前回からの変化

変わったこと(変化・新規)

  • 24日、ホワイトハウスでトランプ大統領と習近平国家主席の首脳会談が開催された。両首脳は昨年釜山で合意した貿易「休戦」を、期限だった11月10日から2027年1月10日まで2カ月延長することで合意した(スコット・ベセント財務長官が発表)。台湾問題では習主席が「台湾独立」への反対を米側に促し、AI規制についてトランプ氏は新たな規制は不要との立場を示唆したほか、両軍の危機予防対話の継続、麻薬密輸対策での協力、中国で拘束されている米国人らの釈放協議などが取り上げられた。アナリストの間では「象徴的な合意にとどまり、実質的な進展は限定的」との評価が多い(新規、Investing.com)。
  • 上海総合指数は前回(23日)の0.39%安から一段安となり、1.22%安(48.15pt安)の3,888.37ポイントと2営業日続落した。深セン成分指数も2.34%安の13,316.97ポイント、創業板指数は2.68%安の3,288.95ポイントと、ハイテク・グロース株中心に下げが加速した(新規、財経新聞、みんかぶ)。
  • 前回、指数全体の下落とは逆行高していた不動産セクターが一転して反落に転じた。前日8%超上昇した万科Aは4.08%安となり、香港上場の融創中国(-4.58%)・新城発展(-2.97%)・緑城中国(-2.64%)も下落した。背景には、モルガン・スタンレーなど複数の証券会社が「全国一律の住宅ローン補助金政策が実現する可能性は限定的、実施されても規模・実行細則次第」と慎重な見方を強めたことがある(新規、Investing.com、163.com)。
  • 一方で香港上場の不動産関連では恒大物業(+7%超)・世茂集団(+5%超)・雅居楽集団(+3%超)が上昇するなど、同じ不動産セクターでも銘柄によって明暗が分かれた(新規、FX168)。
  • 米中首脳会談を前に、ゴールドマン・サックスの調査では海外投資家の46%・国内投資家の38%が会談後の中国株上昇を見込むとの結果が示された一方、中国大使は台湾・人権を「レッドライン」と改めて表明し、市場では妥協余地の乏しさへの警戒も残った(新規、Bloomberg)。

昨日と同じこと(継続)

  • 米中首脳会談への関心が市場の中心テーマであり続けている点は前回から変わらない。会談当日も様子見ムードが続いた。
  • 中国人民銀行の金融政策は緩和的な資金供給姿勢を継続しており、24日は1年物MLF(中期貸出制度)を8,000億元、7日物リバースレポを515億元それぞれ実施した(継続、中新網)。LPR(1年物3.0%・5年超3.5%)は9月20日の据え置きから変更なし。

要因の連続性

  • 継続要因: 米中首脳会談への関心、住宅ローン補助金観測への注目は前回に続き市場の中心テーマである。
  • 新規要因: 会談当日の「様子見」から一歩進み、貿易休戦の2カ月延長という具体的な合意が出た一方、米追加利上げ観測・原油高警戒という新たな下押し要因が加わった。
  • 解消した要因: 前回の不動産株急伸の主因だった補助金観測への期待が、複数証券会社の慎重な見方によって後退し、上昇要因としては一部解消した(銘柄によっては継続)。

1. 市況サマリー

指数 市場・通貨 終値 前日比 備考
上海総合指数 本土・人民元建て 3,888.37pt -1.22% 2営業日続落
CSI300(滬深300) 本土・人民元建て ― ― 終値未確認(参考: 深セン成分指数13,316.97pt・-2.34%、創業板指数3,288.95pt・-2.68%)
香港ハンセン指数 香港・香港ドル建て 24,761.13pt -0.29% 3営業日続落
香港中国企業指数(H株) 香港・香港ドル建て 8,266.01pt -0.09% ほぼ横ばい
ハンセンテック指数 香港・香港ドル建て 4,361.13pt -0.41% 続落
紅籌指数 香港・香港ドル建て 4,020.12pt -0.18% ほぼ横ばい

(取得時点: 2026年9月24日引け値。出典: 財経新聞、みんかぶ、みんかぶ、FX168)

