前回からの変化
前回(2026-10-22)との比較である。このカテゴリは毎週木曜の週報で、前回は1週間前にあたる。今回の対象期間は10月22日〜28日で、前回は10月15日〜21日の回である。
変わったこと(変化・新規)
- Anthropicの上場は、前回の「11月中旬に販売開始」という目安の段階から、10月26日の申請書(S-1、上場前に米証券取引委員会へ出す登録書類)提出という公式の手続きに進んだ。ナスダックに「ANT」で上場する計画で、前回の上半期損益(売上約163億ドル、純損失約807億ドル)が正式な開示書類で裏付けられた(CNBC: Anthropic IPO live updates)
- Anthropicが自前のデータセンターを建てる「Anthropic Direct」を始めたことが新規に判明した。クラウド大手への依存を下げる動きである(Fortune)
- Alphabetが10月28日に決算を発表した。前回は未発表だった決算で、Google Cloudの売上が307億ドル、前年比103%増と大きく伸びた(Alphabet 決算発表資料)
- Broadcom製AIチップ向けの630億ドルの融資手配と、Microsoftの退職募集の拡大が新たに報じられた(いずれも報道ベース、Tech Startups)
昨日と同じこと(継続)
- 今回は前回の1週間後の比較であり、前日との比較ではない。前回の継続案件のうち、SalesforceによるBrazeの約57億ドル買収は完了前、AmazonとDecartの買収協議は合意の報道を今回の調査では確認できなかった。OpenAIの約300億ドルの調達も完了の報道は確認できなかった
- AIの計算資源の確保競争と、NVIDIA以外のチップを使う流れは続いている。今回はBroadcomのチップとGoogleのTPU(Googleが設計するAI専用チップ)が焦点になった
要因の連続性
- 継続要因: AIの計算資源をめぐる巨額投資。前回のAnthropicの約90億ドルのインフラ支出に続き、今回は将来の契約の総額が明らかになった
- 新規要因: 自前のデータセンターへの動き(Anthropic Direct)。クラウド事業者の売上が急伸し、AI企業の資金調達を銀行と投資ファンドが支える構図
- 解消した要因: なし。前回挙がった上場時期の不確実性は、申請書の提出で一段進んだ
今週の概観
今週(10月22日〜28日)は、AI企業の上場準備が公式の手続きに入り、大手クラウドの決算が始まった。Anthropicは申請書で巨額の計算資源契約と自前のデータセンター計画を示した。Alphabetは決算でGoogle Cloudの急成長を示した。Amazonは10月29日に決算を発表する予定で、今回の対象期間には含まれない。
企業別の動き
Anthropic
AnthropicのS-1によると、2026年上半期の売上は163億ドル、純損失は807億ドルで、うち約724億ドルは現金の支出を伴わない会計上の費用である。営業損失は約6億9千万ドルとされる。年間100万ドル以上を払う顧客は約1,900社である。上場時の評価額は2兆ドル規模との報道がある(報道ベース、Tech Startups)。
計算資源への将来の支出約束は5,420億〜5,670億ドルにのぼる。2025年12月31日に結んだ4,170億ドルの契約に加え、2028〜2031年に始まる1,250億〜1,500億ドルの容量契約がある。Anthropic Directは2026年9月30日ごろから契約を始め、不動産・電力・運営は外部の事業者が担う。5年間のリース料は合計1,252億ドルである。同社自身が、電力の遅れやチップ不足、現金流出が資金繰りに悪影響を与えうると、リスクとして記している(Fortune)。
Alphabet(Google)
Alphabetの7〜9月期は、売上が1,276億ドル(前年比25%増)、Google Cloudは307億ドル(103%増)だった。同社はTPUシステムの販売も寄与したと説明している。四半期の設備投資は約514億ドルである。ピチャイCEOは「AIインフラとAIソリューションへの需要が大きい」と述べた。決算資料には今後の設備投資額の見通しの記載がなかった(Alphabet 決算発表資料)。
Microsoft
Microsoftについて、最大約6万人(全従業員の約27%)が退職の募集対象になると報じられた。対象は米国、カナダ、英国、インドである(報道ベース、今回の調査では他の媒体で確認できていない、Tech Startups)。同社は4月に、創業以来初めての希望退職制度を米国の約8,750人に示しており、今回はその拡大にあたる(UC Today)。
OpenAI
OpenAIは新しいモデル「GPT-6.1 Terra」を出した。料金は入力100万トークンあたり1ドル、出力5ドルで、GPT-6.1 Solの約半額と伝えられている(Tech Startups)。
買収・提携・出資
Broadcom製のAIチップとネットワーク機器向けに、Bank of America、Citigroup、Morgan Stanley、Blackstoneが総額630億ドルの融資を手配している。うち優先ローンが約435億ドルで、納入は2027年から始まる(報道ベース、Tech Startups)。AnthropicのS-1には、Broadcomが最大420億ドル、Googleが200億ドル、Amazonが150億ドルの資金に関わることが記されている(Fortune)。IntelによるClassiqの22億ドルでの買収も報じられた(報道ベース、同記事)。
設備投資・インフラ
Alphabetの四半期設備投資は約514億ドルで、アナリスト予想の約551億ドルを下回ったとの報道がある。同じ期の営業のフリーキャッシュフロー(営業で得た現金から投資を引いた額)はマイナス約90億ドルと伝えられている(報道ベース)。Anthropicは5年間のリース料1,252億ドルを自前のデータセンターに充てる。クラウドの売上が伸びる一方で、投資の資金を外部から調達する流れが強まっている(筆者の見立て)。
人事・組織
Microsoftの退職募集の拡大が最大の動きである。前回のQualcommの人員削減は11月開始の予定のままで、今回の調査では新しい人数の公表を確認できなかった。
今後の注目
- Amazonの10月29日の決算と、AWSの成長率・設備投資計画
- Anthropicの上場の価格決定と販売開始の時期(11月中旬との報道)
- Microsoftの退職募集の正式な人数と、公式の発表
- OpenAIの約300億ドルの調達完了と評価額
- SalesforceのBraze買収に対する株主承認と規制当局の審査

