前日からの変化

変わったこと(変化・新規)

  • 前回レポート(前回値)ではエヌビディア決算が「好決算にもかかわらず時間外で7%程度急落」という結果で終わっていたが、本日はその流れが完全に反転した。決算説明会でジェンスン・フアンCEOが「2028会計年度の売上高成長率は70%に達する見通しで、AIは転換点に来ている」と述べたことをきっかけに買いが加速し、本セッションでエヌビディア株は8.7〜8.9%高と急伸した。売上高は962億ドル(前年同期比106%増、市場予想922億ドル)、データセンター事業は890億ドル(全体の約92%)。時間外の急落と本セッションの急伸という「一夜での評価の逆転」が最大の新規材料。 出典: Investing.com(Reuters)、Fortune、CNBC、Yahoo Finance
  • セールスフォース・オクタ・クラウドストライクが決算を発表し、いずれも市場予想を上回る増収増益とガイダンス引き上げを示したことで軒並み急伸(セールスフォース+22.6%、オクタ+19〜28%、クラウドストライク+15〜20%)。前回レポートでは未言及の新規材料で、「AIがソフトウェア企業を破壊する」という懸念(SaaS黙示録論)への反証として扱われている。 出典: CNBC、Bloomberg、Yahoo Finance
  • ウェンディーズ株が12〜14%急落。トライアン・ファンド・マネジメント(ネルソン・ペルツ氏、保有比率約16%)が準備していたとされる非公開化(TOB)提案を撤回したとロイターが報道したことが理由で、業績や戦略への懸念が背景とされる。前回までに無かった新規の個別銘柄材料。 出典: Yahoo Finance
  • ジャクソンホール会議が開幕し、カンザスシティ連銀のジェフリー・シュミッド総裁が「政策金利(現行3.50〜3.75%)は依然として緩和的で、何を抑制しているのか分からない」「インフレは2%目標に達しておらず、根強く粘着的」と発言。前回レポートでは「会期入りした」ことのみが新規材料だったが、本日は具体的なタカ派発言が新規に加わった。 出典: CNBC、Yahoo Finance
  • トランプ政権が半導体および半導体を使った製品(ノートPC・ゲーム機・データセンター向けサーバーなど)への新たな関税拡大を検討していると報じられた。今年1月の関税で設けられていたデータセンター・研究開発・新興企業向けの適用除外が撤廃される可能性がある内容で、新規の政策材料。 出典: CNBC
  • 新規失業保険申請件数(週次)は20万3千件(市場予想20万8千件)に低下し、前回時点で予告されていた指標の結果が判明。4週平均は20万5千500件にやや上昇。 出典: プレスデモクラット

昨日と同じこと(継続)

  • ウォール街のアナリスト全体は前回に続きエヌビディアに強気姿勢を維持しており、本日の決算後の急伸でその見方が裏付けられた形。 出典: Investing.com(Reuters)
  • シーマ・シャー氏(プリンシパル・アセット・マネジメント)の「エヌビディア決算はAI投資が実際の収益に結びつくかを試す試金石」という論点は継続して引用されている。マイケル・バリー氏の「循環的な資金調達(サーキュラー・ファイナンシング)」への警鐘も、バーンスタインのステイシー・ラスゴン氏(買い推奨は維持)からも同様の懸念が示され、継続する論点となっている。 出典: Yahoo Finance、Barchart
  • ドル円は159円台での推移が継続(前回159.28円→本日159.38円、+0.06%)。ドル指数(DXY)も99.1〜99.2の範囲でほぼ横ばい(前回99.15→本日99.17)。 出典: Trading Economics(円)、Trading Economics(ドル)
  • ジャクソンホール会議はウォーシュFRB議長の就任後初講演(8/28金曜、米東部時間午前10時)への関心を引き続き高めており、前回レポートで予告されていた最大の注目イベントとしての位置づけは変わっていない。 出典: MNI Markets

