前日からの変化

変わったこと(変化・新規)

  • 7月分PCE(個人消費支出)物価指数が発表され、総合指数は前年比3.7%(市場予想3.6%)、コア指数は3.3%(予想通り)となった。前回レポートでは「本日夜に発表予定」としていた指標であり、結果が判明した点が新規。個人所得は前月比+0.4%、個人消費は+0.2%といずれも市場予想を上回った。 出典: CBS News、CNBC
  • 4-6月期GDP改定値(第2次推計値)も発表され、実質GDP成長率は年率+1.5%(速報値から変わらず)。1-3月期の+2.1%からは減速。個人消費・輸出・設備投資の増加が押し上げ要因、政府支出の減少が押し下げ要因。前回レポートで「本日夜に発表予定」としていた指標の結果が判明。 出典: BEA
  • エヌビディアの決算(米国時間8/26引け後)が発表され、売上高は前年同期比122%増(市場予想の約95〜97%増を上回る)、純利益も前年同期比で倍増、今四半期のガイダンスも前向きだったが、株価は時間外取引で7%程度急落した。前回レポートでは「決算発表待ち」としていた材料が、好決算にもかかわらず株価は下落するという結果に転じた点が新規。データセンター事業の力強い成長が牽引役とされる一方、投資家は「増収率の高さそのもの」より「期待に対して十分だったか」を厳しく評価したとみられる。 出典: Barchart
  • スサムハナ(Susquehanna)のデリバティブ・ストラテジスト、クリス・マーフィー氏が「エヌビディアが市場を驚かせるような10〜20%の決算後急騰を演じた"AI相場黎明期"はすでに終わった」と指摘。決算前には見られなかった新しい弱気の切り口。 出典: Yahoo Finance
  • メタ・プラットフォームズが、未成年者のSNS依存に関する集団訴訟について29州と170億ドル(最大171億ドルまで積み増しの可能性)で和解することに合意したと発表。ティーンエイジャー向けの利用時間制限・夜間利用ブロック・年齢確認強化などが和解条件に含まれる。前日までに話題になっていなかった新規の規制・訴訟材料で、メタ株は小幅高となった一方、競合のスナップは和解のニュースを受けて8%超下落した。 出典: CNBC
  • アバクロンビー・アンド・フィッチが四半期決算で1株当たり利益4.17ドルを計上し、通期の売上高・利益見通しを上方修正(バックトゥスクール商戦に向けた勢いを強調)、株価は36〜40%程度急伸しS&P500構成銘柄中トップの上昇率となった。新規の個別銘柄材料。 出典: Yahoo Finance
  • インテュイットが2027会計年度の通期見通しを弱めに提示し、「ターボタックスの価格摩擦が低価格帯の競合へ顧客を押しやっている」と説明したことを受け、前場で株価が11%程度急落した。ソフトウェア株全般(セールスフォース、クラウドストライクなど)も、AIによる価格破壊への懸念から軟調となった。新規の個別銘柄材料。 出典: Yahoo Finance
  • ジャクソンホール会議が日本時間今夜(米国時間8/27木曜)から開幕(〜8/29)。前回レポートで「注目イベントとして継続」としていたウォーシュFRB議長の初講演(8/28金曜、米東部時間午前10時)まで、いよいよ会期入りした点が新規。今年のテーマは「金融イノベーション:決済と政策への含意」で、70カ国超から約120人の政策担当者・エコノミストが参加予定。 出典: Regards of Wall Street、ATFX

昨日と同じこと(継続)

  • S&P500・NYダウは前日に続き高値圏でのほぼ横ばい推移が継続。VIX(恐怖指数)は前日15.85→本日15.32(-0.84%)とやや低下し、歴史的にみて落ち着いた水準が引き続き維持されている。 出典: Yahoo Finance
  • ウォール街のアナリスト全体はエヌビディアに対し前回に続き強気姿勢を維持(61人中58人がBuy/Strong Buy、平均目標株価は304ドル台)。エバコアISIのジュリアン・エマニュエル氏(年末シナリオ7,750〜9,000ドル)、モルガン・スタンレーのマイク・ウィルソン氏(目標8,000ドル)も継続して引用されている。 出典: TipRanks
  • 弱気派のシーマ・シャー氏(プリンシパル・アセット・マネジメント)が前回提起した「エヌビディア決算はAI投資が実際の収益に結びつくかを試す試金石」という論点は、好決算にもかかわらず株価が急落したという本日の結果によって、むしろ裏付けられた形で継続している。バンク・オブ・アメリカのハートネット氏(ブル&ベア指標の売りシグナル)、アポロのスロック氏(AI設備投資バブル警鐘)も背景要因として継続。 出典: Yahoo Finance
  • ドル円は159円台での推移が継続(前日159.29円→本日159.28円、ほぼ横ばい)。ドル指数(DXY)は98.96→99.15(+0.24%)とやや上昇したが、3カ月ぶり安値圏という水準感は変わっていない。 出典: Trading Economics(米ドル)、Trading Economics(円)

