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コモディティ

コモディティ 2026-08-14

3行まとめ

  • 金は8月13日、米PPI発表を控えて利益確定売りに押され1.15%程度下落する一方、テクニカルには強気の勢いが続いている。
  • 原油はWTIが1.4%前後、ブレントが1.2%前後下落したが、ホルムズ海峡の航行制限長期化への懸念から高値圏を維持している。
  • 小麦はロシア産穀物のドン底輸出懸念で下値が支えられ、カカオは天候・作柄不安で高値圏、コーヒーも供給逼迫が続いている。

価格サマリー

取得時点はいずれも日本時間2026年8月14日午前(現地8月13日の米国市場時間帯)。数値は情報源により時点差があるため参考値。

商品 価格 騰落率(前日比) 限月/指標 出典
金(ゴールド) 1トロイオンスあたり約4,390〜4,400ドル(現物) 約マイナス1.15% スポット/COMEX12月限は横ばい始値4,468.80ドル Fortune, 150currency
銀(シルバー) 1トロイオンスあたり約64.5〜65ドル 約マイナス0.8〜1.3% スポット/COMEX9月限 Fortune, Trading Economics
WTI原油 1バレルあたり約81〜82ドル 約マイナス1.4% NYMEX WTI先物 Buckhead Energy, Trading Economics
ブレント原油 1バレルあたり約88〜90ドル 約マイナス1.2% ICEブレント先物 Fortune, Trading Economics
天然ガス(ヘンリーハブ) 1MMBtuあたり約2.74〜2.78ドル 約マイナス0.9% NYMEX天然ガス先物 Buckhead Energy, Trading Economics
小麦(シカゴ) 1ブッシェルあたり約640セント CBOT9月限 IndexBox
トウモロコシ(シカゴ) 1ブッシェルあたり約438セント CBOT9月限 IndexBox
大豆(シカゴ) 1ブッシェルあたり約1,158セント CBOT8月限 IndexBox
カカオ 1トンあたり約5,716ドル プラス約1.1%(直近1日) ICEカカオ先物 Trading Economics(カカオ)
コーヒー(アラビカ) 1ポンドあたり約3.24ドル マイナス約0.9% ICEアラビカ先物 Business Recorder
砂糖(原糖) 1ポンドあたり約15.31セント プラス約2.0% ICE原糖先物 Business Recorder

商品別動向

金・銀

金は1月に1トロイオンス5,600ドル近辺まで急騰したあと、2013年以来最悪とされる四半期下落(2割超の下げ)を経て、8月11日には4,500ドルに迫る水準まで戻すなど、値動きの荒い展開が続いている。8月13日は、7月分の生産者物価指数(PPI)発表を控えた様子見と利益確定売りから1.15%程度下落し、4,360〜4,400ドル台で推移した(Yahoo Finance150currency)。背景としては、7月の米雇用統計で非農業部門雇用者数が市場予想(8万3千〜9万5千人増)に反して2万3千人減となったことを受け、9月16日のFOMCで利下げが見送られる確率が3分の1程度から6割程度へ上昇したことが利上げ観測を後退させ金を支えている(J.P.モルガン系記事)。中央銀行の買いも継続しており、2026年第2四半期の中央銀行による金購入は前年比62%増の288.9トン(ポーランドと中国が主導)、中国人民銀行は7月まで21カ月連続で金準備を積み増した(Crux Investor)。

銀は年初来で70%超の上昇となっており、8月13日は7週間ぶりの高値をつけたあと、PPI発表を前にした様子見売りで65ドルを割り込み、64.5〜65ドル台で推移した(Yahoo FinanceFXStreet)。金銀比価(金/銀の価格比)は2025年のピーク100倍超から55〜65倍程度まで縮小しており、太陽光発電・EV・AIデータセンター向けの旺盛な工業需要を背景に、シルバー・インスティテュートは2026年の産業向け需要が過去最高の年間7億2千万オンス超に達し、4年連続の供給不足になると予測している(Silver Institute関連記事)。

原油

WTI原油は1バレル81〜82ドル、ブレント原油は88〜90ドル前後で推移し、8月13日はいずれも前日比1.2〜1.4%程度の下落となった(Buckhead EnergyTrading Economics)。値動きの背景には需給両面の綱引きがある。供給面では、ホルムズ海峡の通航が実質的に停止に近い状態が続いており、8月8日時点の同海峡通過船舶数は1日あたり8隻程度と、通常の1日約73隻から大幅に減少している(各種報道の集約)。一方で需要面では、OPECおよびIEAが2026年の需要見通しを下方修正し、米国内の原油在庫が予想外に積み上がったことが弱材料となっている(OilPrice.com)。OPEC+は9月に日量18万8千バレルの追加増産を計画しており、自主減産の巻き戻しがほぼ完了する見通しである点も供給圧力として意識されている。

