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コモディティ

コモディティ 2026-08-12

3行まとめ

  • 原油は8月10日(月)にホルムズ海峡再開交渉の難航を受けて急伸(WTIは前日比およそ5パーセント高の1バレル82ドル13セント)し、11日(火)もWTI83ドル55セント・ブレント89ドル24セントまで上昇が続いた。イラン側が「戦争賠償・制裁解除」を条件に掲げ交渉が長期化する様相で、供給リスクプレミアムが拡大している。
  • 金は一時1オンス4,434ドル(6月5日以来の高値)まで買われた後、利益確定売りで4,371ドル台へ反落。銀も一時66ドル台まで買われたが64ドル台へ調整した。7月米雇用統計悪化によるFRB利上げ観測後退という土台は健在で、日本時間本日夜発表の米消費者物価指数(CPI)待ちの神経質な展開。
  • 農産物はロシアによるウクライナ・オデーサ港周辺への攻撃で同国の2026-27年度穀物輸出見通しが大幅下方修正(全体でおよそ54パーセント減、小麦はおよそ53パーセント減)されたことが小麦の下支え要因。カカオ・コーヒー・砂糖は産地の供給懸念で高値圏が続く。

価格サマリー

商品 価格(直近終値・取得時点) 騰落率(前日比) 限月・指標
金(スポット) 1オンス およそ4,371ドル78セント(8月11日終値) マイナス0.45パーセント ロンドン・スポット(TradingEconomics)
銀(スポット) 1オンス およそ64ドル72セント(8月11日終値) マイナス1.50パーセント ロンドン・スポット(TradingEconomics)
WTI原油 1バレル 83ドル55セント プラス1.73パーセント NYMEX 期近限月(CL、8月11日)
ブレント原油 1バレル 89ドル24セント プラス1.73パーセント ICE 期近限月(8月11日)
天然ガス(ヘンリーハブ) 100万BTU あたり 2ドル77セント マイナス0.80パーセント NYMEX 期近限月(NG、8月11日)
トウモロコシ 1ブッシェル 439セント(9月限) ー(前週比横ばい) CBOT 9月限(8月6日時点)
大豆 1ブッシェル およそ11ドル57セント(1,157.25セント) CBOT 8月限(8月6日時点)
小麦(シカゴ) 1ブッシェル 631セント25分の1(9月限) CBOT 9月限(8月6日時点)
カカオ 1トン およそ5,904ドル プラス2.11パーセント ICE 期近限月(8月10日時点)
コーヒー(アラビカ) 1ポンド 3ドル27セント前後 プラス1.2パーセント ICE 期近限月
砂糖(粗糖) 1ポンド 14ドル66セント前後 プラス1.6パーセント ICE 期近限月

※ 米国市場は8月11日(火)取引終了時点のデータを中心に、日本時間8月12日早朝時点で確認できる最新報道を反映している。穀物(トウモロコシ・大豆・小麦)はUSDA/AMS集計の直近営業日(8月6日)時点のデータで、8月12日は米農務省のWASDE(需給報告)発表日にあたる。

商品別動向

金・銀

金は8月11日、TradingEconomics基準で1オンス4,371ドル78セント(前日比マイナス0.45パーセント)で取引を終えた(TradingEconomics Gold)。同日朝方には一時4,434ドル84セントまで買われ、6月5日以来の高値をつけたが(Yahoo Finance)、その後は利益確定売りに押された。Kitcoは同日午前の時点でスポット価格4,393ドル69セント(プラス0.1パーセント)、米国先物は4,453ドル40セント(プラス0.8パーセント)と報じている(Kitco)。 銀もTradingEconomics基準で1オンス64ドル72セント(マイナス1.50パーセント)。同日朝は66ドル台まで買われる場面もあったが、金と同様に反落した(TradingEconomics SilverFXStreet)。 背景は7月の米雇用統計の大幅な下振れ(非農業部門雇用者数23,000人減)を受けたFRBの9月利上げ観測後退で、市場は現時点で9月利上げ確率をおよそ48パーセント、12月利上げ確率をおよそ78パーセントと織り込んでいる(Kitco)。一方で日本時間本日夜に発表される7月の米消費者物価指数(CPI、市場予想は前月比プラス0.1パーセント、前年同月比プラス3.4パーセント)と、翌日発表の生産者物価指数(PPI)を見極めたいとの思惑から、利益確定売りが優勢になったとみられる。ドル指数(DXY)は99.8台で横ばい圏にとどまっている(TradingEconomics DXY)。

