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米国株

米国株 2026-08-21

3行まとめ

  • 前営業日(8/20木曜)の米国株式市場は3指数そろって続落。前日(8/19)にいったん和らいだ米長期金利上昇が再燃し、ウォルマート決算の既存店売上高が予想未達となったことも重なって、S&P500は-0.74%、NYダウは-1.21%、ナスダック100は-0.75%で終えた。
  • Wall Streetの見方は割れている。Annex Wealth ManagementのBrian Jacobsen氏やMorningstarのMichael Field氏は消費減速・AI関連株の過熱修正を指摘して慎重姿勢を示す一方、Capital Economicsは「利上げが差し迫っている根拠は乏しい」と楽観的な見方を示し、CNBCのTodd Gordon氏はテクニカル面から上昇トレンド継続を主張している。
  • 米10年債利回りは8/19に一時4.65%まで低下した後8/20に再上昇、ドルは2カ月半ぶり安値圏で推移。7月FOMC議事要旨(8/19公表)はタカ派色が強く、パウエル氏に代わり新FRB議長に就任したケビン・ウォーシュ氏が来週(8/27〜29開催)のジャクソンホール会議で初の基調講演(8/28)を行う予定が最大の注目材料。

前日からの変化

注記: 前回レポート(2026-08-19付、8/18木曜分)は当日(8/19)の実行失敗により1営業日欠落しているため、本セクションは「前日」ではなく前回(2026-08-19)との比較である。

変わったこと(変化・新規)

  • 指数は前回比でいずれも下落幅が拡大: S&P500 7,701.69→7,651.32(-50.37、-0.65%)、ナスダック100 29,505.02→29,204.69(-300.33、-1.02%)、NYダウ 53,408.52→52,814.04(-594.48、-1.11%)。ナスダック総合は26,312.29→26,082.29(-230.00、-0.87%)。
  • 米財務省が8/19、10年・20年・30年債の買い戻し(バイバック)を「今後数か月で倍以上に拡大する」と発表。これを受け8/19は長期金利が急低下し株価は小幅反発(3日続落からの反発)したが、8/20は効果が一巡し金利が反発、株安に転じた。前回(8/19付)レポート時点ではこの施策自体が存在しなかった新規材料。
  • ウォルマート(WMT)の第2四半期決算が8/20に発表され、既存店売上高が予想(+3.8%)を下回る+2.6%となり株価が8〜9%急落(直近4年余りで最悪の下げ)。前回レポートには無かった新規の弱気材料。
  • 7月FOMC議事要旨が8/19に公表され、タカ派色の強い内容(インフレが鈍化しなければ利上げが必要との議論)であったことが判明。前回レポート時点では議事要旨は「今夜の注目イベント」として予告段階だった。
  • 新FRB議長ケビン・ウォーシュ氏(パウエル氏の任期満了に伴い就任)による初のジャクソンホール基調講演が8/28に予定されていることが判明。前回レポートでは次回FOMC(9/16)への言及のみで、ジャクソンホールでの新議長講演は挙がっていなかった。

昨日と同じこと(継続)

  • 中東(イラン)情勢の緊迫が続き、原油高(Brent、8/20時点で約93ドル/バレル)がインフレ懸念の材料であり続けている。トランプ大統領は8/20、イランに対する「crushing economic operation(経済的締め付け)」実施を表明し、テヘラン側は「陽動」と反発。
  • 半導体・AI関連株の調整も継続。フィラデルフィア半導体指数(SOX)は7月に-21%(2008年10月以来の下げ)、8/20も-4.9%と続落しており、ナスダック100の重しとなっている。
  • 強気派・弱気派の対立構図も継続。前回はトム・リー氏(Fundstrat)、エド・ヤルデニ氏(Yardeni Research)が強気派の代表として挙がっていたが、本日収集した記事内では同氏らの新規コメントは確認できず(継続的な立場表明は本日分では未確認)。