要因の連続性

  • 継続要因: ウォール街の強気コンセンサス(エヌビディアへの評価)、シーマ・シャー氏の「AI投資の試金石」論、マイケル・バリー氏の循環的資金調達への警鐘(バーンスタインのラスゴン氏も同様の懸念を指摘)、ジャクソンホール会議・ウォーシュ議長講演への期待と警戒は、前回に続き本日も背景要因として働いている。ドル円・DXYの膠着した水準感も継続。
  • 新規要因: (1) エヌビディアの決算説明会での「2028年度売上高70%成長」というガイダンスが、時間外急落からの反転急伸を招いたこと、(2) セールスフォース・オクタ・クラウドストライクの好決算が「AIによるソフトウェア破壊」懸念への反証材料として加わったこと、(3) ウェンディーズのトライアン非公開化提案撤回という新規の個別材料、(4) カンザスシティ連銀シュミッド総裁のタカ派発言、(5) トランプ政権による半導体関税拡大検討の報道が新たに加わった。
  • 解消した要因: 前回材料視されていた「エヌビディア好決算にもかかわらず株価が下落するという期待とのギャップ」懸念(スサムハナのマーフィー氏らの指摘)は、本日の決算説明会後の急伸によって、少なくとも短期的には後退した。ただし循環的資金調達への構造的な懸念(バリー氏)自体は解消していない。

1. 市況サマリー

指数 終値 前日比 騰落率
S&P500 7,730.99 +55.29 +0.72%
ナスダック100(NDX) 29,577.75 +321.40(前回値29,256.35比) +1.10%(情報源により+1.21%との報道もあり)
NYダウ 53,569.44 +57.64(前回値53,511.80比) +0.20%

(取得時点: 2026-08-27米国市場引け後。出典: Yahoo Finance(Thursday, August 27)、ナスダック100はInvesting.com(NDX Historical Data)。 なお、ナスダック総合指数は26,541.35(+411.15、+1.57%)。前回・前々回に続き情報源間で騰落率の細部(NDXの騰落率が+1.10%か+1.21%かなど)に若干の差異があるが、方向感(3指数そろって上昇)は複数情報源で一致しており、今回は大きな食い違いは見られなかった。)

2. 指数別動向

S&P500

終値は7,730.99(+0.72%)。エヌビディアの決算説明会での前向きなガイダンスを受け、テクノロジーセクターが相場をけん引した。もっとも値上がり銘柄はS&P500構成銘柄のうち156銘柄にとどまり、上げの中身はハイテク・ソフトウェア株に偏った内容だった。 出典: The Motley Fool、Yahoo Finance

ナスダック100

エヌビディア(+8.7〜8.9%)を筆頭に半導体・AI関連株が全面高となり、指数は29,577.75(前回29,256.35から+1.10%、情報源により+1.21%)で終えた。ソフトウェア関連の「iシェアーズ・エクスパンデッド・テック・ソフトウェア・セクターETF」も6%上昇し、フィラデルフィア半導体指数も1.6%上昇した。 出典: Yahoo Finance、Investing.com

NYダウ

終値は53,569.44(+0.20%)と小幅高にとどまった。エヌビディアなどハイテク株の急伸がダウ平均への寄与としては限定的だった一方、ダウ採用30銘柄中23銘柄は値下がりしており、指数全体としては小幅な上昇にとどまった。 出典: The Motley Fool、Yahoo Finance

3. 強気派 vs 弱気派

強気派(ブル)

  • ダニエラ・ハソーン氏(キャピタル・ドットコム、シニア市場アナリスト): 「エヌビディアは再び市場予想を上回る決算を出し、AI投資サイクルが健全であるとの安心感を与えた」とコメント。(新規) 出典: Reuters経由(Investing.com)
  • ラレ・アコナー氏(eToro、グローバル市場ストラテジスト): 「エヌビディアの決算結果は、AIブームの需要が尽きていないことを示している」との見方を示した。(新規) 出典: Reuters経由(Investing.com)
  • グッゲンハイム証券のアナリスト: セールスフォース・オクタ・クラウドストライクなどの好決算を受け、「AIがSaaS(ソフトウェア企業)を陳腐化させるという『SaaS黙示録』論はもうやめるべき時だ」と評価。(新規) 出典: CNBC
  • ジェンスン・フアン氏(エヌビディアCEO): 決算説明会で「AI投資についての唯一の後悔は、もっと早く、もっと多く投資しなかったことだ」と発言し、2028会計年度の売上高成長率が70%に達するとの見通しを示した。(新規) 出典: Yahoo Finance
  • ウォール街のアナリスト全体(エヌビディアカバレッジ): 前回に続き大多数が「買い」評価を維持しており、本日の決算後急伸で強気姿勢が裏付けられた。(継続) 出典: Investing.com(Reuters)

