前回からの変化
前回(2026-10-18、前日)との比較である。
変わったこと(変化・新規)
- ビットコインは前回の81,589.99ドルから80,800.86ドルへ(789.13ドル安、24時間で0.96パーセント安)、イーサリアムは2,419.86ドルから2,345.24ドルへ(74.62ドル安、24時間で3.08パーセント安)。取得時刻は異なる(CoinDesk: Bitcoin price today、CoinDesk: Ethereum price today)
- 前回の特集はポリゴンによるコインミー買収だった。今回は、銀行が共同で運営する決済網が中東で通貨を広げる動きを扱う(Ledger Insights)
- 法改正は、前回のブラジルと豪州に代わり、ラトビアの課税法の成立が加わった(CoinDesk)
- 米国の政策面では、ホワイトハウスの暗号資産責任者が退任し、後任は未定である(CoinDesk)
昨日と同じこと(継続)
- 銀行・決済事業者がブロックチェーンを既存の業務に組み込む流れは続いている。前回のウェルズ・ファーゴのトークン化預金の国際送金やクラーケン親会社の銀行買収に、新しい続報は確認できなかった
- ブラジル証券取引委員会のトークン化の模擬試験(参加申請は11月5日前後まで)と、豪州当局の取引所向け基準案(意見募集は11月27日まで)は、今回も続報がなく、前回の整理のままである
- 大規模なハッキングや取引所の破綻は、今回も確認できなかった
要因の連続性
- 継続要因: 銀行・決済大手による実利用への組み込みと、各国の制度整備。前回の豪州・ブラジルに続き、今回はラトビアが課税の制度を整えた
- 新規要因: 米国の政策を担う暗号資産責任者の退任。市場構造法案(包括的な暗号資産の規制法案)の見通しに不確実性が加わった
- 解消した要因: なし
市況ひとこと
ビットコインは80,800.86ドルで、24時間では0.96パーセント安だった。イーサリアムは2,345.24ドルで、24時間では3.08パーセント安である。数値は10月19日朝(日本時間)に価格サイトで確認した表示値で、いずれも変動は5パーセント未満のため、特記する理由は付けない(CoinDesk: Bitcoin price today、CoinDesk: Ethereum price today)。
社会実装・インフラへの採用
バーレーン国立銀行、Partiorでの自国通貨決済を検討
- 誰が・何を: バーレーン国立銀行(NBB)が、ブロックチェーン決済網Partiorと覚書を結んだ。NBBがバーレーン・ディナール(BHD)の決済銀行になる可能性を探る。運営モデル、実装の要件、技術的な実現性、規制上の論点を評価する段階である
- 技術・規模: Partiorはトークン化(銀行の預金をブロックチェーン上のトークンで表す仕組み)を使い、銀行間の国際決済を即時に行う網である。現在は創設メンバーの銀行を通じて米ドル、ユーロ、シンガポール・ドルを扱う
- 段階: 覚書による調査の段階で、開始時期は示されていない
- トークンの扱い: 銀行の預金を表すトークンであり、ビットコインのような暗号資産そのものではない。使うトークンの細部は記事から確認できなかった(Ledger Insights)
ステーブルコイン決済は「供給は横ばい、利用は急増」
- 誰が・何を: ブロックチェーン分析会社Alliumの集計を引いたCoinDeskの報道によると、ステーブルコインの流通量は9月30日時点で3,050億ドルと、年初からの伸びは0.4パーセントにとどまった。一方、1〜9月の決済額は4,820億ドルで前年比45パーセント増、決済の件数は71パーセント増の10億件超だった
- 規模: ステーブルコイン連動カードの支出は39億ドルと前年の10倍に増え、50ドル未満の少額決済がカード取引の伸びの84パーセントを占めた
- 段階: 利用の実績を示す集計であり、本番運用の統計である。ストライプは決済基盤Plasmaと組み、ドル、ユーロ、ブラジル・レアルなどとステーブルコインを扱う多通貨カードを年内に100か国以上で展開する計画とされる(CoinDesk)。集計手法の詳細は記事では確認できなかった
各国の法改正・規制
ラトビア
- 段階: 議会が暗号資産課税を見直す法律を10月15日に可決した
- 何が変わるのか: 個々の取引ごとの課税から、暗号資産の投資口座からの引き出し額が預け入れ額を超えた分への課税に変わる。過去の分は一度きりの申告で清算でき、申告した資産の2026年末の時価の10パーセントを納める。購入時の記録がない人に配慮した制度である
- 日程: 申告は2027年4月1日〜5月31日、納税期限は7月23日。暗号資産での納税は2027年に、決済事業者の技術対応を待って始まる見通しである(CoinDesk)
米国
- ホワイトハウスの暗号資産責任者(大統領デジタル資産諮問委員会の事務局長)であるパトリック・ウィット氏が、民間部門へ戻るため、先週退任した。後任は未定で、この職の前任者2人も退任している。課題は、税制の法案、市場構造法案(デジタル資産市場明確化法)の継続、SEC・CFTC・通貨監督庁(OCC)の規則づくりである。来月の中間選挙で民主党が下院を握れば、議会の状況が厳しくなる可能性がある(CoinDesk)
日本・EU・その他
- 新たに確認できた制度の動きはない。
特集: 新しいビジネスの形
銀行が共同で運営する「トークン化預金の決済網」Partior
直近2週間の特集は、標準ウォレット、小規模銀行のトークン、トークン化MMF、国債トークンを担保にしたレポ、国際送金の事前積み立て、協調融資の共通台帳、ブロックチェーン企業による送金事業者の買収などだった。今回は、複数の銀行が共同で保有するブロックチェーンの決済網を扱う。
- 仕組み: Partiorは、JPモルガン、DBS銀行、スタンダードチャータード、ドイツ銀行などが関わる決済網で、銀行の預金をトークンで表し、ブロックチェーン上で銀行間の決済を即座に済ませる。従来の国際送金は、複数の銀行を経由する代理銀行(コルレス銀行)の連鎖で時間と費用がかかり、途中の状況も見えにくかった。同網は24時間365日、通貨ごとの決済銀行を通じて動く
- 誰がどう稼ぐのか: 参加銀行は送金の速さを売り物にして顧客の送金手数料を得て、運営会社のPartiorは網の利用に応じた料金を得ているとみられる(収益の分け方は今回の記事に記載がなく、筆者の推測)
- 既存のやり方との違い: 7月にはエミレーツNBDが中東の銀行として初めて参加し、JPモルガンを決済・受取銀行としてドルのリアルタイム国際決済を始め、ディルハム、サウジ・リヤル、インド・ルピーの決済サービスも可能とした。今回のNBBの動きはバーレーン・ディナールへの拡大の検討で、通貨と地域が広がる(Khaleej Times)
- 課題・リスク: NBBの件はまだ調査の段階で、各国の中央銀行の承認や、自国通貨の資金を預ける仕組みの整備が必要になる。参加行が増えるほど価値が高まる網であるため、普及の壁は参加銀行の数と、各国の規制対応である。直近の取扱額は今回の記事から確認できなかった(2024年後半に累計10億ドル超との報道がある)
- 具体例: Partior、エミレーツNBD、バーレーン国立銀行
業界トピック
新たな大規模ハッキングや取引所の破綻は確認できなかった。

