前回からの変化

前回(2026-10-29)との比較である。このカテゴリは毎週木曜の週報で、前回は1週間前にあたる。今回の対象期間は10月29日〜11月4日で、前回は10月22日〜28日の回である。

変わったこと(変化・新規)

  • 前回は「次の注目」だったAmazonの決算が10月29日に出た。AWSの売上は460億ドル(前年比39%増)で、営業利益は178億ドル。Amazon全体の売上は2019億ドル(12%増)で、市場予想の約2023億ドルを下回った。AWSの成長率は約5年ぶりの高さと伝えられている(Constellation Research)
  • 前回は設備投資が「クラウドの売上」で支えられる構図だったが、今回は資金の調達先が株式と債券へ広がった。Metaの株式調達(10月27日発表。前回の期間末のため前回は未掲載)とMicrosoftの社債発行である(Free Press Journal、TNW)
  • NVIDIAが9月に発表した129億ドルのHugging Face買収について、米司法省が照会を始めたと報じられた(新規、TNW)

昨日と同じこと(継続)

  • 今回は前回の1週間後の比較であり、前日との比較ではない。前回の継続案件のうち、AnthropicのIPOは、価格帯を空欄にした申請書(S-1)のまま、販売開始の手続きの前にいる。Microsoftの退職募集(最大約6万人が対象との報道)に新しい人数の公表は今回確認できなかった
  • SalesforceのBraze買収、OpenAIの約300億ドルの調達、Qualcommの人員削減は、今回の調査では新しい報道を確認できなかった
  • AI計算資源をめぐる巨額投資と、NVIDIA以外のチップを使う流れは続いている(後述のGoogle TPU)

要因の連続性

  • 継続要因: AI計算資源への巨額投資。前回のAlphabetの四半期設備投資514億ドルに続き、Amazonも2026年に約2200億ドルを投じる。NVIDIA以外のチップへの分散も続く
  • 新規要因: 投資の財源が、手元資金とクラウド売上から、株式発行と社債へ広がった。大手のAIインフラ投資が、市場からの資金調達に依存し始めた
  • 解消した要因: 前回の注目点だったAmazonの決算は出そろった。Anthropicの上場時期の不確実性は、手続きが進むまで未解消

今週の概観

今週(10月29日〜11月4日)は、Amazonが決算でAWSの加速と巨額の設備投資を示し、Metaの株式調達とMicrosoftの社債発行が続いて、AI投資の資金調達が株式・債券市場に広がった。同時に、GoogleのTPU(Googleが設計するAI専用チップ)がOracleやOpenAIへ広がる動きと、NVIDIAの買収に対する当局の照会が並んだ。

企業別の動き

Amazon

10月29日の決算で、AWSの7〜9月期売上は460億ドル(前年比39%増)、営業利益は178億ドルだった。2026年の設備投資は約2200億ドルの見通しで、7〜9月期の設備投資は759億ドルである。直近12か月のフリーキャッシュフロー(営業で得た現金から投資を引いた額)は、前年の147億ドルの黒字から424億ドルの赤字に転じた。ジャシーCEOは、2027年・2028年もAWSの成長率が40%を超える見通しで、2027年の支出はさらに増えると述べた。純利益は207億ドルで、Anthropicへの投資の影響も受けたとされる(Constellation Research)。AWSの容量は2027年までほぼ売り切れとの報道もある(報道ベース、Distill Intelligence)。

Meta

Metaは10月27日、最大950億ドルを株式で調達すると発表したと報じられた。内訳は350億ドルの引受型の公募と、600億ドルを市場で少しずつ売る方式である。NVIDIAが30億ドル、AMDが10億ドルを出資し、Broadcomも最大50億ドルの関心を示したとされる。使い道はAIインフラと「超知能」の開発である(報道ベース、Free Press Journal)。10月21日の決算では2026年の設備投資を1350億〜1450億ドルとし、7〜9月期のフリーキャッシュフローは21億ドルの赤字だった。2027年1月には議決権のないクラス株を設けて、資金調達をしやすくしつつ創業者の支配を保つ(Meta 8-K)。

Microsoft

Microsoftは、2017年以来となる米国の投資適格債(信用力の高い企業が出す社債)を、少なくとも250億ドル発行する。最大10の償還期間(2〜40年)に分け、Wells Fargo、JPMorgan Chase、UBSが主幹事を務める。データセンターと機器への支出(リースを含む)は直近の四半期で452億ドル、Azureの売上は332億ドル(48%増)で、CFOは「需要が供給を上回る」と述べた(TNW)。

Google・Oracle・OpenAI

Oracleは10月27日、Googleの第8世代TPUを2027年からOracle Cloudで提供すると発表した。複数年・複数ギガワット規模で、新世代のTPUを発売日に受け取る契約である(TNW)。OpenAIもGoogleのTPUの購入を計画していると報じられたが、金額などの条件は不明である(報道ベース、TrendForce)。

買収・提携・出資

NVIDIAによるHugging Face(AIモデルを共有するプラットフォーム)の129億ドルでの買収について、米司法省が「AIの重要な流通拠点をNVIDIAが握ることになるか」などを尋ねていると、ロイターが10月28日に報じた。正式な調査の発表ではなく、取引を止める判断でもない。NVIDIAは場を開かれたままにすると約束している。完了は2027年前半の見込みである(報道ベース、TNW)。MetaへのNVIDIAとAMDの出資は、チップの供給元が顧客に資金を出す形でもある(筆者の見立て)。

設備投資・インフラ

Amazonの2026年設備投資は約2200億ドル、Metaは1350億〜1450億ドルで、Metaは7〜9月期の設備投資(349億ドル)が営業の現金(328億ドル)を上回った。Microsoftは社債で資金を厚くする。クラウドの売上が伸びても、投資額がそれを上回り、外部資金への依存が強まっている。同じ動きを複数社がとっており、個社の事情でなく業界の潮流とみられる。

人事・組織

OpenAIは広報・渉外の最高責任者(Chief Corporate Affairs Officer)にJill Hazelbaker氏を任命した。AnthropicではClaude Codeの開発に関わったCat Wu氏が退社したと報じられた(The Neuron)。Appleは400人超の職を削減したと伝えられる(報道ベース、Distill Intelligence)。Microsoftの退職募集は、前回報じられた約6万人が対象という報道のままで、公式の追加発表は確認できなかった。

今後の注目

  • Anthropicの修正版S-1(価格帯が入る)と販売開始の手続き。販売開始は早くて11月10日との分析があるが、日程は未確定(FutureSearch)
  • Metaの株式調達の実行状況と、投資家の反応
  • Microsoftの社債の最終的な発行額と条件
  • 米司法省のHugging Face買収に関する照会の行方
  • OpenAIのGoogle TPU購入の正式な発表