前回からの変化
変わったこと(変化・新規)
- イラン・GCC・イラク会談を巡り、イラン側の立場がより具体的に判明した。イラン革命防衛隊(IRGC)は既に、両国が海域の分担と航行管理からの収益配分について合意していると説明している一方、テヘランは「米国が海上封鎖の解除・凍結資産の解除・原油制裁の解除に応じない限り海峡を再開しない」との立場を崩していないことが新たに確認できた(新規、CNN)。前回レポートでは会談の目的が「地域の相互理解の促進」という抽象的な説明にとどまっていたが、再開の実質的なハードルが米・イラン間の別の合意にある点がより明確になった。
- 銅相場の続報として、関税方針の詳細な制度設計が新たに判明した。トランプ大統領は商務長官のハワード・ラトニック氏に精製銅市場の調査と関税勧告(2027年1月に15%、2028年に30%へ引き上げる案)を指示していたが、11月の中間選挙を控えた物価高対応を優先し、決定が先送りされている状況が改めて確認できた。LME3か月物銅は9/11時点で1トン14,238ドルとほぼ横ばいで推移し、週間ではおよそ1.2%安と、6月以来続いていた10週連続の上昇局面が途切れる見通しとなった(新規・精緻化、Business Recorder)。
- 小麦相場について、上昇一服から一段の下落へ転じたことが新たに判明した。前回レポートでは移動平均線ベースで「強い買い」を示唆する上昇基調を伝えたが、CBOT小麦は1ブッシェル7.20ドルを下回り、8月28日につけた3年半ぶり高値7.67ドルから一段と値を下げた。ロシア・ウクライナ間の黒海輸出網の混乱という供給不安が続く一方、北半球の収穫期に伴う供給増、ブラジル・アルゼンチンからの代替輸出という需給緩和要因が上回った形とみられる(新規、Farm Progress)。
- 原油相場について、ブレントが金曜に上昇一服し1バレルおよそ104ドルで取引を終えたことが新たに確認できた。イラン国営メディアがオマーンでの会談開催を伝えたことが、地政学リスクプレミアムの一服につながったとみられる(新規、Trading Economics)。
昨日と同じこと(継続)
- 米欧の商品先物取引所は9/12(土)・9/13(日)とも休場で、金・銀・天然ガスの清算値は9/11(金)から更新されていない。
- 金は9/13時点でおよそ4,349ドルと、前回報告の4,361ドル近辺からほぼ横ばいで推移している。
- FOMC(9/15-16)を控えた利上げ観測とドル高地合いは継続しており、金・銀の重しとなっている。
- 銅のAIデータセンター需要という構造的な需給逼迫要因、新規鉱山開発のリードタイムの長さを根拠にした強気派の見方は変わっていない。
要因の連続性
- 継続要因: FOMC(9/15-16)を控えた利上げ観測とドル高、銅のAIデータセンター需要・関税観測の停滞、ロシア・ウクライナの黒海攻撃による穀物供給不安。
- 新規要因: (1) イランが海峡再開に米・イラン間の別合意を条件としている立場の明確化、(2) 銅の関税方針(2027年15%→2028年30%の案)の制度設計の判明と10週ぶりの週間下落、(3) 小麦が収穫期の供給増で黒海要因を上回り続落。
- 解消した要因: 特になし。
1. 価格サマリー(2026年9月13日(土)時点、米欧は取引所休場中)
| 商品 | 価格(目安) | 変化 | 限月・指標 |
|---|---|---|---|
| 金 | 4,349 USD/oz前後 | 前回既報(4,361ドル)からほぼ横ばい | スポット目安 |
| 銀 | 64ドル前後(既報) | 取引所休場、大きな変化なし | 期近先物 |
| WTI原油 | 100ドル近辺(既報) | 大きな変化なし | NYMEX期近 |
| ブレント原油 | 104ドル前後 | 金曜に上昇一服 | ICE期近 |
| 銅(LME) | 14,238 USD/トン | 週間およそ-1.2%、10週ぶりの週間下落 | LME3か月物 |
| 小麦 | 7.20ドル/ブッシェル割れ | 続落、3年半ぶり高値(7.67ドル)から下落継続 | CBOT期近 |
金・銀・原油の数値は前回レポート(2026-09-13)の水準を引用(米欧の先物市場が休場のため更新なし)。銅・小麦は新たな報道で数値を更新した。
2. 商品別動向
金・銀
金は9/13時点でおよそ4,349ドルと、前回報告の4,361ドル近辺からほぼ横ばいで推移している。米欧の取引所は休場のため新たな清算値はない。FOMC(9/15-16)の結果が最大の材料であることに変わりはなく、利上げが決定されれば追加の下押し要因になる一方、「タカ派的な一回限りの利上げ」で打ち止め観測が強まれば出尽くし感から反発する可能性がある(既報)。
原油