原油(WTI・ブレント)

WTIは8月10日(月)、ホルムズ海峡をめぐる交渉の先行き不透明感からおよそ5パーセント上昇し、1バレル82ドル13セントで取引を終えた。ブレントも同日1パーセント超上昇した(CNBC関連報道)。11日はさらに上昇が続き、TradingEconomics基準でWTIが83ドル55セント(プラス1.73パーセント、月間ではプラス6.92パーセント)、ブレントが89ドル24セント(プラス1.73パーセント、月間ではプラス7.13パーセント)まで買われた(TradingEconomics WTITradingEconomics ブレント)。 詳細は次項の特集を参照。

天然ガス

ヘンリーハブは8月11日時点で100万BTUあたり2ドル77セント(前日比マイナス0.80パーセント)。8月10日にはLNG(液化天然ガス)輸出向けフィードガス需要が1カ月ぶりの高水準となったことを受けて一時4パーセント上昇し、9月限が2ドル757セント(8月3日以来の高値)まで買われる場面があったが、記録的な生産量が上値を抑えている(Natural Gas Intelligence関連報道TradingEconomics Natural Gas)。

農産物(小麦・トウモロコシ・大豆)

CBOTのトウモロコシは9月限が1ブッシェル439セント、シカゴ小麦は同631セント25分の1、大豆は8月限が1,157セント25分の1(およそ11ドル57セント)で、8月6日時点からおおむね横ばいで推移している(USDA/AMS)。小麦は週間の輸出成約がおよそ1,090万ブッシェルと前年同期のペースを下回り、材料難から利益確定の売りも出ている(AgWeb)。 米農務省(USDA)は日本時間本日夜、8月のWASDE(世界農産物需給報告)を発表する予定で、トウモロコシ・大豆・小麦の期末在庫見通しが市場の関心事となっている(USDA)。 黒海方面では、ロシアによるオデーサ港周辺への攻撃を受け、ウクライナの2026-27年度穀物輸出見通しが大幅に下方修正された。当初予想からおよそ54パーセント減の2,960万トンとなり、小麦輸出見通しもおよそ53パーセント減の830万トンに下方修正されている(World Grain関連報道)。8月1日から6日の1週間の農産物輸出量は31万2,900トンと、前月同期間の78万4,500トンから60.1パーセント減少した(Ukragroconsult)。 カカオは1トン5,904ドル(プラス2.11パーセント)まで上昇し、ガーナのココボード(cocoa規制当局)が天候不順・病害・老木化などを理由に2026-27年度の生産量が16パーセント以上減少すると予測したことが材料視されている。コートジボワールも来シーズンの生産量が10パーセント超減少するとの見方が広がっている(TradingEconomics CocoaBarchart)。コーヒー(アラビカ)は1ポンド3ドル27セント前後(プラス1.2パーセント)で、ブラジルの収穫遅れによる需給ひっ迫が支援材料。砂糖(粗糖)は1ポンド14ドル66セント前後(プラス1.6パーセント)で、いずれも底堅い推移が続く(Business Recorder)。

