前回からの変化

変わったこと(変化・新規)

  • 米国・イランの軍事衝突再燃と原油高が新たな下落材料に(新規): 前回時点では8月雇用統計の上振れによる利上げ観測が下落材料の中心だったが、9月6〜8日にかけて米軍がイラン産原油タンカーを攻撃するなど軍事衝突が再燃し、原油価格が1バレル100ドル近辺まで上昇した。インフレ懸念の高まりで9月15日FOMCでの利上げ観測もおよそ57〜60%程度で高止まりし、ビットコインは前回の7万9,300〜8万350ドルのレンジ上限から一段安となり、7万8,000ドル台前半(前回レンジ上限8万350ドル→当日7万8,370ドル、約1.6%下落)まで下落した(Yahoo Finance)。
  • リキッドネットワークのハッカーが盗難資金の85%を返還(変化): 前回「返還は確約されていない」としていたホワイトハッカーが、ブロックストリームによる脆弱性パッチ適用(9月7日)の直後、盗難額のおよそ85%にあたる3,400BTC(約2.7億ドル相当)をフェデレーションウォレットへ返還した。残る598.5BTC(約4,700万ドル相当)は依然未回収で、Liquid Networkのペグサービス再開時期は明らかになっていない(Crypto Briefing)。
  • ソラナが大型アップグレード「トランザクションv1」を稼働(新規): 9月9日、ソラナのメインネットで最大トランザクションサイズを1,232バイトから4,096バイトへおよそ3倍に拡大する「トランザクションv1」が有効化された。ZK証明など複雑な処理を1トランザクションで扱いやすくなり、10月には合意形成をおよそ150ミリ秒まで高速化する「アルペングロー」アップグレードも予定されている(24/7 Wall St)。
  • 弱気派の一角がやや後退(変化): DeFi Reportのアナリスト、マイケル・ナドー氏は、ビットコインが6月安値を維持するとの基本シナリオは据え置きつつ、新たなサイクル安値を更新する確率をこれまでの60〜65%から40〜45%へ引き下げた(CoinStats AI)。
  • 投資家心理はグリードからニュートラルへ後退(変化): 前回のFear&Greed指数75(グリード)から、地政学リスクの高まりを受けて指数は40台のニュートラル圏まで低下している(CoinStats AI)。

昨日と同じこと(継続)

  • ビットコイン現物ETFへの資金流入基調は継続しており、9月最初の週でおよそ9億〜10億ドル規模の純流入が続いている。
  • CLARITY法案(暗号資産市場構造法案)は上院で9月15日のクローチャー(討論終結)採決予定のまま日程に変化はなく、ステーブルコイン報酬やトランプ大統領一族の利益相反防止に関する倫理条項を巡る与野党協議も継続中(CNBC)。
  • 日本の金融庁による暗号資産の分離課税(20.315%)移行方針は、2025年12月公表の令和8年度税制改正大綱のまま新たな進展は確認できなかった(CoinPost)。
  • 弱気派のベンジャミン・コーウェン氏(10月をサイクル底値の基本シナリオ)、ブルームバーグ・インテリジェンスのマイク・マグローン氏(流動性引き締まりでビットコインが1万ドル近辺まで回帰しうるとのテールリスク)の見方はいずれも継続している(FinanceFeeds)。

要因の連続性

  • 継続要因: 9月FOMCに向けた利上げ観測、ビットコイン現物ETFへの資金流入基調、CLARITY法案の審議停滞、Zcashの空売り踏み上げ相場。
  • 新規要因: 米国・イランの軍事衝突再燃と原油高、リキッドネットワーク盗難資金の85%回収、ソラナのネットワークアップグレード。
  • 解消した要因: 8月雇用統計ショックで一時65%まで急伸した利上げ観測は、57〜60%程度へやや落ち着いた(緊張は残るが前回よりは和らいだ)。

価格サマリー

取得時点: 日本時間2026年9月9日早朝(直近の材料は米国時間9月8日火曜の取引データに基づく。相場は24時間動いており、時点により数値差がある)。

銘柄 価格(ドル建て) 24時間騰落率など
ビットコイン(BTC) およそ7万8,370ドル 月曜終値比およそ1.6%下落、週間+0.7%、1か月+21.9%
イーサリアム(ETH) およそ2,474ドル 月曜終値比およそ1.0%下落、週間+0.9%、1か月+30.1%
ソラナ(SOL) およそ102〜103ドル 24時間でおよそ2.4%下落
リップル(XRP) およそ1.40ドル 24時間で2%超下落、200日移動平均線(1.355ドル)が支持
Zcash(ZEC) 高値圏で推移 直近30日でおよそ120%の急騰、空売り踏み上げが継続