要因の連続性

  • 継続要因: 中東(イラン)情勢の緊迫による原油高、それに伴うインフレ懸念が前回に続き株安・金利高止まりの背景要因として継続。半導体株の調整(前回はSOXXの50日線割れが論拠)も継続し、8/20はSOX指数-4.9%という形で表れた。
  • 新規要因: (1)米財務省による長期債バイバック倍増発表とその効果一巡、(2)ウォルマート決算の既存店売上高未達による消費減速懸念、(3)7月FOMC議事要旨のタカ派内容、(4)新FRB議長ケビン・ウォーシュ氏のジャクソンホール講演(8/28)への注目、が新たに株安・警戒要因に加わった。
  • 解消した要因: 前回レポートで注目されていた「9月利下げ織り込みを巡る情報源間の幅(CME FedWatchで25bp利下げ確率85%程度〜他ソースで据え置き確率71%など諸説)」は、FOMC議事要旨公表を経て「9月据え置き確率60〜65%程度(CME FedWatch/Kalshi)」に収れんし、不確実性の一部は解消した。ただし利下げではなく据え置き〜利上げ論争へと論点が転換している点には留意。

1. 市況サマリー

指数 終値 前日比 騰落率
S&P500 7,651.32 -56.66 -0.74%
ナスダック100(NDX) 29,204.69 -221.33 -0.75%
ナスダック総合指数 26,082.29 -248.80 -0.94%
NYダウ 52,814.04 -649.01 -1.21%
Russell 2000(参考) 2,993.82 -39.13 -1.29%

(取得時点: 2026-08-20米国市場引け後。出典: Yahoo FinanceInvesting.com Nasdaq100。なおCNBCはNYダウ-637pt(-1.2%)、S&P500-0.7%、ナスダック総合-1%とやや異なる数値を報じており、速報値と確報値の差とみられる)

2. 指数別動向

S&P500

7,651.32(-0.74%)で終了。8/19に米財務省の長期債バイバック倍増発表を受けて金利が低下し小幅反発したが、8/20は金利が反発したことで株安に転じた。セクター別では消費関連(コンサマー・ディスクレショナリー)が-1.65%と大きく下げ、ウォルマート急落が主因となった。テクノロジーセクターも軟調。前週(8/18時点)まではエネルギー(+1.76%)・ヘルスケア(+1.60%)が相対的に堅調だった一方、テクノロジーは総じて弱含みが続いている。 出典: Investrade Mid-Morning LookKalkine sector分析

ナスダック100

29,204.69(-0.75%)で終了。半導体株の調整が引き続き重し。フィラデルフィア半導体指数(SOX)は8/20に-4.9%と続落し、マイクロン(Micron)・マーベル(Marvell)などが売られた。7月には月間-21%(2008年10月以来の下げ幅)を記録しており、AIインフラ投資のピークアウト懸念による「AIトレードの巻き戻し」が背景にあるとの分析がある(Morningstar・Michael Field氏)。エヌビディア(NVDA)の決算発表は来週8/26に予定されており、次の大きな材料として注目されている。 出典: 財経新聞Fortuneoneuptrader

NYダウ

52,814.04(-1.21%、-649.01ドル)で終了。3指数の中で下落率が最も大きく、構成銘柄のウォルマート(WMT)が決算を受けて8〜9%急落し、価格加重平均であるダウの下げを主導した(CNBCは「ダウはウォルマート9%安に押し下げられた」と指摘)。 出典: CNBC

3. 強気派 vs 弱気派

弱気派(ベア)

  • Brian Jacobsen氏(Annex Wealth Management、チーフエコノミックストラテジスト、Reuters取材): ウォルマートの既存店売上高未達について「消費経済にとって、これはエヌビディアが減速を発表したようなものだ。ウォルマートは値下げ志向の消費者を取り込む『トレードダウン』の追い風に乗ってきたが、その追い風が弱まりつつあるかもしれない」とコメント。
  • Michael Field氏(Morningstar、チーフ・エクイティ・ストラテジスト): 半導体株の急落について「ファンダメンタルズよりもセンチメント主導の側面が大きい。要するに自信の喪失だ」と指摘し、AIトレードの巻き戻しに警戒感を示す。
  • Daniela Hathorn氏(Capital.com、シニア市場アナリスト): 財務省の長期債バイバック拡大とタカ派寄りのFOMC議事要旨を市場が消化していると指摘し、「政策当局はインフレを引き続き懸念する一方、急激に上昇した長期借入コストそのものが新たな懸念材料になりつつある」と述べた。

強気派(ブル)