急変動の特集

原油:週明けの急伸とホルムズ海峡交渉の停滞

  • 何が起きたか: WTI原油は8月10日(月)の1営業日でおよそ5パーセント上昇し1バレル82ドル13セントに、ブレントも1パーセント超上昇した。11日(火)もさらに上昇が続き、WTIは83ドル55セント、ブレントは89ドル24セントまで買われた。2営業日の累計ではWTIがおよそ7〜8パーセント、ブレントもTradingEconomics基準の月間ベースでおよそ7パーセントの上昇となっている(TradingEconomics WTI)。なお前週にはホルムズ海峡再開への期待から一時7パーセント超の下落もあり、値動きの荒さが際立っている(報道各社)。
  • なぜ動いたか: 2026年2月末の米国・イスラエルによる対イラン軍事作戦「エピック・フューリー」開始以来、ホルムズ海峡は事実上の閉鎖・機能不全状態が続いている。船舶追跡データによれば、開戦前は1日あたり130隻前後あった通過船舶数が、8月4〜6日には1日8〜15隻まで激減した(報道各社)。イランはオマーンとの間で航行スキームについて協議を進めているとしつつ、8月10日時点でも「米国による(海軍の)封鎖が続く限り、海峡再開の条件は整わない」とし、制裁解除や戦争賠償など米国側の追加譲歩を再開の条件に掲げている(イラン外務省報道官バガエイ氏、国営タスニム通信経由)(報道各社)。8月8日にはアブダビ国営石油会社(ADNOC)のタンカーが海峡内でミサイル攻撃を受けたと報じられ、開戦以来16件目の同種攻撃となった(The National)。
  • 生活・産業への波及: 原油高を受けてエネルギー株が上昇する一方(エクソンモービル プラス2.9パーセント、シェブロン プラス3.1パーセントなど)、米国の週間ガソリン価格は直近1週間で9セント下落し1ガロン4ドルとなったが、専門家は交渉が決裂すれば燃料価格への上昇圧力が急速に戻る可能性を指摘している(ガスバディ社の石油分析責任者パトリック・デハーン氏)(Al Jazeera)。エネルギーコストの上昇は電気代・輸送コストを通じて幅広い物価に波及する可能性があり、日本時間本日夜発表の米CPIの結果次第では、インフレ懸念と合わせて金融市場全体のボラティリティが高まりやすい局面が続いている。

強気派 vs 弱気派

原油:強気 ゴールドマン・サックスは2026年通期のブレント平均見通しをベースケースで1バレル85ドルへ引き上げた。ホルムズ海峡の低流量状態(通常の1割程度)が第3四半期を通じて続くとの前提で、仮に混乱が2027年まで長期化した場合は2026年終盤にブレントが1バレル130ドルを超える可能性があるとの見方を示している(OilPrice.com関連報道)。

原油:弱気 JPモルガンは通期の原油価格見通しのベースラインをおよそ1バレル60ドルとし、ホルムズ海峡の混乱長期化は外交的・経済的に持続不可能であり、非OPEC産油国の供給拡大やOPEC+の減産巻き戻し、緩やかな需要の伸びといった需給ファンダメンタルズが最終的には再び優勢になるとの見方を示している(Just2Trade関連報道)。

金:強気 ゴールドマン・サックスやUBSなど大手金融機関は、各国中央銀行による外貨準備の金購入継続を根拠に、年末にかけての強気な価格見通しを維持している(goldsilver.com)。テクニカル面でも、8月11日時点で金は50日移動平均線を回復し同線が上向きに転じつつある点が、直近5営業日で7.6パーセントの急騰(4,432ドルまで到達)を裏付けているとの分析がある(oneuptrader)。

金:弱気 一方でテクニカル面では、200日移動平均線が依然として上値に位置し、6月以来これを上回って取引されていない点が「強い反発」と「本格的なトレンド転換」を分ける分水嶺とされ、8月11日の反落(4,434ドルから4,371ドル台へ)は過熱感による調整との見方もある(oneuptrader)。

地政学・物価関連ニュース

  • ホルムズ海峡・イラン情勢: 2026年2月末の開戦以来、海峡は事実上の閉鎖状態が続き、通過船舶数は開戦前の1日130隻前後から8月上旬には1日8〜15隻まで激減した。イランはオマーンとの交渉を継続しつつ、米国側に制裁解除・戦争賠償・海軍封鎖の解除を条件として求めている。8月8日にはADNOCタンカーへのミサイル攻撃(開戦後16件目)も発生し、緊張は継続している(Al JazeeraThe National)。エネルギーコストの上昇が続けば、電気代・輸送費・食品価格など幅広い物価への波及が見込まれる。
  • 黒海・穀物輸出: ロシアによるウクライナ・オデーサ港周辺への攻撃を受け、同国の2026-27年度穀物輸出見通しがおよそ54パーセント下方修正された。8月1〜6日の週間輸出量も前月同期比60.1パーセント減となっており、供給不安が続いている。パン・飼料経由での食品価格上昇圧力につながる可能性がある(Ukragroconsult)。
  • 西アフリカのカカオ供給懸念: ガーナ・コートジボワールの2026-27年度生産量がそれぞれ2桁パーセントの減産となる見通しで、天候不順・病害・木の老朽化が背景。チョコレートなど加工食品価格への波及が続く可能性がある(Barchart)。
  • 米インフレ指標: 日本時間本日夜、7月の米消費者物価指数(CPI)が発表される(市場予想は前月比プラス0.1パーセント、前年同月比プラス3.4パーセント)。翌日には生産者物価指数(PPI)も控えており、結果次第でFRBの金融政策観測、ひいては金・銀などドル建て資産の価格が大きく振れる可能性がある(financecalendar.com関連報道)。
  • 米農産物需給報告(WASDE): 米農務省が日本時間本日夜、8月のWASDE(世界農産物需給報告)を発表予定。トウモロコシ・大豆・小麦の期末在庫見通しが焦点で、市場予想を下回れば強気材料、上回れば弱気材料となる(USDA)。

