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コモディティ

コモディティ 2026-08-19

3行まとめ

  • 金・銀は米長期金利の急上昇を受けて反落(金-1.38%、銀-2.94%)。米・イラン間の60日間の暫定合意が8/17に期限切れとなり後継合意なしのまま失効、地政学リスク再燃で原油・金利が上昇したことが背景。
  • WTI原油は84.91ドル/バレル(+0.48%)、ブレントは90.90ドル/バレル(+0.03%)で高止まり。ホルムズ海峡は7月30日以降事実上封鎖状態が続き、IEAは「石油市場史上最大の供給途絶」と評価する一方、OPEC/IEAは2026年の世界需要見通しを下方修正しており強弱材料が交錯。
  • カカオが1日で+5.18%と急伸(ガーナの減産観測が背景)。小麦は干ばつで米作付けが50年超ぶりの低水準となる見通しが続伸材料。

1. 価格サマリー

商品 価格 前日比 限月/指標 取得時点
金(ゴールド) 4,355.31 USD/オンス -1.38% COMEX スポット 2026-08-18(Trading Economics)
銀(シルバー) 63.83 USD/オンス -2.94% COMEX スポット 2026-08-18(Trading Economics)
WTI原油 84.91 USD/バレル +0.48% NYMEX 期近 2026-08-18(Trading Economics)
ブレント原油 90.90 USD/バレル +0.03% ICE 期近 2026-08-18(Trading Economics)
天然ガス(Henry Hub) 2.78 USD/MMBtu +3.36% NYMEX 期近 2026-08-18(Trading Economics)
小麦(CBOT) 678.17 セント/ブッシェル(≒6.78 USD/bu) +0.51% CBOT 期近 2026-08-18(Trading Economics)
トウモロコシ(CBOT) 463.65 セント/ブッシェル(≒4.64 USD/bu) -0.29% CBOT 期近 2026-08-18(Trading Economics)
大豆(CBOT) 1,202.30 セント/ブッシェル(≒12.02 USD/bu) +0.11% CBOT 期近 2026-08-18(Trading Economics)
カカオ(ICE) 6,072.27 USD/トン +5.18% ICE 期近 2026-08-17(Trading Economics)

※価格はいずれも Trading Economics のスポット/期近値を統一ソースとして採用。他媒体(Yahoo Finance、Reuters 系サイト等)は取得時刻が異なるため若干異なる値(例: 金 4,429.49 USD、銀 65.90 USD 前後)を報じているが、これは同日内の値動き・スナップショット時点の差によるもの。

2. 商品別動向

金・銀

金は米長期国債利回りが「政府支出拡大と根強いインフレ懸念」を背景に多年ぶりの高水準へ急伸したことを受けて反落した(Trading Economics)。一方で米金融政策への見方はハト派寄りに傾いており、市場は9月FOMCでの据え置きを織り込みつつ年内利上げの確率も後退させている。中国人民銀行は7月に約20トンを購入し21カ月連続で金準備を積み増しており、中央銀行需要が下支え要因として継続している(Yahoo Finance)。 銀も金と同様に金利上昇・広範な貴金属の巻き戻しで下落したが、太陽光パネル・EV・AIデータセンター向けなど工業需要が下値を支えているとの指摘がある(Trading Economics)。8/17時点では米・イラン交渉の行き詰まりを受けて65ドル台で推移していたとの報道もある(Yahoo Finance)。

原油

WTI・ブレントともに小幅高。米・イラン間の60日間の暫定合意が8/17(月)に期限切れとなり後継合意が成立していないことが、原油と米国債利回りを押し上げたと報じられている(Yahoo Finance)。ホルムズ海峡は7月30日以降、事実上通常の商業航行が停止した状態が続いており、8月9日時点の通過船舶数は平常時の1日約73隻に対し1隻にとどまるとの報道がある(CNN)。米政権はなお日量900万バレルが域外に流通していると主張する一方、イラン側は海峡の閉鎖を宣言しており双方の主張は対立している(Fortune)。 供給面ではOPEC+(サウジ・ロシア・イラク・クウェート・カザフスタン・アルジェリア・オマーンの7カ国)が8月分として日量18.8万バレルの増産を決定しており、自主減産の段階的な解消を継続している(OPEC)。

天然ガス

Henry Hub価格は前日比+3.36%と上昇。テキサス州などでの猛暑(8/20〜23にヒューストンで最高気温セ氏約38度〈華氏100度前後〉が予想され、テキサス州電力網の需要ピーク記録更新の可能性)が需要を押し上げた。一方で8月の生産量は日量111.6億立方フィート(bcfd)と7月の月間過去最高(110.7bcfd)を上回る水準まで拡大しており、LNG輸出も日量17.2bcfdと高水準で推移していることが価格上昇を抑制している(Trading Economics)。

