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暗号資産

暗号資産 2026-08-09

3行まとめ

  • ビットコインは6万4900ドル前後、イーサリアムは1900ドル台で推移。米雇用統計の下振れでFRB利上げ観測が後退し、ETF資金は5営業日連続の流入となるなど地合いはやや改善したが、恐怖強欲指数は「恐怖」圏の31にとどまる。
  • 米国では暗号資産の市場構造法案「CLARITY法案」が上院で手続き投票入りしたものの、夏季休会前の可決は見送られ9月に持ち越し。日本では金融庁が「暗号資産・ステーブルコイン課」を新設するなど体制強化が進む。
  • ハードウェアウォレット「Coldcard」のファームウェア脆弱性を突いた大型ハッキングで約1800BTC(約116〜130億円相当のドル換算では1億1600万〜1億3000万ドル)が流出しており、業界の警戒感が高まっている。

価格サマリー

銘柄 価格(ドル建て) 24時間騰落率 参考(円建て概算) 取得時点(日本時間)
ビットコイン(BTC) 約64,940ドル +0.1% 約1,020万円 2026年8月9日午前(米国8月8日時点データ)
イーサリアム(ETH) 約1,918ドル +0.24% 約30万円 2026年8月9日午前(米国8月8日時点データ)
ソラナ(SOL) 約75ドル +2.8%(上位10銘柄中最大の上昇率) 同上
パイネットワーク(PI) 約0.091ドル 週間+7%前後 同上

※円建ては1ドル=157円前後(2026年8月4日時点のドル円相場)で概算換算。正確な取得時刻のレートとは異なる場合がある。

銘柄別動向(BTC / ETH / その他アルトコイン)

ビットコイン(BTC)

8月8日、ビットコインは節目の6万5000ドルを一時的に上抜け、64,940ドル前後で推移した。値動きの主因は米雇用統計で、7月の非農業部門雇用者数が2万3000人と市場予想(8万人)を大きく下回ったこと。これを受けて9月のFRB利上げ確率は37パーセントまで低下し、金融緩和期待からリスク資産である暗号資産への買いが入った(CoinGape)。

ETF資金の動きも改善している。米国の現物ビットコインETFは8月7日時点で5営業日連続の資金流入となり、同日だけで9885万ドルが流入。8月入り後の3営業日累計では6億2600万ドルの純流入となり、うちブラックロックのIBITが4億7900万ドル(全体の約76パーセント)を占めた。IBITの累計純流入額は600億ドル規模に達している(TheStreetnews.bitcoin.com)。

なお、ビットコインは2025年10月につけた最高値12万6198ドルから見ると、依然として50パーセント超下落した水準での推移が続いている(Decrypt)。

イーサリアム(ETH)

イーサリアムは1918ドル前後、24時間で0.24パーセントの小幅高。ビットコインと同様に米雇用統計の下振れを受けたリスク選好の高まりが支援材料となった(CoinGape)。イーサリアムの現物ETFについても8月上旬にプラスの資金フローが確認されている(bingx)。

先物市場のデータでは、クリプトクアントの分析としてビットコイン・イーサリアムともにファンディングレートがプラス圏で推移し、ロングポジションへの需要が6月初旬以来続いていると指摘される一方、テイカーの売買比率は1.0付近で買い手・売り手が拮抗する中立的な状況とも報告されている(CoinPost)。

その他アルトコイン

  • ソラナ(SOL): 75ドル前後まで上昇し、時価総額上位10銘柄の中で最大の上げ幅(2.8パーセント高)を記録した(CoinGape)。
  • パイネットワーク(PI): 0.091ドル前後で週間7パーセントほど上昇。8月11日に予定される大型アップグレード「プロトコル26」を控えた期待買いとみられるが、RSIが27まで低下しており売られ過ぎの反動という面もあり、上昇の持続性には課題があるとの指摘がある(CoinGape)。

強気派 vs 弱気派

強気派(ブル)の主張

  • 米財務長官スコット・ベセント氏: 暗号資産の市場構造を定める「CLARITY法案」の議会成立が「あと一歩(ワンヤードライン)」まで来ているとし、夏季休会前の可決を促していた(Decrypt)。
  • バーンスタインのアナリスト: ビットコインについて年末15万ドルの目標値を維持しているとされる(Decrypt)。
  • テクニカル面からの見方: 200日移動平均線が下値支持として機能していること、RSIが50台後半まで戻し買いのモメンタムを示していることを根拠に、強気転換の兆しを指摘する分析がある(DecryptPickaxe)。
  • クリプトクアント: 取引所への入金量が低水準にとどまっており、目先の売り急ぎ圧力は見られないとの分析を示している(CoinPost)。

弱気派(ベア)の主張

  • テクニカル面からの見方: 50日移動平均線が200日移動平均線を下回る「デッドクロス」状態が依然解消されていないとの指摘があり、強気転換の確証には至っていないとされる(Decrypt)。
  • 機関投資家動向: コインベース・プレミアム指数(米機関投資家の買い意欲を示す指標とされる)が900時間以上マイナス圏で推移しており、機関投資家の買い圧力の弱さを示しているとの分析がある(Decrypt)。
  • 予測市場: ある予測市場では、ビットコインが5万5000ドルまで下落する確率を64.6パーセントと織り込んでいるとの報道がある(Decrypt)。
  • 季節性アノマリー: 過去15年間の統計で、8月は平均リターンがマイナス0.64パーセント、中央値がマイナス7.87パーセントとビットコインの月別成績で唯一中央値がマイナスの月であり、15年中9回下落して取引を終えているとの分析がある(CoinDCX系記事の引用によるまとめ)。
  • CLARITY法案の停滞: 上院が夏季休会前の採決を見送ったことで、規制明確化への期待が後退している(詳細は後述)。

