前回からの変化
変わったこと(変化・新規)
- ビットコインが365日移動平均線(8万500ドル)を2023年3月以来初めて上抜けた。クリプトクアントのキ・ヨンジュCEOは、過去の相場サイクルにおいてこれが強気相場入りを示す決定的なテクニカル・シグナルだったとし、76,000
81,000ドルの売り圧力ゾーンを突破したことで短期的な最大のレジスタンスが解消されたと分析した。次のレジスタンスは8万8,0009万ドル(オンチェーン実現価格の上限バンドとも重なる)とした。同社の「ブルスコア」は80(60以上で強気)で、8月中旬から強気圏を維持している(新規、CoinPost)。 - オンチェーンアナリストのDarkfost氏は、短期保有者(STH)のコストベースが活動中の長期保有者(LTH)のコストベースを上抜けたことを確認したと分析した。この現象の発生は今サイクルで5回目で、モメンタムの転換を裏付けるという。あわせて、10年以上移動していないビットコインが350万BTCを超え、月8,000~3万BTCのペースで増加を続けていることも、長期保有者の強い確信(コンビクション)を示すとした(新規、CoinPost)。
- 資産運用大手ビットワイズが主要な機関投資家15社に聞き取り調査を行ったところ、「価格が50%下落しても保有を削減しない」との回答が確認された。ストラテジー社は2週間ぶりにビットコインの買い増しを再開し、950BTC(約119億円相当)を追加購入した(新規、CoinPost)。
- Bitgetの不正流出(被害額3億8,750万ドル)について、分析会社Elliptic社は北朝鮮関連ハッカーの手口・資金洗浄パターンと一致するとの見方を示した。一部の資金は昨年の15億ドル規模のBybit事件とも関連する可能性があるとしている。この結果、Elliptic社が追跡する2026年の北朝鮮関連暗号資産窃取総額は10億ドルを突破した。前回report時点ではハッキング事件自体の被害額・出金再開スケジュールのみで、攻撃主体の特定情報はまだ確認できていなかった(新規、Elliptic)。
- Bitgetは予告通り、本日28日午前8時(UTC、日本時間17時)からビットコインの出金再開を開始する。CEOグレイシー・チェン氏は再開の30分前(UTC7時30分)にAMA(質疑応答)を実施する予定で、前回報告の「28日開始」という計画が実行段階に入った(続報、Cryptonomist)。
- 米証券保管振替機関(DTCC)が手掛ける商用トークン化サービスについて、10月の本格商用ローンチが近いことが明らかになった。7月の限定的な本番取引を経て、ラッセル1000採用銘柄・主要指数ETF・米国債をブロックチェーン上で扱う計画で、ブラックロック・JPモルガン・ゴールドマン・サックス・シティ・バンク・オブ・アメリカ・ナスダック・NYSE・サークルなど50社超が開発に参加している(新規、社会実装、Yahoo Finance)。
昨日と同じこと(継続)
- ビットコインは8万3,000~8万5,000ドルのレンジでの底堅さを継続している。24時間ではおよそ0.84%高の8万4,626ドル前後で、前回(8万4,000ドル前後、-0.68%)から小幅に切り上げた。
- SEC・FINRAによる暗号資産準備金企業(200社超)へのインサイダー取引調査は引き続き進行中とみられるが、27日時点で新たな進展の発表は確認できなかった。
- 日本の金融庁の規制動向(資金決済法・金商法関連の改正法の施行準備)について、27日時点でも新たな発表は確認できなかった。
要因の連続性
- 継続要因: 米長期金利の高水準(10月FOMCの利上げ観測は66.6%まで低下、詳細は
econ_indicatorsカテゴリ参照)は引き続き意識される背景要因だが、直近はビットコインの底堅さの方が優勢になっている。 - 新規要因: 365日移動平均線の上抜けという長期テクニカルシグナル、ビットワイズ調査が示した機関投資家の「押し目でも売らない」姿勢、ストラテジー社の買い増し再開、北朝鮮関連ハッカーによる窃取総額10億ドル突破という強気・弱気双方の新材料が加わった。
- 解消した要因: Bitget出金再開を巡る「いつ再開されるか分からない」という不透明感は、本日の実行を待つのみとなり大きく後退した。
1. 価格サマリー
取得時点: 日本時間2026年9月27日夜(米国市場9月26~27日の取引を反映)。
