前回からの変化
変わったこと(変化・新規)
- 原油急反発の材料が「トランプ大統領の対イラン強硬発言」から「フーシ派のサウジ攻撃」へと切り替わった。イラン支援のフーシ派(イエメン)が24日、サウジアラビアの首都リヤドの「機密目標」とヤンブーのサウジアラムコ施設にミサイル・ドローン攻撃を実施したと表明し、サウジ主導連合は6発の弾道ミサイルを迎撃したと発表した。この報道でブレント原油は一時108.23ドルまで急騰する場面があった(新規、Al Jazeera)。
- 一方で、米国とイランの交渉団がニューヨークで、イランがホルムズ海峡を再開し米国が経済封鎖を緩和する「段階的合意」を協議しているとの報道が伝わり、原油は日中の上げ幅を縮小した。WTIは前日比2.82%高の94.76ドル、ブレントは3.83%高の107.03ドルで着地した(新規、Yahoo Finance)。
- 前回は原油急反発を受けて金・銀が下落した一日だったが、今回も同じ構図が継続し、金は4,274.43ドル(前日比-0.30%)、銀は63.85ドル(-0.92%)とさらに下落した。ドル指数の高止まりと米10年債利回りの2007年以来の高水準での高止まりが引き続き重しとなっている(継続、TradingEconomics: 金)。
- 天然ガスは前回の3.02ドル(7月8日以来の高値)からさらに3.22ドルへ上昇(+6.67%)し、今秋の高温予想に加えて日量生産量が11週間ぶりの低水準に落ち込むとの見通しが新たな押し上げ材料に加わった(新規)。
- 大豆は1,317.88セント/bu(前日比ほぼ横ばい)と、前回の1,318.00セント/buからほとんど動いておらず、方向感の乏しい展開が続いている(継続、TradingEconomics: 大豆)。
昨日と同じこと(継続)
- 銅の供給不安という論点は継続している。Sprott Asset Managementが指摘したチリ・インドネシア・コンゴ民主共和国での生産減少という構図に新たな進展は確認できなかったが、銅価格は6.70ドル/ポンド(前日比+0.31%)と記録的な高値圏を維持しており、供給逼迫観測は市場で引き続き意識されている(継続)。
- ドル高・米金利高を背景とした金・銀の下落基調は前回から変わっていない(継続)。
要因の連続性
- 継続要因: ドル高・米長期金利高(金・銀の押し下げ)、銅の供給逼迫観測(Sprott指摘)、天然ガスの季節的な発電需要増観測。
- 新規要因: フーシ派によるサウジアラビア(リヤドおよびヤンブー)攻撃という新たな地政学リスク、米国とイランのホルムズ海峡「段階的再開」協議という交渉進展、天然ガスの生産減少(日量11週間ぶり低水準)という供給要因。
- 解消した要因: 前回材料だったトランプ大統領の対イラン強硬発言そのものは後景化し、今回はフーシ派の攻撃と米イラン交渉の進展という材料に置き換わった。地政学リスクプレミアムは完全には剥落せず、新たな材料で再燃と後退を繰り返している。
1. 価格サマリー
| 商品 | 価格(目安) | 変化 | 限月・指標 |
|---|---|---|---|
| 金 | 4,274.43ドル(9/24) | 前日比-0.30% | スポット目安 |
| 銀 | 63.85ドル(9/24) | 前日比-0.92% | スポット目安 |
| WTI原油 | 94.76ドル(9/24) | 前日比+2.82% | NYMEX期近 |
| ブレント原油 | 107.03ドル(9/24) | 前日比+3.83%(日中一時108.23ドル) | ICE期近 |
| 銅 | 6.70ドル/ポンド(9/24) | 前日比+0.31%、高値圏を維持 | Comex目安 |
| 天然ガス | 3.22ドル/MMBtu(9/24) | 前日比+6.67% | Henry Hub |
