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コモディティ

コモディティ 2026-08-18

3行まとめ

  • 金は9月FRB利上げ観測の後退とドル安を受けて4,400ドル前後まで続伸し週2週連続高、短期テクニカルは強気だが1月末の最高値(5,597ドル)からの下落幅を踏まえた長期弱気論も根強い。
  • 原油はホルムズ海峡がイランの海軍封鎖でほぼ閉鎖されたままIEAが「5年で最大の供給不足」を警告する一方、OPEC+の増産・米シェール高水準を根拠にした弱気派も強く、強気・弱気が真っ向対立している。
  • 銅がロンドン金属取引所(LME)でバックワーデーション(期近高・期先安)が急拡大しながら史上最高値圏に接近しており、AIデータセンター・電力網向け需要と中国精錬減産が背景の急変動特集として取り上げる。

1. 価格サマリー

商品 価格 騰落率 取得時点(日本時間)
金(ゴールド、COMEX) 4,398.58〜4,406.30ドル/トロイオンス 前日比 +0.4〜0.5%程度 8月18日早朝(現地8月17日夕方時点)
銀(シルバー) 65.64〜65.91ドル/トロイオンス 前日比 +1.5〜1.9%程度 8月18日早朝(現地8月17日時点)
WTI原油(9月限) 82.32〜82.77ドル/バレル 横ばい〜小幅高 8月18日早朝(現地8月17日時点)
ブレント原油 88.31ドル/バレル 前日比 -0.24%程度 8月18日早朝(現地8月17日時点)
天然ガス(Henry Hub) 2.67ドル/MMBtu 前日比 -2.46% 8月18日早朝(現地8月17日時点)
小麦(シカゴ9月限) 674.35セント(6.74ドル)/ブッシェル 前日比 -0.06% 8月18日早朝(現地8月17日時点)
参考: 銅(LME) 14,455ドル前後/トン(史上最高値圏) 記録的なバックワーデーション拡大中 8月18日早朝(現地8月17日時点)

出典: Kitco(金)Yahoo Finance(銀)TradingEconomics(原油・ブレント・天然ガス・小麦)Bloomberg(銅)

2. 商品別動向

金(ゴールド)・銀(シルバー)

金は8月17日、スポット価格が前日比0.5%高の4,398.58ドルまで上昇し、先物(12月限)も4,455.50ドル近辺まで上げた。米国の雇用・物価・消費関連の経済指標が軟化したことで9月のFRB利上げ観測が30.8%まで後退し、ドル安と相まって金を支援した。Kitcoが引用したアナリストは「物価・雇用・消費の各指標が軟化していることは追加利上げのリスクを低下させ、FRBの次の一手が最終的に利下げになるとの見方を強めている」とコメントしている。これで金は2週連続の週間高となった。銀も同日65.64〜65.91ドルまで上昇(前日比1.5〜1.9%高)し、この1カ月ではおよそ17%上昇した。工業需要への期待と金に連れ高する形の値動きが続いている。出典: KitcoKitco AMレポートYahoo Finance

原油

WTI原油は8月17日時点で82.32〜82.77ドル、ブレント原油は88.31ドル(前日比-0.24%)で推移した。最大の材料は、2月末以降イランの海軍封鎖によって事実上閉鎖状態が続くホルムズ海峡情勢。IEA(国際エネルギー機関)は世界の在庫取り崩しペースが速まっているとして、2026年の供給不足がこの5年で最大になるとの見通しを示した。CNNの現地報道によれば、海峡を通過する船舶数は1日あたり数隻からせいぜい10隻程度にとどまり、多くのタンカーが追跡装置を切って航行するなど実態把握も難しくなっている。イランとオマーンの間で海峡再開に向けた交渉が続くが、イラン外務省報道官は「米国が海軍封鎖を解除しない限り、ホルムズ海峡再開の条件は整わない」と述べ、進展は見られていない。8月16日にはクシュナー氏(米政権関係者)が中東の地域首脳と会談するなど、外交的な動きも続いている。出典: CNBCCNN(8/13)CNN(8/16)TradingEconomics

天然ガス

Henry Hub価格は8月17日に2.67ドル/MMBtuまで下落し、前日比2.46%安となった。この1カ月では6.79%下落している。記録的な国内生産と在庫積み増しが続く「供給過剰」状態が続いており、8月7日終了週のEIA在庫統計は市場予想を上回る36Bcfの積み増しとなり、5年平均を6.7%(198Bcf)上回る在庫余剰に拡大した。一方、8月28日ごろまで猛暑が続く見込みで冷房向け電力需要が下値を支えている。米国からの主要LNG輸出基地向けガス供給量は8月に日量17.1Bcfとなり、7月の17.2Bcf、6月の記録的な17.4Bcfからやや減速している。欧州側では、ホルムズ海峡危機の影響で中東からのLNGが欧州向けに滞り、欧州の貯蔵率は季節平均を大きく下回る水準(過去15年で2番目に低い時期尻)にとどまっており、今冬に向けた米国産LNGへの依存度が一段と高まっている。出典: TradingEconomicsIndexBox(欧州貯蔵)EnergyConnects

