前回からの変化
前回(2026-10-17、前日)との比較である。
変わったこと(変化・新規)
- 前回は、米国がロシア産ディーゼルの制裁を緩めたことにEUが反発し、トランプ氏とゼレンスキー氏が対立している段階だった。今回、トランプ氏は9月に成立した対ロシア・イラン制裁法に基づく新たな制裁の発動そのものを、大統領令で見送った。対象はロシアの政府・軍の当局者、大手銀行、影の船団(制裁逃れの船舶)で、ロシア産エネルギーを買う国の製品への関税も含まれていた(Euronews)
- 前回は「首脳会議が対中防衛を指示し、7年予算は進まず」が中心だった。今回はEUの話題ではなく、中東と国内政治の動きが中心になった
- フランスで17日、物価高への全国デモが起き、約55万人(労組発表は80万人)が参加した(Euronews)
- IMF・世界銀行の年次総会(バンコク、18日まで)で、IMFのゲオルギエワ専務理事が低所得国の債務負担を訴えた(Al Jazeera)
昨日と同じこと(継続)
- 中東情勢を背景としたエネルギー価格の高止まりが、各国の政策判断を左右する構図は続いている。IMFは、2月に米国とイスラエルがイランと戦争を始めて以降のエネルギー高が、輸入国に重くのしかかっていると説明した
- 11月3日の米中間選挙、27〜28日のFOMC、11月26日のEU特別首脳会議という日程は前回から変わっていない
- ロシアによるウクライナへの攻撃も続いている。16日の攻撃で少なくとも8人が死亡し、100万人超が停電した(Al Jazeera)
要因の連続性
- 継続要因: 中東のエネルギー供給不安と、米国とEUの対ロシア政策の食い違い。前回はディーゼルの制裁緩和、今回は新たな制裁の見送りと、米国の方針が一段進んだ
- 新規要因: ホルムズ海峡の船舶被害の拡大と、フランスの大規模デモという、国内の不安定化の要素が加わった。米中間選挙を前にしたトランプ氏の動きとの関連が報じられている
- 解消した要因: 前回の焦点だったEU首脳会議の結果は一巡した。IMF・世界銀行総会も18日で閉幕する
今日の要点
| 地域 | 出来事 | 日本への影響 | 段階 |
|---|---|---|---|
| 米国 | 新たなロシア制裁を大統領令で見送り | G7の対ロ制裁の足並み | 署名済み |
| 中東 | ホルムズ海峡で船舶被害、米国とイランが管理権を主張 | 原油価格、調達 | 事態は進行中 |
| 欧州 | フランスで約55万人の抗議デモ | 対仏取引、渡航 | 抗議が継続 |
| 国際機関 | IMF総会で低所得国の債務を議論 | 資源国・新興国の安定 | 総会は18日まで |
米国
トランプ大統領は17日、9月に成立した「リンジー・O・グラム対ロシア・イラン制裁法」が発動する前に、その適用を見送る大統領令に署名した。国益にかなうという理由で、ロシアの政府・軍の当局者、大手銀行、影の船団への制裁と、ロシア産エネルギーを買う国の製品への関税が止まる。ロシアのドミトリエフ特使は「歴史的な瞬間」と歓迎した。ゼレンスキー大統領は、ディーゼルでの合意に続いて「次はガス取引だ」と述べ、銀行や凍結資産へ緩和が広がることを懸念した(Euronews)。報道は、この動きが中間選挙の運動期間と重なり、世界の燃料価格を下げる狙いのディーゼル合意と関連していると伝えている。
大統領令は、大統領が国益を理由に法律上の措置を一時停止できる仕組みを使ったものとみられるが、詳しい法的根拠は確認できなかった。
日本への影響: 日本はG7の一員として対ロ制裁を維持している。米国が制裁を緩める一方でEUが維持を求めると、G7内の足並みが乱れ、日本の対ロ政策の判断が難しくなる可能性がある。
欧州