2. 指数別動向

本土(上海・CSI300)

上海総合指数は前日比1.22%安(48.15pt安)の3,888.37ポイントと2営業日続落した。深セン成分指数は2.34%安、創業板指数は2.68%安とグロース株の下げが目立ち、米国の追加利上げ観測やイラン核協議の難航に伴う原油高への警戒、24日の米中首脳会談を控えた様子見・国慶節連休前のポジション調整売りが重荷となった。セクター別では半導体・ソフトウェア関連が売られ、家具・アパレル関連の一角が買われた。不動産セクターは一転して反落し、前日8%超上昇した万科Aは4.08%安となった。同社は9月22日に「3営業日累計の株価変動が20%を超えた」として異常値変動を公告しており、その反動も重なったとみられる(財経新聞、163.com)。

香港(ハンセン・ハンセンテック)

香港ハンセン指数は0.29%安(72.99pt安)の24,761.13ポイント、ハンセンテック指数は0.41%安の4,361.13ポイントと3営業日続落した。大型テック株は明暗が分かれ、テンセントが0.59%安・京東集団が0.47%安となる一方、アリババは0.18%高、小米集団は1.53%高となった。半導体・光通信・PCB関連(広合科技6%超安、兆易創新5%超安、剣橋科技・長飛光繊光纜4%超安)が売られたほか、金鉱株(紫金黄金国際)も5%超下落した。一方、内房株(不動産株)は銘柄によって明暗が分かれ、香港上場の恒大物業(+7%超)・世茂集団(+5%超)・雅居楽集団(+3%超)は上昇した半面、融創中国(-4.58%)・新城発展(-2.97%)・緑城中国(-2.64%)は下落した。石油株(中国石油)は原油高を受け2%超上昇し逆行高となった(FX168、Investing.com)。

3. 当局・政策の動き

  • 人民銀行(PBOC): 24日、1年物MLF(中期貸出制度)を8,000億元、7日物リバースレポを515億元実施した。あわせて9月28日〜10月8日に翌日物リバースレポ(1日あたり上限1兆元)を実施すると公告した。LPR(1年物3.0%・5年超3.5%)は9月20日の据え置きから変更なし(継続、中新網)。
  • 財政部・地方政府(観測): 前日から続く「財政部20〜50bp・地方20〜50bp、最大100bpの補助で初回住宅ローン金利を2%まで引き下げる」との観測に対し、24日はモルガン・スタンレーを含む複数の証券会社が「全国一律での実現可能性は限定的、実施されても規模・実行細則次第」と慎重な見方を示した。当局からの正式発表は確認できず、引き続き市場観測の段階である(新規、Investing.com)。
  • CSRC・取引所: 新たな制度変更の発表は確認できなかった(継続)。
  • 国務院・全人代: 新たな景気対策・財政出動の公式発表は確認できなかった。

4. 経済指標

9月24日は主要な中国経済指標の発表はなかった。8月分の主要指標(鉱工業生産+5.2%、小売売上高+0.4%、固定資産投資-7.2%、不動産開発投資-19.9%)は前回既報のまま更新はない。財新9月製造業PMIの発表は9月30日の予定で、本レポート時点では未発表。

5. 不動産・地方債務

前日は住宅ローン補助金観測を好感して急伸した不動産セクターだが、24日は一転して波乱含みの展開となった。本土の万科Aは4.08%安と反落し、9月22日に公告した株価異常値変動(3営業日累計の変動幅が20%を超えたこと)への反動も重なったとみられる。香港上場銘柄では、融創中国(-4.58%)・新城発展(-2.97%)・緑城中国(-2.64%)が下落した一方、恒大物業(+7%超)・世茂集団(+5%超)・雅居楽集団(+3%超)は逆行高となり、同じセクター内でも銘柄によって評価が割れた。補助金政策自体については、モルガン・スタンレーをはじめ複数の証券会社が「全国一律実施の可能性は限定的」と慎重な見方を示しており、当局の正式発表は依然として確認できていない。決定済みの政策ではなく観測の段階にとどまる点に留意が必要である(Investing.com、163.com、FX168)。