弱気派(ベア)

  • ジェフリー・シュミッド氏(カンザスシティ連銀総裁): ジャクソンホール会議を前に「現行の政策金利(3.50〜3.75%)が景気の何を抑制しているのか分からない」「インフレは2%目標に達しておらず、根強く粘着的だ」と述べ、利下げに慎重な姿勢を示した。株式相場への直接の弱気コメントではないが、金融引き締めが長引くリスクとして市場が注視している。(新規) 出典: CNBC
  • マイケル・バリー氏(著名空売り投資家): エヌビディアが取引先(OpenAIのデータセンターなど)向けの債務を最大2,500億ドル規模で肩代わりする「循環的な資金調達」構造を問題視し、「これはビジネスの通常運転ではなく、リスクだ」「エヌビディアの状況はドットコムバブル崩壊直前のシスコに酷似している」と警鐘を鳴らし続けている。(継続) 出典: Barchart
  • ステイシー・ラスゴン氏(バーンスタイン、アナリスト): エヌビディア株への「買い」推奨(目標株価315ドル)は維持しつつも、バリー氏と同様に取引先との循環的な資金調達構造への懸念を指摘した。(新規、ただし強気の中での留保) 出典: Yahoo Finance
  • シーマ・シャー氏(プリンシパル・アセット・マネジメント、チーフ・グローバル・ストラテジスト): 前回に続き、エヌビディア決算を「AI投資が実際の収益に結びついているかを問う試金石」と位置づける論点を継続して展開している。(継続) 出典: Yahoo Finance
  • AAII(米国個人投資家協会)センチメント調査: 直近の週次調査(8/19時点)では強気派35.5%・弱気派39.9%とブル・ベアスプレッドがマイナス4.4ポイントに転じており、個人投資家心理は指数の最高値圏推移にもかかわらず慎重に傾いている。(継続、参考データ) 出典: TradingView(Reuters配信)

4. 経済ニュース

経済指標

  • 新規失業保険申請件数(週次、8/22週): 20万3千件(前週改定20万7千件から低下、市場予想20万8千件)。4週平均は20万5千500件にやや上昇。レイオフが引き続き少ない水準にあることを示した。 出典: プレスデモクラット

政策

  • トランプ政権が半導体および半導体を使用した製品(ノートPC・ゲーム機・データセンター向けサーバーなど)への関税拡大を検討していると報じられた。今年1月に設けられたデータセンター・研究開発・新興企業向けなどの適用除外が撤廃される可能性があり、ラトニック商務長官は米国内への投資と関税減免を連動させる案を支持しているとされる。ハイテク企業側は「AI覇権競争への悪影響」を懸念している。 出典: CNBC

注目された個別銘柄・決算

  • エヌビディア(NVDA): 2027会計年度第2四半期決算で売上高962億ドル(前年同期比106%増、市場予想922億ドルを上回る)、データセンター事業は890億ドルと全体の約92%を占めた。決算直後の時間外取引ではいったん下落したが、決算説明会でのフアンCEOによる「2028年度売上高70%成長」発言を機に流れが反転し、本セッションでは8.7〜8.9%高と急伸した。 出典: Fortune、CNBC、Investing.com(Reuters)
  • セールスフォース(CRM)/オクタ(OKTA)/クラウドストライク(CRWD): いずれも決算で市場予想を上回る増収増益とガイダンス引き上げを発表し、セールスフォースは+22.6%(アンソロピックへの出資による26億ドルの評価益も寄与)、オクタは+19〜28%、クラウドストライクは+15〜20%それぞれ急伸した。 出典: CNBC、Bloomberg
  • ウェンディーズ(WEN): トライアン・ファンド・マネジメント(保有比率約16%)が準備していたとされる非公開化提案を撤回したとロイターが報道し、株価は12〜14%急落。トライアン側はウェンディーズの業績・戦略の方向性に懸念を示したとされる。 出典: Yahoo Finance