| 大豆 | 1,317.88セント/bu(9/24) | ほぼ横ばい | CBOT目安 |
原油はフーシ派のサウジ攻撃とホルムズ海峡再開協議という綱引きの中で乱高下し、金・銀はドル高で続落、天然ガスは季節要因で上昇が加速した(TradingEconomics: WTI原油、TradingEconomics: ブレント原油)。
2. 商品別動向
金・銀
金は前日比0.30%安の4,274.43ドル、銀は0.92%安の63.85ドルと、いずれも続落した。ドル指数の高止まりと、2007年以来の高水準にある米10年債利回りが無利息資産である貴金属の重しとなる構図が続いている。Kitcoは、地政学リスク(ホルムズ海峡情勢)が下支えになり得るとの強気の見方がある一方、経済指標の底堅さやインフレ圧力が続けば実質利回り・ドルを通じた下押し圧力が続くとの弱気の見方もあると伝えている。金銀レシオはおよそ67倍と前回(66.5倍)からわずかに上昇した(Kitco News)。
原油
イラン支援のフーシ派(イエメン)は24日、サウジアラビアの首都リヤドの「機密目標」と、紅海沿いの石油積出拠点ヤンブーのサウジアラムコ施設にミサイル・ドローン攻撃を実施したと表明した。サウジ主導連合は、南部ターイフとヤンブー方面へ向けられた弾道ミサイル6発を迎撃したと発表した。ヤンブーは、9月11日にイラク系民兵によるとされるドローン攻撃で一時停止していた東西パイプラインの操業再開直後の地域であり、供給不安が再燃した。この報道を受けブレント原油は一時108.23ドルまで急騰したが、その後、米国とイランの交渉団がニューヨークで、イランによるホルムズ海峡再開と米国による経済封鎖緩和を組み合わせた「段階的合意」を協議しているとの報道が伝わり、上げ幅を縮小した。終値ベースではWTIが前日比2.82%高の94.76ドル、ブレントが3.83%高の107.03ドルとなった(Al Jazeera、Yahoo Finance)。
銅
Comex銅はおよそ1ポンド6.70ドル(前日比+0.31%)と、記録的な高値圏を維持している。前回既報のSprott Asset Managementによる指摘(チリの産出減少、インドネシア・コンゴ民主共和国の鉱山混乱により世界の鉱山銅生産が2017年以来初めて年間ベースで減少する可能性、影響は推計60万トン規模)について、本日新たな続報は確認できなかったが、高値圏の値動きはこの供給不安観測と整合的である(TradingEconomics: 銅)。
天然ガス・農産物
天然ガス(Henry Hub)は3.22ドル/MMBtuまで上昇(前日比+6.67%)し、前回の3.02ドル(7月8日以来の高値)からさらに値を伸ばした。今秋の高温予想によるガス火力発電向け需要増観測に加え、日量生産量が11週間ぶりの低水準に落ち込むとの見通しが新たな押し上げ材料となった。農産物は方向感に乏しい展開が続き、大豆(CBOT目安)は1,317.88セント/buと前回からほぼ横ばいだった(TradingEconomics: 天然ガス、TradingEconomics: 大豆)。
3. 急変動の特集
原油(ブレント)は24日、日中に一時108.23ドルまで急騰する場面があった。前日終値からおよそ5パーセントの上昇にあたる値動きで、イランを支援するフーシ派(イエメン)がサウジアラビアの首都リヤドの「機密目標」と、紅海沿いの石油積み出し拠点ヤンブーのサウジアラムコ施設にミサイル・ドローン攻撃を実施したと表明したことが引き金となった。サウジ主導連合は弾道ミサイル6発を迎撃したと発表している。ヤンブー周辺は、9月11日のドローン攻撃で一時停止していた東西パイプラインが再開した直後の地域であり、供給不安が改めて意識された(Al Jazeera)。
