前回からの変化

変わったこと(変化・新規)

  • 新規: 前回(9/8付)は前日9/7の取引再開に伴う大幅続伸(日経平均66,399.84円、+2.12%)を伝えたが、本日はその流れが一転し、日経平均は前日比1,130.51円安(-1.70%)の65,269.33円まで急反落した。要因は円が一時152円88銭と半年ぶりの水準まで急伸したことで、自動車など輸出関連株に売りが広がったため(日本経済新聞、NHK)。
  • 新規: 前回は移動平均線・一目均衡表の雲を上抜ける強気シグナルだったが、本日は終値で25日移動平均線を割り込み、RSI(9日)も前回の55.2%から41.6%へ低下し中立圏でも弱含みの方向に転じた(外為どっとコム)。
  • 新規: 前回「本日発表予定」としていた4-6月期GDP2次速報と7月毎月勤労統計の結果が判明。GDPは1次速報の年率1.1%増から1.4%増に上方修正され、実質賃金は前年同月比2.4%増(7カ月連続プラス、今年最大の伸び)だった(日本経済新聞、日本経済新聞)。
  • 新規: 高い賃金統計や日銀の早期利上げ観測、GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)の国内債配分引き上げ思惑が重なり円買いが強まった。円相場が実際に152円台まで急伸する形で、これまで観測にとどまっていた円高圧力が現実の株安材料として顕在化した(Yahoo!ニュース(Bloomberg))。

昨日と同じこと(継続)

  • 半導体・AI関連株への物色は継続。ただし前回は指数全体を押し上げる主導役だったのに対し、本日は市場全体が下落する中での相対的な底堅さという位置づけに変わった(ソフトバンクグループは前日比7.01%高)(日本経済新聞)。
  • 9月17・18日の日銀会合が最大の焦点である点、井上審議委員の9月10日講演が会合前最後の要人発言機会という位置づけも継続している。
  • 東証グロース市場250指数は2日連続の反落となり、金利敏感な新興株の上値の重さが続いている(財経新聞)。

要因の連続性

  • 継続要因: 日銀9月利上げ観測(むしろ一段と強まった)、米長期金利の高止まり、9月17・18日会合待ちの様子見ムード。
  • 新規要因: (1) 円が152円台まで急伸したこと自体が新たな株安材料として顕在化、(2) GPIFの国内債配分見直し思惑という新たな円買い材料、(3) 中東(イラン)情勢緊迫化・原油高、(4) GDP改定値・実質賃金統計の結果判明。
  • 解消した要因: 前回懸念された「取引開始前で数値未確定」という制約は既に解消済み。前回主導役だった半導体株による指数全体の押し上げ効果は本日は後退し、代わって円高による輸出株安が相場全体の重しとして新たに前面に出た。

1. 市況サマリー

指数 終値(9/8) 前日比 騰落率
日経平均株価 65,269.33円 -1,130.51円 -1.70%
TOPIX 4,050.33pt -75.47pt -1.83%
東証グロース市場250指数 787.06pt -4.55pt -0.57%

前日(9/7)の大幅続伸から一転して3指数そろって反落した。特にTOPIXは日経平均を上回る下落率となり、主力株全般に売りが広がったことを示している(日本経済新聞)。

2. 指数別動向

日経225

米国がレーバーデー明けで手掛かり材料が乏しい中、東京時間の午前にドル円が152円台まで急伸したことが警戒され下落基調で始まった。一時600円超安まで下げた後、半導体関連への押し目買いでプラス圏を回復する場面もあったが、後場に入ると中東情勢の緊迫化への警戒も加わり「売りが売りを呼ぶ展開」となり、終値は1,130.51円安の65,269.33円まで沈んだ。値上がりはわずか59銘柄、値下がりは165銘柄と全面安の様相。値上がり業種は情報・通信、石油・石炭、鉱業、下落業種はガラス・土石製品、輸送用機器、電気機器だった(外為どっとコム、日本経済新聞)。