| 銘柄 | 価格(ドル建て) | 参考(円建て、1ドル=157円換算) | 24時間騰落率 |
|---|---|---|---|
| ビットコイン(BTC) | 8万4,626.50ドル | 約1,329万円 | +0.84% |
| イーサリアム(ETH) | 2,704.21ドル | 約42.5万円 | +0.66% |
| リップル(XRP) | 1.5190ドル | 約238円 | -2.02% |
| ソラナ(SOL) | 121.11ドル | 約1万9,000円 | +0.49% |
| BNB | 773.70ドル | 約12万1,500円 | +0.09% |
出典: Investing.com、usethebitcoin
2. 銘柄別動向
ビットコイン(BTC)
第3四半期を通じてビットコインは約43.5%上昇し、7月初旬の約5万8,500ドルから値を伸ばした。これは2017年(約80%上昇)以来最も強い第3四半期の成績となる。直近では、週間高値8万7,363ドルからの調整後も8万3,0008万5,000ドルのレンジを維持し、週内のショートスクイーズ・ロング解消・大型オプション満期を大きな混乱なく消化したと評価されている。焦点は8万5,000ドルが「レジスタンスからサポートに転換するか」に移っている(usethebitcoin)。米国スポットビットコインETFには9月2125日の1週間で23億9,000万ドルの純流入があり、うち9月22日(月曜)単日は9億9,900万ドルと2026年最大を記録した(usethebitcoin、vietnam.vn)。
イーサリアム(ETH)
イーサリアムは2,700ドル台で小幅高となり、今四半期ではおよそ71%上昇。過去最も強い第3四半期のペースで推移している。米国イーサリアム現物ETFは9月に445万ドル規模の月間純流入となり、単月ベースでビットコインETFを上回った(ただし週次では流出に転じる場面もあるなど振れは大きい)。ステーキングされたETHは1,200億ドル規模、レイヤー2の合計預かり資産(TVL)は404億ドル(9月21日時点)に達しており、価格の伸び以上に構造的な需要基盤が積み上がっている点が特徴的とされる(CoinPost)。
その他アルトコイン
リップル(XRP)は1.519ドルでマイナス2.02%とやや軟調だった一方、ソラナ(SOL)は121.11ドルで小幅高、BNBも773.70ドルでほぼ横ばいだった。9月に入ってからは総じてビットコインに連れ高する場面が多く、XRP向けETFには9月累計で1億1,744万ドルの資金が流入するなど、アルトコイン全体への資金流入も続いている(Investing.com)。
3. 強気派 vs 弱気派
強気派
- クリプトクアントのキ・ヨンジュCEOは、ビットコインが365日移動平均線(8万500ドル)を2023年3月以来初めて上抜けたことを「過去の相場サイクルで強気相場入りを示す決定的なテクニカル・シグナル」と評価し、次の抵抗帯を8万8,000~9万ドルとした(CoinPost)。
- オンチェーンアナリストのDarkfost氏は、短期保有者のコストベースが長期保有者のコストベースを上抜けた(今サイクル5回目)ことと、10年以上動いていないビットコインが350万BTCを超えて増加を続けていることを根拠に、長期保有者の強い確信を指摘した(CoinPost)。
- ビットワイズの調査では、主要機関投資家15社が「価格が50%下落しても保有を削減しない」と回答しており、機関投資家の押し目買い姿勢の強さを示すとの見方がある(CoinPost)。
弱気派
- クリプトクアントのキ・ヨンジュCEO自身も、過去のサイクルとの比較から「今回の上昇幅は10倍超ではなく3~5倍にとどまり、その後の弱気相場も穏やかになる」との見通しを示しており、強気シグナルを認めつつも過度な楽観をけん制している(CoinPost)。
- Bitgetの不正流出(3億8,750万ドル)が北朝鮮関連ハッカーによるものとみられ、2026年の北朝鮮関連暗号資産窃取総額が10億ドルを突破したことは、取引所のセキュリティ体制・業界全体の信頼性への懸念材料となっている(Elliptic)。
- usethebitcoinの分析では、ビットコインが8万1,000ドルを終値で下回った場合、次の主要サポートは7万6,000~7万7,000ドル付近になるとの弱気シナリオも示されている(usethebitcoin)。
4. 社会実装ニュース
