前回からの変化
変わったこと(変化・新規)
- 9月11日(金)の米国株の値動きの背景が新たに詳しく判明した。前回レポートでは3指数の終値(S&P500=7,656.85、ナスダック100=29,368.44、NYダウ=52,572.81)を「休場のため変動なし」とのみ記載していたが、実際には金曜の取引で3指数がそろって上昇していたことが分かった。TheStreetおよびstockmarketwatch.comによれば、8月CPIが総合前年比3.4%・前月比0.4%といずれも市場予想通りとなり(コア指数は前月比0.3%とわずかに予想を上回ったが年率2.4%は予想通り)、これに原油価格の反落が重なったことで、投資家心理を圧迫していた「原油高・利回り上昇・追加インフレ懸念」という重しが一時的に外れ、4営業日続落からの決定的な反発になったという(新規、TheStreet、stockmarketwatch.com)。
- VIX(恐怖指数)の終値について、前回レポートは17.84としていたが、複数の一次情報を確認したところ、9/11終値は15.84(前日比-11.21%)であったことが新たに確認できた。CPI発表前の週半ばにかけて17.85前後まで上昇していた警戒感が、発表後に大きく後退した形とみられる(訂正・精緻化、stockmarketwatch.com、IG Bank Switzerland)。
- テクニカル分析で新たな強気の見方が確認できた。ActionForexの9/12付分析は、S&P500が日足の上昇トレンドを継続しているとし、次のレジスタンスを7,765ポイント、その先を7,800〜7,833ポイント程度と位置づけた。移動平均線ベースのシグナルは「買い8・売り4」とされ、前回レポートで紹介したLiteFinanceの弱気寄りの分析(支持線7,670ドル、季節性への警戒)とは異なる強気の視点が新たに加わった(新規、ActionForex)。
- IG銀行スイスの週間見通し(9/11付)により、来週の中央銀行トリプルヘッダーの確率観測が新たに整理された。FRBの利上げ確率はおよそ70%、BOEはおよそ25%、日銀はおよそ90%とされ、複数の集計元でばらつきがあるものの、日銀の確度が最も高いという構図が改めて確認できた。同行は、原油高・利回り上昇を根拠に来週は弱気材料が優勢とみている(新規、IG Bank Switzerland)。
昨日と同じこと(継続)
- 3指数は9/11(金)終値のまま、9/12・9/13の休場を経て変動していない(米国市場の取引再開は現地9/15)。
- FOMC(9/15-16)前のブラックアウト期間が続き、FRB高官の新規発言は確認できない。
- 来週はレナー(9/16引け後)・ゼネラル・ミルズ(9/16朝)・ダーデン・レストランツ(9/17朝)の決算が相次ぐという構図は前回から変わっていない(詳細は
earningsカテゴリ参照)。
要因の連続性
- 継続要因: FOMCブラックアウト、来週の消費・住宅関連決算への注目、中東情勢の緊張。
- 新規要因: 8月CPIの予想通りの結果と原油反落による「相場の重し」の一時的な後退、ActionForexが示した強気のテクニカル見立て(次のレジスタンス7,765ポイント)。
- 解消した要因: 週半ばまで市場を圧迫していた「原油100ドル超・利回り5%接近への警戒」が、CPI発表と原油反落を機に金曜終値時点でいったん後退した。
1. 市況サマリー
| 指数 | 終値(9/11、休場中変わらず) | 前日比 | 騰落率 |
|---|---|---|---|
| S&P500 | 7,656.98ドル | +65.4ドル程度 | +0.86% |
| ナスダック100 | 29,368.44ドル | +265ドル程度 | +0.91% |
| NYダウ | 52,573.29ドル | +510ドル程度 | +0.98% |
取得時点: 2026-09-11(金)米国市場引け値のまま。9/12(土)・9/13(日)は休場のため変動なし。取引再開は現地時間9/15(火)。(TheStreet、stockmarketwatch.com)
2. 指数別動向
S&P500
7,656.98ドル(+0.86%)で金曜の取引を終え、4営業日続落からの反発となった。8月CPIが総合・コアともほぼ予想通りとなったことに加え、原油価格が反落したことが安心感につながった(TheStreet)。ActionForexは日足の上昇トレンド継続を指摘し、次のレジスタンスを7,765ポイントに置く一方、前回紹介したLiteFinanceの支持線(7,670ドル)を上回って推移していることも確認できた(ActionForex)。
ナスダック100
29,368.44ドル(+0.91%)で反発。8月CPIのコア指数が前月比でわずかに予想を上回ったにもかかわらず、原油安による相場全体の地合い改善を受けグロース株にも買いが入った(Yahoo Finance)。
NYダウ
52,573.29ドル(+0.98%)で3指数の中では最も高い上昇率となった。来週の決算発表を控えるレナー・ゼネラル・ミルズなど消費・住宅関連銘柄を含むダウ構成銘柄が、インフレ懸念の後退を好感したとみられる(stockmarketwatch.com)。