ブレントは金曜に上昇一服し、1バレルおよそ104ドルで取引を終えた。イラン国営メディアが本日のオマーン会談を伝えたことが地政学リスクプレミアムの一服につながったとみられる。もっとも、IRGCは既にイラン・オマーン間で海域分担・収益配分について合意していると説明する一方、テヘランは米国による海上封鎖の解除・資産凍結の解除・原油制裁の解除がない限りホルムズ海峡を再開しないとの立場を崩しておらず、本日の会談だけで危機が解消するとは限らない(CNN)。
天然ガス
天然ガスは前回報告の2.83ドル/MMBtu近辺から大きな変化はないとみられる(米欧市場休場のため)。
農産物
CBOT小麦は1ブッシェル7.20ドルを割り込み、8月28日につけた3年半ぶり高値7.67ドルから一段と値を下げた。ロシアの黒海・アゾフ海沿岸の穀物輸出網の混乱という供給不安が続く一方、北半球の収穫期に伴う供給増、ブラジル・アルゼンチンからの代替輸出拡大という需給緩和要因が優勢になっているとみられる(Farm Progress)。大豆・トウモロコシも同様に9/11にかけて軟調な値動きとなった。
3. 急変動の特集
特集は「銅」の続報(10週ぶりの週間下落、関税方針の制度設計判明)。LME3か月物銅は9/11時点で1トン14,238ドルとほぼ横ばいで推移し、週間ではおよそ1.2%安、6月以来10週連続していた上昇局面が途切れる見通しとなった。背景として、トランプ大統領が商務長官ハワード・ラトニック氏に指示していた精製銅の関税案(2027年1月に15%、2028年に30%へ段階的に引き上げ)について、11月の中間選挙を控えた物価高対応を優先する形で決定が先送りされている状況が改めて確認できた(Business Recorder)。生活・産業への波及としては、前回同様、電線・建材・データセンター建設コストの上振れを通じた住宅・電子機器価格への波及が引き続き警戒されるが、関税決定の先送りが続く間は、その上振れ圧力もいったん和らぐ可能性がある。
4. 強気派 vs 弱気派
金・銀
- 強気: FOMCが「タカ派的な一回限りの利上げ」で打ち止めとなれば出尽くし感から反発しやすいとの見方(既報)。
- 弱気: 原油高と米金利上昇が重なる中で上値が抑えられやすいとの分析(既報)。
原油
- 強気: テヘランが米国側の追加譲歩(海上封鎖解除・資産凍結解除・制裁解除)なしには海峡を再開しないとの立場を崩しておらず、地政学リスクプレミアムの完全な剥落は時期尚早との見方(CNN)。
- 弱気: 本日の会談が航行管理の暫定合意につながれば、ブレントの上昇一服がさらに進む可能性がある。
銅
- 強気: データセンター向け需要の拡大、新規鉱山開発のリードタイムの長さを根拠にした構造的な需給逼迫の見方は変わらない(既報)。
- 弱気: 関税方針の決定先送りが続く限り、関税プレミアムの一段の剥落が銅安要因として働くとの見方(継続、Business Recorder)。
小麦
- 強気: ロシアの黒海・アゾフ海沿岸の穀物輸出網混乱による供給不安(既報)。
- 弱気: 北半球の収穫期に伴う供給増、ブラジル・アルゼンチンからの代替輸出拡大が需給を緩和させているとの見方(新規、Farm Progress)。
5. 地政学・物価関連ニュース
イランと湾岸協力会議(GCC)加盟6カ国、イラクの外相は本日、オマーン南部サラーラでホルムズ海峡の航行管理を巡る協議を行う。イラン革命防衛隊(IRGC)は既にイラン・オマーン間で海域の分担と航行管理からの収益配分について合意していると説明している一方、テヘランは米国による海上封鎖の解除・凍結資産の解除・原油制裁の解除に応じない限り海峡を再開しないとの立場を崩していない(CNN)。本日の会談は地域各国間の枠組み作りの一歩とはなり得るが、完全な航行再開には米・イラン間の別途の合意が必要になる可能性が高い。
物価面では、銅の関税方針決定の先送りが住宅・電子機器コストの上振れ懸念をやや和らげる一方、小麦の需給緩和は食品価格にとってはやや下押し方向に働く材料といえる。FOMC(9/15-16)を控えた利上げ観測はなお高水準で、ドル高地合いが金・銀の重しとなっている構図に変化はない。
6. テクニカル分析
金: 4,300〜4,400ドル帯での推移が続くとみられ、ドル指数の底堅さが上値を抑えやすい地合いに変化はない(既報の分析から大きな更新なし)。
銀: 前回示した弱気のパターン(ヘッドアンドショルダーズのネックライン割れ)、62.55ドルを下回ると61.01ドル・60.00ドルが視野に入るとの分析は変わらない。
WTI原油: 心理的節目の100ドルが上値抵抗、90〜92ドル帯が当面の支持という構図は変わらない。本日のオマーン会談の結果次第で、いずれの方向にも大きく振れやすい地合いが続くとみられる。
銅: 史上最高値14,875ドル(9/9)からの反落が続いており、10週続いた上昇トレンドの終了が視野に入っている。関税方針の決定時期が次の材料になる。
小麦: 3年半ぶり高値7.67ドル(8月28日)からの下落が続いており、直近の上昇トレンドはいったん崩れた形。黒海情勢の悪化と収穫期の供給増のどちらが優勢になるかが、来週にかけての値動きの手掛かりとなりそうだ。