米証券保管振替機関(DTCC)が手掛ける「DTCトークン化サービス」が、10月に本格的な商用ローンチを迎える見通しであることが分かった。7月には限定的な本番取引(パイロット)を実施し、これを最終ストレステストとして通過した段階にある。対象はラッセル1000採用銘柄・主要指数ETF・米国債で、ブラックロック・JPモルガン・ゴールドマン・サックス・シティ・バンク・オブ・アメリカ・モルガン・スタンレー・ナスダック・NYSE・サークルなど50社超が開発に参加している。実証実験(パイロット)段階から、米国の主要な証券決済インフラそのものを対象とした商用運用へ移行する事例であり、暗号資産・ブロックチェーン技術のRWA(実物資産)分野における実導入として重要度が高い(Yahoo Finance)。
5. 法改正・規制ニュース
米国
SEC・FINRAによる暗号資産準備金企業(200社超)へのインサイダー取引調査は引き続き進行中とみられるが、27日時点で新たな進展の発表は確認できなかった。SECが8月に提案した「Regulation Crypto Assets」規則制定案のパブリックコメント期限(10月20日)にも変更はない。上院では9月15日にCLARITY法案(包括的な暗号資産規制法案)の手続き投票が49対50で必要な60票に届かず否決されており、議会での包括立法は依然として停滞したままとなっている(継続)。
日本
金融庁は9月15日に公表した令和8年度金融行政方針で、口座開設直後に暗号資産を取引所外のウォレットへ送金する行為に「熟慮期間(クーリングオフ期間)」を設ける方針を示している。8月に取引所各社へ求めた詐欺対策の強化についても、実施状況の検証を続けるとした。7月に成立した金融商品取引法等改正法の施行に向けた監督指針の整備も進める方針だが、27日時点でこれらに関する新たな発表は確認できなかった(cryptonews.com)。
6. テクニカル分析
ビットコイン(BTC)
移動平均線は20日EMAが8万1,400ドル、50日EMAが7万7,000ドル、200日EMAが7万4,100ドルで、短期線が長期線を上回る強気の並び(50日線が200日線を上回るゴールデンクロス状態)を維持している。加えて、より長期の365日移動平均線(8万500ドル)を2023年3月以来初めて上抜けたことは、長期トレンド転換のシグナルとして注目されている(CoinPost)。RSI(相対力指数)は日足で64前後と、過熱感は限定的ながら需要の強さを示す水準にあり、月足RSIも直近の安値圏(5か月平均で47程度)から54前後まで回復してきている(usethebitcoin、thecryptobasic)。サポートは8万1,400ドル(20日EMA)と8万3,8008万4,000ドルの直近ピボット、レジスタンスは8万5,0008万5,800ドルの短期抵抗、8万7,2008万7,400ドルの週間高値、その上の8万8,0009万1,000ドルが次の主要な供給ゾーンとされる。センチメント面では、Fear & Greed指数が70(強欲)で、1週間前の71・1か月前の73からやや低下したものの、「極度の強欲」の目安となる75は下回っており、過熱と冷静の中間で推移している(Coinbird)。
イーサリアム(ETH)
移動平均線・RSIなど詳細なテクニカル指標の確度の高い最新値は本レポート作成時点で確認できなかった。参考として、ステーキング残高が1,200億ドル規模、レイヤー2のTVLが404億ドル(9月21日時点)に達しているなど、価格変動とは別の構造的な需要指標は底堅く推移している(CoinPost)。
7. 業界トピック
- Bitget不正流出事件、北朝鮮関連との分析と出金再開の実行: 分析会社Elliptic社は、Bitgetの不正流出(3億8,750万ドル)の手口・資金洗浄パターンが北朝鮮関連ハッカーの過去の攻撃(昨年のBybit事件など)と一致すると分析し、2026年の北朝鮮関連暗号資産窃取総額が10億ドルを突破したと報告した。Bitgetは予告通り本日28日午前8時(UTC、日本時間17時)からビットコインの出金再開を開始し、CEOグレイシー・チェン氏がその30分前にAMAを実施する予定(Elliptic、Cryptonomist)。
- 機関投資家の押し目買い姿勢: ビットワイズの調査では主要機関投資家15社が「50%下落でも保有削減なし」と回答し、ストラテジー社も2週間ぶりに950BTC(約119億円相当)を買い増した(CoinPost)。