農産物

シカゴ商品取引所の小麦(9月限)は8月17日時点で674.35セント(6.74ドル)/ブッシェルとほぼ横ばいで推移し、7月24日以来の高値圏を維持している。黒海情勢の緊迫化が世界的な穀物供給への懸念を支えている一方、CFTCの建玉明細(8月4日時点)では投機筋(マネージドマネー)のネットショートが23,786枚に拡大しており、方向感は定まっていない。トウモロコシは9月限が438.25セント/ブッシェル、大豆は8月限が1157.75セント/ブッシェル前後で推移。USDAは私企業による対中国向け大豆輸出契約(2026-27年度、12万5000トン)を報告しており、8月3日以降の中国の買い付け累計は148万トンを超えた。米中西部では8月の天候(降水・気温)が収量を最終的に左右する局面が続いている。出典: IndexBoxTradingEconomics(小麦)Barchart

3. 急変動の特集

: ロンドン金属取引所(LME)で銅がバックワーデーション(期近価格が期先価格を上回る状態)を急拡大させながら史上最高値圏に接近している。現物(スポット)価格は3カ月先物に対し一時1トンあたり最大545ドルの上乗せとなり、2021年に発生した歴史的な「銅ショート・スクイーズ」以来の広がりを記録した。このスプレッドは7月末時点で34ドルだったものが、週半ばに138ドル、その数日後には207.50ドルへと急拡大しており、現物需給の逼迫が加速度的に強まっていることを示している。COMEX銅は8月7日に1ポンドあたり6.77ドルと過去最高値を更新し、LMEも1トンあたり14,455〜14,800ドル前後と1月の急騰時につけた高値圏に迫っている。背景として、AI向けデータセンターや電力網投資の拡大による構造的な需要増に加え、中国では銅精鉱などスメルター原料の不足を背景に精錬銅生産が2カ月連続で減少する見通しであることが供給面から相場を押し上げている。生活・産業への波及としては、電線・変圧器・EV部品など銅を多用する製品のコスト増を通じて、電力インフラ投資や自動車・家電の製造コストに段階的に波及する可能性がある。出典: BloombergBloomberg(需給逼迫)IndexBox

参考として、ソフトコモディティでも動きが目立つ。ロンドンココア(ICE)はガーナの2026/27年度生産が天候要因などで少なくとも16%減少する見通しを受けて上昇。粗糖(ロンドン)はEUの高温乾燥による減産懸念とブラジル輸出の前年割れを背景に約16.41セント/ポンドと10カ月ぶりの高値を付けた。アラビカコーヒーはコロンビアの地震による輸出混乱と在庫低下(2024年1月末以来の低水準)が材料視されている。出典: Business Recorder(砂糖)Business Recorder(ココア)

4. 強気派 vs 弱気派

強気派(金)

  • Kitcoが引用したアナリストは、雇用・物価・消費統計の軟化がFRBの追加利上げリスクを後退させ、次の一手が利下げになるとの見方を強めていると指摘し、金がレジスタンス4,500ドルを試す展開を想定している。出典: KitcoTradingKey

弱気派(金)

  • バンク・オブ・アメリカ(BofA)は、金相場について「2026年後半の大半はもみ合い・反発・再下落を繰り返し、本格回復は2027〜2028年にずれ込む可能性がある」との見方を示している。週足RSIは2023年末以来の低水準である37まで低下しており、1月29日の史上最高値5,597ドルからの下落率は28%に達し、テクニカル的には「弱気相場」の定義に該当するとの分析も出ている。出典: TheStreet(BofA)CanadianMiningReport

強気派(原油)

  • ゴールドマン・サックスは2026年のブレント原油の基本シナリオを1バレル85ドルに引き上げたうえで、ホルムズ海峡の供給制約が2026年第3四半期を通じて続く場合は120ドルを超える上振れもあり得るとしている。同社はさらに、バブエルマンデブ海峡やスエズ運河にまで混乱が同時に広がった場合、追加で25ドル程度の上乗せ余地があると試算する。出典: Goldman Sachs Commodities OutlookTheStreet

弱気派(原油)

  • JPモルガンは構造的に弱気な見方を維持しており、2026年通年のブレント平均を1バレル60ドル程度と想定する。シティも2026年第3四半期75ドル、第4四半期70ドル、2027年平均65ドルと目線を下げており、根拠としてOPEC+による自主減産の巻き戻し、米シェール生産の過去最高水準(日量約1,360万バレル、EIA)、世界的な需要の伸び鈍化を挙げている。両社とも、現在の地政学プレミアムは紛争の沈静化とともに剥落するとの立場。出典: TheStreet

