前日からの変化
変わったこと(変化・新規)
- 指数は前回の続落(8/20)から一転して3指数そろって反発: S&P500 7,651.32→7,681.11(+29.79、+0.39%。当日ベースの前日比は+39.95、+0.52%)、ナスダック100 29,204.69→29,347.09(+142.40、+0.49%)、ナスダック総合 26,082.29→26,199.06(+116.77、+0.45%)、NYダウ 52,814.04→53,323.44(+509.40、+0.96%。当日ベースの前日比は+564.23、+1.07%)。
- ビットコインが週間で約25%上昇し7万8000ドル前後まで急伸(前回8/20時点の急伸+11.5%・約7万1800ドルからさらに拡大)。マイクロストラテジー(MSTR)+7%超、ロビンフッド(HOOD)+5%、コインベース(COIN)+4%と暗号資産関連株も上昇。
- ベッセント財務長官が対イラン「経済的孤立化」計画の詳細を月曜(8/24)に発表すると判明。前回レポート時点ではトランプ大統領の「crushing economic operation」表明(8/20)のみで、発表日は明らかになっていなかった。
- ブロードコム(AVGO)がアンソロピック向けAIチップ融資のため600億ドルの債務調達を協議中と報道(Bloomberg経由)。前回レポートには無かった新規材料。
- マイクロン(MU)がBMOキャピタルからメモリー市況の長期回復(スーパーサイクル)を理由に新規買い推奨(目標株価1,300ドル)を獲得。半導体セクターへの個別ポジティブ材料。
- S&Pグローバル・フラッシュPMI(8月分)の結果が判明: 総合56.0(前月54.5から改善)、サービス56.8(予想54.0を上回る)、製造業53.2(予想53.9をわずかに下回る)。前回レポートでは「今夜の注目イベント」として予告段階だった。
- 9月FOMCの据え置き織り込み確率が上昇。前回時点のCME FedWatch約60%・Kalshi約65%から、直近ではCME FedWatchで据え置き約69%程度に上昇(利下げ確率はほぼゼロで推移)。
昨日と同じこと(継続)
- 中東(イラン)情勢の緊迫は継続するが、原油(WTI)は8/21に86.40ドル(-0.43ドル)とやや落ち着いた動き。
- VIX(恐怖指数)は16.01(前回16.05から横ばい)で、株安局面でも警戒感自体は依然低水準にとどまる状態が続く。
- ジャクソンホール会議(8/27〜29)・新FRB議長ケビン・ウォーシュ氏の初講演(8/28)への注目は継続。
- エヌビディア決算(来週8/26予定)への注目も継続。
要因の連続性
- 継続要因: 中東(イラン)情勢緊迫による地政学リスクは前回に続き市場の背景要因として継続しているが、8/21は原油価格がやや落ち着いたことで株価への直接的な重しとしては後退気味。長期金利の高止まり(10年債利回り4.7%前後)も継続的な重しとして意識されているが、8/21は金利が横ばい〜低下方向に転じたことがむしろ株価反発を支える方向に働いた。
- 新規要因: (1)ビットコイン急伸(週間+25%、7万8000ドル前後)とそれに伴うリスク選好の回復、(2)財務省の長期債バイバック拡大策を市場が改めて好感、(3)ベッセント財務長官による対イラン計画の発表日(月曜8/24)が判明したことによる不確実性の一部後退、(4)ブロードコムのAI関連600億ドル資金調達交渉・マイクロンの新規買い推奨・アンソロピックIPO進捗(シティグループが主幹事団に追加)といった個別材料、(5)S&Pグローバル総合PMIが予想を上回る強い結果、が新たに株高要因として加わった。
- 解消した要因: 前回レポートで株安の直接的な引き金となっていたウォルマート決算ショック(既存店売上高未達による8〜9%急落)は、JPMorgan・BofAが「売り一巡、押し目買いの好機」との見方を示したことで、少なくとも市場全体への波及という意味では重しとして後退した。財務省バイバック効果一巡による8/20の金利反発という重しも、8/21は金利が落ち着きを取り戻したことで一服した。
1. 市況サマリー
| 指数 |
終値 |
前日比 |
騰落率 |
| S&P500 |
7,681.11 |
+39.95 |
+0.52% |
| ナスダック100(NDX) |
29,347.09 |
+133.93 |
+0.46% |
| ナスダック総合指数 |
26,199.06 |
+131.89 |
+0.51% |
| NYダウ |
53,323.44 |
+564.23 |
+1.07% |
| Russell 2000(参考、午前時点・終値未確認) |
約3,006 |
約+14.19 |
約+0.47% |
