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コモディティ

コモディティ 2026-08-22

3行まとめ

  • 金・銀は前回(8/21)比でも続伸(金+2.10%、銀+1.89%)。米国の財政懸念・ドル安を背景にした資産防衛買いが続く一方、CFTCの投機筋ネットロングは金で急増しており過熱感も強まっている。
  • 原油(WTI・ブレント)は前回の急伸から一転してほぼ横ばい。ホルムズ海峡は封鎖174日目に入り通航量は平時の1パーセント程度のまま。米財務省は対イラン「前例のない」制裁を改めて表明する一方、イラン・オマーン間では商船航行ルートの共同声明が最終ドラフト段階との報道もあり材料が交錯。
  • 前回特集したカカオ・砂糖はいずれも大きな新展開なく高値圏で一進一退(カカオ-0.52%、砂糖はエルニーニョ懸念で高値圏継続、直近1カ月+19.40%)。本日新たに1日±3パーセント超の急変動を示した商品は確認されなかった。

前日からの変化

変わったこと(変化・新規)

  • 原油が前回の急伸から一転して足踏み: WTI 86.62ドル→86.81ドル(+0.19ドル、+0.22%)、ブレント 93.52ドル→94.05ドル(+0.53ドル、+0.57%)。地政学リスクは残るものの上昇モメンタムは後退した(TradingEconomics: Crude OilBrent)。
  • 米財務省ベセント長官が8/14に表明した「史上前例のない」対イラン経済的孤立策が改めて注目されている。イラン産原油の購入者(中国等)への二次制裁が発動されれば中国側の報復措置も想定され、エネルギー価格の不確実性を高める材料として浮上(Rigzone)。
  • イラン・オマーン間でホルムズ海峡の商船航行ルートに関する共同声明が最終ドラフト段階にあると報じられている。ただし通航再開の確約ではなく、海峡の管理権やイランによる通行料徴収の可否が引き続き争点(CNBC)。
  • CFTCの投機筋による金のネットロングが8/4時点の約13万枚から8/14時点で217.9千枚へ急増。ポジションの偏りが新たな調整リスクとして意識され始めている(VT Markets)。

昨日と同じこと(継続)

  • 金・銀は続伸基調が継続(金+2.10%、銀+1.89%)。ドル安・米財政懸念という同じ材料が効いている。
  • 天然ガスは方向感の乏しいレンジ推移が継続(2.76ドル→2.75ドル、-0.42%)。供給過剰観測も変わらず。
  • 小麦・トウモロコシ・大豆はいずれも小幅高で推移(継続)。トウモロコシ・大豆は年初来高値圏を維持。
  • カカオは前回に続き伸び悩み、ICE在庫の高水準が上値を抑える構図が継続(-0.52%)。
  • 砂糖はエルニーニョ懸念を背景に高値圏(2025年5月以来の水準)での推移が続く。
  • ホルムズ海峡は事実上の封鎖状態が続く(封鎖174日目、8/16時点の通過船舶数は1隻、平時は1日約73隻)。

要因の連続性

  • 継続要因: ドル安・米財政懸念・資産防衛買い(金・銀の上昇要因)/ ホルムズ海峡の事実上の封鎖と地政学プレミアム(原油の下支え)/ エルニーニョによる砂糖の供給懸念/ ICEカカオ在庫の高水準(カカオの上値抑制)/ 米天然ガスの供給過剰
  • 新規要因: 米財務省による対イラン「前例のない」制裁準備の改めての表明・対中二次制裁の可能性(原油の地政学プレミアムに新たな緊張材料として追加)/ イラン・オマーン間の商船航行ルート合意が最終ドラフト段階との報道(先行き次第で原油の下押し材料になりうる新展開)/ CFTC建玉で金の投機筋ネットロングが急増(過熱感の高まりという新たな懸念材料)
  • 解消した要因: 特になし。前回の主要材料はいずれも継続中だが、原油の急伸トレンドそのものは一服し上昇モメンタムはやや後退した

