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米国株

米国株 2026-08-12

3行まとめ

  • 8月11日(火)の米国市場は主要3指数がそろって下落した。S&P500は0.29%安の7,730.40、ナスダック総合は0.61%安の26,442.95、ナスダック100は0.40%安の29,503.40、NYダウは0.29%安の53,819.28で取引を終えた。米国とイランの交渉が「膠着状態」に陥ったとの報道で原油高が続いたことに加え、インテルが200億ドル規模へ増額した株式売り出しを実施し希薄化懸念から株価が4.6%下落するなど、AI設備投資関連の思惑が相場の重荷となった。
  • 焦点は8月12日(水、日本時間夜)発表の7月消費者物価指数(CPI)に移っている。市場予想は前月比0.1%上昇(前年比3.4%)、コアは前月比0.2%上昇(前年比2.5%)。米10年債利回りは4.73%まで上昇し1月以来の高水準に接近しており、原油高を背景にFRBが利下げではなく利上げを検討せざるを得なくなるとの見方も浮上している。
  • 強気派はインフレの主要項目(住居費など)の落ち着きを根拠にFRBが政策金利を据え置く余地があると主張する一方、弱気派はクリーブランド連銀総裁の「複数回の利上げが必要」との発言や、CMEフェドウォッチが9月利上げ確率をほぼ五分五分と織り込んでいる点を警戒材料に挙げている。

市況サマリー

指数 終値 前日比 備考
S&P500 7,730.40ポイント -0.29%(-22.71pt) イラン情勢の膠着とAI関連株の調整で反落
ナスダック100 29,503.40ポイント -0.40%(-118.41pt) 大型テック・半導体の一角に売り
ナスダック総合 26,442.95ポイント -0.61%(-162.40pt) 3指数の中で下落率最大
NYダウ 53,819.28ドル -0.29%(-156.70pt) ハイテク比率の低さから相対的に底堅い

※値はいずれも2026年8月11日(火)米国市場終値時点(Yahoo Finance)。取得時点は2026年8月12日(水)早朝(日本時間)。

指数別動向(S&P500 / ナスダック100 / NYダウ)

S&P500

S&P500は前日比0.29%安の7,730.40ポイントで取引を終えた。米国とイランの交渉が膠着状態に陥ったと伝わったことが主要な圧迫要因で、トランプ大統領が「交渉は半分しか進んでいない」と述べ、イラン外相も「現在の条件下では交渉再開の可能性がない」と応じたと報じられている。ブレント原油先物は1バレル88ドル前後の高止まりが続いた(Yahoo Finance)。エネルギー株や小型株は底堅く推移した一方、AI設備投資への監視強化を背景に大型グロース株には売りが出た(Zacks)。

ナスダック100(大型テック・半導体)

ナスダック100は前日比0.40%安の29,503.40ポイントで取引を終えた。高値29,705.80、安値29,427.61のレンジで推移し、7月の急落から回復した後も過去最高値からはおよそ2%低い水準にとどまっている(Yahoo Finance NDX過去データVantage Markets)。インテルは200億ドル(当初発表の150億ドルから増額)の普通株式売り出しを1株95ドルで実施すると発表し、希薄化懸念から株価は4.6%下落した。ただし売り出しには1,000億ドルを超える需要が集まったと報じられている(CNBCYahoo Finance)。信用に敏感なハイパースケーラー関連(オラクル、アマゾン、スペースXなど)も2%超下落した(Goodreturns)。一方エヌビディアは目立った値動きがなかったが、コアウィーブとメタの提携拡大には次世代AIプラットフォーム「ヴェラルービン」の初期導入が含まれると伝えられている(Yahoo Finance テック速報)。

NYダウ

NYダウは前日比0.29%安の53,819.28ドルで取引を終えた。3指数の中では下落率がS&P500と並んで小さく、ハイテク比率の低さが相対的な底堅さにつながった(Yahoo Finance)。

強気派 vs 弱気派

強気派(ブル)

  • ファンドストラットのトム・リー氏は、直近のインフレ統計で住居費など主要項目の伸びが落ち着いてきていることを指摘し、FRBが利上げではなく政策金利の据え置きを選べる余地があるとの見方を示している(CNBC)。
  • ウォール街主要行(ゴールドマン・サックス、モルガン・スタンレー、シティ、RBC)の2026年末S&P500目標は8,000〜8,150の範囲に集中しており、ベースケース(7,950近辺)は利下げや完璧な経済環境を前提とせず、堅調な増益修正が続けば到達可能との見立てが示されている(EBC Financial Group)。

弱気派(ベア)

  • クリーブランド連銀総裁は、インフレを抑制するには複数回の利上げが必要になるとの認識を示したと報じられている(TheStreet)。CMEフェドウォッチが織り込む9月FOMCでの利上げ確率はほぼ五分五分の水準にあり、市場の不透明感が強まっている(CNBC)。
  • バンク・オブ・アメリカのサビタ・スブラマニアン氏(米国株式・クオンツ戦略責任者)は、2026年末のS&P500目標を主要大手証券の中で最も慎重な7,100とし、現水準からの上値余地は限定的との見方を維持している(CNBC)。
  • EBC Financial Groupのベアケースでは、増益見通しの下方修正やバリュエーション調整圧力の再燃を条件に、S&P500が7,000近辺まで下落するシナリオが示されている(EBC Financial Group)。
  • イランとの交渉膠着による原油高、インテルの大型増資に伴う希薄化懸念、コアウィーブなどAI関連企業の採算悪化リスクが、AI設備投資への過熱警戒とあいまって短期的な調整要因として意識されている(ZacksGoodreturns)。