天然ガス

米国のヘンリーハブ天然ガスは1MMBtuあたり2.74〜2.78ドルで、前日比0.9%弱の下落、直近1カ月では4.3%程度下落している(Buckhead EnergyTrading Economics)。欧州側では、4月1日時点のEUガス貯蔵率が過去3年の同時期を下回る28%からスタートしたものの、その後の積み増しが進み8月時点で約49%まで回復している。冬季に向けた90%の充填目標達成のため、欧州のLNG輸入は前年比13%程度増やす必要があるとされ、大西洋岸のLNG輸出能力拡大に支えられ11月1日までに96%まで積み上がるとの見通しも出ている(ACER)。中東情勢の緊迫や、REPowerEU規則によるロシア産LNG・パイプラインガスの短期契約段階的廃止も、欧州のガス調達の不確実性要因として意識されている。

農産物

シカゴ市場の小麦は1ブッシェルあたり約640セント、トウモロコシは約438セント、大豆は約1,158セントで推移している(IndexBox)。小麦市場では、ロシア南部の港湾における黒海での商船攻撃激化を受け、8月のロシア産小麦輸出量が過去10年で最低水準となる300万〜340万トン程度にとどまるとの予測が出ており(5カ年平均の8月輸出量500万トンを大きく下回る)、これが下値を支える要因になっている(Moscow Times)。一方でウクライナは天候良好・土壌水分十分で早期作物の収量見通しが改善し、オデッサなど深水港の稼働全面再開を前提に穀物輸出量が2,370万トン規模に達するとの上方修正も出ている(Latifundist)。他方、欧州・米国での乾燥、エルニーニョによるオーストラリアの乾燥傾向など、広域的な天候懸念も市場参加者の間で意識されている。

急変動の特集

厳密な「1日で3%超、または数週間で数十%規模」の急変動という基準に照らすと、本日時点で新たに該当する銘柄は確認できなかった。ただし、年初来ベースでの大きな値動きとして以下2点が目立つため参考情報として記載する。

  • カカオ: 直近1日はプラス1.09%程度、直近1カ月ではマイナス2.16%とやや落ち着いているが、年初来ではマイナス33.27%という大幅下落となっている。ガーナのココア規制当局は、スウォレンシュート病(カカオ樹の伝染病)や樹木の老朽化、エルニーニョに伴う異常気象により、2026/27年度のガーナ産カカオ生産量が前年度想定の75万トンから45万〜55万トンへ落ち込む可能性を示しており、今後の反発リスクとして注視が必要である(Trading Economics)。
  • 銀: 年初来の上昇率が70%を超えており、数週間〜数カ月規模の急伸という基準には該当し得る。工業需要主導の構造的な押し上げが続いているとみられる(Yahoo Finance)。

いずれも「単発の急変動」というより中期的なトレンドであるため、本日の特集としては「直近24時間で突出した急変動は確認されず」と整理する。

強気派 vs 弱気派

  • 強気派: テクニカルアナリストのゲイリー・ワグナー氏とジョセフ・ワグナー氏は、金が史上最高値からの調整後に「エネルギーを蓄積してきた」とし、下降三角形パターンからの上放れを「歓迎すべき展開」と評価。直近5営業日連続で高値・安値を切り上げる上昇トレンドが形成されていることを根拠に、4,600ドル近辺までの上値余地を指摘している(Kitco)。加えて、J.P.モルガン・グローバル・リサーチは中央銀行の継続的な買い需要と利下げ期待を根拠に、金が2026年末までに1オンス6,000ドル、2027年には6,300ドルへ上昇する可能性があるとの強気な見通しを示している(J.P.モルガン)。
  • 弱気派: ロンドン貴金属市場協会(LBMA)による年央調査では、参加アナリストが2026年の金価格予想を引き下げ、年末目標の平均値は1オンス4,500ドルにとどまるとされた。SDブリオンのシニア貴金属アナリスト、ジェームズ・アンダーソン氏は「金は年内に再び上昇するとみられるが、それは8月ではない」と述べ、当面はレンジ内での推移にとどまるとの慎重な見方を示している(Yahoo Finance)。また、金利が今後再び上昇に転じればETF資金の流出圧力が強まり、金相場の重しになるとの指摘もある。

原油

  • 強気派: シティグループは、米国とイランの対立長期化とホルムズ海峡の物流制約継続を理由に、2026年第3四半期のブレント原油見通しを1バレル75ドルから80ドルへ引き上げた。バンク・オブ・アメリカのフランシスコ・ブランチ氏は、CNBCの報道で「同海峡の通航正常化には現在の10倍の船舶通過が必要」と指摘し、供給制約の深刻さを強調している(CNBC)。
  • 弱気派: ゴールドマン・サックスは、2026年に日量230万バレル規模の供給過剰と在庫積み増しが続くとして、ブレント原油を1バレル56ドル、WTIを52ドルと、市場平均より大幅に低い水準まで下落するとの弱気な見通しを維持している。OPECおよびIEAも2026年の需要見通しを下方修正しており、需要面の弱さを弱気材料として挙げている(Discovery Alert記事OilPrice.com)。

