前日からの変化

変わったこと(変化・新規)

  • 小麦が687.00セント→730.50セントへ前回比+6.33%(+43.50セント)の急伸。ノボロシスクの穀物ターミナルは8月12日のウクライナ無人機攻撃以降操業停止が続き、ウクライナの月間輸出量は前年比76%減。ロシアの黒海・アゾフ海の輸出インフラも大半が停止したままで、SovEconの月間輸出予測(300万〜340万トン)を下回るリスクが再意識されている(Farm Policy News)。
  • Pro Farmer作物視察隊(Crop Tour)が2026年米国トウモロコシの全国単収予想を173.2ブッシェル/エーカーと発表。USDAの8月予想(180.7ブッシェル)を7.5ブッシェル下回り、過去3作柄シーズンで初めて「記録的単収」にならない見通しとなった。トウモロコシ生産量予想は153.44億ブッシェルとされる(Pro Farmer)。
  • 米7月PCE(個人消費支出)物価指数が発表され、総合は前年比3.7%と市場予想をわずかに上回り(前月から横ばい)、コアは3.3%で予想通りとなった。インフレの根強さが再確認され、金・銀の利益確定売りを誘発した(CNBC)。
  • イラン・オマーンがホルムズ海峡における暫定航行ルートの地理座標について合意したと8月26日に報じられた。両国は共同の海上交通調整センター設置なども協議しているが、海峡の完全な再開は米国が6月の暫定和平合意に基づく義務(海上封鎖の解除など)を履行することが条件とされている(Al Jazeera)。
  • 金は4,659.80ドル→4,599.30ドルへ前回比-1.30%(-60.50ドル)、銀は68.94ドル→68.14ドルへ-1.16%(-0.80ドル)と反落した。3ヶ月来高値圏からの利益確定売りに、PCE上振れとジャクソンホール待ちの様子見が重なった(Kitco)。

昨日と同じこと(継続)

  • 原油の地政学リスク後退という方向性自体は前回から継続。前回は米国の対イラン方針の「経済制裁シフト」との再解釈が材料だったが、本日はイラン・オマーンの航路合意という具体的進展が加わり、WTI・ブレントともに続落した。
  • 前回特集のカカオ・砂糖は大きな値動きなく推移。カカオは5,844.00ドル→5,829ドル(-0.26%)とほぼ横ばいで、ICE在庫の積み増し・コートジボワール出荷増という供給潤沢材料は継続。砂糖は17.25セント→17.62セント(+2.14%)とやや反発したが、エルニーニョ発生確率80%超という中期強気材料自体は継続している。
  • ジャクソンホール会議(8月27〜29日)待ちのイベントリスクは継続し、8月28日のウォーシュFRB議長にとって就任後初の基調講演への注目が一段と高まっている。
  • CFTCの投機筋(マネーマネージャー)ポジションは直近発表(8月18日時点、8月21日公表)から更新なく、次回発表(8月29日想定)待ちの状態が継続。
  • ドル指数(DXY)は98.90→99.16(+0.26%)とやや底堅く推移。

要因の連続性

  • 継続要因: ホルムズ海峡を巡る地政学リスクの後退傾向(原油の下落要因として継続)/ 黒海情勢の緊迫という小麦の供給不安(本日は具体的な被害拡大で急先鋭化)/ カカオの供給過剰(潤沢な在庫・コートジボワール出荷増)/ 砂糖のエルニーニョによる中期需給ひっ迫転換観測 / ジャクソンホール(ウォーシュ議長講演)待ちのイベントリスク
  • 新規要因: イラン・オマーンのホルムズ海峡暫定航行ルート合意という具体的な進展(原油の新たな下落材料)/ ノボロシスク穀物ターミナルの操業停止長期化とウクライナ輸出76%減という悪化データの明確化(小麦急騰の直接的引き金)/ Pro Farmer作物視察隊による米トウモロコシ単収の大幅下方修正(173.2 対 USDA180.7)/ 7月PCE物価指数の上振れ(総合3.7%)による金・銀の利益確定売り誘発
  • 解消した要因: 特になし。前回の要因(ホルムズ海峡の地政学リスク後退、黒海情勢、エルニーニョ)はいずれも継続・進行中。強いて挙げれば、前回「日中一時4,700ドル近辺まで上昇」という金の強い上値期待は本日の続落でいったん後退した。

1. 価格サマリー(2026年8月26日 NY市場時点、前回2026-08-26レポート比)