5. FOMC・FRB・金利・為替

FRB/FOMC

  • ジャクソンホール会議が開幕(8/27〜29)し、カンザスシティ連銀のジェフリー・シュミッド総裁が「現行の政策金利(3.50〜3.75%)が何を抑制しているのか分からない」「インフレは2%目標に達しておらず粘着的だ」とタカ派的な発言をした。焦点は日本時間今夜のウォーシュFRB議長の就任後初講演(米東部時間8/28金曜午前10時)。CME FedWatchでは9月16日のFOMCで政策金利が据え置かれる確率が高いとみられている一方、講演のトーン次第では相場が大きく動く可能性があると指摘されている。 出典: CNBC、MNI Markets、Kalkine

金利

  • 米10年債利回りは4.67%程度(前回4.63〜4.66%からわずかに上昇)で推移。シュミッド総裁のタカ派発言や堅調な雇用指標が背景とみられる。 出典: Trading Economics

為替

  • ドル指数(DXY)は99.17前後(前回99.15からほぼ横ばい)で推移。3カ月ぶり安値圏という水準感は変わっていない。 出典: Trading Economics
  • ドル円は159.38円前後(前回159.28円から+0.06%)とほぼ横ばいで推移。 出典: Trading Economics

6. テクニカル分析

注記: 前回・前々回に続き、情報源によって指数の終値・移動平均線・RSIの取得時点にばらつきがあるため、断定的な売買判断には利用しないこと。

S&P500

現在値(7,730.99ドル)は200日移動平均(7,598ドル前後)を上回る一方、50日移動平均(7,736ドル前後)にはわずかに届いていない水準で推移しており、短期的にはやや上値の重さが意識されている。RSI(14日)は47前後と中立圏で、買われすぎ・売られすぎのいずれでもないとされる。 出典: Investing.com

ナスダック100

RSI(14日)は42前後とやや弱含みで、50日移動平均(29,673ドル前後)をわずかに下回る一方、200日移動平均(29,088ドル前後)は上回る水準で推移している。本日終値(29,577ドル台)はこのレンジ内にあたり、決算を機にいったん持ち直したものの、中期的な調整色がなお残っているとの見方もできる。 出典: Investing.com

NYダウ

RSI(14日)は55前後と中立〜やや強めの水準。短期移動平均(53,801ドル前後)が上値の目安、長期移動平均(52,823ドル前後)が下値の支えとして意識されている。3指数の中では引き続き最もテクニカル的に底堅いとの評価が続いている。 出典: Investing.com

センチメント指標(補助)

  • VIX(恐怖指数): 15.21前後(8/27、前日比-1.55%程度)。歴史的にみて低水準の落ち着いた状態が続いている。 出典: Vittarthi(US Markets Close)
  • Fear & Greed Index: 59前後で「グリード(強欲)」圏を維持しており、前回までの水準から大きな変化はない。 出典: CNN Fear & Greed Index

7. 今夜の注目イベント

  • 日本時間今夜(米国時間8/28金曜午前10時)、ウォーシュFRB議長の就任後初となるジャクソンホール基調講演が予定されている。市場は9月FOMCでの利下げをある程度織り込んでいるとされ、タカ派的な発言があれば長期金利上昇・ドル高、ハト派的な発言があれば逆の反応が想定され、株式相場が2〜3%規模で動く可能性も指摘されている。 出典: MNI Markets、Kalkine
  • ジャクソンホール会議は8/29(土)まで続き、他の地区連銀総裁の発言も引き続き注目される。 出典: Regards of Wall Street
  • 半導体関税拡大の検討報道を受け、対象拡大の詳細(データセンター・研究開発向け適用除外の扱いなど)が今後明らかになるかが注目される。 出典: CNBC

8. 参考リンク