前日からの変化
注記: 前回レポートは2026-08-19付(8/20分は生成失敗により欠落)。以下は「前日」ではなく前回(2026-08-19)との比較。
変わったこと(変化・新規)
- 金・銀が急落から急反発に転換: 金 4,355.31ドル→4,523.88ドル(+168.57ドル、+3.87%)、銀 63.83ドル→68.13ドル(+4.30ドル、+6.74%)。前回は米長期金利急上昇による下落だったが、今回は米財務省の長期債買い戻しプログラム拡大によるドル安・金利低下が押し上げ材料に転換(TradingEconomics: Gold、TradingEconomics: Silver)。
- WTI原油がテクニカルな三角保ち合いの上限突破圏に到達: 84.91ドル→86.62ドル(+1.71ドル、+2.01%)。前回時点で意識されていた上限83.45ドルを上抜けており、105〜110ドルが視野に入る展開に進展(FXEmpire)。
- カカオは前回の急伸から反落: 6,072.27ドル→6,012.00ドル(-60.27ドル、-0.99%)。ICEカカオ在庫が8/5に2年ぶり高水準(3,384,965バッグ)に積み上がったことが上値を抑制(Barchart)。
- 砂糖が新たな急変動対象として浮上(直近1カ月で+18.42%)。エルニーニョによる供給懸念が背景(Barchart)。
昨日と同じこと(継続)
- ホルムズ海峡は事実上の封鎖状態が続く。通行量は戦前の1日約130隻から8/4〜6時点で1日8〜15隻まで激減したまま(Al Jazeera)。
- 天然ガスは方向感の乏しいレンジ推移が継続(2.78ドル→2.76ドル、-0.72%)。記録的な生産と在庫高が上値を抑える構図は変わらず。
- 小麦・トウモロコシ・大豆は小幅な変動にとどまり、米作付け減少という中期材料は継続。
要因の連続性
- 継続要因: ホルムズ海峡の事実上の封鎖と米・イラン交渉停滞(原油の地政学プレミアム)/ ガーナのカカオ減産懸念(COCOBODによる2026/27年産下方修正)/ 米天然ガスの供給過剰(記録的生産・在庫高)
- 新規要因: 米財務省の長期債買い戻しプログラム拡大によるドル安・金利低下(金・銀続伸の直接材料)/ ICEカカオ在庫の2年ぶり高水準への積み上がり(カカオの上値抑制材料として新たに浮上)/ エルニーニョによる砂糖の供給懸念(新規の急変動特集)/ WTIのテクニカルな上限突破(105〜110ドルが視野に)
- 解消した要因: 前回強調していた「米長期金利の急上昇による金・銀の重し」は後退。財務省の市場介入により金利低下方向に転じ、金・銀の下落圧力は一旦解消した
1. 価格サマリー
取得時点: 2026年8月20日(米国市場)引け値、日本時間2026年8月21日朝時点で確認(TradingEconomics)。
| 商品 |
価格 |
前日比(8/20) |
前回(8/19)比 |
| 金(COMEX、オンス建て) |
4,523.88 USD/oz |
+0.14% |
+3.87%(+168.57ドル) |
| 銀(COMEX、オンス建て) |
68.13 USD/oz |
+1.80% |
+6.74%(+4.30ドル) |
| WTI原油(期近) |
86.62 USD/バレル |
+2.65% |
+2.01%(+1.71ドル) |
| ブレント原油(期近) |
93.52 USD/バレル |
+2.07% |
+2.88%(+2.62ドル) |
| 天然ガス(Henry Hub、期近) |
2.76 USD/MMBtu |
-2.03% |
-0.72%(-0.02ドル) |
| 小麦(シカゴ期近) |
682.25 セント/ブッシェル |
+0.29% |
+0.60%(+4.08セント) |
| トウモロコシ(シカゴ期近) |
477.50 セント/ブッシェル |
+0.95% |
+2.99%(+13.85セント) |
| 大豆(シカゴ期近) |
1,220.50 セント/ブッシェル |
-0.14% |
+1.51%(+18.20セント) |
| カカオ(ICE期近) |
6,012.00 USD/トン |
-0.32% |
-0.99%(-60.27ドル) |
出典: Gold、Silver、Crude Oil (WTI)、Brent、Natural Gas、Wheat、Corn、Soybeans、Cocoa(いずれも2026-08-20付)
2. 商品別動向
金・銀
金は4,523.88ドル/オンス(前日比+0.14%、前回比+3.87%)。TradingEconomicsによれば、米財務省が長期債の買い戻しプログラムを拡大したことでドルが下落し、財政赤字拡大・金利抑制策への懸念から「デベースメント・トレード(通貨価値の希薄化に備えた資産防衛の買い)」が再燃したことが背景(TradingEconomics: Gold)。前回レポートで下落材料となっていた米長期金利の急上昇は今回は後退している。