5. 地政学・物価関連ニュース

  • ホルムズ海峡・イラン情勢: 2月末の戦闘開始以降、イランはホルムズ海峡を事実上封鎖しており、米国は海軍による封鎖の維持と経済制裁の強化方針を示す。イランとオマーンの再開交渉は継続中だが、イラン側は「米国の海軍封鎖解除が先」との立場を崩していない。IEAは世界の在庫取り崩しが加速しているとして2026年の供給不足がこの5年で最大になると警告しており、原油からガソリン・軽油(ディーゼル)を通じて輸送・物流コストに波及するリスクが高い。出典: CNNCNBC
  • OPEC+の増産方針: OPEC+は8月について日量54.8万バレルの増産を決定しており、5〜7月の月間41.1万バレル、4月の13.8万バレルから増産ペースを加速させている。低在庫と底堅い需要を理由に挙げているが、供給増そのものは価格の上値を抑える要因になり得る。出典: Yahoo Finance
  • 欧州天然ガス貯蔵の逼迫: 欧州のガス貯蔵率は季節平均を大きく下回り、この15年で2番目に低い水準にとどまる。中東LNGの欧州向け供給がホルムズ海峡危機で細っていることも重なり、今冬は米国産LNGへの依存度が一段と高まる見通しで、欧州の電気代・ガス代の上振れリスクにつながり得る。出典: IndexBox
  • 銅需給と産業インフレ: AIデータセンター・電力網投資向け需要の急増と中国の精錬減産が重なり、銅がバックワーデーションを急拡大させながら史上最高値圏で推移している。銅は電線・モーター・EV部品など裾野の広い工業用金属であり、価格高止まりが長期化すれば電力インフラ投資や自動車・家電の製造コストに波及する可能性がある。出典: Bloomberg
  • 穀物・黒海情勢: 黒海地域の緊張が続くなか、小麦は7月24日以来の高値圏を維持している。輸出インフラの不安定化が長引けば、パン・麺類など小麦を原料とする食品のコストに段階的に波及する可能性がある。出典: TradingEconomics

6. テクニカル分析

50日移動平均線を上抜けて回復基調にあり、これは数カ月続いた下落局面からの転換を示唆する動きとされる。ただし、より長期の200日移動平均線は上値の壁として残っており、6月以降これを上回って取引されたことはない。RSI(14日)は65.89前後と、この春以来で最も強い水準に達しているが、いわゆる「買われすぎ」とされる70には届いていない。5営業日でRSIが40台半ばから60台半ばまで急上昇した経緯もあり、短期的な過熱感の一服(調整)が入りやすい局面との見方もある。出典: Vantage Marketsoneuptrader

短期(5日・50日)の移動平均線はやや上値の重さを示す一方、長期の200日移動平均線は上向きで、短期・長期でシグナルが分かれる展開となっている。RSI(14日)は40台前半で、過熱感はなくむしろ売られ気味の水準にある。この1カ月で17%上昇した反動が出やすい局面とも言え、方向感を見極めるには追加のデータが必要な状況。出典: Investing.com

原油(WTI)

チャート上ではシンメトリカルトライアングル(収れん型の三角保ち合い)を形成しており、直近は上昇支持線に反発する形で1バレル83.50ドル近辺の上値抵抗帯に接近している。この水準を終値で上抜ければ、105〜110ドル圏を視野に入れた上昇局面への移行を示唆するとされる一方、抵抗を突破できなければ80.50ドル、さらに77.55ドル付近までの調整が想定されている。100日移動平均線が200日移動平均線を上回って推移しており、7月安値以降の地合い改善を裏付ける形。出典: fxdailyreport.com

天然ガス

直近の急落で価格は100日・200日移動平均線を下回り、今月見られた強気の移動平均線ゴールデンクロスが崩れかけている。レンジ下限とされる2.622ドル近辺を明確に下抜けた場合、2.430ドル付近までの下落が視野に入るとされる。RSIは売られすぎ水準に近づいており、目先は下げ渋りやすい位置にあるとの指摘もある。出典: fxdailyreport.com

農産物(小麦)

小麦(シカゴ9月限)はこのところ高値圏でのもみ合いが続いている。CFTCの建玉明細(8月4日時点)では投機筋のネットショートが23,786枚に拡大しており、ポジション面では弱気な傾きが強まっている一方、実際の価格は7月24日以来の高値圏を維持しており、需給・地政学要因とポジション動向がやや逆方向を向いている状況。出典: FX.coTradingEconomics

投機筋のポジション・ドル指数

CFTCの建玉明細(8月4日時点、直近公表分)によれば、金は投機筋(マネージドマネー)がネットロング130,766枚、銀もネットロング11,974枚と、いずれも買い越しが継続している。ドル指数(DXY)は7月末の101.70前後から8月上旬にかけて99.50近辺まで低下しており、この間の下落率は約2%。ドル安はドル建て資産である金・銀にとって相対的な支援材料となっている。出典: MacroMicrooneuptrader

参考リンク