商品 価格 前回(8/26レポート)比
金(COMEX、オンス建て) 4,599.30 USD/oz -1.30%(-60.50ドル)
銀(COMEX、オンス建て) 68.14 USD/oz -1.16%(-0.80ドル)
WTI原油(期近) 80.78 USD/バレル -1.73%(-1.42ドル)
ブレント原油(期近) 87.51 USD/バレル -1.22%(-1.08ドル)
天然ガス(Henry Hub、期近) 2.86 USD/MMBtu +2.14%(+0.06ドル)
小麦(シカゴ期近) 730.50 セント/ブッシェル +6.33%(+43.50セント)
トウモロコシ(シカゴ期近) 513.50 セント/ブッシェル +2.39%(+12.00セント)
大豆(シカゴ期近) 1,250.50 セント/ブッシェル +1.73%(+21.25セント)
カカオ(ICE期近) 5,829.00 USD/トン -0.26%(-15.00ドル)
砂糖(ICE期近) 17.62 セント/ポンド +2.14%(+0.37セント)

参考: 銅(COMEX/LME参考建値)は6.60 USD/ポンドで前回比-1.49%。ロンドン金属取引所の在庫が5月中旬以降ほぼ半減する中、なお高値圏で推移している(Trading Economics)。参考: ドル指数(DXY)は99.16(前回98.90比+0.26)(Trading Economics)。

出典: 金、銀(いずれも2026年8月26日15:31 NY時間時点)、WTI・ブレント、ブレント、天然ガス、小麦、トウモロコシ、大豆、カカオ、砂糖、銅(いずれも2026年8月26日時点データ、取得日本時間2026年8月27日早朝)。

2. 商品別動向

金・銀

金は2026年8月26日15時31分(ニューヨーク時間)時点で4,599.30ドル/オンス、前回比-1.30%と反落した(Kitco)。米商務省が発表した7月PCE(個人消費支出)物価指数は総合が前年比3.7%と市場予想をわずかに上回り(前月から横ばい)、コアも3.3%で予想通りとなった。インフレの根強さが確認されたことで、株式・金利市場ではやや慎重なムードが広がり、金は3ヶ月来高値圏からの利益確定売りに押された(CNBC)。8月27〜29日のジャクソンホール会議、特に8月28日のウォーシュFRB議長講演を控え、様子見ムードも強まっている。銀は同時点で68.14ドル/オンスと同-1.16%の反落となり、70ドルの節目には引き続き届いていない(Kitco)。CFTCの投機筋ポジションは8月18日時点(8月21日公表)のデータから更新がなく、次回発表(8月29日想定)を待つ状況が続いている。

原油

WTIは80.78ドル/バレル(前回比-1.73%)、ブレントは87.51ドル/バレル(同-1.22%)といずれも続落した(Trading Economics)。8月26日、イランとオマーンがホルムズ海峡における暫定航行ルートの地理座標について合意したと報じられ、両国は共同の海上交通調整センター設置なども協議していることが明らかになった。もっとも海峡の完全な再開は、米国が6月に締結した暫定和平合意上の義務(海上封鎖の解除など)を履行することが条件とされており、実質的な航行正常化にはなお時間を要するとみられる(Al Jazeera)。また、米財務長官ベッセント氏が主導する対イラン「経済的D-デー」制裁が、市場が警戒していたほど厳格な二次制裁を伴わなかったことも、供給混乱の長期化懸念を後退させる材料として引き続き意識されている(CNBC報道の紹介記事)。一方でホルムズ海峡の実際の船舶通航量は、開戦前(1日約130隻)に比べ依然として一桁台にとどまっているとの報道もあり、地政学リスクが完全に払拭されたわけではない。

天然ガス

Henry Hub天然ガスは2.86USD/MMBtuと、前回から上昇(+2.14%)した(Trading Economics)。9月上旬にかけて平年より高い気温が予想されていることが冷房需要の増加観測につながり価格を押し上げた一方、記録的な国内生産水準と季節平均を上回る在庫水準、LNG輸出の一時的な鈍化が上値を抑えており、2.62ドル近辺のサポートを挟んだレンジ相場という基本構図自体は継続している。

農産物

小麦は730.50セント/ブッシェル(前回比+6.33%)と急伸し、2023年以来の高値圏に突入した。ノボロシスクの穀物ターミナルは8月12日のウクライナ無人機攻撃以降操業停止が続いており、ウクライナの月間輸出量は前年比76%減。ロシアの黒海・アゾフ海経由の輸出インフラも大半が停止したままで、SovEconは8月のロシア小麦輸出量を過去5年平均(月500万トン)を大きく下回る300万〜340万トンと予測している(Farm Policy News)。トウモロコシは513.50セント/ブッシェル(同+2.39%)、大豆は1,250.50セント/ブッシェル(同+1.73%)といずれも上昇した。背景には、Pro Farmer作物視察隊(Crop Tour)が発表した2026年米国トウモロコシの全国単収予想173.2ブッシェル/エーカー(USDA予想180.7ブッシェルを7.5ブッシェル下回る)があり、過去3作柄シーズンで初めて「記録的単収」に届かない見通しとなったことが穀物全般の下支え材料となっている(Pro Farmer)。