1. 価格サマリー

取得時点: 2026年8月21日(米国市場)引け値、日本時間2026年8月22日朝時点で確認(TradingEconomics)。

商品 価格 前日比 前回(8/21レポート)比
金(COMEX、オンス建て) 4,618.93 USD/oz +2.28% +2.10%(+95.05ドル)
銀(COMEX、オンス建て) 69.42 USD/oz +1.98% +1.89%(+1.29ドル)
WTI原油(期近) 86.81 USD/バレル -0.02% +0.22%(+0.19ドル)
ブレント原油(期近) 94.05 USD/バレル +0.29% +0.57%(+0.53ドル)
天然ガス(Henry Hub、期近) 2.75 USD/MMBtu +0.56% -0.42%(-0.01ドル)
小麦(シカゴ期近) 683.00 セント/ブッシェル +0.04% +0.11%(+0.75セント)
トウモロコシ(シカゴ期近) 483.50 セント/ブッシェル +0.99% +1.26%(+6.00セント)
大豆(シカゴ期近) 1,225.75 セント/ブッシェル +0.41% +0.43%(+5.25セント)
カカオ(ICE期近) 5,981.00 USD/トン -1.37% -0.52%(-31.00ドル)
砂糖(ICE期近) 17.60 セント/ポンド +0.46% +0.28%(+0.05セント、8/19時点17.55ドル比)※注1

※注1: 前回(8/21)レポートでは砂糖は本文中で8/19時点(17.55セント/ポンド)の値のみ言及され、価格サマリー表には含まれていなかったため、比較の基準日が異なる。

出典: GoldSilverCrude Oil (WTI)BrentNatural GasWheatCornSoybeansCocoaSugar(いずれも2026-08-21付)

2. 商品別動向

金・銀

金は4,618.93ドル/オンス(前回比+2.10%)。米国の財政赤字問題や長期国債買い戻しプログラムへの懸念が続くなか、5月中旬以来の高値圏(4,600ドル台)に到達した(Yahoo FinanceCNBC)。ドル指数(DXY)は98.80前後と3カ月ぶり安値圏で推移しており、ドル安が追い風となっている(TradingEconomics: United States Currency)。一方、CFTCの建玉明細によれば投機筋の金ネットロングは8/4時点の約13万枚から8/14時点で217.9千枚まで急増しており、ポジションの過熱感が強まっている(VT Markets)。

銀は69.42ドル/オンス(前回比+1.89%)。FXStreetによれば、通貨・債券市場のボラティリティ上昇を受けた質への逃避需要により3週連続の週間上昇が視野に入っている(FXStreet)。金と対照的に、CFTCベースの投機筋ポジションは直近14カ月の下位20パーセンタイル程度と低水準にとどまっており、価格上昇の割にポジションの過熱感は乏しいとの分析がある(STONEX)。

原油

WTIは86.81ドル/バレル(前回比+0.22%)、ブレントは94.05ドル/バレル(前回比+0.57%)と、前回の急伸から一転してほぼ横ばい。ホルムズ海峡は封鎖174日目に入り、8/16時点の通過船舶数は1隻(平時は1日約73隻)と、通航量は平時の1パーセント程度に落ち込んだままで、戦争リスク保険料は平時の40倍に高騰している(straits.live)。米財務省ベセント長官は8/14、「史上これまでに見たことのない」対イラン経済的孤立策を準備していると表明。イラン産原油の購入者(中国等)への二次制裁が発動されれば中国からの報復措置も想定され、エネルギー価格の不確実性を高める要因になり得るとされる(Rigzone)。一方でイラン・オマーン間ではホルムズ海峡の商船航行ルートに関する共同声明が最終ドラフト段階にあると報じられており、実現すれば地政学プレミアムの一部剥落につながり得る(CNBC)。