銀は68.13ドル/オンス(前日比+1.80%、前回比+6.74%)と金以上の上昇率。金銀比価(金/銀)は前回68.2倍から今回66.4倍へ低下しており、銀が金対比でやや優位に推移している。工業需要とタイトな需給が背景とされる(Canadian Mining Report)。
原油
WTIは86.62ドル/バレル(前日比+2.65%、前回比+2.01%)、ブレントは93.52ドル/バレル(前日比+2.07%、前回比+2.88%)。ホルムズ海峡の事実上の封鎖が続くなか、イラン側は米国に対し「対イラン制裁の緩和」と「戦争賠償の支払い」を再開条件として要求しており、外交的な進展が見られないまま緊張が長期化している。同海峡の通行量は開戦前の1日約130隻から、8月4〜6日時点で1日8〜15隻まで激減した状態が続く(Al Jazeera, 2026-08-10)。
天然ガス
Henry Hub期近は2.76ドル/MMBtu(前日比-2.03%、前回比-0.72%)。EIAは記録的な生産量とLNG輸出向け需要の鈍化を理由に2026年後半のHenry Hub価格見通しを引き下げ、冬入り前の在庫水準は2016年以来の高水準になる見込みとしている(Rigzone)。
農産物
小麦682.25セント/ブッシェル(前日比+0.29%、前回比+0.60%)、トウモロコシ477.50セント/ブッシェル(前日比+0.95%、前回比+2.99%)、大豆1,220.50セント/ブッシェル(前日比-0.14%、前回比+1.51%)。いずれも前回からの延長線上の小幅な値動きにとどまる。コーヒーはブラジルの収穫進捗の遅れ(8/12時点で90%完了、前年同時期は97%)を背景に3.2ドル/ポンド台まで上昇([WebSearch調べ、一次ソース複数])。
3. 急変動の特集
カカオ(前回特集のフォローアップ):伸び悩みへ転換
前回(8/19)、ガーナのCOCOBODが2026/27年産の生産見通しを75万トンから45〜55万トンへ下方修正したことを受け、カカオは1日で+5.18%急伸した。その後の値動きを追うと、8/20は6,012.00ドル/トン(前回比-0.99%)と反落しており、急伸は一服している。背景として、ICEのカカオ在庫が8/5時点で3,384,965バッグと2年ぶりの高水準に積み上がったことが指摘されている。またコートジボワールの累計出荷量(2025年10月〜2026年8月2日)は211万トンと前年同期比+20%で、供給不安を一部相殺する材料となっている(Barchart)。生活・産業への波及としては、チョコレート等の原料コスト高止まりが続く一方、在庫積み増しにより短期的な価格急騰の勢いは鈍化した形。
砂糖:1カ月で+18%超の急伸
砂糖は直近1カ月で+18.42%上昇(8/19時点、17.55ドル/ポンド)。強いエルニーニョによる主要生産地の減産リスクが意識され、アナリストは2026/27年の世界的な供給不足見通しを上方修正している(Barchart、Business Recorder)。生活への波及としては、菓子・清涼飲料など加工食品の原材料コスト上昇に繋がる可能性がある。なお本レポート執筆時点で8/20時点の最新値は確認できておらず、直近の趨勢(1カ月+18%超)を基に急変動として特集した。
4. 強気派 vs 弱気派
金
- 強気: JPMorgan Global Researchは2026年10-12月期の金価格を約6,000ドル/オンス、2027年には6,300ドル視野と予想。年間約640トン規模の中央銀行需要、財政赤字・地政学的分断を背景とした資産分散ニーズを根拠に挙げる(Canadian Mining Report)。
- 強気: UBS(Dominic Schnider氏、Wayne Gordon氏)は2026年末目標を5,900ドルから5,500ドルへ下方修正したが、現在値(4,523.88ドル)から見れば依然として強気水準(Kitco)。
- 弱気: JPMorgan自身が需要鈍化・実質金利上昇が続いた場合の「ベアケースの下値めど」として200日移動平均線近辺の4,340ドルを提示している(強気シナリオの中のリスクシナリオとして)(Canadian Mining Report)。
- 弱気材料: 今週発表予定の物価指標が強含めば利上げ観測が再燃しうるとの指摘があり、金のRSIも65前後(8/11時点)と過熱感に近づいている(oneuptrader)。
銀
- 強気: JPMorganは2026年平均81ドル/オンス(10-12月期は85ドル前後)を予想。タイトな需給と旺盛な工業需要を根拠とする(Canadian Mining Report)。Goldman Sachsも85〜100ドルを予想。