3. 急変動の特集

本日は小麦が前日比+6.33%と定点観測対象の中で唯一「1日で±3%超」の基準に該当したため特集する。あわせて、前回(8月26日付レポート)で特集したカカオ・砂糖についても値動きと波及を継続してフォローする。

  • 小麦: 687.00セント→730.50セント/ブッシェルへ1日で+6.33%(+43.50セント)の急伸となり、2023年以来の高値圏に達した(Trading Economics)。直接の引き金は、ノボロシスクの穀物ターミナルが8月12日のウクライナ無人機攻撃以降操業停止が続いていること、ウクライナの月間輸出量が前年比76%減となったことなど、黒海の輸出インフラ被害の深刻さを裏付ける具体的なデータが相次いだことにある(Farm Policy News)。今月だけで世界の小麦価格は既に大きく上昇しており、中東・アフリカ・アジアの輸入国は豪州・米国など高コストな代替供給元への切り替えを迫られている。生活への波及としては、パン・麺類など小麦を原料とする食品価格への転嫁圧力が今後数ヶ月かけて強まる可能性がある。
  • カカオ(前回特集のフォローアップ): 5,844.00ドル→5,829ドル/トンとほぼ横ばい(-0.26%)で推移した(Trading Economics)。ICE在庫の積み増し・コートジボワール出荷増という供給潤沢を裏付けるデータは変わらず、チョコレート製品への値上げ圧力は前回同様やや後退方向にあるが、歴史的にはなお高値圏にある。
  • 砂糖(前回特集のフォローアップ): 17.25セント→17.62セント/ポンドへ+2.14%(+0.37セント)とやや反発した(Trading Economics)。エルニーニョ発生確率が80%を超えたとされる中、インド・タイでは干ばつによる減産リスク、ブラジルでは多雨による収穫遅延リスクが指摘されており、中期的な需給ひっ迫転換観測は前回同様継続している(ChiniMandi)。加工食品価格への波及圧力は引き続き注視が必要である。

4. 強気派 vs 弱気派

金

  • 強気: JPモルガン・グローバル・リサーチは、金が年末までに1オンス6,000ドルに達し、2027年には6,300ドルへ上昇する可能性があると予想している。Yardeni ResearchのエドYardeni氏も強気姿勢を崩しておらず、年末までの6,000ドル到達を予想している(Yahoo Finance)。
  • 弱気(慎重): 同記事内の分析では、金の週足RSIが3週連続で長期ガウシアンチャネルの中心線を下回って引けており、週足のモメンタム指標も下向きに転じていると指摘。金利上昇機会コストの高まりやリスクオン心理も逆風になりうるとして、短期的な調整リスクを警告している(Yahoo Finance)。

銀

  • 強気: FXEmpireは、ブレイクアウトのモメンタムとFRBの流動性供給を背景に、2026年中に心理的節目の100ドル試しがあり得るとの見方を示している(FXEmpire)。
  • 弱気: Bank of Americaは銀の予想価格を2026年第3四半期60ドル、第4四半期55ドル、通期平均68ドルとしており、現在の68ドル台からの下落を見込む弱気寄りの立場を取っている(Exchange Rates UK)。

原油

  • 強気(テクニカル): LiteFinanceのエリオット波動分析は、日足で上昇の第3波が形成中であり、79.17ドルのサポートを維持できればWTIは105.17〜115.50ドルまで上昇しうるとの見方を示している(LiteFinance)。
  • 弱気: ゴールドマン・サックスはホルムズ海峡再開の見通しを織り込み、ブレントの第4四半期予想を90ドルから80ドルへ、2027年通年予想を80ドルから75ドルへ引き下げている(CNBC)。IEA・EIAが指摘する2026年の記録的な供給過剰見通し(前回参照)も引き続き弱気材料として意識されている。