テクニカル分析

14日RSI(相対力指数)はおよそ65.9まで上昇し、「買われすぎ」とされる70の水準に近づいている。直近5営業日で7.6パーセントの急騰を経て50日移動平均線を回復し、同線も数カ月ぶりに上向きに転じつつある。ただし200日移動平均線は依然として現在値の上方にあり、6月以来これを上回って取引できていない。この200日線を明確に上抜けられるかどうかが、一時的な反発なのか本格的なトレンド転換なのかを見極める分かれ目とされる(oneuptrader)。

直近の高値は1オンス67ドル17セント付近で、この上には200日移動平均線(およそ71ドル38セント)と6月中旬高値(およそ71ドル50セント)という強い抵抗帯が控える。下値のサポートは、これまで抵抗として機能していた63ドル30セント付近で、これを明確に下回ると8月6〜7日安値(およそ61ドル)、さらにその下の節目(およそ51ドル55セント)が視野に入るとされる。RSIは60近辺、MACDもゼロを上回る水準にあり、モメンタムはやや落ち着きつつも強気圏を維持しているとの分析がある(FXStreet)。

原油(WTI) 14日RSIはおよそ75と「買われすぎ」の水準にあり、ストキャスティクスも深い買われすぎ圏にあるため短期的な一服が意識されやすい状況だが、方向感としては依然買い方優勢とされる。サポート帯はフィボナッチ61.8パーセント(およそ77ドル44セント)から38.2パーセント(およそ79ドル37セント)にかけてで、100日移動平均線ともほぼ重なる。これを維持できれば直近高値(およそ82ドル49セント)を試す展開が、割り込めば74ドル台前半への調整が意識されるという(fxdailyreport)。200日移動平均線(およそ79ドル50セント)を明確に上抜けられるかが、上昇トレンド定着の判断材料とされる。

天然ガス 100日移動平均線が200日移動平均線を下回ったままで、テクニカル上は下向きの圧力が続いているとされる。直近は1カ月ぶりの安値圏(2ドル60セント台)から反発し、LNG輸出向け需要の増加を材料に一時2ドル75〜76セント付近まで戻す場面があった。長期的なサポート帯は2ドル40セントから3ドルのレンジとされ、このレンジの下限を明確に割り込むかどうかが焦点とされる(報道各社)。

農産物(トウモロコシ・小麦) トウモロコシ(CBOT9月限)は1ブッシェル439セント近辺で、50日移動平均線付近のサポートを維持できるかが焦点。シカゴ小麦(9月限)は週間輸出成約が前年ペースを下回ったことを受けた技術的な売りが出ており、方向感の乏しいもみ合いが続いている。日本時間本日夜のWASDE(需給報告)発表が短期的な方向感を左右しそうだ(AgWeb)。

投機筋のポジション(CFTC)・ドル指数との関係 CFTC(米商品先物取引委員会)の建玉明細によると、8月4日時点でマネー・マネージャー(投機筋)の金の買い越しは130,766枚、銀の買い越しは11,974枚となっており、金銀とも史上高値圏で取引されている割には投機筋の買い増しペースが突出しているわけではないと指摘されている(MacroMicro関連データ)。ドル指数(DXY)は99.8台で横ばい圏、月間ではおよそマイナス1.4パーセントとなっており、緩やかなドル安が金・銀・原油などドル建て資産の相対的な下支え要因になっている(TradingEconomics DXY)。

参考リンク