前回からの変化
変わったこと(変化・新規)
- ジーキャッシュ(ZEC)が時価総額トップ10入り(新規): プライバシー通貨のジーキャッシュが年初来およそ2,496%という急騰を演じ、時価総額ランキングを82位から10位圏(記事により7〜10位)へ押し上げた。9月6日には1コインおよそ1,249ドルと2016年以来の高値を付け、プライバシー通貨セクター全体の時価総額もこの1年でおよそ71億ドルからおよそ336億ドルへ拡大した。グレースケールが8月25日に上場させたジーキャッシュ関連商品(ティッカー: ZCSH)の運用資産もおよそ4億6,300万ドルに達しており、機関投資家の関心の高まりを示している(CoinGabbar)。前回レポートでは「直近30日でおよそ120%の急騰」という段階だったが、その後さらに勢いを増した形である。
- バイナンスコイン(BNB)が時価総額1,000億ドルを初突破(新規): BNBは週間でおよそ10.2%上昇し、一時779ドルまで買われて時価総額が初めて1,000億ドルを超えた。その後は740〜750ドル前後まで落ち着いている(openpr)。
- USバンクが公開ブロックチェーン上でドル建てステーブルコイン「USBDC」の国際送金実証実験を実施(新規・社会実装): 米USバンクは9月9日、独自開発のドル連動型ステーブルコイン「USBDC」を発表し、ステラのブロックチェーン上で北米・欧州の自行拠点間の国際送金パイロット取引を完了したと公表した。新規発行(ミンティング)、支払い償還、凍結、資金回収(クローバック)といった機能を検証しており、銀行発行のステーブルコインが公開ブロックチェーン上に展開された初期事例の一つとされる。現時点では自行内拠点間のパイロット段階であり、外部顧客向けの商用展開はこれからである(PYMNTS)。
- CLARITY法案の9月15日クローチャー採決がより具体化(変化): 採決時刻が米東部時間午後2時15分と明確になり、コインベースのブライアン・アームストロングCEOは「可決される」との見通しを示した。共和党は53議席で、可決には民主党・無所属から最低7票の造反が必要となる。並行してCFTC(商品先物取引委員会)のセリグ委員長は、CLARITY法が9月に停滞した場合に備え、CFTC独自の市場構造規則案を用意するようスタッフに指示したことを明らかにした(Yahoo Finance、Bitget Academy)。
- ビットコインは前回終値圏からやや持ち直し(変化): 前回レポート時点の7万8,370ドルから、当日はおよそ7万8,800ドル前後まで小幅に戻した(週間騰落率は前回の+0.7%から+1.3%へ改善)。ただし中東情勢の緊張は解消しておらず、上値は重い(Yahoo Finance)。
昨日と同じこと(継続)
- 米国とイランの軍事衝突は収束しておらず、原油価格は1バレル100ドル近辺の高止まりが続いている。ビットコイン・イーサリアムともに前回に続き上値の重い展開。
- 9月15〜16日のFOMC(米連邦公開市場委員会)を巡る利上げ観測はおよそ60%前後で高止まりしたまま、大きな変化はない(openpr)。
- リキッドネットワークのハッキング事件は、盗難額の85%(3,400BTC)が返還された後も、残る598.5BTC(約4,700万ドル相当)が未回収のまま。引き出し機能の再開時期も依然未定。
- 弱気派のベンジャミン・コーウェン氏(10月のサイクル底値説)、ブルームバーグ・インテリジェンスのマイク・マグローン氏(流動性引き締まり時の1万ドル回帰リスク)の見方はいずれも継続。
- 日本の金融庁による暗号資産の分離課税(20.315%)移行方針は、2025年12月公表の税制改正大綱のまま新たな進展は確認できなかった(CoinDesk JAPAN)。
要因の連続性
- 継続要因: 米国・イランの軍事衝突と原油高、9月15〜16日FOMCに向けた利上げ観測、CLARITY法案を巡る与野党協議の停滞、ビットコイン現物ETFの年初来資金流出超過という重し。
- 新規要因: ジーキャッシュを筆頭とするプライバシー通貨セクターの急伸、BNBの時価総額1,000億ドル突破、USバンクによるステーブルコイン国際送金実証実験、CFTCのCLARITY法代替案準備という規制当局側の新たな動き。
- 解消した要因: 前回すでに和らいだ8月雇用統計ショックによる急激な利上げ観測の再燃は見られず、大きな新規解消要因は今回は特になし。
価格サマリー
取得時点: 日本時間2026年9月10日早朝(直近の材料は米国時間9月9日水曜の取引データに基づく。相場は24時間動いており、時点により数値差がある)。
| 銘柄 | 価格(ドル建て) | 24時間騰落率など |