要因の連続性

  • 継続要因: ウォール街の強気コンセンサス(エヌビディアへのBuy評価、エマニュエル氏・ウィルソン氏の強気年末目標)、BofAハートネット氏のブル&ベア売りシグナル、アポロ・スロック氏のAI設備投資バブル警鐘、ジャクソンホール(ウォーシュ議長講演)への期待・警戒は、前回に続き本日も背景要因として働いている。低水準のVIXによる落ち着いた地合いも継続。
  • 新規要因: (1) PCEインフレがやや市場予想を上回ったこと、(2) エヌビディア決算そのもの(増収率122%と好調ながら株価は7%下落という「期待とのギャップ」)、(3) スサムハナのマーフィー氏による「AI決算サプライズ相場の終焉」論、(4) メタの170億ドル和解とスナップへの余波、(5) アバクロンビーの好決算・インテュイットの弱い見通しという明暗が分かれた個別材料、(6) ジャクソンホール会議の開幕そのもの(講演自体は明日)が新たに加わった。
  • 解消した要因: 前日材料視されていた「原油高によるインフレ再燃懸念」は、イラン・オマーンのホルムズ海峡関連合意観測による追加の原油下落(3%超安)を受けてさらに後退した。カナダの対米報復関税については本日新たな進展の報道は確認できず、材料としての鮮度はやや後退している。

1. 市況サマリー

指数 終値 前日比 騰落率
S&P500 7,685.85 +8.57 +0.11%
ナスダック100(NDX) 29,256.35(注記参照) +61.42 +0.21%
NYダウ 53,511.80 -65.60 -0.12%

(取得時点: 2026-08-26米国市場引け後。出典: Yahoo Finance(Wednesday, August 26)、ナスダック100はInvesting.com(NDX Historical Data)。 なお、前回・前々回レポートに続き本日も情報源間で数値の食い違いが大きい状態が続いている。他の情報源では、S&P500が-0.60%、NYダウが-0.39%、ナスダック100が-1.18%(2週間ぶり安値)とする報道や、逆にS&P500が7,677.24(+0.3%)・NYダウが53,577.40(+0.3%)・ナスダック総合が26,151.30(+0.7%)とする報道もあり、方向感すら一致しない状況にある。参考として、ナスダック総合指数は複数の情報源で26,159.88(+8.58、+0.03%)前後との報道が多く、本レポートではこれを補助的な指標として採用する。3日連続でこの種のデータ不整合が続いていることから、当面この米国株レポートでは複数情報源の記載を並記し、断定を避ける方針を継続する。)

2. 指数別動向

S&P500

8/26終値はおよそ7,685ドル(+0.11%)とほぼ横ばい。前場はPCEインフレのやや高めの結果を受けて上値が重かったが、原油急落・長期金利低下を受けて後場にかけて持ち直した。エネルギー・資本財セクターが相対的に堅調だった一方、ヘルスケア・素材セクターは軟調だったと報じられている。 出典: The Motley Fool、Yahoo Finance

ナスダック100

決算発表を控えたエヌビディア自身が本日は反落し(-1.11%程度)、半導体株全般にも持ち高調整とみられる売りが観測された。ただし個別銘柄の具体的な騰落率については、情報源によって8/24(月)時点のデータと混同していると見られるものが多く、本レポートでは確定的な数値の採用を見送る。指数自体の終値についても、Investing.comの履歴データでは29,256.35(+0.21%)とする一方、他の情報源では-0.5%程度の下落とする報道もあり、方向感が一致していない。 出典: Yahoo Finance、Investing.com

NYダウ

8/26終値はおよそ53,512ドル(-0.12%)と小幅安。ヘルスケア・工業セクターの一部銘柄が重しとなった一方、金融セクターは底堅かったとされる。なお前述の通り、情報源によっては+0.3%の上昇とする報道もある。 出典: Yahoo Finance

3. 強気派 vs 弱気派

強気派(ブル)