もっとも、その後は米国とイランの交渉団がニューヨークで、イランによるホルムズ海峡再開と米国による経済封鎖緩和を組み合わせた「段階的合意」を協議しているとの報道が伝わり、上げ幅は縮小した。終値ベースではブレントが前日比3.83%高の107.03ドル、WTIが2.82%高の94.76ドルとなった。エネルギーコストの急な変動は、ガソリン・軽油価格や電気代を通じた物価への波及、および利上げをめぐるFRBの判断への影響が見込まれる。今後の焦点は、フーシ派の攻撃がさらなる報復の連鎖を招くか、それとも米国とイランの交渉が進展し地政学リスクプレミアムが縮小に向かうかである(Yahoo Finance)。
4. 強気派 vs 弱気派
原油
- 強気: フーシ派によるサウジアラビア(リヤドおよびヤンブー)攻撃で、東西パイプライン周辺の供給不安が再燃したとの見方が広がった(新規、Al Jazeera)。
- 弱気: 米国とイランがホルムズ海峡の段階的再開で合意に近づいているとの報道を受け、地政学リスクプレミアムは剥落しやすいとの見方が広がり、実際に日中の上げ幅は大きく縮小した(新規、Yahoo Finance)。
金・銀
- 弱気: Kitcoは、ドル高・米金利高・FRBの追加利上げ観測が金・銀の重しになっていると指摘した(継続、Kitco News)。
- 強気: 同じくKitcoは、ホルムズ海峡を巡る地政学リスクが金・銀の下支え材料になり得るとの見方も伝えている(継続、Kitco News)。
銅
- 強気: 前回既報のSprott Asset Managementによる世界の鉱山銅生産の構造的減少見通しが、高値圏の値動きの背景として引き続き意識されている(継続)。
5. 地政学・物価関連ニュース
フーシ派によるサウジアラビア攻撃と、米国・イランによるホルムズ海峡段階的再開協議という相反する材料が交錯し、原油価格は乱高下した。エネルギーコストの変動は電気代・ガソリン価格を通じた物価への波及が見込まれ、FRBの金融政策運営にも影響しうる(詳細はfx・us_stockカテゴリ参照)。天然ガスの上昇(生産減少・高温予想)も、冬場に向けた電気・ガス料金の動向として注視される(TradingEconomics: 天然ガス)。
6. テクニカル分析
金: 4,274.43ドルまで下落し、前回の4,307.63ドルからさらに調整した。Kitcoによれば、目先のレジスタンスは4,334.00ドル・4,370.00ドル、サポートは4,291.00ドル・4,260.00ドルの水準とされる。より長い目線では4,400〜4,500ドル帯が強気・弱気を分ける節目とされ、現状はその下でもみ合う展開である(Kitco News)。
銀: 63.85ドルまで下落した。Kitcoによれば、目先のレジスタンスは65.720ドル・67.390ドル、サポートは64.530ドル・62.540ドルの水準とされる。金銀レシオはおよそ67倍に上昇しており、銀が金に対して相対的に売られやすい局面が続いている。
WTI原油・ブレント原油: いずれも年初来高値圏(年間ベースでWTIは前年比+45%超)にあり、フーシ派攻撃とホルムズ海峡協議という材料が綱引きする中で振れ幅の大きい展開となっている。トレンドとしては地政学リスクプレミアムが積み上がりやすい局面が続いているとされるが、交渉進展が伝わるたびに急速に巻き戻される脆さもあわせ持つ。
銅: 6.00〜6.10ドル帯だった従来の抵抗帯を上回って定着しており、これが新たな下値支持帯になっているとの分析がある。次の節目として7.10ドル前後が意識されているとの指摘もある(参考、Discovery Alert)。
天然ガス: 7月8日以来の高値圏をさらに更新しており、季節要因(高温予想)と供給要因(生産減少)の両輪で上昇基調が強まっている。
農産物: 大豆はほぼ横ばいで方向感に乏しい展開が続いている。トウモロコシは2023年7月以来の高値圏で推移しているとの情報があるが、本レポート作成時点で確度の高い当日データを確認できなかった(次回以降で補う)。