  • Todd Gordon氏(CNBC、テクニカルアナリスト): 8月の株価上昇局面は「(夏場によくある)ダマシのブレイクアウトではなく、今後も続く可能性が高い」とテクニカル分析に基づき主張(8/4時点のコメント。本日時点での追加発言は確認できず)。
  • Capital Economics(アナリストチーム): 7月FOMC議事要旨について「6月以降タカ派化したことは確認できるが、その後のインフレ・雇用・活動データがいずれも軟調であることを踏まえると、利上げが差し迫っているとみる根拠は乏しい」とコメントし、過度な悲観に距離を置く見方を示した。
  • (参考: 前回レポートで強気派として挙げたトム・リー氏(Fundstrat、S&P500年末目標8,000)、エド・ヤルデニ氏(Yardeni Research)の新規コメントは、本日収集した記事の範囲では確認できなかった)

4. 経済ニュース

経済指標

  • 新規失業保険申請件数(8/15週): 20.6万件(市場予想21.0万件、前週21.2万件から改善)。継続受給者数は179.9万件で予想(179.0万件)をやや上回った。 出典: Bloomberginvestinglive
  • フィラデルフィア連銀景況指数(8月分): 47.4(市場予想25.0を大幅に上回る)。 出典: Investrade
  • 景気先行指数(コンファレンス・ボード、7月分): 前月比+0.2%。 出典: Investrade

政策・地政学

  • 米財務省(ベッセント財務長官)が8/19、10年・20年・30年債の買い戻し(バイバック)を今後数か月で倍以上に拡大すると発表。長期金利の高止まりを抑える狙いとみられるが、効果は1日で一巡し8/20には金利が反発した。 出典: TheStreet
  • トランプ大統領が8/20、イランに対する「crushing economic operation(経済的締め付け)」実施を表明。イラン側は「陽動」と反発し、中東情勢の緊迫が続いている。原油高の一因。 出典: TheStreet

注目された個別銘柄・決算

  • ウォルマート(WMT) -8〜9%: 第2四半期決算で既存店売上高が予想未達(+2.6% vs 予想+3.8%)。通期見通しは上方修正したものの、消費減速懸念から時価総額約500億ドルが吹き飛んだ。 出典: ニューズウィーク日本版TradingKey
  • アドバンス・オート・パーツ(AAP) -27.10%(終値): DIY需要の弱さと第2四半期売上高の伸び悩みを受け急落。 出典: Investrade、Yahoo Finance
  • モデルナ(MRNA) -17%(取引時間中): 直近177%上昇していた反動で利益確定売り。 出典: Investrade
  • ディア(DE) +4%: 第3四半期決算が市場予想を上回る。 出典: Investrade
  • Webull(BULL) +8%: 第2四半期EPSが予想上振れ、顧客資産が前年同期比+79%と大幅増。 出典: Investrade

なお、ビットコインは財務省のバイバック発表を好感し取引時間中に+11.5%(71,808.74ドル)まで急伸、暗号資産関連株(コインベース(COIN)+6%など)も上昇した。 出典: Yahoo FinanceInvestrade

5. FOMC・FRB・金利・為替

FRB/FOMC

  • 7月開催分のFOMC議事要旨が8/19に公表され、インフレが鈍化しなければ「利上げが近く必要になる可能性がある」とのタカ派色の強い内容であったことが判明。7月会合ではロサンゼルス連銀のローガン総裁ら3名が0.25%の利上げを主張して反対票を投じており、議事要旨ではこの3名以外にも引き締めを支持する意見がどこまで広がっているかが焦点となった。 出典: CNBCThe Motley Fool
  • FRB議長はパウエル氏の任期満了(2026年5月)に伴いケビン・ウォーシュ氏に交代済み。ウォーシュ新議長は8/27〜29開催のジャクソンホール経済シンポジウム(テーマ: 「金融イノベーションと決済・政策への影響」)で、8/28に新議長として初の基調講演を行う予定。市場は今回のタカ派的な議事要旨のトーンが、ウォーシュ氏自身の政策メッセージに引き継がれるかを注視している。 出典: Regards of Wallstreet
  • 9月FOMC(9/16開催)の据え置き織り込み確率は、CME FedWatchで約60%、Kalshiで約65%程度(いずれも議事要旨公表後の水準)。前回レポート時点で情報源ごとに大きくばらついていた織り込み(利下げ観測と据え置き観測が混在)は、今回のタカ派的な議事要旨を経て「据え置きが優勢」との見方にある程度収れんしているが、利下げではなく将来的な利上げの可能性が論点として浮上している点には注意が必要。 出典: CNBC