農産物

小麦は干ばつの影響で米国の2026年産小麦生産量が50年超ぶりの低水準になる見通し(全小麦生産量15億3,600万ブッシェルと予測、冬小麦の約7割が何らかの干ばつストレスを受けたと推定)。特にハードレッド冬小麦(主産地: カンザス州西部、コロラド州東部、パンハンドル地域)は前年比36%減の5億1,480万ブッシェルと大きく落ち込む見通し(Northern Ag Network)。7月だけでシカゴ小麦は約16%上昇し1ブッシェル7ドル近辺(2024年5月以来の高値)まで買われ、直近では黒海情勢の緊迫化も価格の押し上げ材料となっている(TradingKey)。 トウモロコシ・大豆は前年豊作による在庫の積み上がりを背景に相対的に落ち着いた値動きが続き、生産コストの損益分岐点付近での推移が指摘されている(CAES Field Report)。

3. 急変動の特集

カカオが1日で+5.18%上昇(2026年8月17日、6,072.27 USD/トン)(Trading Economics)。

  • 何が起きたか: ICEカカオ先物が1営業日で5%超上昇。直近1カ月では+10.00%。
  • なぜ動いたか: ドル安と在庫減少に加え、2026/27年産の作柄悪化懸念。ガーナのカカオ規制当局COCOBODは2026/27年産の生産見通しを45万〜55万トンへ下方修正(2025/26年産見通しの75万トンから大幅減)。要因はスウォレンシュート病(cacao swollen shoot disease)、カカオ農園の高齢化、エルニーニョによる悪天候の可能性が重なったこと(Trading Economics)。
  • 生活・産業への波及: カカオはチョコレート・製菓原料の主原料であり、価格上昇が続けば菓子メーカーの原価上昇を通じて店頭のチョコレート製品価格への転嫁圧力が強まる可能性がある(この波及見通しは推測を含む)。

4. 強気派 vs 弱気派

  • 強気派: Wells Fargo(調査部門、目標レンジ6,100〜6,300ドル)、Bank of America(目標6,000ドル)。両行は2026年内の金価格が依然として現状より大幅に高い水準へ上昇するとの見方を維持(goldsilver.com のまとめ記事)。Kitco Newsのアナリスト Jonathan Da Silva 氏は「週足終値で4,250ドル超えが次の強気シグナル」とし、急激なV字反発ではなく持続的な底固めを経て上昇が続くとの見方を示している(Kitco)。
  • 弱気派: JPMorgan は目標を4,300〜4,500ドルへ下方修正し6,000ドル到達シナリオを撤回。UBS も3,850〜4,000ドルへ引き下げた。背景として米30年国債利回りが5.275%まで上昇したことが「短期的に価格上昇を抑える最大の構造的逆風」と指摘されている(goldsilver.com)。

原油

  • 強気派: テクニカル分析(fxdailyreport.com)は、WTIが対称三角保ち合いの上限(61.8%フィボナッチ水準、約83.45ドル)を上抜ければ、三角形の高さに相当する上昇として105〜110ドル圏が視野に入るとの見方を示す(fxdailyreport.com)。IEA(国際エネルギー機関)はホルムズ海峡の封鎖について「1973年の石油禁輸を上回る、石油市場史上最大の供給途絶」と位置付けている(CNN 報道内の言及)。
  • 弱気派: JPMorgan Global Research はブレント原油について2026年第3四半期平均86ドル、第4四半期80ドル、年末78ドルまで下落するとの見通しを示す(JPMorgan)。OPECとIEAはともに2026年の世界石油需要見通しを下方修正しており、IEAは2026年の世界需要が前月予測比日量51万バレル減となる日量160万バレルの減少になると分析している(ホルムズ海峡封鎖に伴う燃料価格上昇が消費を下押ししているとの説明)(OilPrice.com)。

※コモディティ全般で強気・弱気の双方の見方を確認できたが、原油以外(銀・天然ガス・農産物)については出典を明示した強気/弱気双方の相場観が今回の調査では十分に見つからなかった。