出典: Yahoo Finance、FXStreet。円建て参考値(9月8日時点): ビットコインはおよそ1,204万円前後、イーサリアムはおよそ37.9万円前後(CryptoTimes)。

銘柄別動向

ビットコイン(BTC)

米国によるイラン産原油タンカーへの攻撃などで軍事衝突が再燃し、原油価格が1バレル100ドル近辺まで上昇した。インフレ懸念の高まりから9月15日FOMCでの利上げ観測もおよそ57〜60%程度で高止まりし、ビットコインは月曜終値からおよそ1.6%下落してこの時点でおよそ7万8,370ドル。週間ではなお小幅プラス(+0.7%)、1か月では+21.9%を維持しており、中期の上昇トレンド自体は崩れていない。現物ETFへの資金流入は引き続き下支え要因となっている(Yahoo Finance、CoinStats AI)。

イーサリアム(ETH)

およそ2,474ドルで、月曜終値からおよそ1.0%安。週間では+0.9%、1か月では+30.1%を維持している。現物ETFは9月1日に12営業日連続の純流入となった後、9月2日には12日ぶりとなる4,808万ドルの純流出を記録するなど流入ペースはやや鈍化している。8月の米消費者物価指数(CPI)発表が9月11日に予定されており、直近で最も意識されるマクロイベントとなっている(Yahoo Finance)。

その他アルトコイン

  • ソラナ(SOL): およそ102〜103ドルで、24時間ではおよそ2.4%の下落。9月9日にメインネットで「トランザクションv1」アップグレードが稼働し、最大トランザクションサイズがおよそ3倍に拡大した。10月には合意形成を高速化する「アルペングロー」アップグレードも予定されている(24/7 Wall St)。
  • リップル(XRP): およそ1.40ドルで推移し、24時間では2%超下落する場面もあった。200日移動平均線(1.355ドル)が支持として意識されており、1.40ドルの上抜けをうかがう展開になっている(FXStreet)。
  • Zcash(ZEC): 直近30日でおよそ120%という急騰が続いている。空売りポジションの強制決済(ショートスクイーズ)による上昇圧力が引き続き働いている(FXStreet)。

強気派 vs 弱気派

強気派

  • DeFi Reportのアナリスト、マイケル・ナドー氏は、ビットコインが6月安値を維持するとの基本シナリオを据え置きつつ、新たなサイクル安値を更新する確率をこれまでの60〜65%から40〜45%へ引き下げ、弱気シナリオの後退を示した(CoinStats AI)。
  • 現物ETFへの資金流入が地政学リスク・利上げ観測という逆風下でも継続していることについて、機関投資家需要が底堅いことの証左だとする見方が引き続き示されている(Yahoo Finance)。

出典: CoinStats AI、Yahoo Finance

弱気派

  • アナリストのベンジャミン・コーウェン氏は、10月をサイクル底値形成の基本シナリオに据える見方を引き続き維持している(前回から変化なし)(FinanceFeeds)。
  • ブルームバーグ・インテリジェンスのマイク・マグローン氏は、市場の流動性が引き締まればビットコインが1万ドル近辺まで回帰しうるとのテールリスクシナリオを引き続き示している(FinanceFeeds)。
  • 米国・イランの軍事衝突再燃と、それに伴う原油高・インフレ懸念・利上げ観測の高まりは、非金利資産である暗号資産の重しとして新たに加わった材料である(Yahoo Finance)。

出典: FinanceFeeds、Yahoo Finance

社会実装ニュース

京都市内では、日本円ステーブルコイン「JPYC」を使った自動販売機決済の実証実験が2026年7月1日から9月30日まで進行中である。JPYC(発行)・HashPort(ウォレット)・INSPAY(決済端末・加盟店連携)・チェリオ(自動販売機・飲料)の4社が連携し、利用者はHashPort Walletを通じてJPYCで自動販売機の商品を購入できる。設置場所は京都市内の3カ所で、自動販売機という日常消費の現場で日本円ステーブルコイン決済を行う日本初の取り組みとされる。現時点では実証実験(PoC)段階であり、商用の本格展開はこれからである(INSPAY・PR TIMES)。