金利

  • 米10年債利回りは、財務省のバイバック拡大発表を受けて8/19に一時4.65%まで低下(前週の20カ月ぶり高水準4.75%から低下)したが、8/20はその反発が一巡し金利は上昇に転じた(具体的な8/20終値は情報源により幅があり本レポートでは確定値を明記できなかった)。30年債利回りは週前半に2007年以来・約20年ぶりの高水準を付けており、長期金利の高止まりが引き続き株式市場の重しとなっている。 出典: TheStreetCNBC

為替

  • ドル円は8/20早朝(日本時間7時時点)、財務省の国債買い戻し計画発表を受けて円高方向に振れ158円台前半で推移(直近8/10には159円39銭まで円安が進行する場面もあった)。 出典: OANDA Japan
  • ドル指数(DXY)は約2カ月半ぶりの安値圏(98.8前後)で推移。長期金利の低下・財務省の政策対応を受けてドル売りが優勢だった局面があった。 出典: MacroMicro

6. テクニカル分析

注記: 3指数個別の移動平均線・RSI・サポート/レジスタンスの確定値について、8/20時点の一次情報源を十分に確認できなかった項目がある。以下は複数のテクニカル情報サイトから得られた参考情報であり、断定的な売買判断には利用しないこと。

S&P500

ある情報源によれば、S&P500(SPY)は50日移動平均線(目安7,488ポイント前後)・200日移動平均線(目安7,076ポイント前後)のいずれの上にも位置しており、中長期の上昇トレンド構造自体は崩れていないとされる。一方で同じ情報源が示すRSI(14日)は27前後となっており、直近の連続安で短期的な過熱感は後退し、「売られ過ぎ」とされる水準に近づいているとの見方がある。ただし複数の情報源間でも移動平均線の具体的水準にばらつきがあり、数値の精度には幅があることに留意されたい。 出典: AltIndexInvesting.com

ナスダック100

個別の移動平均線・RSI具体値は本日の情報収集では確認できなかった。ただし構成比の大きい半導体株の調整(SOX指数、8/20に-4.9%、7月は月間-21%)が指数全体の重しとなっており、短期的なモメンタムはS&P500以上に弱含んでいるとみられる。 出典: 財経新聞

NYダウ

個別の移動平均線・RSI具体値は本日の情報収集では確認できなかった。ウォルマート急落という個別要因が下落率を押し上げた点で、他の2指数とはやや性質が異なる値動きだった。

センチメント指標(補助)

  • VIX(恐怖指数): 8/20時点で16.05。8/16には年初来安値14.2を付けており、直近の株安局面でも歴史的にみて低水準にとどまっている。市場の警戒感自体はまだ強く高まっていない状況だが、これを「投資家の楽観・慢心の表れ」と懸念する声もある。 出典: CNBC
  • Fear & Greed Index: 8/19時点で56(「Greed」)。株安局面下でも指数自体は「恐怲」ではなく「強欲」寄りにとどまっている。 出典: Liberated Stock Trader

7. 今夜の注目イベント

(日本時間8/21夜〜8/22未明、米国時間8/21金曜日の予定)

  • S&P グローバル フラッシュPMI(製造業・サービス業、8月分): 米国東部時間9:45発表予定。 出典: MTS Insights
  • 中古住宅販売件数(7月分、全米不動産協会): 米国東部時間10:00発表予定。 出典: NAR
  • オプション月間清算日(メジャーSQ): 8/21は月次の株式・株価指数オプション清算日にあたる(四半期分のクアドラプル・ウィッチングではない)。 出典: Option Alpha
  • 来週8/27〜29開催のジャクソンホール経済シンポジウムに向け、新FRB議長ケビン・ウォーシュ氏の初講演(8/28)を控えたFRB高官発言・市場のポジション調整に引き続き注目。
  • 来週8/26に予定されるエヌビディア(NVDA)決算発表も、半導体・AIトレードの行方を左右する近い将来の材料として意識されている。 出典: oneuptrader

8. 参考リンク