5. 地政学・物価関連ニュース

  • イランとオマーンが8月26日、ホルムズ海峡における暫定航行ルートの地理座標について合意したと報じられた。共同の海上交通調整センター設置なども協議されているが、海峡の完全な再開には米国が6月の暫定和平合意上の義務(海上封鎖の解除など)を履行することが条件とされている(Al Jazeera)。もっとも実際の船舶通航量は開戦前の1日約130隻に比べなお一桁台にとどまっているとの報道もあり、地政学リスクは完全には払拭されていない。
  • 米財務長官ベッセント氏が主導する対イラン「経済的D-デー」制裁は、市場が警戒していたような厳格な二次制裁を伴わなかったとされ、これが原油の続落材料になっている(CNBC報道の紹介記事)。
  • ロシア・ウクライナ双方による黒海の穀物輸出インフラへの攻撃が深刻化。ノボロシスクの穀物ターミナルは8月12日のウクライナ無人機攻撃以降操業停止が続き、ウクライナの月間輸出量は前年比76%減となった。小麦価格の急伸を受け、中東・アフリカ・アジアの輸入国は豪州・米国など高コストな代替供給元への切り替えを迫られている(Farm Policy News)。
  • 米商務省が発表した7月PCE(個人消費支出)物価指数は総合が前年比3.7%(市場予想をわずかに上回り前月から横ばい)、コアが3.3%(予想通り)となり、インフレの根強さが改めて確認された(CNBC)。
  • 8月27日から29日にかけてジャクソンホール経済シンポジウムが開催され、8月28日午前10時(米東部時間)にはウォーシュFRB議長が就任後初の基調講演を行う予定。バンク・オブ・アメリカの8月ファンドマネージャー調査では、53%が「無難な内容」を、31%が「タカ派的」を、7%が「ハト派的」を予想しており、講演内容次第でドル・金の双方に影響が及ぶとみられている(Babypips)。
  • Pro Farmer作物視察隊(Crop Tour)が2026年米国トウモロコシの全国単収予想を173.2ブッシェル/エーカーと発表し、USDAの8月予想(180.7ブッシェル)を7.5ブッシェル下回った。過去3作柄シーズンで初めて「記録的単収」に届かない見通しとなり、穀物価格の下支え材料として意識されている(Pro Farmer)。
  • エルニーニョ発生確率は2026年8月時点で80%を超えたとされ、インド・タイでは干ばつによる減産リスク、ブラジルでは多雨による収穫遅延リスクが指摘されており、砂糖・ひいては加工食品価格への波及圧力が中期的に強まる可能性がある(ChiniMandi)。

6. テクニカル分析

  • 金: 50EMA(4,634ドル付近)を挟んだ攻防となっており、直近は上昇チャネルの下限を割り込んで調整色が強まっている。日足RSIは45前後(やや弱含みだが方向感はなお強気寄り)、週足RSIは60前後で、まだ長期的な過熱水準(70超)には達していない。サポートは4,606ドル・4,573ドル・4,545ドル(その下に4,530〜4,517ドル)、レジスタンスは4,640ドル・4,673ドル・4,698ドルとされる。7月PCEの上振れとジャクソンホール(8/28ウォーシュ講演)を控え、方向感が定まりにくい局面とされる(Babypips、FXStreet)。
  • 銀: RSIは69.6前後で「強気だが買われすぎに近い」水準、MACDヒストグラムも強気を示す。70ドルの心理的節目を試す動きが続いているが明確な上抜けには至っていない。レジスタンスはR1が69.83ドル・R2が70.68ドル(その上に70.87ドル・71.71ドル)、サポートはS1が68.20ドル・S2が67.43ドル(その下に66.41ドル・65.67ドル)。週足のピボットレンジは64.36〜71.83ドルとされる(economies.com)。
  • WTI原油: エリオット波動分析では日足で上昇の第3波が形成中とされ、79.17ドルが下値の分水嶺とされる。この水準を維持できれば105.17〜115.50ドルまでの上昇が見込まれる一方、下抜けた場合は67.00〜58.50ドルまでの下落リスクが意識される。2026年8月中の想定レンジは67.93〜106.74ドルと幅広い(LiteFinance)。
  • 天然ガス: 2.62ドル近辺のサポートを挟んだ横ばい局面が継続。冬場に向けたレンジの中心は4ドル前後、上限は5ドル前後(著しい寒波が前提)とされる一方、3ドルを割り込むと2ドル方向への下落リスクが意識される(前回参照、NAGA)。
  • 農産物(小麦・トウモロコシ): 小麦は前回レポートで挙げたレジスタンス711〜724セント(9月限)を本日の急伸で上抜けたとみられ、2023年以来の高値圏に突入した。200日移動平均線(619セント近辺)を大きく上回る強気配列で、次の目安は心理的節目の750セント近辺とされる。サポートは直近の抜けたレジスタンスが逆に下支え(711〜724セント)となり、その下に646セント・626セントが控える(Price Group Grains Report)。トウモロコシ(12月限)はPro Farmerの単収下方修正を受けて上値を試す展開が続いており、直近高値524.25セント(8月24日)がレジスタンスの目安とされる。

7. 参考リンク