フィリピンのBPI(フィリピン諸島銀行)は、グローバルなデジタル資産清算機関Meridianと連携し、ステーブルコインを活用した国際送金レールのパイロットを進めている。まずは海外就労者(OFW)やフリーランサーなど非正規雇用層向けの給与・報酬受け取りを対象に開始し、11月のASEANサミットまでに全顧客への展開を計画している。ドル建てデジタル資産をフィリピンペソへ変換する決済網により、送金コストと着金までの時間の削減を狙うもので、フィリピン中央銀行(BSP)の既存の規制枠組みの範囲内で運用するとしている(パイロット段階から一部実運用への移行を計画している段階)(Philstar)。

法改正・規制ニュース

米国

上院共和党のジョン・スーン院内総務が提出済みの、暗号資産市場構造法案(CLARITY法)に関するクローチャー(討論終結)の手続き採決は9月15日に予定されたまま日程に変化はなく、可決には60票が必要となる。ステーブルコインの報酬に関する扱いや、大統領を含む政府高官の利益相反防止に関する倫理条項など、詳細規定を巡る与野党協議は継続中。上院が9月14日に本格再開してから中間選挙前の休会までの審議日数は実質14日間しかなく、年内成立への懐疑論が根強い(日程・論点とも前回から大きな変化なし、続報)(CNBC)。

日本

金融庁は令和8年度税制改正要望において、暗号資産取引の所得を現行の総合課税(雑所得、最高55%)から申告分離課税(所得税15%+住民税5.315%、合計20.315%)へ移行する見直しを求めている。2025年12月公表の令和8年度税制改正大綱でも同方針が既に示されており、損失の3年間繰越控除の導入も盛り込まれる見通し。金融商品取引法の改正が2026年中に成立すれば2027年施行、2028年からの取引適用が想定されている。今回のサイクルで新たな進展の確認はできなかった(継続)(CoinPost)。

テクニカル分析

ビットコイン(BTC)

日足RSI(14日)はおよそ63前後で、前回の64からわずかに低下し、過熱感がやや和らいだ。70以上とされる「買われすぎ」の水準はなお下回っている。20日移動平均線(およそ7万5,450ドル)・200日移動平均線(およそ7万2,700ドル)をいずれも上回って推移しており、中期の上昇トレンド自体は崩れていない。サポートは7万7,000〜7万8,000ドル圏、レジスタンスは8万〜8万2,000ドル圏。投資家心理を0(極度の恐怖)から100(極度の強欲)で示すFear&Greed指数は40台のニュートラル圏まで低下しており、前回の75(グリード)から過熱感がはっきりと後退したことを示唆している(CoinStats AI)。

イーサリアム(ETH)

週足の支持は2,438ドル(フィボナッチ0.618戻し水準、前回と同水準)、抵抗は週足50週移動平均が位置する2,530〜2,560ドル近辺とされ、いずれも前回から大きな変化はない。RSIはおよそ63前後で、買われすぎの水準には至っていない。20日移動平均線(およそ2,335ドル)・200日移動平均線(およそ2,182ドル)をいずれも上回っており、中期のトレンドは維持されている(CoinStats AI)。

業界トピック

  • セキュリティ事件(続報): 複数の取引所がビットコイン送金に利用するサイドチェーン「Liquid Network」の3.2億ドル相当ハッキングについて、運営元ブロックストリームが脆弱性を修正した直後の9月7日、盗難額の85%にあたる3,400BTC(約2.7億ドル相当)がフェデレーションウォレットへ返還された。残る598.5BTC(約4,700万ドル相当)は依然未回収で、ペグサービスの再開時期は明らかになっていない(Crypto Briefing)。
  • ステーブルコイン: 京都のJPYC自動販売機決済PoC、フィリピンBPIの国際送金パイロット(いずれも詳細は上記「社会実装ニュース」を参照)に加え、21の国際金融機関によるドル建てステーブルコイン共同発行会社構想は2027年前半の市場投入目標のまま、発表段階が続いている。