天然ガス

Henry Hub期近は2.75ドル/MMBtu(前回比-0.42%)。7月下旬以降続くレンジ相場・記録的生産による供給過剰観測に大きな変化はない。

農産物

小麦683.00セント/ブッシェル(前回比+0.11%)、トウモロコシ483.50セント/ブッシェル(前回比+1.26%、5/13以来の高値圏)、大豆1,225.75セント/ブッシェル(前回比+0.43%、7/24以来の高値圏)。トウモロコシは作況調査(クロップツアー)の結果が予想を下回ったこと、大豆は米中西部の作柄懸念と中国の旺盛な需要を背景に、それぞれ年初来高値圏を維持している(TradingEconomics: CornSoybeans)。コーヒーは324.90セント/ポンド(前日比-1.34%、直近1カ月+2.61%)と、7月の急伸から一服している(TradingEconomics: Coffee)。

3. 急変動の特集

本日新たに1日で±3パーセント超、または数週間で数十パーセント規模の急変動を示した商品は確認されなかった(コーヒー・銅を含め主要な変動商品を確認したが、いずれも該当なし)。前回特集したカカオ・砂糖については以下の通りフォローアップする。

カカオ(前回特集のフォローアップ):高値圏で一進一退

カカオは5,981.00ドル/トン(前回比-31.00ドル、-1.37%)とやや反落。直近1カ月では+12.26%(TradingEconomics)。ICEカカオ在庫の高水準が上値を抑える構図は継続しており、7月初旬以来の高値圏を維持しつつも方向感を欠く展開が続いている。なお前年同月比では-21.12%であり、年初来の急伸局面からは依然大きく値を戻せていない(TradingEconomics: Cocoa)。

砂糖(前回特集のフォローアップ):エルニーニョ懸念で高値圏継続

砂糖は17.60セント/ポンド(直近1カ月+19.40%)と、2025年5月以来の高値圏で推移している。ブラジルの6月産糖量は前年比-15%となったことが8/6公表分で確認されており、発生確率80パーセント超とされる強いエルニーニョによる南米・アジア主産地の天候リスクが2026/27年産の需給を一段とタイト化させるとの見方が強まっている(VesperChiniMandi)。生活への波及としては、菓子・清涼飲料など加工食品の原材料コスト上昇圧力が引き続き意識される。

4. 強気派 vs 弱気派

  • 強気: LiteFinanceの分析(2026/8/21時点)では、4時間足の20/50/100/200期間EMAが強気配列にあることから上昇継続を予想し、強気シナリオでは4,881.57ドル超えを視野に入れる(LiteFinance)。
  • 強気: JPMorgan Global Researchは2026年10-12月期に約6,000ドル、2027年に6,300ドル視野との見方を維持(継続、年間約640トン規模の中央銀行需要が根拠)(Canadian Mining Report)。
  • 弱気: 同じLiteFinanceの分析によれば、金価格は長期的な「ガウシアン・チャネル」の中心線を3週連続で下回って引けており、7月中旬以降続く弱気シグナルが継続していると位置づける。弱気シナリオでは4,114.01ドルまでの下落を想定(LiteFinance)。
  • 弱気材料: CFTCの投機筋ネットロングが8/14時点で217.9千枚まで積み上がっており、ポジションの偏りが調整リスクとして意識される(VT Markets)。

  • 強気: JPMorganは2026年平均81ドル/オンス(10-12月期は85ドル前後)、Goldman Sachsは85〜100ドルとの予想を維持(継続。タイトな需給と旺盛な工業需要が根拠)(Canadian Mining Report)。
  • 弱気: マルコ・コラノビッチ氏(元JPモルガン主席ストラテジスト)は、投機的な買いポジションの積み上がりが実需に見合わないとして、年内に現在のおよそ半値(50ドル前後)まで急落し得ると引き続き警告している(継続)(Yahoo Finance)。もっとも、CFTCベースの分析では銀の投機筋ポジションは直近14カ月の下位20パーセンタイル程度にとどまり、金ほどの過熱感はないとの指摘もある(STONEX)。

原油

  • 強気: LiteFinance(2026/8/20付)は、UAE・イラン間の緊張激化とホルムズ海峡封鎖の長期化観測を根拠に、ブレントの上昇基調継続を予想。8月のディーゼルのクラックスプレッド(精製マージン)が1バレルあたり100ドル超と歴史的高水準にあることも供給逼迫を裏付ける材料としている(LiteFinanceInvesting.com)。
  • 弱気: Investing.comの分析では、ホルムズ海峡の封鎖下でも産油国が代替ルート経由の輸出を続けており、8月の輸出量は日量900万バレルとされる(7月の1200万バレルからは減少しているが、戦前の1800万バレルほどではないにせよ、事前の悲観的な予想ほどの落ち込みにはなっていない)。この供給の底堅さが、地政学プレミアムの一部剥落につながる弱気材料になり得ると指摘している(Investing.com)。