経済ニュース

インテルの大型増資と株価下落

インテルは当初発表の150億ドルから200億ドルへ増額した普通株式売り出しを1株95ドルで実施すると発表した。AI向け演算需要の急増に対応する資金調達が目的だが、既存株主の希薄化懸念から株価は4.6%下落した。一方で売り出しには1,000億ドルを超える需要が集まり、投資家の関心の高さも示された(CNBCYahoo Finance)。

コアウィーブの第2四半期決算(発表待ち)

AIクラウド企業のコアウィーブは米東部時間8月11日午後5時から決算説明会を開催した。市場予想は売上高25.6億ドル(前年比2倍超)、1株損失1.21ドル。同社は過去5四半期中4回で市場予想を下回り、決算後に株価が平均17%下落してきた経緯があり、オプション市場は今回も13〜14%程度の株価変動を織り込んでいた(BenzingaYahoo Finance)。本稿執筆時点(2026年8月12日早朝・日本時間)では、決算の実際の結果および時間外での株価反応はまだ報道が確認できていない。

シスコシステムズの決算発表(本日)

シスコシステムズは8月12日に2026年度第4四半期決算を発表する予定。市場予想は売上高167億〜169億ドル(前年比約14.9%増)、非GAAP1株利益1.16〜1.18ドル(前年比約18.2%増)。前四半期は製品受注が前年比35%増、ハイパースケーラーを除いても19%増となっており、企業向けネットワーク需要の強さが焦点になる(Zacks経由のTipRanksAlphastreet)。

FOMC・FRB・金利・為替

  • 現在のFF金利誘導目標は3.50〜3.75%。7月FOMCでは9対3の賛成多数で据え置きを決定したが、3人の委員が0.25%の利上げを主張して反対票を投じた。次回FOMCは2026年9月16日の予定(CNBC)。
  • 5月に就任したパウエル後任のFRB議長ケビン・ウォーシュ氏はデータ次第の政策運営を強調し、明確なフォワードガイダンスを避けている。早期の利下げは見込みにくいとの姿勢を示しており、市場の利下げ観測が後退する一因となっている(Forbes)。
  • CMEフェドウォッチが織り込む9月FOMCでの利上げ確率はほぼ五分五分となっている。クリーブランド連銀総裁はインフレ抑制には複数回の利上げが必要になり得ると発言した(CNBCTheStreet)。
  • 米10年債利回りは8月11日に4.73%まで上昇し、1月以来の高水準に接近した。原油高を受けたインフレ再燃懸念とFRBの利上げ観測がその背景にある(Trading Economics)。
  • ドル円は8月11日に一時159.365円まで上昇(円安)し、前週から158円台を突破する場面があった。直近では日米当局による協調的な市場介入が話題となっていたが、その後もドル高・円安基調が続いている(Wise 為替レート履歴)。

テクニカル分析

S&P500

現在値7,730は50日移動平均線(約7,478〜7,501)・200日移動平均線(約7,059〜7,116)をいずれも上回っており、中長期の上昇トレンドが継続していることを示す。14日RSIは63前後で「買われすぎ」の一歩手前の水準にあり、上昇モメンタムは続いているが過熱感には注意が必要とされる。目先は7,780〜7,800ポイント付近が上値のレジスタンス、7,630〜7,690ポイント付近が下値のサポートとして意識されている(BarchartAltIndex)。

ナスダック100

50期間移動平均線(約29,684)と200期間移動平均線(約29,698)がほぼ同水準で交錯しており、方向感が定まりにくい局面にある。14日RSIは38.5まで低下し、過熱感は和らいだものの下値模索とまでは言えない水準。29,600ポイント付近が直近の重要なサポート、29,780〜29,900ポイント付近がレジスタンス帯として意識されている(Vantage Markets)。

NYダウ

50日移動平均線(約52,793)・200日移動平均線(約52,499)をいずれも上回る明確な上昇トレンドが続いている。14日RSIはおおむね50台半ばの中立水準。下値は53,290〜53,455ドル付近、上値は心理的な節目である55,000ドル、さらにその上の55,737ドル付近がレジスタンスとして意識されている(各種テクニカルレポートの集計)。

センチメント指標

VIX(恐怖指数)は8月11日終値で15.55(前日比+0.58%)と歴史的にみて低水準にあり、投資家の警戒感は依然として薄い(Investing.com VIXデータ)。CNNのFear & Greed Indexは8月10日時点で64(強欲=Greed)であり、楽観的な地合いが続いている。低ボラティリティと強欲寄りのセンチメントの組み合わせは、CPI発表などのイベントを機に急な調整が起きやすい状態でもある(feargreedmeter.com)。

今夜の注目イベント

8月12日(水、日本時間今夜〜13日未明)は、今週最大の焦点である7月の消費者物価指数(CPI)が米東部時間8時30分(日本時間21時30分)に発表される。市場予想は前月比0.1%上昇・前年比3.4%上昇、コアは前月比0.2%上昇・前年比2.5%上昇で、9月FOMCでの利上げ・据え置き判断を左右する重要指標として注目されている(NewsquawkKiplinger)。

  • シスコシステムズが2026年度第4四半期決算を発表予定(市場予想:売上高167億〜169億ドル、非GAAP1株利益1.16〜1.18ドル)(Alphastreet)
  • 前日発表のコアウィーブ決算への市場の反応が続くとみられる
  • 翌8月13日(木)には7月の生産者物価指数(PPI)、アプライド マテリアルズの決算発表が予定されている(前回レポート時点の情報)

参考リンク