前回からの変化

前回(2026-10-19、前日)との比較である。

変わったこと(変化・新規)

  • 前回は「発表待ち」だった中国の7〜9月期GDPが公表され、前年比4.5%増(予想4.4%、4〜6月期は4.3%)となった。9月の鉱工業生産は5.5%増、小売売上高は1.1%増で、1〜9月の固定資産投資は7.2%減、不動産開発投資は20.6%減だった(Seoul Economic Daily)
  • 前回は、イランが「米国が条件を受け入れれば数日内に再開」と述べた段階だった。今回、アラグチ外相は再開案が「まだ有効」と述べる一方、9月に示した7日間の停戦案への米国側のコメントを精査中とした。イランの安全保障担当トップは先週、7つの条件すべてに米国が応えていないとして、交渉が停滞していると述べた(Gulf News)
  • 米国は中東の米国人に警戒を呼びかける安全情報を出し、エティハド航空はアブダビとサウジ各都市の間の便を24日まで欠航とした(同上)
  • ロシアのラブロフ外相がイランを訪れ、会談する予定と報じられている。仲介はパキスタンとカタールが担っている(Washington Times)
  • 前回は触れなかった15〜16日のEU首脳会議の結果が確認できた。米国がロシア産石油製品への制裁を一時停止し、見返りにロシアが軽油を市場へ供給する取り決めをしたことに対し、ゼレンスキー大統領はウクライナ軍の製油所攻撃を再開し、トランプ氏は「恥だ」と非難した。EUはこれを受け、ウクライナ支援と制裁の維持で結束した(Al Jazeera)

昨日と同じこと(継続)

  • イランが示した7日間の停戦案(米海軍の封鎖終了、イラン産原油の制裁解除、全戦線での停戦が条件)は、前回に続いて交渉のテーブルに残っている。実現したという報道はない
  • 米国のロシア制裁をめぐる緩和の動きは、前回のISWの評価(ロシアの戦争資金の確保を助ける)から続く論点である
  • 11月3日の米中間選挙、27〜28日のFOMC、29〜30日の日銀会合という日程は前回から変わらない

要因の連続性

  • 継続要因: 中東のエネルギー供給不安と、米国とイランの対立。ロシア制裁をめぐる米欧の温度差
  • 新規要因: 中国の景気指標が予想をやや上回ったこと。米国のロシア制裁停止にEUが公然と反対し、米欧の足並みの乱れが表面化したこと
  • 解消した要因: IMF・世界銀行の年次総会は18日に閉幕しており、日程上の材料ではなくなった

今日の要点

地域 出来事 日本への影響 段階
アジア 中国の7〜9月期GDPは4.5%増 輸出、訪日需要 発表済み
中東 イランが再開案を維持、米回答を精査中 原油、海運、渡航 交渉停滞
欧州 EUが対ロ制裁の維持で結束 対露制裁の足並み 首脳会議で確認
中南米 ブラジル大統領選の決選投票(25日) 資源・食料の調達 投票前

米国

米国は、ロシア産石油製品への制裁を一時停止し、ロシアが軽油を世界市場へ大量に供給する取り決めをしたと伝えられている。世界の石油供給を増やす狙いとされる一方、ゼレンスキー大統領は、主にプーチン政権の収入になると批判している。トランプ氏は、ウクライナ軍が製油所への攻撃を再開したことを「恥だ」と非難した(Al Jazeera)。米議会からも反発の声が出ていると伝えられているが、本レポートでは一次情報を確認できていない。

日本への影響: 石油製品の供給が増えれば、軽油などの価格を下げる方向に働きうる。一方、日本は対露制裁を米欧と協調して続けてきており、米国の制裁停止で足並みが乱れれば、日本政府が立場の説明を迫られる可能性がある(筆者の整理)。

欧州

15〜16日のEU首脳会議で、コスタ欧州理事会議長は「ロシアへの制裁を緩める時ではない。支援と圧力を強める時だ」と述べた。ゼレンスキー大統領は、追加で700億ユーロの支援を求めた。長期予算の交渉は難航しており、11月26日の首脳会議までに新しい妥協案が示される予定である。また、首脳らは中国との貿易赤字(3,600億ユーロ)を理由に、化学品や機械分野を含む新たな貿易防衛策の検討を欧州委員会に求めた(Euronews)。

日本への影響: EUの対中防衛策が強まれば、中国製品が日本や第三国へ向かう流れが強まる可能性があり、化学・機械の日本企業は競争環境の変化を見ておく必要がある。現時点で日本を名指しした措置は確認できていない(筆者の整理)。

アジア・オセアニア

中国国家統計局は、7〜9月期の実質GDPを前年比4.5%増と発表した。ロイターの予想は4.4%だった。9月の鉱工業生産は5.5%増(3月以来の高い伸び)、小売売上高は1.1%増にとどまった。1〜9月のGDPは4.6%増で、年間目標の4.5〜5%の範囲内にある。統計局は「圧力に耐えて着実に推移した」としている。分析では、第4四半期に大規模な景気対策を急ぐ必要性が薄れたとの見方がある(Seoul Economic Daily)。

日本への影響: 輸出が成長を支える一方、内需は弱く、日本からの輸出や訪日需要の回復は力強さを欠く可能性がある。為替や日経平均への反応は、みんかぶFXが伝える今週の予定表とあわせて見たい。

中東・アフリカ・中南米

イランとホルムズ海峡: アラグチ外相は、海峡を7日以内に再開する案が「まだ有効」だと述べた。案では、6日目に海峡を再開し、7日目に交渉を始める。イランの条件は、米国による港湾封鎖の解除、原油輸出への制裁解除、全戦線での戦闘停止である。イランは海峡が「完全に閉鎖されている」と主張し、米国は商船が航行していると主張しており、認識が食い違っている。7日間の日程は交渉上の主張であり、実施が確定したものではない(Gulf News)。

ブラジル: 25日の決選投票は、第1回投票で首位のボルソナーロ上院議員と現職のルラ大統領の接戦が続いている(The Peninsula Qatar)。

日本への影響: 海峡の再開が決まらない限り、原油や液化天然ガスの調達コストは高止まりしやすい。中東の航空便の欠航は、邦人の渡航や乗り継ぎにも影響しうる。ブラジルは鉄鉱石や穀物の調達先の一つで、決選投票の結果は通商や為替を通じて影響が考えられる(筆者の整理)。

国際機関・多国間の動きと、日本を名指しした動き

IMF・世界銀行の年次総会は18日に閉幕した。日本を名指しした新たな動きは、今回の確認範囲では見つからなかった。

今後数日の注目日程

  • 20〜21日: APEC財務相会合(みんかぶFX)
  • 24日まで: エティハド航空のアブダビとサウジ各都市の間の欠航(Gulf News)
  • 25日(日): ブラジル大統領選の決選投票
  • 27〜28日: 米FOMC。29〜30日に日銀会合
  • 11月3日: 米中間選挙
  • 11月26日: EU首脳会議(長期予算の妥協案が焦点)(Euronews)