- 弱気: マルコ・コラノビッチ氏(元JPモルガン主席ストラテジスト)は、投機的な買いポジションが実需に見合わないまま積み上がっており、その巻き戻しが起きれば銀は50ドル程度まで急落しうると警告(Yahoo Finance)。Bank of Americaのベースケースも56〜65ドルと相対的に慎重。
原油
- 強気: ホルムズ海峡の封鎖長期化観測を受け、UAE・イラン間の緊張激化や海峡通行量の減少が続けば、ブレントは緩やかな上昇基調を維持しうるとの見方(LiteFinance, 2026-08-20時点)。
- 弱気: 現在の価格には地政学リスクによる「戦争プレミアム」が上乗せされているが、EIAは2026年10-12月期に日量270万バレル、2027年には日量500万バレル規模の世界在庫積み増しを予測しており、サウジ・UAEのホルムズ海峡迂回パイプライン(日量約260万バレル)や需要鈍化も相まって、地政学リスクが後退すればWTIは60ドルを下回る水準まで戻りうるとの分析がある(polyestertime.com)。
5. 地政学・物価関連ニュース
- ホルムズ海峡: 2026年2月に始まった米・イスラエルによるイラン攻撃以降、事実上の封鎖状態が継続。イラン外相アラグチ氏は、対イラン制裁の緩和と戦争賠償の支払いを再開条件として要求しており、オマーンを仲介とした交渉は難航中。IMOはこれまでに商船に対する暴力事件を少なくとも64件、死者17人と記録(Al Jazeera)。
- 米財務省の長期債買い戻しプログラム拡大: 借入コスト低下とドル安を招き、金・銀への資金流入を後押し(物価面では、ドル安は輸入物価の上昇を通じて緩やかなインフレ圧力に繋がりうる)(TradingEconomics: Gold)。
- 天然ガス: EIAが記録的生産とLNG需要鈍化を理由に価格見通しを下方修正。国内では電力・給湯コストの上昇圧力が和らぐ方向(Rigzone)。
- 砂糖: エルニーニョによる主産地の減産懸念が供給不足見通しを強め、菓子・飲料など加工食品の原材料コスト上昇に繋がる可能性(Barchart)。
- ガーナのカカオ生産: COCOBODによる2026/27年産下方修正(スウォレンシュート病・農園高齢化・エルニーニョ)は継続材料だが、ICE在庫の積み増しが価格の重しとなっている(Barchart)。
6. テクニカル分析
- 金: RSIは8/11時点で65.89と、過熱(70超)には至らないものの春以降で最も強い水準。50日移動平均線を回復し上向きに転じつつある一方、200日移動平均線は上値抵抗として意識されており(6月以降上抜けできていない)、これを明確に上回れば「反発」から「トレンド転換」への格上げ材料になるとされる(oneuptrader)。なお本指標は8/11時点のデータであり、その後の続伸(8/20時点で4,523.88ドル)を反映した最新のRSI・移動平均線水準は本レポート執筆時点で確認できていない。
- 銀: RSIは65.4程度で「強気」寄りとされ、MACDヒストグラムも強気を示す水準にあるとの分析がある(Canadian Mining Report)。ただし引用元の価格帯が現在値と一致しない部分があり、直近の水準そのものというより方向感(強気バイアス)の参考情報として扱う。
- WTI原油: 対称三角保ち合いが継続しており、下落トレンドライン(春の高値からの下落を結ぶ線)と上昇トレンドライン(7月安値からの上昇を結ぶ線)に挟まれた形。上限(61.8%フィボナッチ水準、約83.45ドル)は8/20終値86.62ドルで上抜けており、これが確定的なブレイクとなれば三角保ち合いの値幅に相当する上昇(105〜110ドル圏)が視野に入るとされる。逆に上限を維持できず反落した場合は50%戻り(約80.50ドル)や38.2%戻り(約77.55ドル)が次のサポートとして意識される(FXEmpire)。
- 天然ガス: 7月下旬以降、レジスタンス2.814ドルとサポート2.641ドルのレンジで方向感の乏しい推移が続く。RSIはレンジ下半分から上向きに転じつつあり、過熱水準まではなお余地があるとされる(8/18時点の分析)(fxdailyreport)。
- 小麦: 本日時点の最新テクニカル情報は十分に確認できなかった。参考情報として、前回(8/19)時点では50日移動平均線が200日移動平均線を上回る形で中期的な買い方優位、RSIは49前後の中立水準だった。
- ドル指数(DXY)・金利: DXYは99.4前後まで低下し6月以来の安値圏。CME FedWatchでは9月FOMCでの利下げ確率が約89%まで上昇しており、ドル安・金利低下観測が金・銀の上昇を下支えしている(fxstreet)。
7. 参考リンク