前回からの変化
変わったこと(変化・新規)
- CFTCが公表した9月22日時点のIMM投機筋の円ネットポジションは7万1982枚の買い越しとなり、前週(9月15日時点)の12万359枚の買い越しから4万8377枚(約4割)減少したことが判明した。前回レポートでは9月19日公表分(9月15日時点)以降の更新を確認できていなかったが、今回新たな週のデータが判明した(新規、みんかぶ)。
- 片山財務相が24日の閣議後会見で、進行する円安について「水準について具体的にコメントすることはあるわけではない」としつつ「先般の協調介入以降のプリンシプル(原則)は生きている」と述べていたことが分かった。25日のベッセント米財務長官との電話会談は、この延長線上の対応と位置づけられる(新規、日本経済新聞)。
- 週末(26・27日)の休場を挟み、28日朝(日本時間6時)のドル円は157円06銭~157円37銭となり、前日比では1円03銭(0.66%)の円安・ドル高となった。25日金曜終盤にかけて強まった円買いの勢いは、週明けにかけていったん巻き戻された形である(新規、共同通信)。
- 来週(9月28日
10月2日)のドル円について、157円00銭162円00銭のレンジで推移し、米インフレ指標の加速が意識されれば160円を試す場面もあり得るとの見方が新たに示された。もっとも160円接近時には為替介入への警戒感から上値が重くなるとの指摘もある(新規、財経新聞)。
昨日と同じこと(継続)
- 財務省・日銀による実際の為替介入(ドル売り・円買い)は、週末を通じても確認できておらず、口先介入と市場の警戒感による相場という構図が続いている。
- 日米の金融政策格差(FRBはなお年内追加利上げを見込み、日銀は緩やかな利上げペースにとどまる)を意識した基本構図そのものに変化はない。
要因の連続性
- 継続要因: 日米金利差、および日米当局者による円安けん制の口先介入は、前回に続き円買い方向の要因として働いている。
- 新規要因: 投機筋の円買い越しポジションの急減(ポジション整理)が、新たな注目材料として加わった。
- 解消した要因: 特になし。前回(25日)の急落分の一部は、週明けにかけてすでに巻き戻されている。
1. 為替サマリー
| 通貨ペア | 水準(取得時点) | 前日比 |
|---|---|---|
| ドル円 | 157円06銭~157円37銭(9/28 6:00 JST) | +1円03銭(+0.66%、円安) |
| ユーロ円 | 178円79銭~179円08銭(9/28 6:00 JST) | +1円27銭(+0.71%、円安) |
| ユーロドル | 1.1385~1.1411ドル(9/25 NY引け) | +0.0026ドル(+0.23%、ドル安・ユーロ高) |
| ドル指数(DXY) | 100.97(9/25 NY引け) | -0.32(-0.32%、ドル安) |
| 人民元(オフショアCNH) | 確度の高い最新値を確認できず(次回以降で補う) | ― |
(ドル円・ユーロ円は共同通信、ユーロドルはザイ・ダイヤモンド、ドル指数はInvesting.comによる)
2. ドル円の動き
25日(金)のNY市場では、片山財務相とベッセント米財務長官の電話会談を受けて円買いが強まり、ドル円は一時156円94銭まで下落したのち157円台前半で越週した(既報)。26日(土)・27日(日)は為替市場が休場となり、新規の取引材料は乏しかった。28日(月)の東京市場では、日本時間6時時点でドル円は157円06銭~157円37銭で推移し、前日比では1円03銭(0.66%)の円安・ドル高となった。金曜終盤にかけて強まった円買いの勢いは、週明けにかけて幾分巻き戻された形である(共同通信)。
なお、片山財務相は24日の会見でも円安について「水準について具体的にコメントすることはあるわけではない」としつつ、「先般の協調介入以降のプリンシプル(原則)は生きている」と述べており、25日の電話会談はこうした姿勢の延長線上にあるとみられる(日本経済新聞)。米長期金利の低下(詳細はecon_indicatorsカテゴリ参照)と、米・イラン協議進展への期待による原油安も、25日のドル売り・円買いを後押しする材料となった。
3. その他の主要通貨
ユーロドルは25日のNY市場で1.1385ドルまで下落したのち1.1411ドルまで戻して引けた。週間では欧州の政治・財政リスクを背景に一時1.13ドル台まで軟化する場面もあったが、週末にかけてはドル安の動きに歩調を合わせてやや値を戻した(ザイ・ダイヤモンド)。ユーロ円は25日、179円88銭から178円92銭まで下落し、28日朝は178円79銭~179円08銭(前日比+1円27銭、+0.71%の円安)で推移している(共同通信)。