|---|---|---|
| ビットコイン(BTC) | およそ7万8,800ドル | 前日からほぼ横ばい〜小幅安、週間+1.3%、1か月+20.9% |
| イーサリアム(ETH) | およそ2,486ドル | 前日比およそ0.2%安、週間+2.8%、1か月+29.7% |
| ソラナ(SOL) | およそ102〜104ドル | 前日比ほぼ横ばい |
| バイナンスコイン(BNB) | およそ740〜780ドル | 週間+10.2%、時価総額が史上初めて1,000億ドルを突破 |
| ジーキャッシュ(ZEC) | およそ1,000〜1,249ドル圏 | 年初来+2,496%、時価総額ランキングが82位から10位圏へ急浮上 |
出典: Yahoo Finance、CRYPTO TIMES、CoinGabbar、openpr。円建て参考値(9月9日時点): ビットコインはおよそ1,203万円前後、イーサリアムはおよそ38.1万円前後、ソラナはおよそ1万5,800円前後(CRYPTO TIMES)。
銘柄別動向
ビットコイン(BTC)
米国・イランの軍事衝突が続くなか、原油価格は1バレル100ドル近辺で高止まりしている。インフレ懸念から9月15〜16日のFOMCでの利上げ観測もおよそ60%前後で高止まりしたままで、ビットコインはおよそ7万8,800ドル前後と前回とほぼ同水準で推移した。週間ではプラス圏(+1.3%)を維持しているものの、1か月ベースの上昇率(+20.9%)は前回の+21.9%からわずかに縮小しており、上値の重さがうかがえる(Yahoo Finance)。
イーサリアム(ETH)
およそ2,486ドルで、前日比およそ0.2%安。週間では+2.8%、1か月では+29.7%を維持している。8月の米消費者物価指数(CPI)は9月11日発表予定で、直近で最も意識されるマクロイベントとして市場の様子見姿勢が続いている(The Crypto Times)。
その他アルトコイン
- バイナンスコイン(BNB): 週間でおよそ10.2%上昇し、一時779ドルまで買われて時価総額が史上初めて1,000億ドルを突破した。その後はおよそ740〜750ドル前後まで落ち着いている(openpr)。
- ジーキャッシュ(ZEC): プライバシー機能を備えたジーキャッシュが年初来およそ2,496%の急騰を演じ、時価総額ランキングを82位から10位圏へ押し上げた。9月6日にはおよそ1,249ドルと2016年以来の高値を付けた。空売りポジションの解消(ショートスクイーズ)に加え、グレースケールの関連商品(ZCSH)への資金流入(運用資産およそ4億6,300万ドル)が上昇を支えている(CoinGabbar)。
- ソラナ(SOL): およそ102〜104ドルで、前回からの大型アップグレード「トランザクションv1」稼働後も大きな方向感は出ておらず、横ばい圏で推移している(CRYPTO TIMES)。
強気派 vs 弱気派
強気派
- ファンドストラットのトム・リー氏は、ビットコインETF主導の需要と機関投資家の継続的な資金配分を根拠に、従来の「4年周期」説が崩れつつあると主張し、2026年末までに25万ドルへ到達するとの強気シナリオを維持している(Yahoo Finance)。
- FinanceFeedsの分析では、9月11日発表の8月CPIが市場予想より軟調で、実質金利が現在の4.78%から4.25%程度まで低下すれば、ビットコインは2025年10月の史上最高値(12万4,740ドル)を再び試す13万ドル近辺への上昇余地があるとの強気シナリオが示されている(FinanceFeeds)。
出典: Yahoo Finance、FinanceFeeds
弱気派
- アナリストのベンジャミン・コーウェン氏は、10月をサイクル底値形成の基本シナリオとする見方を引き続き維持している(前回から変化なし)(FinanceFeeds)。
- FinanceFeedsの分析では、9月のCPIが市場予想より高く、FOMCが利上げとその後の追加利上げを示唆する事態になれば、7月1日安値(5万8,566ドル)を割り込み、4万6,000ドル近辺まで下落しうるとの弱気シナリオが示されている(FinanceFeeds)。
- ブルームバーグ・インテリジェンスのマイク・マグローン氏は、市場の流動性が引き締まればビットコインが1万ドル近辺まで回帰しうるとのテールリスクシナリオを引き続き示している(前回から変化なし)。
出典: FinanceFeeds
社会実装ニュース