いずれの主張も市場関係者の見立て(相場観)であり、事実として確定した予測ではない点に留意。

法改正・規制ニュース(米国 / 日本)

米国

  • CLARITY法案(暗号資産市場構造法案): 8月8日、米上院はCLARITY法案の手続き投票(第一段階)を開始し、法案審議としては過去最も進展した段階に到達した。しかし上院多数党院内総務ジョン・スーン氏は8月中の採決は行わないと明言しており、夏季休会前の成立は見送られた。上院は9月14日に審議再開予定で、9月中の採決を目指す構え。予測市場ポリマーケットでは、CLARITY法案が2026年中に成立する確率を30パーセントとしており、この日は不透明感から確率が下方修正された(CoinDeskCoinDesk)。
  • SECの規制アジェンダ: 証券取引委員会(SEC)は2026年の規則制定計画に、暗号資産の募集・販売に関するルール、ブローカー・ディーラーの財務責任規則、代替取引システム(ATS)における暗号資産取引に関する証券取引法改正の3項目を正式に盛り込んだ(The Block)。
  • CFTC: 商品先物取引委員会(CFTC)のマイケル・セリグ委員長は、デリバティブ市場の名目残高が1.2京ドル(1.2クアドリリオンドル)規模に拡大する中、金融イノベーションに配慮しつつ不正・市場操作への監視は維持する方針を表明した(crypto.news)。

日本

  • 金融庁の組織再編: 金融庁は2026年8月7日付の組織再編で「暗号資産・ステーブルコイン課」を含む5課を新設した。暗号資産・ステーブルコインを扱う事業者の監督を専門に担う体制で、検査局廃止(2018年)以来8年ぶりの大規模な組織改編とされる(事業構想オンラインITmedia)。
  • トラベルルール対象拡大: 金融庁・財務省は暗号資産の移転時本人確認情報通知義務(トラベルルール)の対象法域を追加する告示改正を7月7日に公布し、アンギラ・オマーン・キューバ・ドミニカ国・ボツワナの5法域を追加(対象は計63法域に拡大)。改正告示は8月3日に適用された(ビットタイムズ)。
  • 税制改正: 令和8年度(2026年度)税制改正大綱で、暗号資産取引について現行の総合課税(最大55パーセント)から、上場株式並みの20パーセント申告分離課税(所得税15パーセント・住民税5パーセント)への移行が正式決定された。適用開始は金融商品取引法改正の施行後、2028年1月からの見込み(大和総研)。
  • 金商法・資金決済法改正: 暗号資産を金融商品取引法の規制対象とする改正法案が2026年7月15日に参議院で可決・成立した(MONEYIZM)。

テクニカル分析

ビットコイン(BTC)

現在価格は6万4900ドル前後で、50日移動平均線(6万4600〜6万4700ドル付近)がここ数週間にわたり上値抵抗として機能している状況。これを明確に上抜けられれば、次の節目である100日移動平均線(6万7000ドル付近)が視野に入るとされる。一方、200日移動平均線は緩やかな上昇基調を保っており、長期的な下値支持として機能しているとの見方がある(Pickaxe)。

ただし別の分析では、短期の50日移動平均線が長期の200日移動平均線を下回る「デッドクロス」状態が依然として続いているとの指摘もあり、長期トレンドが完全に強気転換したとまでは言えない状況(Decrypt)。

RSI(相対力指数)は分析によって50台後半から60前後の値が示されており、買われ過ぎでも売られ過ぎでもない中立からやや強気寄りの水準。直近のレンジは、サポートがおよそ6万2500ドル、レジスタンスが6万5000〜6万5500ドル付近とされ、明確な方向感が出るまでのもみ合いが続いているとの見方が多い(PickaxeDecrypt)。

Fear & Greed Index(恐怖強欲指数)は31で、前日から1ポイント上昇したものの依然として「恐怖」ゾーンにとどまっている。投資家心理はやや慎重ながら、底堅さも意識され始めている段階とみられる(Bloomingbit)。

イーサリアム(ETH)

現在価格は1918ドル前後。短期的には20日移動平均線(1869ドル付近)がほぼ現在価格と同水準、50日移動平均線(1851ドル付近)は現在価格をやや下回っており、短期的な地合いは底堅いとみられる。一方、100日移動平均線(1911ドル付近)や200日移動平均線(2082ドル付近)は現在価格を大きく上回っており、より長い時間軸で見ると上値の重い状態が続いている(AltIndex)。

RSIはおよそ56で中立圏。直近のサポートは1894ドル・1874ドル・1855ドル付近の複数水準、レジスタンスは1934ドル・1953ドル・1973ドル付近とされ、いずれかを明確に抜けるまでは方向感を欠くレンジ相場が続くとの見立てが多い(AltIndex)。

業界トピック(該当があれば)

ハードウェアウォレット「Coldcard」の大型ハッキング事件: 7月30日以降、コインカイト社製ハードウェアウォレット「Coldcard」の5年前(2021年3月)のファームウェアに存在した脆弱性を突いた攻撃が確認された。本来ハードウェア由来の乱数生成器を使うべきところ、ビルド設定の誤りによりソフトウェア由来の予測可能な乱数生成にフォールバックしていたことが原因で、シード(秘密鍵の元となる情報)が第三者に推測可能な状態になっていた。8月4日までに検知された第4波を含め、4波にわたる攻撃で5200以上のアドレスから合計約1816BTC(1億1600万〜1億3000万ドル相当)が流出し、2026年に発生した暗号資産ハッキング事件の中で3番目の規模となった。コインカイト社は同モデルの出荷を停止し、在庫を廃棄する対応を取っている。攻撃者は単一犯ではなく複数のグループとみられている(TechCrunchBloombergForbes)。

参考リンク