6. 米中関係と注目銘柄

24日、ホワイトハウスでトランプ大統領と習近平国家主席の首脳会談が行われた。5月の北京での会談以来4カ月ぶりで、習主席の訪米は10年以上ぶりとなった。会談では、昨年の釜山合意で導入した貿易休戦を2027年1月10日まで2カ月延長することで合意(スコット・ベセント財務長官が発表)したほか、台湾問題(習主席が「台湾独立」反対を要求、トランプ氏は5月訪中時保留とした140億ドル規模の台湾向け武器売却を交渉材料に)、AI規制(トランプ氏は新規制は不要との立場を示唆)、両軍の危機予防対話の継続、麻薬密輸対策、拘束中の米国人らの釈放協議などが取り上げられた。専門家からは「象徴的な合意は期待できるが、実質的な進展は限定的」との評価が多い(Investing.com)。

個別銘柄では、本土の万科A(-4.08%)が反落した一方、香港市場ではテンセント(-0.59%)・京東集団(-0.47%)が下落し、アリババ(+0.18%)・小米集団(+1.53%)は上昇するなど、大型テック株の中でも明暗が分かれた。半導体関連の兆易創新(-5%超)も下落した。BYD・CATL・SMIC・貴州茅台については、24日時点で確度の高い新規の株価材料を確認できなかった(次回以降で補う)。

7. 強気派 vs 弱気派

強気派: ゴールドマン・サックスの調査では、海外投資家の46%・国内投資家の38%が首脳会談後の中国株上昇を見込むと回答した。プライマベラ・キャピタル・グループ会長のフレッド・フー氏は「地政学的な不安定さにもかかわらず米中の企業・投資家は相互に接続性を維持し投資を続けている」と述べ、経済的な相互依存の継続に前向きな見方を示した。AI企業BrentX共同創業者のシル・ヘー氏も「AI競争で一方だけに賭けるのは大きなリスク」とし、米中双方のAI企業への分散投資を主張している(新規、Bloomberg、Investing.com)。

弱気派: 中国の駐米大使は台湾・人権を「レッドライン」と改めて表明しており、市場では妥協余地の乏しさへの警戒が残る。AI企業Atlian創業者のジェームズ・バックリー=ソープ氏は、ウォール街の対中関与姿勢を「冷戦の両サイドで手数料を得ている」と評し、関係悪化時には投資が「苦痛を伴い巻き戻される可能性がある」と警告した。不動産セクターについても、モルガン・スタンレーなど複数の証券会社が住宅ローン補助金の全国一律実施に懐疑的な見方を崩していない(新規、Bloomberg、Investing.com)。

バリュエーション面では、ゴールドマン・サックスの調査結果が示すように海外投資家の期待は一定程度高く「割安感」を意識する向きがある一方、政策リスク(台湾・人権をめぐる対立、住宅ローン補助金の実現可能性)は依然として不透明であり、両者は分けて捉える必要がある。

8. テクニカル分析(上海総合・ハンセン指数)

上海総合指数は3,888.37ポイントまで下落し、前回示したレジスタンス水準(4,000〜4,040ポイント)からさらに距離が広がった。香港ハンセン指数も24,761.13ポイントまで反落し、前回示した200日移動平均線(約25,309ポイント)との差は引き続き大きい状態が続いている。移動平均線・RSIの具体的な最新数値は今回も情報源から確度の高い値を確認できず、無理な推計は行わない。南向き資金・AH株プレミアム指数についても、24日時点で確度の高い最新値を取得できなかった(次回以降で補う)。

9. 本日の注目点

  • 24日の米中首脳会談を受けた実際の市場反応が25日のアジア市場にどう波及するか(会談は現地時間24日で、アジア市場の取引終了後に行われたため)。
  • 住宅ローン補助金の政策観測が、当局の正式発表につながるか、それとも観測にとどまり不動産株がさらに調整するか。万科Aなど反落した銘柄の値動きに注目。
  • 米国の追加利上げ観測・原油高の継続が、中国株・香港株にどう波及するか(詳細はus_stock・commodityカテゴリ参照)。
  • 国慶節連休(10月上旬)を控えたポジション調整の動きが強まるか。