フランスで17日、物価高への全国デモが行われ、約55万人(労組は80万人)が参加した。覆面の集団が平和的な行進に紛れて放火や略奪を行い、警察は催涙ガスと放水を使って約400人を逮捕した。マクロン大統領は「共和国に暴力の場はない」と述べ、ルコルニュ首相は「極左集団による極めて激しい暴力」と非難した。首相は、公的資金に限りがあり、破壊の復旧費に際限なく使えないとも述べた(Euronews)。次の大統領選挙まで約6か月で、極右勢力が伸びる可能性も報じられている。
ルーマニアは17日夕方、黒海でF-16がロシアのゲラン系の攻撃ドローン2機を撃墜した。外相は、黒海が穀物・エネルギー・工業品の輸出の要路であり、北大西洋条約機構(NATO)で黒海の防衛と抑止を議論すると述べた(Euronews)。
日本への影響: フランスは日本企業の拠点が多く、デモが長引くと物流や店舗への影響が出る可能性がある。渡航者は外務省の海外安全情報を確認する必要がある。財政不安がユーロ安につながれば、為替を通じて日本の輸出企業にも影響しうる。黒海の緊張は、穀物・エネルギーの供給を通じて価格に響く。
アジア・オセアニア
北朝鮮は17日、国営通信を通じて、AIで目標の探知と誘導を行う新型の魚雷システム(「Zam-2.0」と報じられている)の推進系の試験を行ったと発表した。14日(水)にも、潜水艦発射とみられる巡航ミサイルの試験があった(Euronews)。発表は北朝鮮側の主張で、性能は第三者に確認されていない。
日本への影響: 日本周辺の海域での北朝鮮の軍事力強化の動きで、日本政府は情報収集と警戒を続けるとみられる。日本政府の反応は、今回の確認範囲では見つからなかった。
中東・アフリカ・中南米
ホルムズ海峡では、今週少なくとも12隻の船舶が攻撃を受け、1隻が沈み、2隻が航行不能、3隻が損傷した。イラン革命防衛隊は17日、200万バレル超を積んだ超大型タンカーが「許可されていない航路」で機雷に触れて炎上したと発表したが、米中央軍は機雷ではなくミサイル攻撃だと反論した。米国は司令官が「海峡は米国と地域のパートナーが管理している」と述べ、過去1週間に400隻・1億バレルが通過したと説明した。イラン側は米国の数字は誇張だと主張した。原油の流量は日量1,160万バレルで戦前の約68%、ブレント原油は5月以来初めて1バレル110ドルに達した(Al Jazeera)。
エジプトのシーシ大統領は17日、サウジアラビアへの防衛支援を行えるよう議会の臨時会期での承認を求めた。サウジは、イランが支援するイエメンのフーシ派から空港や石油施設への攻撃を繰り返し受けており、リヤドの国際空港への攻撃では14人が死亡、300人超が負傷した。スエズ運河の収入が紅海の航行に左右されるため、エジプトにも利害がある。シーシ氏は2030年以降は大統領職を延長しないとも述べた(Al Jazeera)。
日本への影響: 日本は原油の大半を中東に依存しており、海峡の流量低下と110ドルのブレント原油は、ガソリン・電気料金・輸入物価に直結する。記事には日本の船舶や日本向け輸送への言及はなかったが、日本の調達や備蓄の対応は引き続き注視が必要である。
国際機関・多国間の動きと、日本を名指しした動き
IMFと世界銀行の年次総会はバンコクで18日まで開かれている。ゲオルギエワ専務理事は、世界経済の底堅さに楽観できる面があるとしつつ、インフレ、債務、紛争の波及を懸念した。低所得国は政府収入の8〜14%を債務の返済に充てており、金利上昇が重荷になっている。IMFは債務再編の支援、国内の財源確保、イラクとレバノンへの貸し出しなどで支える方針を示した(Al Jazeera)。米国のベッセント財務長官は「国内の用務」を理由に総会を欠席し、副長官らが代表団を率いた。2026年のG20議長国は米国である(Nation Thailand)。
日本への影響: 日本を名指しした新たな動きは確認できなかった。エネルギー高による新興国・資源輸入国の債務問題は、日本の対外投融資や貿易にも波及しうる。