地政学・物価関連ニュース

  • ホルムズ海峡: イランは2026年2月28日に同海峡での通常の商船航行を事実上停止させた。4月の米イラン停戦と6月中旬の覚書により一時通航が再開されたが、7月初旬に商船への攻撃が発生し協定が破綻、現在も実質的な閉鎖状態が続いている。8月8日時点の通過船舶数は1日8隻程度と、平常時の1日約73〜130隻から大幅に減少しており、保険・航路設定の制約が供給の実質的な足かせになっている(複数報道の集約Congress.gov)。パキスタン・日本・フィリピンなど、原油調達の9割超をペルシャ湾に依存する国々への供給途絶リスクが特に高いとの指摘がある。
  • 黒海(ロシア・ウクライナ情勢): 黒海での商船攻撃激化により、ロシア産穀物の輸出能力が大きく制約されており、8月のロシア産小麦輸出は過去10年で最低水準になる見通し。ウクライナ側はオデッサなど深水港の全面稼働再開が輸出拡大の前提条件となっている(Moscow Times)。
  • 欧州エネルギー: 中東情勢の緊迫化とREPowerEU規則によるロシア産ガス契約の段階的廃止により、欧州の冬季に向けたガス調達に不確実性が残る。LNG輸入増加とアメリカ産LNGの供給拡大により貯蔵目標達成は視野に入っているものの、需給ひっ迫時の価格変動リスクは残る(ACER)。
  • 物価への波及: 原油価格の高止まりとガソリン・輸送コストの上昇、金・銀の高騰による宝飾品・工業製品コストの上昇、穀物輸出制約による食料品価格への波及など、コモディティ高は幅広い品目のインフレ圧力として意識されている。世界銀行系の分析では、中東紛争によるエネルギー価格の急伸が2022年のロシアのウクライナ侵攻時以来の高水準に達しうると指摘されている(World Bank)。

テクニカル分析

  • 金: RSI(相対力指数、買われすぎ・売られすぎを測る指標)は65.89と、この春以来の高水準まで上昇しており、買われすぎの目安とされる70には未達だが強い上昇モメンタムを示している。直近5営業日で7.6%上昇し、50日移動平均線を上抜けて同線も上向きに転じつつある。一方、200日移動平均線は依然として上値に位置しており、6月以来これを上抜けていないため、これを超えられるかどうかが「一時的な反発」か「本格的なトレンド転換」かを見極める分岐点になるとみられている。目先のレジスタンス(上値抵抗)は4,430〜4,492ドル帯、サポート(下値支持)は4,400ドル、次いで4,360ドル、4,300ドルとされる(oneuptraderKitco)。CFTC(米商品先物取引委員会)の建玉明細では、8月4日時点で投機筋(ヘッジファンド等)がCOMEX金先物を13万776枚の買い越しとしており、直近1週間で買い越し幅が約1万5,600枚拡大、6月以来最大の増加となった。ただし史上最高値圏にもかかわらず投機筋の追随姿勢は慎重との指摘もある(StoneX関連報道)。
  • 銀: 金と同様に工業需要を背景とした上昇トレンドにあるが、史上最高値圏で投機筋の新規買いはやや慎重との指摘がある。COMEX銀先物の投機筋建玉は8月4日時点で1万1,974枚の買い越し。ドル指数(DXY)が週を追うごとにやや強含んでおり、貴金属相場の重しになりうる点は金・銀共通の注意点である(forex.com)。
  • 原油: 地政学リスクによる供給懸念と、需要見通し悪化・在庫積み増しによる弱気材料がせめぎ合う展開が続いており、方向感が定まりにくい局面。WTI原油の投機筋建玉は、長期にわたるポジション解消(ロングの手仕舞い)局面から、静かに持ち直しの兆しが出ているとの指摘がある(StoneX関連報道)。地政学リスクが高まる局面では、原油の値動きの荒さ(ボラティリティ)は平常時の2倍程度に達するとの分析もあり、産油量が1%減少するごとに価格が平均11.5%押し上げられるとの試算もある。
  • 天然ガス: 直近1カ月で4%超下落しており、方向としては軟調。欧州の貯蔵率が回復基調にあることが、当面の上値を抑える要因になっているとみられる。
  • 農産物: 小麦は黒海情勢による供給不安と、ウクライナの増産期待・広域的な乾燥懸念が綱引きする展開。方向感を左右する材料が多く、特定のトレンドを断定できる状況ではない。

いずれの商品も、地政学要因とマクロ指標(米PPI・雇用統計・FOMC動向)の両方に振らされやすい局面にあるため、テクニカルシグナルのみでの判断は避け、需給ファンダメンタルズと合わせて総合的に見る必要がある。本レポートは情報提供を目的としたものであり、売買を推奨するものではない。

参考リンク