3. 強気派 vs 弱気派
強気派(ブル)
- ActionForex: S&P500は日足の上昇トレンドを継続しており、移動平均線ベースの売買シグナルは「買い8・売り4」で、次のレジスタンス7,765ポイント、その先7,800〜7,833ポイント圏を視野に入れるとの見方を示した(ActionForex)。
- 市場全般(TheStreet・Schwab): 8月CPIが予想通りだったこと自体が「最悪シナリオの回避」として好感され、原油安と相まって週末にかけての「押し目買い」を後押ししたとの見方が示された(Charles Schwab)。
弱気派(ベア)
- IG銀行スイス: 来週は原油高・利回り上昇が世界の株式相場を下押しする「弱気材料が優勢」な週になるとし、FRB(利上げ確率およそ70%)・BOE(同25%)・日銀(同90%)という中銀トリプルヘッダーの結果次第で相場が大きく振れるリスクを指摘した(IG Bank Switzerland)。
- 前回既報(LiteFinance・The Motley Fool): S&P500の支持線7,670ドル割れへの警戒、シラーCAPEレシオの高さを根拠にしたAI関連株のバリュエーション警戒論は、金曜の反発後も解消したわけではなく、来週のFOMC結果次第で再燃しうる論点として残っている。
4. 経済ニュース
経済指標
8月CPIは総合が前月比0.4%・前年比3.4%、コア指数が前月比0.3%・前年比2.4%といずれもおおむね市場予想通りとなった(Yahoo Finance)。来週はCNBCによれば、輸入・輸出物価指数と8月小売売上高、フィラデルフィア連銀指数(いずれも9/16)、FOMC結果と経済見通し(SEP)の公表(9/16)、住宅着工件数(9/17)、鉱工業生産・設備稼働率(9/18)が予定されている(CNBC)。
政策
FOMC(9/15-16)前のブラックアウト期間が続いており、新規のFRB高官発言は確認できない。IG銀行は、来週のFOMCで経済見通し(Summary of Economic Projections)も同時に公表される点が、単なる利上げの有無以上に相場を動かしうると指摘している(IG Bank Switzerland)。
注目される個別銘柄・決算(来週発表予定)
- レナー: 9/16引け後発表。EPS予想1.30ドル(会社ガイダンス1.20〜1.40ドル)、前年同期比35%の減益見通し(既報、詳細は
earningsカテゴリ参照)。 - ゼネラル・ミルズ: 9/16朝発表。EPS予想0.81〜0.82ドル(既報)。
- ダーデン・レストランツ: 9/17朝発表。EPS予想2.01ドル(既報)。
5. 金利・為替が株に効いた分
米10年債利回りは9/11時点でおよそ4.98%(出所によっては4.95〜4.96%)と、節目5%に接近した高水準を維持している(詳細はratesカテゴリ参照)。IG銀行は、この利回り上昇と原油高が来週にかけて世界の株式相場の重しになるとみている(IG Bank Switzerland)。一方、金曜は原油価格の反落が株式相場にとって明確な支援材料になったことが、CPI発表と合わせ確認できた。ドル円は市場休場明け前で確定した実勢値がなく、多国籍企業の業績見通しへの影響は来週の取引再開後にあらためて注目される。
6. テクニカル分析
S&P500
ActionForexの分析によれば、日足の上昇トレンドが続いており、次のレジスタンスは7,765ポイント、その先は7,800〜7,833ポイント圏。移動平均線ベースの売買シグナルは「買い8・売り4」で買い優勢とされる(ActionForex)。前回示したLiteFinanceの支持線(7,670ドル)は金曜終値時点で上回っており、下値の目安として意識される。
ナスダック100
50日線・200日線への接近度合いについて、本日時点で確度の高い新規分析は確認できなかった。金曜の反発でグロース株への買いが入ったことは、来週のFOMC結果を占ううえでの手掛かりとなる。
NYダウ
来週の決算シーズン入りが目先の値動きのきっかけになるとみられる点は前回から変わっていない。
センチメント指標(補助)
- VIX(恐怖指数): 9/11終値15.84(前日比-11.21%)。CPI発表前の週半ばにかけて17.85前後まで上昇していた警戒感が、発表後に大きく後退した(stockmarketwatch.com、IG Bank Switzerland)。
7. 今夜の注目イベント
- 9月14日(月)は米国市場の取引再開前で、日本時間今夜にかけて大きな指標発表・決算はない。取引再開は現地時間9/15(火)。
- 来週は9/16に輸入・輸出物価指数、8月小売売上高、フィラデルフィア連銀指数、FOMC結果・経済見通し(SEP)公表とレナー(引け後)・ゼネラル・ミルズ(朝)の決算、9/17に住宅着工件数・BOE政策金利発表・ダーデンの決算、9/18に鉱工業生産・設備稼働率・日銀会合結果が予定されている(CNBC、IG Bank Switzerland)。
- FRBは9/17まで沈黙期間中で高官発言は予定されていない。原油相場が金曜の反落水準を維持できるかどうかが、週明けのインフレ観測を左右する可能性がある。

