本土市場に影響する新たな月次経済指標の発表・改定は確認できなかった。週内は9月8日に中国8月の貿易収支(輸出入)、9月9日に中国8月の消費者物価指数(CPI)・生産者物価指数(PPI)の発表が予定されている(Investing.com(貿易収支))。

6. 米中関係と注目銘柄

米国政府は、中国の構造的な過剰生産能力を理由とした通商法301条調査に基づき、9月24日に予定される米中首脳会談を前に追加関税7.5%の導入を検討しているとされる。米通商代表部(USTR)はアルミニウム・自動車・電池・鉄鋼・セメント・電子製品・工作機械・半導体・太陽光パネルなど広範な品目を審査対象としており、名目上より高い税率をいったん発表したうえで一部を執行停止し、実質7.5%に着地させる案が検討されているという。現行の強制労働関連関税12.5%に上乗せされれば対中関税は合計およそ20%となり、これは米中間の通商休戦の水準と整合的とみる向きがある一方、半導体については既存の関税と単純合算されると最大70%に達しうる品目が生じるとされる。税率・実施時期はまだ最終決定していない観測段階である(Investing.com中文)。

これに対し中国商務部は8月27日、301条調査を「単一主義・保護主義」的な行為だとして反対する意思を公式に表明した。市場観測ではなく政府の公表済みの発言として扱う(新浪新聞)。

習近平国家主席は9月23〜25日にワシントンを訪問し、24日にトランプ大統領と会談する見通し。前回は報道ベースだったが、今回はホワイトハウスが公式に訪問を確認した。国連総会一般討論(9月22日開始)には出席せず、会談翌日の25日にはワシントンを離れる短期日程とされる(VOA中文)。

市場が取引再開前のため、個別銘柄の新たな値動きは確認できていない。ただし、審査対象に半導体・自動車・電池・太陽光が挙がっていることから、これらのセクターに連なる銘柄(テンセント・アリババなどのプラットフォーム株、BYD・CATLなどのEV/バッテリー株、SMICなどの半導体株)の週明け以降の値動きが注目される。前回報告済みの美団・百度・網易・京東・アリババのテック株上昇、および半導体関連の下落は、週明けまで持ち越される地合いとして注視する。

7. 強気派 vs 弱気派

本日、複数の経済系メディアを確認したが、新規に日付の確認できる強気・弱気論評は見つからなかった。前回までに報告した構図(強気派: 増益期待・バリュエーションの割安さを根拠とする見方、弱気派: 追加関税・地政学リスクを根拠に慎重姿勢を取る見方)が概ね継続しているとみられるが、本日時点で新規の発言者・根拠を出典付きで確認できなかったため、具体的な社名・数値の再掲は見送る。

8. テクニカル分析

取引再開前のため、テクニカル指標は9月4日時点の水準から更新されていない。

上海総合指数は50日移動平均(単純)3,947.29・200日移動平均(単純)3,899.68に対し、終値3,930.12は50日線を下回りつつ200日線は上回る水準で、日足ベースの総合シグナルは「strong sell(強い売り)」とされる水準。14日RSIは41.5程度で、売られすぎとされる水準にはまだ達していない。

ハンセン指数は50日移動平均(単純)25,439.74・200日移動平均(単純)25,572.92に対し、終値25,650.87はいずれの移動平均線も上回る水準で、総合シグナルは「strong buy(強い買い)」とされる水準。14日RSIは60.3程度で、70程度とされる買われすぎ水準には達していない。

南向き資金(香港ストックコネクト経由)・AH株プレミアム指数の確定値は、本レポート作成時点で確度の高い出典をもって確認できなかったため、次回改めて確認する。

9. 本日の注目点

  • 9月7日実施の人民銀行3か月物買い切り型リバースレポ5000億元(等量続作)を受けた、週明けの資金繰り環境と金利動向。
  • 9月8日発表予定の中国8月貿易収支(輸出入)、9月9日発表予定の消費者物価指数(CPI)・生産者物価指数(PPI)。
  • 9月24日の米中首脳会談を前に、追加関税7.5%(半導体は合算で最大70%との観測)の対象品目と税率がどこまで固まるか、および中国商務部の反対表明が交渉にどう影響するか。
  • 週明け(9月7日)の取引再開時に、本土・香港市場、とくに半導体・EV/バッテリー・太陽光関連銘柄がどう反応するか。
  • ハンセン指数のテクニカルシグナルが「strong buy」の状態を、休場明けの取引でも維持できるかどうか。