  • ウォール街のアナリスト全体(エヌビディアカバレッジ): 61人中58人が「買い」または「強い買い」を維持、平均目標株価は304ドル台(現在値からの上昇余地あり)、フォワードPERは25倍程度。本日の決算で増収率122%という市場予想を上回る結果が出たこと自体は強気材料として引用されているが、株価自体は決算後に急落しており、強気コンセンサスと株価反応の間にギャップが生じている。(継続) 出典: TipRanks
  • ルーク・ランゴ氏(市場ストラテジスト): 決算発表前、「今回のエヌビディア決算は約3.5カ月続いた市場の停滞を終わらせる二択のイベントであり、力強い数字と前向きなガイダンスに支えられたブレイクアウト(上放れ)になる」と予想していた。結果は増収率自体は市場予想を上回ったものの株価は下落しており、同氏の予想とは逆方向の反応となった。(新規、ただし結果は予想と逆方向) 出典: Yahoo Finance

弱気派(ベア)

  • シーマ・シャー氏(プリンシパル・アセット・マネジメント、チーフ・グローバル・ストラテジスト): 前回、エヌビディア決算を「AI投資が『検証フェーズ』に入り、実際の収益に結びついているかが問われる試金石」と位置づけていたが、好決算にもかかわらず株価が7%急落したという本日の結果は、同氏の懸念を裏付ける形となった。(継続、結果により裏付けられた形) 出典: Yahoo Finance
  • クリス・マーフィー氏(スサムハナ、デリバティブ・ストラテジスト): 「エヌビディアが市場を驚かせる10〜20%の決算後急騰を演じた"AI相場黎明期"はすでに終わった」と指摘し、今後は決算内容そのものよりも期待値とのギャップが株価を左右するとの見方を示した。(新規) 出典: Yahoo Finance
  • マット・アンバーソン氏(ORATS創業者): オプション市場が織り込む決算後の予想変動幅(インプライドムーブ)は5.4%と大企業としては大きい水準だったにもかかわらず、投資家が決算ショックに対するヘッジを従来ほど積み増していなかったとして、市場の慢心(complacency)に警鐘を鳴らしていた。(新規) 出典: TipRanks
  • マイケル・ハートネット氏(バンク・オブ・アメリカ)、トルステン・スロック氏(アポロ): ブル&ベア指標の売りシグナル、AI設備投資バブル警鐘は前回に続き背景要因として言及され続けている(本日時点で新規の発言更新は確認できず)。(継続)

4. 経済ニュース

経済指標

  • 7月分PCE(個人消費支出)物価指数: 総合指数は前年比3.7%(市場予想3.6%)、前月比+0.2%。コア指数(食品・エネルギー除く)は前年比3.3%、前月比+0.2%といずれも市場予想通り。個人所得は前月比+0.4%、個人消費は+0.2%と、いずれも予想を上回った。 出典: CBS News、CNBC
  • 4-6月期GDP改定値(第2次推計値): 実質GDP成長率は年率+1.5%(速報値から変わらず)。1-3月期の+2.1%から減速。個人消費・輸出・設備投資の増加が押し上げた一方、政府支出の減少が押し下げ要因となった。 出典: BEA
  • WTI原油価格は3%超下落。イランとオマーンがホルムズ海峡関連の収入分配について合意したと伝えられ、地政学リスクの後退による供給懸念緩和が材料視された。 出典: Yahoo Finance

政策

  • トランプ政権が国内の重要鉱物サプライチェーン強化に向けた15.5億ドル規模の資金パッケージ(出資・債務支援・長期購入契約を含む)を確定させたと報じられ、レアアース関連銘柄(CRML等)に買いが入った。中国依存低減を狙った8月中の一連の重要鉱物投資策の一環。 出典: Yahoo Finance

注目された個別銘柄・決算

  • エヌビディア(NVDA): 2027会計年度第2四半期決算で売上高が前年同期比122%増、純利益も倍増と市場予想を上回る内容だったが、時間外取引で株価は7%程度急落。データセンター事業の力強い成長が牽引役となったが、投資家は「期待に対して十分だったか」を厳しく評価したとみられる。決算発表前の本セッション中も株価は-1.11%程度で取引を終えている。 出典: Barchart、Yahoo Finance
  • メタ・プラットフォームズ(META)/スナップ(SNAP): メタが未成年SNS依存訴訟について29州と170億ドルで和解することに合意。メタ株は小幅高となった一方、競合のスナップは和解のニュースを受けて8%超下落した。 出典: CNBC
  • アバクロンビー・アンド・フィッチ(ANF): 1株当たり利益4.17ドルの好決算と通期上方修正を発表し、株価は36〜40%程度急伸。バックトゥスクール商戦に向けた勢いを強調した。 出典: Yahoo Finance
  • インテュイット(INTU): 2027会計年度の通期見通しを弱めに提示し、「ターボタックスの価格摩擦が低価格帯の競合へ顧客を押しやっている」と説明。前場で株価は11%程度急落した。 出典: Yahoo Finance