米USバンクは9月9日、自社開発のドル連動型ステーブルコイン「USBDC」を発表し、パブリックブロックチェーンであるステラ上で北米・欧州の自行拠点間の国際送金パイロット取引を実施したと公表した。新規発行(ミンティング)、支払い償還、口座凍結、資金回収(クローバック)といった機能を検証しており、銀行発行のステーブルコインを公開ブロックチェーン上に展開した初期事例の一つに位置づけられる。ガンジャン・ケディアCEOは「グローバルなキャッシュマネジメントと資金移動能力の加速につながる」とコメントしている。現時点では自行拠点間のパイロット段階であり、外部の法人・個人顧客向けの商用展開はこれからである(PYMNTS)。
このほか、京都市内で進行中の日本円ステーブルコイン「JPYC」による自動販売機決済の実証実験(2026年7月1日〜9月30日、JPYC・HashPort・INSPAY・チェリオの4社連携)や、フィリピンのBPI(フィリピン諸島銀行)によるステーブルコインを使った海外就労者向け給与受け取りパイロットは、いずれも前回に続き進行中である。また韓国では、地元銀行コンソーシアム「ユニカ」と欧州銀行グループ「キヴァリス」が連携し、ステーブルコインを使った国際送金モデルの実証を進める「パンゲアプロジェクト」について、9月9日付で協議の進展が報じられている(詳細は今後の続報を待ちたい段階)(Bloomingbit)。
法改正・規制ニュース
米国
上院共和党のジョン・スーン院内総務が提出済みの暗号資産市場構造法案(CLARITY法)について、討論終結(クローチャー)の手続き採決が米東部時間9月15日午後2時15分に実施されることが具体化した。共和党は53議席を持つが、可決には60票が必要で、民主党・無所属から最低7票の造反が必要となる。コインベースのブライアン・アームストロングCEOは可決を予想している。一方、CFTC(商品先物取引委員会)のセリグ委員長は、CLARITY法が9月に停滞した場合に備え、CFTC独自の市場構造規則案を策定するようスタッフに指示したことを明らかにしており、規制当局側も代替シナリオの準備を進めている(Yahoo Finance、Bitget Academy)。
日本
金融庁は令和8年度税制改正要望において、暗号資産取引の所得を現行の総合課税(雑所得、最高55%)から申告分離課税(所得税15%+住民税5.315%、合計20.315%)へ移行する見直しを求めている。2025年12月公表の令和8年度税制改正大綱でも同方針が既に示されており、損失の3年間繰越控除の導入も盛り込まれる見通し。金融商品取引法の改正が2026年中に成立すれば2027年施行、2028年1月1日からの分離課税適用が想定されている。今回のサイクルでも新たな進展の確認はできなかった(継続)(CoinDesk JAPAN)。
テクニカル分析
ビットコイン(BTC)
短期的には5日移動平均線(およそ7万8,600ドル)・50日移動平均線(およそ7万9,500ドル)をいずれも下回る場面があり、短期的な調整色がやや強まっている。一方で200日移動平均線を含む中長期の移動平均線はなお上向きが多く、中期の上昇トレンド自体は崩れていない。日足RSI(14日)は前回の64前後から低下し、短期的な売られすぎ感を示す水準まで接近しているとの見方もある。9月11日の米CPI、9月15〜16日のFOMCという重要イベントを控え、方向感を欠いたレンジ内での値動きにとどまっている(The Crypto Times)。
イーサリアム(ETH)
2,470〜2,515ドルのレンジでの推移が続いており、前回に続き大きな方向感は出ていない。8月を通じて上昇した後は伸び悩んでおり、直近の主要な上値抵抗は前回と同水準の2,530〜2,560ドル近辺、支持は2,438ドル近辺が引き続き意識されている。9月11日のCPI発表まで様子見ムードが強い(The Crypto Times)。
業界トピック
- セキュリティ事件(続報): 複数の取引所がビットコイン送金に利用するサイドチェーン「Liquid Network」のハッキング事件について、盗難額の85%(3,400BTC、約2.7億ドル相当)が9月7日にフェデレーションウォレットへ返還された後も、残る598.5BTC(約4,700万ドル相当)は依然未回収で、引き出し機能の再開時期も明らかになっていない(CRYPTO TIMES)。
- プライバシー通貨セクターの拡大: ジーキャッシュを筆頭に、プライバシー機能を持つ暗号資産のセクター全体の時価総額がこの1年でおよそ71億ドルからおよそ336億ドルへ拡大し、2025年10月のビットコイン高値時点を上回る水準で推移している唯一の主要セクターとなっている(CoinGabbar)。
- 話題性のあるニュース: マイケル・セイラー氏率いるストラテジー社が9月4日に発売した250ドルのビットコインテーマのスニーカーが、全サイズで完売した(CRYPTO TIMES)。