5. 地政学・物価関連ニュース

  • ホルムズ海峡の事実上の封鎖: 2026年2月の米・イスラエルによるイラン攻撃開始以降、イランは海峡での商業船舶への威嚇・攻撃を継続。6月に成立した米・イラン合意も7月上旬の商船攻撃で崩壊し、7月30日以降は事実上の封鎖状態。海峡は世界の石油供給の20%、LNGの20%が通過する要衝(Congress.gov CRSstraits.live)。
  • 米・イラン暫定合意の失効(8/17): 60日間の暫定合意が代替合意のないまま期限切れとなり、原油価格・米国債利回りの上昇要因となった(Yahoo Finance)。
  • OPEC+の増産継続: 2026年8月分として日量18.8万バレルの増産を決定。段階的な自主減産解消の一環(OPEC / worldoil.com)。
  • 米小麦の記録的減産と黒海情勢: 干ばつにより米国の2026年産小麦は50年超ぶりの低水準となる見通しで、黒海情勢の緊迫化も供給不安を増幅している(Northern Ag NetworkTradingKey)。エルニーニョの影響でインド・オーストラリアなど他の主要小麦生産国の作柄にも懸念が及ぶとの指摘がある(見通しの一部は推測を含む)。
  • ガーナのカカオ減産見通し: 病害・農園高齢化・エルニーニョの複合要因で2026/27年産が大幅減産の見通し(上記「急変動の特集」参照)。
  • 物価への波及経路: 原油高は輸送コスト・ガソリン価格を通じた物価押し上げ要因となる一方、Trading Economics の分析では「原油価格の上昇が金相場への圧力を増幅した」とも指摘されており、エネルギー価格の上振れが金融市場全体のインフレ懸念を強めている構図がうかがえる(Trading Economics)。小麦の記録的減産は、パン・製粉製品など食品価格への波及が見込まれる(波及の具体的な時期・規模は推測)。

6. テクニカル分析

価格は50日移動平均線を回復し、同線も下降から上向きに転じつつある。RSIは直近で51前後まで低下しており方向感に乏しいが、8月上旬には5営業日で7.6%上昇した際に65.89まで上昇する場面もあった(70の「買われすぎ」水準に接近するも未達)。200日移動平均線は依然として上値抵抗として意識されており、6月以降一度もこれを上回っていない。4,600ドル近辺は過去の戻り高値が集中する上値抵抗帯とされる(oneuptrader ブログ)。CFTC建玉明細では投機筋の金ネットロングが8/14時点で21.79万枚と、前週の19.76万枚から増加しており、投機資金の強気姿勢が強まっていることを示唆する(VT Markets)。

RSIはおおむね52〜60のレンジで推移し、8月上旬には64近辺まで上昇し買われすぎに接近する場面もあった。目先のレジスタンスは66.68ドル(R1)・67.57ドル(R2)、サポートは64.77ドル(S1)・63.75ドル(S2)とされる。62ドルを明確に割り込むと下落基調入りのシグナルとされ、その場合は直近安値55ドル近辺までの調整余地が指摘されている(CMC Markets)。なおCFTC建玉では、銀の価格上昇にもかかわらず大口投機筋(マネージドマネー)のネットロングはむしろ縮小傾向(8/4時点で1万1,974枚)にあり、金と異なり投機資金の追随が鈍いことが示唆されている(この解釈は分析であり断定ではない)(futunn.com)。

WTI原油

2025年春の高値(約93ドル)からの下降トレンドラインと、2026年7月の安値(約68ドル)からの上昇トレンドラインが形成する対称三角保ち合いの中で推移。上限は61.8%フィボナッチ水準(約83.45ドル)と重なり、RSI(14日)は約75.1と「買われすぎ」の水準にあるが上昇継続中で、なお上値余地を残すとの見方もある。三角形の上限を上抜ければ105〜110ドル圏、逆に上抜けに失敗すれば50%戻し(約80.50ドル)や38.2%戻し(約77.55ドル、200日単純移動平均線が近い)までの調整が視野に入るとされる(fxdailyreport.cominvesting.com)。

天然ガス

8月前半には100日単純移動平均線が200日線を上抜けし中期的な底打ちを示唆する場面があったが、その後の急落で価格は両移動平均線を再び下回り、強気転換のシグナルはいったん否定された。RSIも月内で「買われすぎ接近」から「売られすぎ接近」まで大きく振れており、方向感の定まらない相場が続いている。ストキャスティクスは売られすぎ水準まで低下しており、売り圧力の一服が意識される場面もある(fxdailyreport.com)。

小麦

50日移動平均線が200日移動平均線を上回っており、中期的には買い方優位の構図が続いているとされる。RSIは49前後と中立圏まで低下(月初の買われすぎ圏からは後退)、MACDはマイナス圏に転じ短期モメンタムの鈍化を示唆している(investing.com)。

補足: ドル指数(DXY)との関係

ドル指数は7月末の101.60超から8月上旬に99.5前後まで下落し、7日には直近2カ月安値の95.53に接近する場面もあった。7月29日のFOMCでは政策金利が3.50〜3.75%で2会合連続据え置きとなり(利上げ支持の反対票3票)、9月FOMCでの据え置き確率は市場で約67%まで上昇している。ドル安はドル建てで取引される金・銀・原油などコモディティ全般にとって支援材料になりやすいとされる(Vantage Markets)。

参考リンク