(取得時点: 2026-08-21米国市場引け後。出典: Yahoo Finance。なおTheStreetは「S&P500・Russell2000が上昇」、Bloombergは寄り付き前段階で「ナスダック100が5日続落を止める勢い」と報じており方向性は一致するが、確定値には情報源間で幅がある。ts2.techは「ダウの上昇幅は引けにかけて低出来高で半減した」と伝えており、引け際に伸び悩んだ可能性がある点には留意)
2. 指数別動向
S&P500
7,681.11(+0.52%)で終了。前日までの4〜5営業日続落から反発した。ビットコイン急伸を受けた暗号資産関連銘柄や、財務省の国債バイバック拡大策を好感した金融関連の買いが指数を支えた。もっとも、週間ベースでは依然マイナス圏との指摘があり(CNBC)、反発の持続性については見方が分かれる。
出典: Yahoo Finance、CNBC
ナスダック100
29,347.09(+0.46%)で終了。前日の下落分をほぼ取り戻す形となった。半導体セクターは一部で明暗が分かれ、マイクロン(MU)はBMOキャピタルから新規買い推奨(目標株価1,300ドル、メモリー市況の長期回復を根拠)を獲得した一方、情報技術セクター全体では直近5営業日で3%超下落しているとの指摘もある(CNBC)。来週8/26のエヌビディア決算が次の焦点。
出典: Vantage Markets、CNBC
NYダウ
53,323.44(+1.07%)で終了。3指数の中で上昇率が最も大きかった。前日にウォルマート(WMT)急落の主因となった消費関連の重しが後退し、JPMorgan・BofAが同銘柄について押し目買いを推奨したことも指数を支えたとみられる。
出典: Yahoo Finance
3. 強気派 vs 弱気派
強気派(ブル)
- サム・ストバル氏(CFRA、チーフ投資ストラテジスト): S&P500の年末2026目標を8,050、12カ月目標を8,650に上方修正。史上稀な4年連続の2桁上昇となる可能性に言及し、強気姿勢を維持。
出典: TheStreet
- クリストファー・ホーバーズ氏(JPMorgan、アナリスト): ウォルマート株について「我々は買い手だ。売り一巡は完了しており、弱気派はすでに望んだ値幅を得た。今後はトレンドが改善するはずだ」とコメントし、押し目買いを推奨。
出典: Yahoo Finance
弱気派(ベア)
- マイケル・ウィルソン氏(モルガン・スタンレー、チーフ米国株ストラテジスト): 今回の株価反発について「弱気相場の中の一時的な戻り(ベアマーケットラリー)にすぎない可能性がある」との見方を示し、市場は依然として売られ過ぎからの調整段階にあると指摘した。
出典: Investing.com
- 欧州中央銀行(ECB)のエコノミストチーム(8/18時点のコメントだが背景として継続的に意識されている): AIブームを背景とした株価評価の行き過ぎに警鐘を鳴らし、「懸念すべき(worrisome)」水準の株価修正リスクがあると指摘。
出典: CNBC
4. 経済ニュース
経済指標
- S&Pグローバル・フラッシュPMI(8月分): 総合56.0(前月54.5から改善)、サービス業56.8(市場予想54.0を上回る)、製造業53.2(市場予想53.9をわずかに下回る)。総合・サービスは市場予想を上回り、景況感の改善を示した。
出典: Investrade
政策・地政学
- 財務長官スコット・ベッセント氏が、対イラン「経済的孤立化」計画の詳細を月曜(8/24)に記者会見で発表すると表明。「歴史上見たことのないような措置」「史上最大級の協調的な経済的孤立化」になるとしつつ、具体的な対象国・措置内容は明らかにしていない。イラン港湾の封鎖継続と合わせた「ワンツーパンチ」と位置づけられている。
出典: Bloomberg
- 米財務省の長期債バイバック拡大策(1回あたり20億ドル→40億ドル以上に倍増)への安心感が、株式・ドル・ビットコインなど複数資産に波及し続けている。
出典: CNBC
注目された個別銘柄・決算
- ビットコイン(BTC): 週間で約25%上昇し7万8000ドル前後まで急伸。財務省のバイバック拡大策を受けたドル安・リスク選好の回復が背景。関連株のマイクロストラテジー(MSTR)+7%超、ロビンフッド(HOOD)+5%、コインベース(COIN)+4%も上昇。
出典: Investrade
- ブロードコム(AVGO): アンソロピック向けAIチップ導入資金として600億ドルの債務調達を協議中と報道(Bloomberg経由)。エヌビディアが大手金融機関と5000億ドル規模の融資枠組みを発表した動きに続くもの。
出典: CNBC
- マイクロン(MU): BMOキャピタルが新規に買い推奨(目標株価1,300ドル)を開始。メモリー市況の長期的な回復(スーパーサイクル)を根拠に挙げた。