ポンド円は25日、209円99銭から208円31銭まで下落し、対円で下げが目立った。豪ドル円も111円40銭から110円45銭まで下落した(みんかぶ)。スイスフラン、人民元(オフショアCNH)については、本レポート作成時点で確度の高い最新水準を確認できなかったため、次回以降のレポートで補う。
4. 当局の姿勢と介入
片山財務相は24日の閣議後会見で、進行する円安について「水準について具体的にコメントすることはあるわけではない」としつつ、「先般の協調介入以降のプリンシプル(原則)は生きている」と述べ、必要に応じた対応の可能性を改めて示唆した(日本経済新聞)。翌25日には、ベッセント米財務長官との電話会談で「円の過小評価は問題である」との認識を共有し、緊密な連携を確認したことは既報のとおりである(みんかぶ)。
財務省・日銀による実際の為替介入(ドル売り・円買い)は、週末を通じても確認できていない。財務省が公表する月次の「外国為替平衡操作の実施状況」は、次回9月30日(水)午後7時に8月27日~9月28日分が公表される予定であり、この期間に実際の介入があったかどうかは同日まで判明しない(財務省)。したがって、足元の円高・円買い圧力は、当局者による口先介入(レートチェックなど市場をけん制する発言)と、金利・需給要因への市場の反応にとどまっていると位置づけられる。
5. ポジションと相場観
CFTCが公表した9月22日時点のIMM通貨先物ポジション(いわゆるIMMポジション。投機筋の持ち高を映す指標)では、円のネットポジションは7万1982枚の買い越しとなり、前週(9月15日時点)の12万359枚の買い越しから4万8377枚(約4割)減少した。内訳はロングが19万2274枚(前週比-4万5677枚)、ショートが12万292枚(前週比+2700枚)で、円買い越しポジションの一部手仕舞い(利益確定・持ち高調整)が進んだ形である。同時点でユーロは5万2334枚の売り越し(売り越し2万5341枚増)、ポンドは8万2568枚の売り越し(同2万3853枚増)、スイスフランは2万6752枚の売り越し(同2236枚減)となっており、対ドルでのユーロ・ポンド売り越しが拡大している(みんかぶ)。
円高派は、日米首脳・財務相レベルでの相次ぐ円安けん制発言と、投機筋の円買い越しポジションが大きく整理されたことを根拠に、目先の上値が抑えられやすいとみる。一方、円安派は、日米金利差(FRBはなお年内追加利上げを見込み、日銀は緩やかな利上げペースにとどまる)という構図そのものは変わっていないとして、来週(9月28日10月2日)にかけても157円00銭162円00銭のレンジでドル高圧力が残ると指摘し、米インフレ指標の加速が意識されれば160円を試す展開もあり得るとの見方を示している(財経新聞)。
6. テクニカル分析(ドル円)
24日時点のテクニカル分析では、200日移動平均線(一定期間の終値を平均しトレンドの方向性を示す指標)は158円47銭付近に位置し、7月高値からの下降トレンドラインとも重なる主要な上値抵抗として意識されていた。RSI(相場の過熱感を0~100で示す指標。一般に70以上は買われすぎ、30以下は売られすぎとされる)は14日ベースで50の中心線をやや上回る水準にあり、目先はなお強気圏内にあるとされていた(FXStreet)。
もっとも、その後25日にかけて156円94銭まで急落する場面があり、直近の安値は24日の157円36銭、21日の156円60銭、17日の155円35銭と切り上がっている。上値は160円35銭(8月下旬~9月上旬の高値)、200日線(158円47銭)が抵抗として意識される一方、下値は156円94銭、155円35銭が当面のサポートとして意識される水準となっている。RSI等の指標の28日時点での確度の高い最新値は確認できなかった。
7. 今夜の注目イベント
28日(日本時間今夜、欧米時間の月曜)は、ECB・BOEの首脳陣、米地区連銀総裁による一連の講演が予定されている(詳細はecon_indicatorsカテゴリ参照)。ユーロ・ポンド・ドルそれぞれの金融政策スタンスをうかがう材料として、為替の反応が注目される。翌29日には豪準備銀行(RBA)の政策金利発表と米JOLTS求人件数(8月分)が控えており、来週にかけては10月2日発表の米雇用統計が最大の注目イベントとなる(財経新聞)。財務省・日銀による新たな口先介入発言やレートチェック実施の報道は、本レポート作成時点では確認できていない。