5. 地政学・物価関連ニュース

  • ホルムズ海峡: straits.liveの集計によれば、封鎖174日目(8/22時点)。8/16時点の通過船舶数は1隻(平時は1日約73隻)で、通航量は平時の1パーセント程度に落ち込んだまま。戦争リスク保険料は平時の40倍に高騰しており、AIS信号を停止したタンカーが84隻確認されるなど、商業輸送の停滞が続いている(straits.live)。
  • 米財務省: ベセント長官は8/14、「史上前例のない」対イラン経済的孤立策を準備していると表明。イラン産原油の購入者(中国等)への二次制裁が発動されれば中国からの報復措置も想定され、世界のエネルギー価格の不確実性を高めるとの指摘がある(Rigzone)。
  • イラン・オマーン: 両国はホルムズ海峡の商船航行ルートに関する共同声明の最終ドラフト段階にあると報じられている。ただし通航再開の確約ではなく、海峡の管理権やイランによる通行料徴収の可否が引き続き争点となっている(CNBC)。
  • 米ドル: DXYは98.7998と3カ月ぶり安値圏(前日比-0.10%)。米財政懸念を背景にドル安基調が続き、金・銀の押し上げ要因となっている(TradingEconomics: United States Currency)。物価面では、ドル安は輸入物価の上昇を通じて緩やかなインフレ圧力に繋がりうる。
  • 砂糖: エルニーニョ(発生確率80パーセント超)による南米・アジア主産地の減産リスクが供給不足見通しを強めており、菓子・飲料など加工食品の原材料コスト上昇に繋がる可能性がある(Vesper)。
  • 銅: 米国の対中関税措置(2027年からの段階適用)を巡る不透明感が残る一方、中国の精錬生産が8月も2カ月連続で減少する見込みで、供給逼迫観測が価格を下支えしている(Mining.com)。

6. テクニカル分析

  • 金: 金価格に連動する指標のRSI(14日)は64〜66程度で推移し、過熱(70超)には至らないまでも高水準にある(Investing.com: Bloomberg Gold Technical)。一方でLiteFinanceの分析では、長期の「ガウシアン・チャネル」中心線を3週連続で下回って引けており、短期の強い上昇にもかかわらず中期的な弱気シグナルが続いているとされる(LiteFinance)。CFTCの投機筋ネットロングは8/14時点で217.9千枚(8/4時点の約13万枚から急増)と、ポジションの偏りが意識される水準にある(VT Markets)。
  • 銀: CFTCベースの投機筋ポジションは直近14カ月の下位20パーセンタイル程度と低水準にとどまり、価格上昇の割にポジションの過熱感は乏しいとされる(STONEX)。
  • WTI原油: 14日RSIは59.24と、買われすぎではないものの底堅い水準。20日指数移動平均線(約81.65ドル)を上回って推移しており短期的には強気バイアスとされる。目先のレジスタンスは86〜87ドル台、次いで89.72ドル・92.50ドルが意識される水準。サポートは84ドル、次いで82ドル前後とされる(fxdailyreport)。
  • 天然ガス: 7月下旬以降続くレジスタンス2.814ドル・サポート2.641ドルのレンジ内での推移が続いており、現在値(2.75ドル)もこのレンジ内にある。方向感の乏しい展開に大きな変化はない(前回情報の延長。最新の更新は確認できず)(fxdailyreport、8/18時点)。
  • 小麦: 本日時点の最新テクニカル情報は十分に確認できなかった。
  • ドル指数(DXY): 98.7998と3カ月ぶり安値圏で推移。ドル安は金・銀の追い風であると同時に、ドル建て商品全般の割安感を強める方向に作用している(TradingEconomics)。

7. 参考リンク