5. FOMC・FRB・金利・為替

FRB/FOMC

  • ジャクソンホール会議が日本時間今夜(米国時間8/27木曜)開幕し、8/29(土)まで開催される。今年のテーマは「金融イノベーション:決済と政策への含意」で、70カ国超から約120人の政策担当者・エコノミストが参加予定。焦点は、ウォーシュFRB議長の就任後初となる基調講演(8/28金曜、米東部時間午前10時)。市場は概ね「中立的なトーン」を織り込んでいるとされ、この予想自体がコンセンサス化していることが、サプライズが出た場合の市場インパクトを増幅しうると指摘されている。 出典: Regards of Wall Street、ATFX

金利

  • 米10年債利回りは4.63〜4.66%程度で推移(前日4.7%近辺からやや低下)。PCEインフレのやや高めの結果を受けて一時上昇する場面もあったが、原油急落を背景に押し戻された。8/21につけた20カ月ぶり高水準(4.75%)からは低下傾向が続いている。 出典: Trading Economics、The Motley Fool

為替

  • ドル指数(DXY)は99.15前後(前日98.96から+0.24%)とやや上昇したが、財務省の国債買い戻し方針への懐疑論などを背景に3カ月ぶり安値圏という水準感自体は変わっていない。 出典: Trading Economics
  • ドル円は159.28円前後(前日159.29円からほぼ横ばい、+0.05%)で推移。 出典: Trading Economics

6. テクニカル分析

注記: 前回・前々回に続き、複数の情報源間で指数の終値・移動平均線・RSIの具体値にばらつきがあり、断定的な売買判断には利用しないこと。

S&P500

現在値(7,683ドル前後)は50日移動平均(7,674ドル前後)・200日移動平均(7,678ドル前後)のいずれもわずかに上回る水準で推移しており、中期的な上昇トレンドはかろうじて維持されているとの見方。RSI(14日)は58.35と中立〜やや強めの水準で、買われすぎ・売られすぎのいずれでもないとされる。 出典: Vantage Markets

ナスダック100

前回時点(8/24)のデータでは、50日移動平均(29,673ドル前後)をやや下回り、200日移動平均(29,088ドル前後)には接近する水準で推移し、RSI(14日)は42前後と弱含みだった。本日終値とされる29,256ドル前後(情報源による)は、この200日移動平均は上回るものの50日移動平均は下回る水準にあたり、決算前の半導体株への持ち高調整により、中期的な調整色がなお残っているとみられる。ただし確定終値自体に情報源間の食い違いがあるため、断定は避ける。 出典: Investing.com

NYダウ

RSI(14日)は前回に続き52〜54程度で中立圏とみられる(本日分の確定値は確認できず)。50日移動平均(53,360ドル前後)・200日移動平均(53,108ドル前後)のいずれも上回る水準で推移しており、3指数の中では引き続き最もテクニカル的に底堅いとの評価が続いている。 出典: Investing.com(前回値)

センチメント指標(補助)

  • VIX(恐怖指数): 15.32(8/26、前日比-0.84%)。前日の15.85からやや低下し、歴史的にみて低水準の落ち着いた状態が続いている。 出典: Yahoo Finance
  • Fear & Greed Index: 本日分の具体的な数値は確認できなかったが、VIXの低下傾向を踏まえると、前日までの「Greed(強欲)」圏(55前後)から大きく変化していないとみられる。

7. 今夜の注目イベント

  • 日本時間今夜(米国時間8/27木曜)、ジャクソンホール会議が開幕する(〜8/29土)。会期中の要人発言に加え、翌8/28(金)米東部時間午前10時に予定されるウォーシュFRB議長の就任後初講演への関心が一段と高まる見通し。 出典: Regards of Wall Street
  • 前夜に発表されたエヌビディア決算(増収率122%も株価は時間外で-7%)を受けて、本日の米国市場開始時には半導体株・ナスダック100を中心に売り圧力がかかる可能性がある。AI関連銘柄全体への波及の有無が焦点。 出典: Barchart
  • 米国時間8/27(木)には新規失業保険申請件数(週次)の発表も予定されている(前回時点で20万6千件程度)。 出典: Trading Economics(参考)

8. 参考リンク