出典: CNBC
- ウォルマート(WMT): 前日8〜9%急落した後も下値模索が続いたが、JPMorgan・BofAが押し目買いを推奨。
出典: Yahoo Finance
- アンソロピック: IPO(今秋予定)の主幹事団にシティグループが新たに加わり、モルガン・スタンレー、ゴールドマン・サックス、JPモルガンと共に4行体制になったと報道。
出典: CNBC
5. FOMC・FRB・金利・為替
FRB/FOMC
- 9月FOMC(9/16開催)の据え置き織り込み確率は上昇傾向。CME FedWatchでは直近69%程度が据え置き、利下げ確率はほぼゼロ、残りは利上げ観測となっており、前回レポート時点(据え置き60%程度)から据え置き優勢の見方がやや強まっている。ただし利下げではなく据え置き・利上げが論点という構図は前回から継続している。
出典: OddsShopper
- 新FRB議長ケビン・ウォーシュ氏は、8/27〜29開催のジャクソンホール経済シンポジウムで8/28に初の基調講演を行う予定。市場は同氏が9月FOMCに向けた政策姿勢をどう示唆するかを注視している。
出典: Vantage Markets
金利
- 米10年債利回りは4.71%前後で高止まりも横ばいで推移し、財務省の国債買い戻し発表前の水準に一時戻っていた8/20からは落ち着きを取り戻した。30年債利回りは約5.25%(週前半には約20年ぶりの高水準を付けている)。
出典: FXStreet、Home.Saxo
為替
- ドル指数(DXY)は約98.8と、約2カ月半ぶりの安値圏で推移。10年債利回りの落ち着きと財務省の政策対応を受けたドル売りが継続している。
出典: FXStreet
- ドル円は東京市場で158円79銭〜159円13銭のレンジで軟調に推移し、158円台後半〜159円台前半で本日を終えた。
出典: OANDA Japan
6. テクニカル分析
注記: 複数の情報源間で移動平均線・RSIの具体値にばらつきがあり、断定的な売買判断には利用しないこと。
S&P500
RSI(14日)は47.2前後で中立圏。移動平均線は方向感が分かれており、5日移動平均(約7,665pt)は現在値を下回るため短期的には強気的、一方で50日移動平均(約7,737pt)は現在値を上回っており中期的には弱気的なシグナルとされる。200日移動平均(約7,598pt)は現在値を下回っており、中長期の上昇トレンド構造自体は崩れていないとされる水準にある。
出典: Investing.com
ナスダック100
200日移動平均(約29,115pt)を上回って推移しており、中長期トレンドは崩れていないとされる。一方、50日移動平均(約29,421pt)は現在値をやや上回っており、短期的にはこの水準が上値抵抗として意識される。目先は29,400〜29,550ポイント帯が重要な分岐点とされ、これを上抜ければ29,750〜30,000ポイント台への戻りが視野に入る一方、抵抗を突破できなければ29,100ポイント付近への調整もありうるとの見方がある。
出典: Investing.com
NYダウ
200日移動平均(約52,499pt)を上回って推移しており、中長期トレンドは崩れていないとされる水準。53,000ポイントは直近まで上値抵抗として意識されてきた水準であり、これを維持できるかがサポートとして機能するかどうかの分かれ目になるとの分析がある。
出典: Investing.com
センチメント指標(補助)
- VIX(恐怖指数): 8/21時点で16.01(前回8/20の16.05からほぼ横ばい)。株価の乱高下が続く中でも、警戒感自体は歴史的にみて低水準にとどまっている。
出典: CNBC
7. 今夜の注目イベント
注記: 2026年8月22日(土)は米国市場の休場日にあたるため、当日夜(日本時間)に予定されている米国市場の経済指標・決算発表は無い。以下は週明け以降の主な予定。
- ベッセント財務長官による対イラン「経済的孤立化」計画の詳細発表: 米国時間月曜(8/24)に記者会見で実施予定。市場は対象国・措置の具体性、原油市場への影響を注視。
出典: Bloomberg
- エヌビディア(NVDA)決算発表: 来週8/26予定。市場予想は売上高930億〜950億ドル(前年同期比+67〜75%程度)。AIインフラ需要の持続性を占う最大の材料として意識されている。
出典: Intellectia
- ジャクソンホール経済シンポジウム: 8/27〜29開催。新FRB議長ケビン・ウォーシュ氏が8/28に就任後初の基調講演を行う予定で、9月FOMCに向けた政策スタンスの手がかりとして最大級の注目材料。
出典: Vantage Markets
8. 参考リンク