前回からの変化

前回(2026-10-11)との比較である。前回は10月9日引け後に発表された安川電機を中心に扱った。本日は、前回の時点で扱えなかった10月8日発表の日本の大型2社を取り上げる。

変わったこと(変化・新規)

  • 主題が産業機械(安川電機)から、国内小売の2社(ファーストリテイリング、セブン&アイ)に移った。前回は営業利益が下方修正された安川電機だったが、今回のファーストリテイリングは営業利益が最高益で、来期も増益を見込む(ビジネス+IT)
  • 前回の「次の注目決算」で挙げた13日のイオン、J.フロント リテイリング、米大手銀行は、まだ発表前で、日程は変わっていない(マネックス証券)

昨日と同じこと(継続)

  • 前回扱った安川電機(2027年2月期の営業利益予想575億円へ下方修正)の数字に変更はなく、株価の本格的な反応は13日に持ち越される
  • 円安が日本企業の収益を押し上げる構図が続いている

要因の連続性

  • 継続要因: 円安が前回の安川電機に続き、ファーストリテイリングの海外事業の円換算額を押し上げる方向に働いている点(筆者の整理。各社の開示で寄与額までは確認できていない)
  • 新規要因: 海外ユニクロの全地域での2桁増収増益と、北米のセブン-イレブンの利益拡大という、海外事業の伸びが新たな追い風になった
  • 解消した要因: なし

1. 本日のハイライト

企業名 会計期間 売上 営業利益 通期見通し
ファーストリテイリング(9983) 2026年8月期(通期) 3兆9634億円(16.6%増) 7431億円(31.7%増) 来期は営業利益8300億円を予想
セブン&アイ(3382) 2027年2月期 第2四半期(3〜8月) 営業収益5兆4602億円(2.8%減) 2322億円(11.5%増) 営業利益4250億円を据え置き
安川電機(6506) 2027年2月期 第2四半期(3〜8月) 2856億円(9.8%増) 220億円(5.5%減) 営業利益575億円へ下方修正

ファーストリテイリングとセブン&アイは10月8日、安川電機は10月9日の発表である。市場予想との差と発表後の株価反応は、今回の確認範囲では確認できていない(ビジネス+IT、ビジネス+IT、ビジネス+IT)。

2. 個別決算

ファーストリテイリング(9983) — 2026年8月期(2025年9月〜2026年8月)

ファーストリテイリングは10月8日、2026年8月期の連結決算を発表した。売上収益は3兆9634億円で前期比16.6%増、営業利益は7431億円で31.7%増、親会社の所有者に帰属する当期利益は5425億円で25.3%増となり、いずれも過去最高である。営業利益率は前期の16.6%から18.7%へ上がった(ビジネス+IT)。

事業別では、海外ユニクロ事業が売上2兆4111億円で26.2%増、利益4398億円で44.1%増となり、全地域で2桁の増収増益だった。国内ユニクロ事業は売上1兆848億円で5.7%増、既存店売上高は5.1%増にとどまり、成長の中心は海外に移っている。

株主還元では、年間配当を前期の500円から850円に引き上げた(期中に予想の640円から上方修正)。次期の配当は900円を予想する。2027年8月期の見通しは、売上収益4兆4500億円(12.3%増)、純利益5600億円(3.2%増)で、営業(事業)利益は8300億円とされる。なお報道により、この利益の増加率(11.7%増、15.5%増)と呼称(営業利益、事業利益)が異なるため、会社の決算短信での確認が望ましい(FASHIONSNAP)。アパレル世界2位に浮上する可能性があると報じられているが、集計の基準は確認できていない。

セブン&アイ・ホールディングス(3382) — 2027年2月期 第2四半期(3〜8月)

セブン&アイは10月8日に中間決算を発表した。営業収益は5兆4602億円で2.8%減、営業利益は2322億円で11.5%増だった。営業収益の減少は、セブン銀行とヨーク・ホールディングスの連結除外(子会社でなくなったこと)による。連結純利益は1244億円で2.2%増である(ビジネス+IT)。

セグメントは明暗が分かれた。北米を中心とする海外コンビニ事業の営業利益は1504億円で約1.9倍に拡大し、米国のセブン-イレブン・インクは営業利益が55.5%増、チェーン全体の売上は15.8%増だった。国内コンビニ事業は営業利益が1099億円で9.8%減となり、店舗設備と次世代システムへの投資、物価上昇によるコスト増が重しになったと会社は説明している。通期の業績予想は変えず、営業利益4250億円を据え置いた。

安川電機(6506) — 補足

10月9日発表の安川電機の数字は前回レポートのとおりである(売上収益2856億円、営業利益220億円、通期営業利益は575億円へ下方修正)。追加の確認事項はなく、通常取引での株価反応は13日に出る(ビジネス+IT)。

3. 経営陣が語ったこと

ファーストリテイリングとセブン&アイの決算説明会の書き起こしや、経営陣の発言は、今回の確認範囲では取得できなかった。会社が公表した理由の説明(セブン&アイの国内コンビニの減益要因など)は上記の個別決算に記した。

4. 業界トレンド

ファーストリテイリングとセブン&アイは、どちらも海外事業が伸び、国内事業が相対的に弱いという共通点がある。海外ユニクロは26.2%増収、北米のセブン-イレブンは営業利益が55.5%増だった一方、国内ユニクロは5.7%増収、国内コンビニは営業利益が9.8%減だった。ただし2社の例であり、小売業全体に一般化はしない(筆者の整理)。円安が海外事業の円換算額を押し上げた可能性はあるが、寄与額は開示で確認できていない。

5. 決算シーズンの進捗

米国は7〜9月期決算の発表が始まったばかりで、10月13日からJPモルガン・チェースなどの大手銀行が続く。S&P500の発表済み社数やEPS成長率の集計は、今回も確認できていない。日本は2月期・8月期企業の本決算・中間決算が続いている。

6. 次の注目決算

  • 10月13日(火): JPモルガン・チェースとウェルズ・ファーゴが米国で第3四半期決算を発表予定(Stock Earnings Calendar)。寄り前・引け後の別は未確認
  • 10月13日(火): イオン(8267)とJ.フロント リテイリング(3086)が国内で中間決算を発表予定(マネックス証券)
  • 10月12日(月)は日本の祝日(スポーツの日)で東京市場は休場。8日、9日発表の各社の株価反応は13日に持ち越される