グロース市場250指数

787.06pt(前日比4.55pt安、-0.57%)と2日連続で反落した。値上がり180銘柄に対し値下がりは366銘柄と値下がりが優勢。米国休場で手掛かり材料が乏しい中、東京時間終盤にかけてリスク回避ムードが広がり、200日移動平均線を割り込んで手仕舞い売りを誘われる銘柄も見られた。金利敏感な新興株にとっては、日本の長期金利が高水準で推移していることも引き続き重荷となっている(財経新聞)。

3. 強気派 vs 弱気派

強気派

  • ザイ・オンラインの藤井英敏氏(コラムニスト)は、韓国総合株価指数(KOSPI)の大幅高や米SOX指数(フィラデルフィア半導体株指数)の上昇を強気材料に挙げ、9月末の配当権利確定に向けて「低PER・低PBR・高配当利回りの内需系バリュー株」への投資を勧めた(ザイ・オンライン)。
  • 実際に本日はニトリホールディングスや神戸物産といった「円高メリット銘柄」、大成建設・清水建設などの建設株に資金が向かい、内需株の相対的な強さが裏付けられた(外為どっとコム)。

弱気派

  • 藤井英敏氏は同時に、日経平均が75日移動平均線を下回っている限り調整局面は続くと分析し、円高進行に加え、米アンソロピックのIPOに絡む資金シフトでAI・半導体株が「高値掴み」になるリスクにも言及した(ザイ・オンライン)。
  • 外為どっとコムは、円高が進んだ局面では日本株が売られやすいとみておくべきだとし、終値で25日移動平均線を割り込んだことを踏まえ、明日以降は5日移動平均線(65,046円)や節目の65,000円を維持できるかが焦点になると指摘した(外為どっとコム)。

4. 経済ニュース

経済指標・政策

  • 内閣府が発表した4-6月期GDP2次速報(改定値)は、実質GDPが前期比0.4%増(年率1.4%増)に上方修正された。1次速報(前期比0.3%増、年率1.1%増)からの上方修正で、設備投資の落ち込みが▲1.2%から▲0.9%に縮小し、個人消費もわずかながらプラス(+0.01%)に転じたことが寄与した。3四半期連続のプラス成長だが、個人消費の弱さは残る内容と受け止められている(日本経済新聞)。
  • 厚生労働省が発表した7月の毎月勤労統計(速報)では、実質賃金が前年同月比2.4%増と7カ月連続プラスで、今年最大の伸び率となった。名目の現金給与総額は4.7%増の43万6,401円、基本給(所定内給与)は4.1%増と33年9カ月ぶりの高い伸びとなり、夏季賞与の増加も寄与した。この結果は日銀の利上げ観測を強める材料として意識された(日本経済新聞)。

注目された個別銘柄

  • ソフトバンクグループ: 前日比7.01%高(436円高の6,653円)。半導体比率の高いKOSPI高を受け、AI・半導体関連の見直し買いが続いた(日本経済新聞)。
  • セイコーグループ: 前日比15.48%安(1,700円安の9,280円)。東証プライムの値下がり率トップとなり、円高による輸出採算悪化への懸念が直撃した(ゴールドオンライン)。
  • シチズン時計: 前日比12.19%安(322円安)。セイコーと並び時計関連の輸出銘柄が急落した(ゴールドオンライン)。
  • トヨタ自動車・ホンダなど自動車株: 円が想定為替レートを上回る水準まで急伸したことを受け、収益悪化への警戒感から自動車株が軒並み大幅安となった(日本経済新聞)。
  • ニトリホールディングス・大成建設など内需株: 「円高メリット銘柄」として資金が向かい、建設株は逆行高となった(外為どっとコム)。

5. 日銀・金利・為替

日銀

9月17・18日の金融政策決定会合が引き続き最大の焦点。金利スワップ市場が織り込む9月利上げ確率は8割超まで高まっているとされ、7月の高い賃金統計もこの観測を後押ししている。野村證券の後藤祐二朗氏は、外圧も加わって利上げペースの加速が実現すれば「インフレの上振れリスクやビハインドザカーブへの懸念は後退し、日銀の利上げに対して円高で反応しやすくなる」と分析している(野村證券)。9月10日に予定される井上審議委員の講演は、会合前最後の要人発言の機会として引き続き注目される。

金利

新発10年国債利回りは2.885%前後で推移しており、前回から大きな変化はなく高水準を維持している(日本経済新聞)。

為替

ドル円は9月8日午前、日銀の早期利上げ観測とGPIFの国内債配分引き上げ思惑による円買いが強まり、一時152円88銭と2月以来・約半年ぶりの水準まで急伸した。みずほ銀行の南英明ディレクターは「長期にわたり円安方向に積み上がったポジションの巻き戻しが進み、ドル売り・円買いが加速した」と指摘し、あおぞら銀行の諸我晃チーフマーケットストラテジストも投機筋の円キャリーポジション巻き戻しを要因に挙げつつ「円高トレンドに転換したわけではない」との見方を示した(Yahoo!ニュース(Bloomberg))。午後は原油高・米金利上昇を手がかりにドルが買い戻され、17時時点では153円80銭~154円10銭まで値を戻した。ニューヨーク市場ではイラン・カーグ島での爆発報道を受けた原油高で長期金利が上昇し、ドル円は153円70銭までの下落場面を経て154円40銭まで買い戻されて取引を終えている(財経新聞)。急速な円高は輸出株の重荷になった一方、内需株には相対的な支援材料となった。

6. テクニカル分析

日経225

終値ベースで25日移動平均線を下回って引けた。前日まで上抜けていた75日移動平均線(66,823円近辺)・50日移動平均線(66,433円近辺)からも大きく水準を切り下げている。移動平均線は短期・中期線が長期線の下に位置する状態に戻りつつあり、上値を試す勢いは一服した。RSI(9日)は前日の55.2%から41.6%へ低下し、売られ過ぎ・買われ過ぎのいずれでもない中立圏の中でも弱含みの方向に転じている。目先は5日移動平均線(65,046円)や心理的な節目である65,000円を維持できるかが焦点で、維持できれば下げ止まりが意識される一方、割り込めば9月3日安値(63,772円)方向への調整も視野に入るとされる。日経VIは前日比10.19ポイント(+46.61%)の急上昇となる32.05まで跳ね上がり、投資家のリスク回避姿勢の強まりを示した(外為どっとコム、外為どっとコム)。

グロース市場250指数

787.06ptと2日連続で反落し、値下がり銘柄数(366)が値上がり銘柄数(180)を大きく上回る全面安に近い展開となった。個別では200日移動平均線を割り込んで手仕舞い売りを誘われる銘柄が見られ、上値の重さが意識されている。新興株は金利敏感な銘柄が多く、日本の長期金利が高水準で推移する限り上値の重さが残りやすいとみられる(財経新聞)。

7. 本日の注目点

  • 円が一時152円台まで急伸した後154円台まで戻すなど振れの大きい展開が続いており、為替の方向感が東京市場の値動きを左右しやすい地合いが続く。外為どっとコムは「円高が進んだ際には日本株は売られやすい」とし、当面も為替に神経質な展開を見込んでいる(外為どっとコム)。
  • 日経平均は終値で25日移動平均線を割り込んでおり、5日移動平均線(65,046円)や節目の65,000円を維持できるかが目先の焦点になる(外為どっとコム)。
  • 9月17・18日の日銀会合を控え、9月10日に予定される井上審議委員講演の内容が次の相場材料として注目される。
  • 東証にグローバルX 日経225 ETF(コード632A)を含む2銘柄が新規上場する(日本取引所グループ)。
  • 中東(イラン)情勢の緊迫化や原油価格の動向が、米長期金利・ドル円を通じて東京市場のセンチメントに引き続き影響しうる(財経新聞)。